2023年6月最新の主要都市(東京・大阪・名古屋)の新規開業宿泊施設の特徴について考察をお伝えする。
新規開業宿泊施設の分布
東京は港区・中央区に44%が集中
メトロエンジンリサーチによると、東京の新規開業宿泊施設の分布は港区・中央区に44%が集中している。
順位 |
東京23区 | 施設数 | 割合 |
1位 |
港区 | 19 施設 | 27 % |
2位 |
中央区 | 12 施設 | 17 % |
3位 |
渋谷区 | 9 施設 | 13 % |
4位 |
千代田区 |
7 施設 | 10 % |
台東区 |
7 施設 | 10 % | |
6位 |
大田区 | 4 施設 | 6 % |
7位 |
北区 | 3 施設 | 4 % |
8位 |
新宿区 |
2 施設 | 3 % |
品川区 |
2 施設 | 3 % | |
10位
|
江戸川区 |
1 施設 | 1 % |
江東区 |
1 施設 | 1 % | |
中野区 |
1 施設 | 1 % | |
板橋区 |
1 施設 | 1 % | |
豊島区 |
1 施設 | 1 % | |
合計 |
70 施設 |
出典:メトロエンジンリサーチ
大阪は中央区・北区に75%が集中
メトロエンジンリサーチによると、大阪の新規開業宿泊施設の分布は中央区・北区に75%が集中している。
順位 |
大阪市 | 施設数 | 割合 |
1位 |
中央区 | 10 施設 | 42 % |
2位 |
北区 | 8 施設 | 33 % |
3位 |
浪速区 | 3 施設 | 13 % |
4位 |
此花区 |
1 施設 | 4 % |
住之江区 |
1 施設 | 4 % | |
西区 |
1 施設 | 4 % | |
合計 |
24 施設 |
出典:メトロエンジンリサーチ
名古屋は中区に60%が集中
メトロエンジンリサーチによると、名古屋の新規開業宿泊施設の分布は中区に60%が集中している。
順位 |
名古屋市 | 施設数 | 割合 |
1位 |
中区 | 3 施設 | 60 % |
2位 |
名東区 |
1 施設 | 20 % |
西区 | 1 施設 | 20 % | |
合計 |
5 施設 |
出典:メトロエンジンリサーチ
新規開業宿泊施設の特徴
東京は都市再開発プロジェクトとしての新規開業宿泊施設が多数
東京の特徴は、都市開発プロジェクトの一環としての新規開業宿泊施設が多数あることが挙げられる。特に、新規開業宿泊施設数が1位の港区では「虎ノ門エリア」「赤坂エリア」「品川駅エリア」「北青山三丁目エリア」「神宮外苑エリア」を中心に、観光・ビジネス・交通・文化施設が一体となった、大規模複合施設の建設計画が都市再開発プロジェクトのもとに数多く進行している。
大阪は2025年国際博覧会(大阪・関西万博)に向けた新規開業宿泊施設が多数
大阪の特徴は、2025年から開催される「国際博覧会(大阪・関西万博)」に向けた新規開業宿泊施設が多数あることが挙げられる。その証拠に、2023年7月以降に新規開業を予定している24施設中、2025年4月までの開業を予定している施設が20施設(83%)を占めている。「国際博覧会(大阪・関西万博)」は、予想入場者数の2,800万人、約350万人のインバウンド誘客が見込まれており、大阪のみではなく関西エリア全体への経済波及効果が大きく期待されている。
名古屋は2026年アジア大会に向けた新規開業宿泊施設が多数
名古屋の特徴は、2026年開催の「アジア大会」に向けた新規開業宿泊施設が多数あることが挙げられる。愛知県と名古屋市では一定数のスイートルームを備えた高級ホテルの建設に対して、それぞれ最大で10億円の補助金を出す制度で、国際会議や海外富裕層の誘致を後押ししており、海外からの観光客の増加が期待されている。また、リニア中央新幹線の開業など交通インフラの利便性の向上による観光客の増加も期待されている。
新規開業宿泊施設を一部紹介
東京の新規開業宿泊施設を一部紹介
(仮称) 西麻布三丁目北東地区第一種市街地再開発事業
「(仮称) 西麻布三丁目北東地区第一種市街地再開発事業」は、野村不動産とケン・コーポレーションが東京都港区西麻布3丁目に、住宅・事務所・商業・ホテル機能を導入した地上54階、地下4階、高さ約200m、延べ面積約97,010㎡の超高層ビルを整備する計画の基、六本木ヒルズの西側に新たな超高層ビルの建築を行い、2028年の開業を予定している。 住宅は約500戸を想定し、ホテルは外資系ラグジュアリーホテルブランドの誘致を目指している。
(仮称)赤坂2丁目プロジェクト
「(仮称) 赤坂2丁目プロジェクト」は、森トラストとNTT都市開発が赤坂ツインタワー跡地を中心とした約5,000坪の敷地に地上43階地下3階、総延床面積約220,000㎡の複合施設として、先進的なオフィスを中心に、ホテルやサービスアパートメント、店舗、展示施設や診療所などを備える大型複合再開発計画だ。国際水準の宿泊機能や訪日外国人のニーズを満たす歴史・文化発信施設等の整備により、国際競争力強化が推進されることが期待されている。
(仮称)銀座6丁目昭和通り開発計画
「(仮称) 銀座6丁目昭和通り開発計画」は、J.フロント リティリングが事業パートナーである森ビル株式会社・L Real Estate・住友商事株式会社と一体となり進めている「銀座6丁目10地区第一種市街地再開発事業」だ。東京を代表する国際的な商業・観光拠点を目指し、売り場面積46,000㎡の商業施設、1フロア6,100㎡の大規模オフィス、文化交流施設「観世能楽堂」などの銀座エリア最大級の大規模複合施設として2016年11月の開業を目指している。
大阪の新規開業宿泊施設を一部紹介
ダブルツリー by ヒルトン大阪城
「ダブルツリー by ヒルトン大阪城」は、ヒルトンにとっては大阪で3施設目のホテルとなり、関西初進出となる「ダブルツリーbyヒルトン」ブランドは、世界49ヶ国に615軒以上展開している、ヒルトンの中でも急成長中のアップスケール・ホテルブランドとなっている。立地は、株式会社日本経済新聞社と大和ハウス工業株式会社が進める「日本経済新聞社旧大阪本社跡地」の複合施設「大阪・大手前一丁目プロジェクト」の施設内にあり、同施設の6階から20階まで15フロアで展開する、大阪城に最も近いホテルの一つである。
キャプション by Hyatt なんば 大阪
「キャプション by Hyatt なんば 大阪」は、ハイアットの新しいブランドのセレクトサービス型のライフスタイルホテルだ。客室数は167室、1階にレストラン、2階にフィットネスを設ける計画となっており、大阪カルチャーの中心地ともいえる難波に位置し、黒門市場、なんばグランド花月も徒歩圏内となっており、大阪の魅力と活気を肌で感じることが好立地。すでに、2022年7月にも新築工事に着手しており、2024 年前半の開業を予定している。
フォーシーズンズホテル大阪
「フォーシーズンズホテル大阪」は、世界47カ国で119のホテルとリゾート、44のレジデンスを運営する「フォーシーズンズ ホテルズ アンド リゾーツ」が運営するラグジュアリーホテル。日本では東京と京都に3施設を運営しており、今回が大阪初進出となる。レストランのほか、カフェ、バー、バンケットルーム、スパ、ジムなどを備える。中でも37階のレストランフロアは、全世界のフォーシーズンズホテルの中で最も高層階に位置している。
名古屋の新規開業宿泊施設を一部紹介
TIAD
「TIAD」は、“Tomorrow Is Another Day ” [明日はまた新たな日が来る]をコンセプトに、国際会議の需要にも対応可能な3つのバンケットルームや、ウエルネスゾーン、ラウンジ、屋内プール、フィットネスジム、インルームスパを備えるライフスタイルラグジュアリーホテルだ。名古屋市栄・久屋大通に位置し、アクセス抜群の都心でありながら、自然に包まれるような空間を意識し、2023年7月の開業を予定している。
(仮称)ザ ロイヤルパークホテル アイコニック名古屋
「(仮称)ザ ロイヤルパークホテル アイコニック名古屋」は、インバウンドゲストを含めた多様な宿泊ニーズに応えるプレミアム宿泊主体型ホテル。株式会社ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツのフラッグシップブランドとして、2020年3月に開業した「ザ ロイヤルパークホテル 大阪御堂筋」に続いての開業となる。名古屋・栄のランドマークとして、新たなにぎわいをもたらす名古屋を代表するホテルを目指している。
コンラッド名古屋
「コンラッド名古屋」は、ヒルトンの最上級ラグジュアリーブランド「コンラッド・ホテルズ&リゾーツ」が展開する、地下鉄栄駅直結の地上41階建ての複合ビルの10-11階および31-41階に位置し、約50平米のスタンダードルームを中心とした全170室の客室の他、オールデイダイニングやルーフトップバー、ジム、スパ、屋内プール、エグゼクティブラウンジ、また、宴会やビジネスミーティングの需要に対応するため最大約180名を収容できるボールルームや4つの会議室なども備える予定だ。
まとめ
東京・大阪・名古屋の日本主要都市の新規開業予定宿泊施設の特徴は、「都市再開発プロジェクト」、「国際博覧会(大阪・関西万博)」や「アジア大会」に向けた新規開業が挙げられた。その背景には、「訪日外国人(インバウンド)」の誘客が見込まれている。
近年、供給が加熱している新規開業宿泊施設だが、富裕層をターゲットにしたラグジュアリーホテルの供給はまだまだ足りない現状がある。アフターコロナを見据え準備されてきた新規開業宿泊施設が続々とオープンする2023年以降、訪日外国人の受け皿となり、主要都市のみではなく近隣エリアへの経済波及効果も大きく期待されている。
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