函館・湯の川温泉の旅館「平成館 海羊亭」は、2026年11月15日宿泊分から2027年4月15日宿泊分まで休館すると公式サイトで告知している[1]。ところが予約サイトAgodaでは、11月2日の時点で、休館期間中の日程に「今すぐ予約!」のボタンが表示され、予約できる状態になっていた。名古屋城の隣で2020年に営業を終え、跡地に別の新ホテルが開業している旧「ホテル ナゴヤ キャッスル」のページでも、旧ホテル時代のものとみられる客室が販売されていた。一方で、閉館・休館の日付が公表されている12施設のうち11施設は、Agodaでも閉館・休館後の日程が販売されていなかった。ホテルバンク編集部が、閉館・休館の告知とAgodaの販売画面を1件ずつ照合した。
• 確認日:2026年11月2日(画面の確認は日本時間14時〜15時台)
• 方法1:閉館・休館の日付が公式発表や報道で確認できた12施設について、Agodaの施設ページを閉館・休館後の宿泊日(1室・大人2名・1泊)で開き、予約できる客室が表示されるかを確認した
• 方法2:国内の主要予約サイトでの販売が止まっている一方でAgodaに掲載が残っている、客室数10室以上の480施設について、2026年12月10日の宿泊で同様に確認した。予約できる表示があった施設のうち86施設は、公式サイト・運営会社の発表・報道などで営業状況を確認した
• 予約の手続きは行っていない。画面上の表示を確認したもので、予約が実際に成立するか、成立した場合にどう扱われるかは確認していない
• 画面の黄色の強調は編集部による。表示は確認した時点のもので、その後に変わっている場合がある
• 出典:メトロエンジンリサーチ
休館の告知と「今すぐ予約」が並ぶ — 平成館 海羊亭(函館市)
平成館 海羊亭は、湯の川温泉にある旅館である。公式サイトと運営会社のトーホウリゾートは2026年10月1日付で休館を告知しており、休館期間は「2026年11月15日(日)ご宿泊分より」「2027年4月15日(木)ご宿泊分まで」、営業の再開は2027年4月16日チェックインからとしている[1][2]。
平成館 海羊亭の公式サイトに掲載された休館のお知らせ(2026年10月1日掲載、2026年11月2日15時27分確認)
しかし、Agodaで同館のページを開き、休館期間中の2026年12月10日に1室・大人2名で検索すると、和室(8畳・禁煙)が1泊2万1650円(税・サ込み、大人2名)で表示された。料金の欄には「ラッキー! チェックした中で最安値です!」とあり、「予約へ進む」のボタンと「最後の1部屋」の表示が並ぶ。ページ上部の最安値の表示も2万1650円で、ページ内に休館を知らせる記載は見当たらなかった。
Agodaの平成館 海羊亭のページ。宿泊日を2026年12月10日(1泊、1室・大人2名)として検索した画面(2026年11月2日15時19分確認)
休館が始まって6日目にあたる11月20日で検索した画面では、同じ和室に「本日75% OFF! 最安値で予約できます」「当サイト最後の1部屋!」と表示され、ボタンは「今すぐ予約! 後払い」となっていた。
Agodaの平成館 海羊亭のページ。宿泊日を2026年11月20日(1泊、1室・大人2名)として検索した画面(2026年11月2日15時20分確認)
12月10日と11月20日だけではない。休館期間の初日から最終日までの14日を選んで同じ条件で確認すると、休館初日の11月15日を含む9日で予約できる客室が表示された。空室の表示がなかった5日も、満室の扱いなのか販売を止めているのかは画面からは区別できない。
| 宿泊日(すべて休館期間中) | Agodaの表示 | 最安値(1室・大人2名) |
|---|---|---|
| 2026年11月15日(日) | 予約できる客室あり | 2万1650円 |
| 2026年11月20日(金) | 予約できる客室あり | 2万1650円 |
| 2026年11月28日(土) | 予約できる客室あり | 2万6347円 |
| 2026年12月10日(木) | 予約できる客室あり | 2万1650円 |
| 2026年12月24日(木) | 空室の表示なし | — |
| 2026年12月31日(木) | 空室の表示なし | — |
| 2027年1月14日(木) | 予約できる客室あり | 2万1650円 |
| 2027年1月28日(木) | 予約できる客室あり | 2万1650円 |
| 2027年2月10日(水) | 予約できる客室あり | 2万1650円 |
| 2027年2月24日(水) | 空室の表示なし | — |
| 2027年3月11日(木) | 予約できる客室あり | 2万1656円 |
| 2027年3月25日(木) | 予約できる客室あり | 2万1656円 |
| 2027年4月10日(土) | 空室の表示なし | — |
| 2027年4月15日(木) | 空室の表示なし | — |
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(Agodaの平成館 海羊亭のページを各宿泊日・1泊・1室・大人2名で検索。2026年11月2日15時19分〜15時25分確認)
画面の表示どおりであれば、休館を知らないまま予約した利用者は、支払いを済ませたうえで閉まった旅館を訪れることになりかねない。12月10日の客室には「今日予約でも支払いは【2026年12月1日】」とあり、宿泊日の直前まで利用者が休館に気づく機会は少ない。この在庫が施設側の設定によるものか、Agodaや仕入れ先の側の処理によるものかは、画面からは判別できない。
2020年に営業を終えたホテルのページで客室を販売 — 旧ホテル ナゴヤ キャッスル(名古屋市)
名古屋城の西にあったホテル ナゴヤ キャッスルは、2020年まで営業していた。その跡地には2025年10月1日、興和グループが運営する「エスパシオ ナゴヤキャッスル」が開業しており、客室は平均70平米超の全100室で構成される[3][4]。
Agodaには、この新ホテルのページとは別に、旧ホテル名の「ホテル ナゴヤ キャッスル (HOTEL NAGOYA CASTLE)」のページが残っている。掲載されている写真は建て替え前の建物で、「宿泊施設からのお知らせ」の欄には「当施設は、2020年10月1日より休館いたします。2024年の開業を目途に、営業再開計画をしております。」と書かれたままになっていた。
Agodaの旧ホテル ナゴヤ キャッスルのページ。宿泊日を2026年12月10日(1泊、1室・大人2名)として検索した画面と、同じページの「宿泊施設からのお知らせ」(2026年11月2日15時20分確認)
このページで2026年12月10日を指定すると、広さ41平米の「Deluxe Double Room with Castle View」が1泊20万6564円(税・サ込み、大人2名)で表示され、「予約へ進む」のボタンと「最後の1部屋」の表示があった。「キャッスルサイド スタンダード ツインルーム(喫煙)」など、旧ホテル時代のものとみられる客室名も並んでいた(こちらは売り切れの表示)。11月2日に4回確認したところ、3回で料金が表示された。
同じページの客室の欄(2026年11月2日15時20分確認)
同じ住所(名古屋市西区樋の口町3-19)の新ホテルは、Agodaに別のページがあり、こちらでは50〜61平米の客室が最安値11万9635円から販売されていた。旧ホテルのページから予約した場合に、その予約がどの施設に届き、どう扱われるのかは画面からはわからない。
上:Agodaのエスパシオ ナゴヤキャッスルのページ(同じ条件で検索、2026年11月2日15時20分確認)。下:エスパシオ ナゴヤキャッスルの公式サイトの開業1周年のページ(2026年11月2日15時27分確認)
ブランドが変わっても旧名のまま — Hotel Base Nara(奈良市)
施設名やブランドの変更が反映されていない例もあった。奈良市油阪のホテルは現在、運営会社のサイトで「HOTEL BASE NARA」として案内されている[5]。Agodaでは同じ住所の施設が以前のブランド名を冠した「Tabist Hotel Base Nara」として掲載されており、掲載写真には別ブランドの看板が写ったものもある。営業は続いているため利用者が泊まれなくなる問題ではないが、現在の名称で検索した利用者が見つけにくく、到着時に看板と名前が一致しない可能性がある。今回の確認では、名称や運営会社が変わった後も旧名のまま販売されている施設をほかにも複数確認した。
上:Agodaの同施設のページ(2026年11月2日15時27分確認)。下:運営会社のサイトの施設ページ(2026年11月2日15時28分確認)
公表された閉館・休館の多くは反映されていた
もっとも、閉館や休館が公表された施設の多くは、Agodaでも閉館・休館後の日程が販売されていなかった。報道や公式発表で日付が確認できた12施設を閉館・休館後の宿泊日で確認したところ、予約できる客室が表示されたのは平成館 海羊亭の1施設だけで、残る11施設のうち2施設は施設ページ自体の掲載が終わっていた。京都新阪急ホテルのページには営業終了の告知が掲載され、営業中の2027年1月10日は予約できる一方、営業終了後の2月10日は客室の欄そのものが表示されなかった。
| 施設 | 公表されている閉館・休館 | 確認した宿泊日 | Agodaの表示 |
|---|---|---|---|
| 平成館 海羊亭(函館市) | 2026年11月15日〜2027年4月15日宿泊分 休館[1] | 休館期間中の14日 | 9日で予約できる客室あり |
| 望楼NOGUCHI函館(函館市) | 2026年8月20日チェックアウト後〜2027年4月19日 休館[6] | 2026年12月10日、2027年2月10日 | 販売なし |
| ホテル日航ノースランド帯広(帯広市) | 2026年12月1日チェックアウト後から宿泊営業を休止、2027年4月下旬に再開予定[6] | 2026年12月10日、2027年2月10日 | 販売なし |
| 札幌パークホテル(札幌市) | 2027年2月28日 閉館[6] | 2027年3月10日 | 販売なし |
| 札幌東急REIホテル(札幌市) | 2027年8月31日 現在のブランドでの営業を終了[6] | 2027年9月10日 | 販売なし |
| 天然温泉 さくらの湯 スーパーホテルさいたま・大宮駅西口(さいたま市) | 2026年10月31日 閉館[7] | 2026年12月10日 | 販売なし(閉館の告知を掲載) |
| 京都新阪急ホテル(京都市) | 2027年1月17日宿泊分で営業終了 | 2027年2月10日 | 販売なし(営業終了の告知を掲載) |
| 千里阪急ホテル(豊中市) | 2026年3月30日宿泊分で営業終了[8] | 2026年12月10日 | 販売なし(施設ページの掲載終了) |
| 青蓮寺レークホテル(名張市) | 2026年1月13日チェックアウトで営業終了[9] | 2026年12月10日 | 販売なし |
| ホテル立山(立山町) | 2026年8月31日で宿泊事業を終了[10] | 2027年7月10日 | 販売なし(施設ページの掲載終了) |
| 全国チェーンの2施設(札幌市、熊本市) | 2026年10月に閉館 | 2026年12月10日 | 販売なし |
出典:各施設・運営会社の発表、報道、メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(Agodaの各施設のページを1泊・1室・大人2名で検索。2026年11月2日確認)
Agodaの京都新阪急ホテルのページ。営業終了後の2027年2月10日で検索すると「客室」の欄と料金が表示されず、ページには営業終了の告知が載っている(2026年11月2日15時21分確認)
国内の主要予約サイトから姿を消した施設についても確認した。国内の主要予約サイトでの販売が止まっている一方で、Agodaに掲載が残っている客室数10室以上の480施設のうち、2026年12月10日に予約できる表示があったのは166施設だった。このうち86施設の営業状況を公式サイトや運営会社の発表、報道で確認すると、54施設は営業を続けており、8施設は名称や運営会社が変わっていた。閉館を示す情報があったのは4施設、20施設は公開情報から判断できなかった。国内の予約サイトで見かけなくなった施設の多くは、閉館したのではなく、販売先を絞っているだけとみられる。閉館を公式情報で確認でき、なお旧施設のままで販売が続いていたのは、旧ホテル ナゴヤ キャッスルだった。
宿泊施設が確認したいこと — 休館・閉館・改称のとき
今回の結果からは、閉館や休館を公表した施設の多くでAgodaの販売も止まっている一方、個別の施設では告知と販売が食い違う例が残っていることがわかる。食い違いが起きた場合、最初に影響を受けるのは予約した利用者と、現地で対応を迫られる施設だろう。休館や閉館、改称を決めた施設が確認したい点を整理すると、次のようになる。
| 場面 | 確認すること |
|---|---|
| 休館・閉館の日付を決めたとき | サイトコントローラーで管理している予約サイトだけでなく、旅行会社や仕入れ業者に渡している在庫も含め、対象期間の販売をすべて止める |
| 告知を出した後 | 海外の予約サイトも含め、休館・閉館後の日付を指定して自館を検索し、予約できないことを確かめる。日付を変えて複数回確認する |
| 建て替え・閉館のとき | 新しい施設のページとは別に、旧施設のページが残っていないかを確認し、掲載の終了を依頼する |
| 改称・ブランド変更のとき | 施設名・写真・ブランド名の変更を各予約サイトに依頼し、旧名で検索して残っていないかを確認する |
| 食い違いを見つけたとき | 日付と時刻のわかる画面を保存し、修正の依頼と反映の状況を記録する。予約が入っていた場合に備え、利用者への連絡方法を決めておく |
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
まとめ
閉館・休館の日付が公表されている12施設のうち、Agodaで閉館・休館後の日程が予約できる状態だったのは平成館 海羊亭の1施設で、休館期間中の14日のうち9日で客室が表示された。2020年に営業を終えた旧ホテル ナゴヤ キャッスルのページは、休館の告知を掲げたまま旧ホテル時代の客室を販売しており、名称変更が反映されていない施設も複数あった。公表された閉館・休館の多くは販売に反映されている以上、問題は仕組みの全体よりも個別の施設で起きているといえる。だからこそ、休館や閉館、改称を決めた施設は、告知を出した後に自館の販売画面を自ら確かめることが、利用者と自館を守る近道になるだろう。なお、Agodaには11月2日、施設ページの掲載情報の正確性について取材を申し込んでおり、回答があれば追記する。
関連記事
参考資料・出典一覧
- [1] 【海羊亭】2026/11/15(日)~2027/4/15(木)休館のお知らせ(平成館 海羊亭 公式サイト、2026年10月1日)
- [2] 【海羊亭】2026/11/15(日)~2027/4/15(木)休館のお知らせ(トーホウリゾート、2026年10月1日)
- [3] エスパシオ ナゴヤキャッスル 開業1周年(エスパシオ ナゴヤキャッスル 公式サイト)
- [4] 名古屋に新高級ホテル、旧ナゴヤキャッスルの跡地に開業、大規模な宴会場、平均70平米超の全100室で(トラベルボイス、2025年1月31日)
- [5] HOTEL BASE NARA(コンフィーステイ)
- [6] 【北海道】札幌のホテル3施設が閉館・営業終了へ 函館・帯広の3施設も長期休館(JC-NET、2026年10月)
- [7] 【埼玉】スーパーホテル大宮駅西口が10月31日閉館 開業20年、2023年改装も契約満了(JC-NET、2026年10月)
- [8] 千里阪急ホテル 営業終了のお知らせ(阪急阪神ホテルズ、2025年2月7日)
- [9] 青蓮寺レークホテル(観光三重)
- [10] 立山黒部アルペンルートの「ホテル立山」、宿泊事業を2026年8月で終了(トラベルボイス、2025年8月4日)
- メトロエンジンリサーチ — 国内の宿泊施設の予約サイト掲載情報(Agodaの施設ページの確認、2026年11月2日)、国内の主要予約サイトの販売状況
