サムライの古都・鎌倉市と数多くの世界遺産を抱える奈良市。観光・宿泊業界では巨大都市である東京・横浜、大阪・京都にそれぞれ近接するため「泊まらない都」としても知られて来た両都市だが、近年変化も生まれて来ているー
既存のホテル展開対決ー奈良市に軍配
メトロエンジンリサーチによると、両都市の既存の施設展開数は以下の通り。
・鎌倉市ー宿泊施設78、部屋数 1,295室
鎌倉市ホテル展開マップ(大小の青緑のサークルは客室数規模を示す)
出典:メトロエンジンリサーチ
・奈良市ー宿泊施設 180、部屋数 5,212室
奈良市ホテル展開マップ(大小の青緑のサークルは客室数規模を示す)
出典:メトロエンジンリサーチ
以上の通り、既存の施設展開数では奈良市が鎌倉市を圧倒した。施設数に比べ部屋数の開きが大きいのは、鎌倉市では古民家などの小規模な施設が比較的多いことも影響しているようだ。
新設ホテル開発対決ー奈良市に軍配
鎌倉市と奈良市の新設ホテルの開発予定は以下の通り。
・鎌倉市ー1施設、138室
ホテルメトロポリタン 鎌倉が鎌倉駅東口、鶴岡八幡宮二の鳥居前に2020年3月に開業予定。
新規開業予定は1施設のみの鎌倉市だが、本年11月1日には大船駅東口徒歩2分に「相鉄フレッサイン 鎌倉大船駅東口」が152室で開業するなど、近年新規開業が相次いでいる。
・奈良市ー7施設、698室
出典:メトロエンジンリサーチ
新規開業予定はJR奈良駅、近鉄奈良駅周辺に集中している。
特に注目ホテルとしては、2021年春に開業を予定している星野リゾート「旧奈良監獄」活用のホテル(150室)がある。また、同「監獄ホテル」には無印良品のMUJI Hostel(60室)やソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ「HISTERRACE奈良」「そらみつ奈良」(約80室)など複数の宿泊施設・商業施設が開業を予定している。
さらに、マリオットインターナショナルの「JWマリオット・ホテル 奈良」(152室)が2020年4月に開業を予定している。
1km2あたりの部屋数対決ー鎌倉市に軍配
1km2あたりの部屋数を比較した数値が以下の通り。
・鎌倉市ー34室
・奈良市ー19室
1km2あたりの部屋数では鎌倉市に軍配が上がった。
鎌倉市も山あいだが面積としては39.6 km2となっており、奈良市の面積は276.8 km2と圧倒的に大きいことが影響した。
泊まらない都として知られて来た観光都市の鎌倉市・奈良市だが両都市とも新規開業が相次いでいる。観光地であるとともに宿泊地としても人気を集められるかどうかは、ナイトライフを含めて楽しめるかどうかにも依存しており、今後アクティビティを含めた開発ができるかどうかがポイントになりそうだ。
【合わせて読みたい】
「JWマリオット・ホテル奈良」総支配人にクリストファー・クラーク氏