
入湯税とは、温泉(鉱泉浴場)に入浴した人に市町村が課す目的税で、標準税率は1人1泊につき150円です(地方税法・総務省「地方税制度|入湯税」)。宿泊料金の税込表示とは別立てで、多くの宿ではチェックアウト時に精算します。ただし税額は市町村の条例で決まるため、300円・350円の温泉地もあれば、日帰りは100円に下げる街、子どもや修学旅行を免除する街もあります。この記事では「いくら払うのか」「日帰りでもかかるのか」「誰が免除されるのか」「料金表示のどこに出るのか」を、各自治体の公式情報(2026年9月3日確認)で整理します。
- — 標準は1人1泊150円。市町村が温泉の入浴に課す目的税で、集めた分は源泉の保護や環境衛生・消防・観光振興に充てられる。
- — 日帰りも課税対象。ただし京都市は1人1日100円、伊東市は150円と宿泊より安く、利用料金が一定額以下なら免除する自治体が多い。
- — 小学生以下は免除が主流。京都市・会津若松市・伊豆市・伊東市が該当。年齢の線引きは「12歳未満」「12歳に達した後の最初の3月31日/4月1日まで」と条例ごとに違う。
- — 300〜350円へ引き上げた温泉地がある。会津若松市350円、伊東市・東伊豆町300円。いずれも10年程度の期限付きで、増収分は景観整備などに使途が定められている。
- — 宿泊税とは別の税。京都市の温泉付き宿なら宿泊税(1人1泊200円〜)と入湯税150円が両方かかり、OTAの掲載価格には通常含まれず現地精算になる。
入湯税とは — 市町村の目的税で、標準は1人1泊150円
入湯税は温泉法上の温泉などを使う「鉱泉浴場」の入浴客に課される市町村税です。集めたお金の使い道が決まっている「目的税」で、環境衛生施設や消防施設の整備、鉱泉源(源泉)の保護管理、観光施設の整備を含む観光の振興に充てられます(総務省)。つまり払った150円は、その温泉地の源泉や街並みを保つ費用に戻っていく仕組みです。
納め方も独特で、宿や日帰り温泉施設が入浴客から預かって市町村に納付する「特別徴収」方式です。宿泊者が自分で申告する必要はなく、宿の請求書に載ってくる金額を払えば完了します。消費税とは別の税金なので、宿泊料金が「税込2万円」と表示されていても、その税込に入湯税は含まれていないのが一般的です。
日帰り入浴でもかかる? — かかるが、宿泊より安い・免除の自治体が多い
入湯税は「1人1日」単位の税なので、日帰り入浴も課税対象です。ただし多くの自治体は、日帰りには宿泊より低い税率を設定したり、利用料金が一定額以下なら免除したりしています。公式サイトで確認できる例を挙げます。
- 京都市:宿泊は1人1泊150円、日帰りは1人1日100円。日帰りで利用料金が1,500円以下なら免除で、この判定は消費税・地方消費税を除いた額で行います(京都市公式)。
- 会津若松市:日帰りの税額は宿泊と同じ350円ですが、施設利用料の合計が税抜1,000円以下なら免除になります(会津若松市公式)。日帰りを安くする自治体が多いなかでは例外的な設計です。
- 伊東市:2025年10月1日から宿泊は300円、日帰りは150円と、宿泊・日帰りで税額を分けました(伊東市公式)。
- 伊豆市:利用料金5,000円以上は150円、1,000円以上5,000円未満は100円、1,000円未満は免除という料金連動型で、宿泊か日帰りかでは分けていません(伊豆市公式)。
日帰り温泉の入浴料が「700円(入湯税込)」のように表示されている場合もあれば、免除ラインの下で最初から課税されていない場合もあります。券売機の価格に含まれていることが多く、日帰りで追加請求される場面はまれです。
子ども・修学旅行・湯治は免除されることが多い — 条例で決まる
免除の範囲は市町村の条例次第ですが、よくあるパターンは共通しています。
- 12歳未満(小学生以下)の子ども:京都市・会津若松市・伊豆市などが免除。伊東市も2025年10月の改正で免除対象を「6歳未満」から小学生までに広げました。年齢の線引き(「12歳未満」か「12歳に達した後の最初の3月31日まで」か)は自治体で微妙に異なるため、小学6年生の扱いは宿に確認すると確実です。
- 修学旅行など学校行事:京都市・会津若松市・伊豆市などが児童・生徒と引率者を免除(大学は対象外の自治体が多い)。会津若松市は引率教員の付き添いと学校長発行の証明書を条件にしています。
- 療養・湯治目的:会津若松市は医師の診断書がある療養目的の入浴を免除。京都市は病院・診療所・介護老人保健施設などの医療提供施設での入湯を免除。東伊豆町は7日(6泊)以上継続して滞在する入湯客を、申請したものに限り1泊目から150円(通常300円)に軽減しています(東伊豆町公式)。長期滞在の湯治向けの制度と言えます。
- 共同浴場・銭湯:地元の共同浴場や一般公衆浴場は多くの自治体で免除です。
家族旅行なら、大人2人+小学生2人で温泉旅館に1泊した場合、入湯税は大人分の300円(150円×2人)だけ、という自治体が多いことになります。子ども連れの宿選びでは、入湯税と同じく「子ども料金がどう決まっているか」も宿ごとの差が大きいポイントです。子ども料金を段階で公開している宿を集めたkazokustayの比較記事が参考になります。
150円より高い温泉地が増えている — 300円・350円の事例
標準税率は150円ですが、条例で引き上げる温泉地が出てきています。増収分は温泉街の景観整備や源泉の保護など、訪れる人に還元される使途に充てられます。各自治体の公式サイトで確認できた事例です(2026年9月3日確認)。
| 自治体 | 宿泊の税額 | 適用開始 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 会津若松市(東山・芦ノ牧温泉) | 1人1泊350円 | 2025年10月1日 | 2035年9月30日までの特例。引き上げ分200円は温泉街の景観整備の基金へ |
| 伊東市 | 1人1泊300円 | 2025年10月1日 | 日帰りは150円。免除対象を小学生まで拡大 |
| 東伊豆町(熱川・稲取など) | 1人1泊300円 | 2025年3月1日 | 2035年2月28日までの10年間。7日(6泊)以上の滞在は申請で1泊目から150円 |
2泊すれば1人700円(会津若松市の場合)と、家族分を合わせれば無視できない額になります。とはいえ税額は1泊の掲載価格の1〜2%程度で、宿選びを変えるほどの差ではありません。「予約時の合計と現地精算がずれる理由」として頭に入れておけば十分です。こうした引き上げが温泉地の掲載価格に対してどの程度の比率になるのか、実勢の単価と並べて検証した入湯税150円が動き出した — 会津若松350円・伊豆300円も参考になります。
自治体別の早見表 — 税額・日帰り・子どもの扱いを一覧で
ここまでに出てきた5つの自治体を、宿泊・日帰り・子どもの免除・日帰りの免除ラインの4点で並べます。いずれも各自治体の公式サイトで2026年9月3日に確認した内容で、自治体名から公式ページに移動できます。条例改正で変わることがあるため、金額が重要な場合は宿泊先の市町村名と「入湯税」で公式サイトを確認してください。
| 自治体 | 宿泊(1人1泊) | 日帰り(1人1日) | 子どもの免除 | 日帰り・滞在の特例 |
|---|---|---|---|---|
| 会津若松市 | 350円 | 350円 | 12歳未満 | 税抜1,000円以下は免除 |
| 伊東市 | 300円 | 150円 | 12歳に達する日以後の最初の4月1日まで(小学生以下) | — |
| 東伊豆町 | 300円 | — | — | 7日(6泊)以上の滞在は申請で1泊目から150円 |
| 京都市 | 150円 | 100円 | 12歳に達する日以後の最初の3月31日まで(小学生以下) | 税抜1,500円以下は免除 |
| 伊豆市 | 150円 | 150円 | 12歳未満(12歳の小学生を含む) | 1,000円未満は免除/1,000〜5,000円未満は100円 |
「—」は公式サイトに区分の記載がないことを示します。東伊豆町は宿泊者の税額のみを公表しています。伊豆市は宿泊と日帰りを分けず、施設の利用料金に応じて税額が決まります。
図1:宿泊1人1泊あたりの入湯税額(表2と同一データ)。地方税法の標準税率は150円で、京都市・伊豆市がその水準。
標準の150円は、いまや「いちばん安い水準」に近づいています。引き上げた3自治体はいずれも期限を区切ったうえで、増収分の使途を景観整備などに限定しているのが共通点です。会津若松市は日帰りも宿泊と同じ350円で、日帰りを安くする京都市・伊東市とは考え方が分かれます。
宿泊税と両方かかるケース — 京都市の温泉付き宿など
入湯税と混同されやすいのが宿泊税です。宿泊税は「泊まること」への税、入湯税は「温泉に入ること」への税で、税目がまったく別。したがって宿泊税のある都市の温泉付き宿では、両方かかります。
例えば京都市内の温泉付き旅館に泊まると、宿泊料金に応じた宿泊税(1人1泊200円〜)に加えて入湯税150円が1人1泊ごとにかかります。東京都・大阪府・金沢市など宿泊税の導入地域が広がっているため、「温泉のある宿=2つの税が並ぶ領収書」は今後さらに増えます。温泉地の自治体そのものが宿泊税を検討する動きもあり、箱根町は1人1泊350円の条例案を2026年8月に提出しました(箱根町の宿泊税350円、実効税率2.6%)。宿泊税の税額や導入自治体の一覧は、別記事「宿泊税はいくら?1人1泊100〜数百円、京都市は最高1万円」で詳しくまとめています。
料金表示・領収書でどう見えるか
予約サイト(OTA)の掲載価格(税込)には、入湯税が含まれていないのが一般的です。プラン詳細に「入湯税150円は別途現地にてお支払いください」「入湯税別」と注記され、チェックアウト時にフロントで精算する流れが標準的です。事前カード決済のプランでも、入湯税だけ現地精算になることがよくあります。
領収書では、入湯税は消費税の課税対象外のため、宿泊料金と分けて「入湯税 ○円」と別枠で記載されます。会社の出張精算で宿泊費と税を分けて申請する場合や、宿泊料金だけを補助対象とする旅行支援・補助制度を使う場合は、この別枠表記が根拠になります。逆に「入湯税込」と明記するプランや日帰り施設もあるので、合計額を正確に知りたいときはプランの注記を見るのが早道です。
まとめると、入湯税は「温泉に入る人が1泊150円(自治体により300〜350円)を、宿経由でその温泉地に払う税金」。子ども免除や日帰りの扱いは条例次第なので、気になる場合は宿泊先の市町村名+「入湯税」で公式サイトを確認すれば正確な額が分かります。
詳しく探すなら
具体的な宿の比較は、こちらの記事が詳しい。
兄が部活、妹だけ親と旅 — 大人1人+子ども1人で泊まれる宿 5軒|小さめの客室と、段階で公開された子ども料金(kazokustay)
熱海・湯河原・伊豆長岡・鬼怒川・河口湖の温泉宿から、子ども料金を段階で公開している5軒を比較。河口湖の秀峰閣 湖月は2〜3名なら夕食が客室食、熱海の湯宿一番地は小学生高学年向けの子ども食があるなど、親子2人旅で選びやすい条件がそろう。
箱根強羅と仙石原、外輪山の斜面に湯を張り出す客室露天五軒 — 白露の早雲山と芒の原を望む朝湯(yadolist)
全室掛け流しの客室露天を備える強羅花扇、標高700mで白濁湯を引く金乃竹 仙石原など、箱根の強羅・仙石原で客室露天風呂のある5軒を源泉と泉質から読み解く。秋口の夫婦旅の宿選びに。
よくある質問
入湯税はいくらですか?
地方税法の標準税率は1人1日(1泊)につき150円です。ただし税額は市町村の条例で決まるため、会津若松市350円、伊東市・東伊豆町300円のように引き上げている温泉地もあります。宿泊と日帰りで額を分ける自治体、施設の利用料金に応じて変える自治体もあります。
日帰り入浴でも入湯税はかかりますか?
かかります。入湯税は「1人1日」単位の税なので日帰りも課税対象です。ただし京都市は日帰り1人1日100円、伊東市は150円と宿泊より低く設定しており、京都市は利用料金が税抜1,500円以下、会津若松市は税抜1,000円以下、伊豆市は1,000円未満なら免除です。日帰り施設では入浴料に含まれていることが多く、その場で追加請求される場面はまれです。
子どもの入湯税は免除されますか?
多くの自治体で免除されます。京都市・会津若松市・伊豆市・伊東市はいずれも小学生以下を免除しています。ただし線引きの表現は自治体ごとに違い、伊豆市は「12歳未満(12歳の小学生を含む)」、京都市は「12歳に達する日以後の最初の3月31日まで」、伊東市は「12歳に達する日以後の最初の4月1日まで」です。小学6年生の扱いが気になる場合は宿に確認すると確実です。
入湯税はいつ・どこで払いますか?
宿や日帰り温泉施設が入浴客から預かって市町村に納める「特別徴収」方式です。宿泊者が自分で申告する必要はなく、多くの宿ではチェックアウト時にフロントで精算します。事前カード決済のプランでも入湯税だけ現地精算になることがよくあります。
宿泊税と入湯税は両方かかりますか?
税目が別なので、宿泊税のある都市の温泉付き宿では両方かかります。例えば京都市内の温泉付き旅館では、宿泊料金に応じた宿泊税(1人1泊200円〜)に加えて入湯税150円が1人1泊ごとにかかります。
入湯税は宿泊料金の税込表示に含まれていますか?領収書ではどう見えますか?
予約サイトの掲載価格(税込)には含まれていないのが一般的で、プラン詳細に「入湯税別」と注記されます。入湯税は消費税の課税対象外のため、領収書では宿泊料金と分けて「入湯税 ○円」と別枠で記載されます。出張精算で宿泊費と税を分けて申請する場合は、この別枠表記が根拠になります。
修学旅行や湯治でも入湯税はかかりますか?
免除する自治体が多くあります。京都市・会津若松市・伊豆市は学校(大学を除く)の行事としての修学旅行の児童・生徒と引率者を免除しており、会津若松市は引率教員の付き添いと学校長発行の証明書を条件にしています。療養目的では、会津若松市が医師の診断書がある入浴を、京都市が病院・診療所・介護老人保健施設などの医療提供施設での入湯を免除しています。東伊豆町は7日(6泊)以上の滞在を申請すると1泊目から150円に軽減されます。
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参考資料・出典一覧
本記事の税額・免除要件は、すべて下記の一次資料(法令所管省庁および各市町村の公式サイト)で2026年9月3日に確認しています。他媒体の記載は引用元としていません。
- 総務省「地方税制度|入湯税」 — 目的税としての位置づけ、標準税率1人1日150円、使途の範囲
- 京都市「入湯税について」 — 宿泊150円/日帰り100円、日帰り1,500円以下(税抜判定)の免除、小学生以下・修学旅行・医療提供施設の免除
- 会津若松市「入湯税について」 — 350円(2025年10月1日〜2035年9月30日)、日帰り税抜1,000円以下の免除、療養・修学旅行の要件、温泉地域活性化基金
- 伊東市「入湯税の税率改正等について」 — 宿泊300円/日帰り150円(2025年10月1日〜)、免除年齢の拡大
- 伊豆市「入湯税」 — 利用料金連動(5,000円以上150円/1,000円以上5,000円未満100円/1,000円未満免除)、免除対象
- 東伊豆町「入湯税引上等について(お知らせ)」 — 300円(2025年3月1日〜2035年2月28日)、7日(6泊)以上の滞在の軽減
■ 留意点
入湯税は市町村の条例で定まるため、改正により本記事の金額と異なる場合があります。免除の可否は施設ではなく市町村が定めるもので、同じ温泉地でも所在市町村が違えば扱いが変わります。掲載価格に関する記述はOTA公開データに基づく一般的な傾向(ホテルバンク編集部調べ)で、個別の宿の請求内容を示すものではありません。金額が重要な場合は宿泊先の市町村公式サイトおよび宿にご確認ください。
