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浜松駅南に198室、2027年12月開業 — 地元企業が建てチェーンが運営、駅1km圏3,945室に+5.0%

投稿日 : 2026.10.13

静岡県

投資・開発

浜松駅南に198室、2027年12月開業 — 地元企業が建てチェーンが運営、駅1km圏3,945室に+5.0%

ベッセルホテル開発が2026年5月14日に公表した計画によると、JR浜松駅南口から徒歩4分の浜松市中央区砂山町に、鉄骨造10階建て・全198室の「レフ浜松 by ベッセルホテルズ」が2027年12月に開業する。建物を建てるのは浜松市に本社を置くアサヒコーポレーションで、竣工後の運営をベッセルホテル開発が担う。同社にとって静岡県内への出店は初めてとなる。本稿では、土地を持つ地元企業が建て、チェーンが運営するという構図を出発点に、駅1km圏の客室ストック・中心部の推定成約ADR・曜日別の予約進捗を重ね、198室がどの価格帯に入り、どこに吸収余地があるのかを読み解く。

新規供給(2027年12月予定)
198室
鉄骨造10階・延床5,280㎡
駅1km圏の客室ストック
3,945室
29施設・2026年9月販売確認
198室の上乗せ
+5.0%
2026〜27年の2軒計では+13.2%
中心部の推定成約ADR
7,230円
2025年9月〜2026年8月平均
火〜木の稼働率(推定)
91.7%
中心部ビジネス・2026年7〜9月

本記事における指標の定義

※本記事における指標の定義:ADR(平均客室単価)=各施設がOTA上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREIT(インヴィンシブル投資法人)が開示する物件別ADRとの照合(184物件月・2026年4〜5月)で誤差中央値は7.5%(ビジネス・シティは6.0%)。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。エリア単位のADRは対象施設の中央値(エリアの標準的な施設の水準)。OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値、REIT月次公表値との整合性検証で概ね数pt 程度の精度を確認済)。掲載価格に言及する箇所は2名1室利用時の1室あたり料金(税込)です。
ブッキングカーブ=チェックイン日に向けたOTA残室数の推移。LT(リードタイム)=チェックイン日までの日数。稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)はOTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、施設全体の実稼働率とは異なります。データ出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング。数値は2026年10月5日時点の集計。

Key Takeaways
  • — 198室・2027年12月開業予定:浜松駅南口徒歩4分の砂山町に「レフ浜松 by ベッセルホテルズ」。地元のアサヒコーポレーションが建て、ベッセルホテル開発が運営する。
  • — 駅1km圏3,945室に+5.0%:2026年4月開業の東横INN浜松駅南口(284室)と合わせると、2025年末時点の3,661室に対して+13.2%の上乗せになる。
  • — 推定成約ADRは12か月平均7,230円(浜松市中心部・全業態、2025年9月〜2026年8月、N=33〜35施設)。2018年以降開業の4施設は8,100〜8,700円に並ぶ。
  • — 火〜木の稼働率(推定)は91.7%(中心部ビジネスホテル、2026年7〜9月)。水曜の予約は直前2週間で24.0pt積み上がり、前日時点で土曜を上回る。
  • — 参考試算の客室売上は年4.1億〜5.5億円:中心ケースは想定ADR8,300円・通年の想定稼働率80%で4.8億円。本計画の実額ではなく、統計値で置いた目安である。

計画の概要 — 地元企業が建て、チェーンが運営する構図

まずは公表資料で確認できる範囲を整理しておきたい。ベッセルホテル開発のリリースは、事業主を株式会社アサヒコーポレーション(本社:浜松市中央区鍛冶町)、運営を株式会社ベッセルホテル開発と明記し、「アサヒコーポレーションがホテルを建築し、竣工後にベッセルホテルズが運営」すると説明している。安全祈願祭は2026年5月13日に行われ、同月に着工した。竣工は2027年9月下旬、開業は2027年12月の予定である。

項目内容
名称レフ浜松 by ベッセルホテルズ
所在地静岡県浜松市中央区砂山町1055他(地番)
アクセスJR浜松駅南口から徒歩4分
事業主(建物を建築)株式会社アサヒコーポレーション(浜松市中央区)
運営株式会社ベッセルホテル開発(広島県福山市)
設計/施工株式会社都市・建築研究所/アサヒハウス工業株式会社
構造・規模鉄骨造・10階建て
敷地面積/延床面積1,068.70㎡/5,280.00㎡
客室数全198室(予定)・全室禁煙
工程2026年5月着工 → 2027年9月下旬竣工(予定) → 2027年12月開業(予定)
主な仕様サウナ付き大浴場、客室入口で靴を脱ぐ仕様、18歳以下の添い寝無料

出典:ベッセルホテル開発 公表資料(2026年5月14日)よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成

この表から読み取れる数字が2つある。1つは延床面積を客室数で割った1室あたり26.7㎡という値で、大浴場や朝食会場などの共用部を含めても宿泊主体型の標準的な密度に収まっている。もう1つは延床面積を敷地面積で割った約494%という比率だ。後段で見るとおり、駅南の砂山町は容積率500〜600%の商業地域にあたり、単純計算では指定容積をほぼ使い切る規模で計画されたことになる(延床面積と容積率の算定対象面積は一致しないため、あくまで目安)。

一方で、両社の契約が建物賃貸借なのか運営委託なのか、賃料や期間がどう設定されたのかは公表されていない。したがって本稿は契約条件には踏み込まず、「土地と建物は地元企業、ブランドと運営は全国チェーン」という役割分担が成立したという事実だけを前提に置く。地方中核都市で土地を持つ事業会社や地主にとっては、自社で運営ノウハウを持たなくても駅前の土地をホテルとして収益化できる選択肢が、浜松でも具体例として現れたといえる。

駅1km圏の客室ストック — 29施設3,945室、2018年以降に928室が加わった

次に、198室が入っていく市場の大きさを確かめる。メトロエンジンリサーチが追跡する施設のうち、浜松駅から半径1km圏で2026年9月に販売が確認できたのは29施設・3,945室だった(ブランド変更のあった施設は同じ建物として1施設に数えた)。198室はこのストックに対して+5.0%にあたる。

ただし、駅前の供給はすでに動いている。2026年4月25日には駅南口徒歩3分に東横INN浜松駅南口(284室)が開業しており、レフ浜松と合わせると2年弱で482室、2025年末時点の3,661室に対して+13.2%の上乗せになる。現存する施設を開業時期で並べると、2017年以前から営業している建物が24施設・3,017室、2018〜2021年の開業分が4施設・644室、そして2026年の1施設・284室という内訳で、2018年以降の開業分は合計928室、現ストックの23.5%を占める。

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(OTA掲載確認ベース、N=29施設・3,945室)。2027年分はベッセルホテル開発の公表値

※2026年9月に販売が確認できた施設を開業時期で積み上げたもので、この間に営業を終えた施設は含まない。開業時期は現在の建物が宿泊施設として営業を始めた年で区分しており、ブランド変更(2024年4月のセンチュリオンホテル浜松、2026年7月のANAクラウンプラザホテル浜松など)は新規供給に数えていない。メトロエンジンリサーチが把握する範囲の集計であり、全数調査ではない。2027年以降に計画中で未公表・OTA未掲載の案件は含まれないため、今後の公表・掲載で軒数が増える可能性がある。

時期施設数客室数主な内容
2017年以前から営業243,017駅北口のシティホテル、南口の宿泊主体型など
2018〜2021年に開業4644くれたけイン浜松駅南口プレミアム(160室)、北の庭 THE KURETAKESO(250室)ほか
2026年4月に開業1284東横INN浜松駅南口
2026年10月時点の合計293,945
2027年12月に開業予定1198レフ浜松 by ベッセルホテルズ(合計4,143室・+5.0%)

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(OTA掲載確認ベース)、各社公表資料

下の地図は29施設の位置を客室数に比例した円で示したものである。駅の北側にはアクトシティ周辺のシティホテルと200室級の宿泊主体型が並び、南口側には100室前後の施設が徒歩3分圏に密集している。レフ浜松の計画地は南口から徒歩4分の砂山町で、この南口の集積のすぐ外側に198室が加わる形になる。

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(N=29施設、円の大きさ=客室数、破線=浜松駅から半径1km)

中心部の推定成約ADR — 12か月平均7,230円、山は11月と5月

それでは、このストックはどの単価で売れているのか。浜松駅を含む市中心部(集計上は旧中区の区分)の推定成約ADRは、2025年9月〜2026年8月の12か月平均で全業態7,200円(7,230円、N=33〜35施設)、ビジネスホテルに限ると7,000円(6,995円、N=28〜29施設)だった。月次で見ると11月の7,900円と5月の7,900円が山で、2月の6,500円が谷になる。山と谷の差は約1,500円、比率にして23%で、季節の振れ幅は大きくない。

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(浜松市中心部・全業態、N=33〜35施設、確定月のみ)

前年同月比で見ると、2026年は1〜4月が−5.1%〜+0.5%とほぼ横ばいで推移し、5月(−18.1%)と8月(−14.8%)は前年の突出が一巡した形になった。その結果、12か月平均は前年同期の7,600円(7,602円)に対して−4.9%と落ち着いた水準にある。一方で、284室が加わった後の2026年9月は8,000円(7,989円、N=35施設)と前年同月比+11.4%まで戻しており、供給が7.8%増えた直後でも単価が保たれた点は注目に値する。供給増の直後に単価が崩れない事例は、新規開業はADRを下げない — 2026年夏4市場の検証でも呉など他市場で確認されている。

県都との比較も置いておく。静岡駅を含む静岡市葵区の同じ12か月平均は全業態8,300円(8,293円、N=36〜38施設)、ビジネスホテル7,400円(7,362円、N=22施設)で、浜松中心部は全業態で12.8%、ビジネスホテルで5.0%低い。全業態の差が大きくビジネスホテルの差が小さいのは、浜松の中心部が宿泊主体型に寄った構成であることの裏返しであり、同じ業態どうしで比べれば両市の水準は近い。

エリア全業態(12か月平均)ビジネスホテル(12か月平均)2026年9月・全業態
浜松市中心部(旧中区)7,230円(N=33〜35)6,995円(N=28〜29)7,989円(前年同月比+11.4%)
静岡市葵区8,293円(N=36〜38)7,362円(N=22)8,486円(前年同月比+11.0%)
差(浜松/静岡)−12.8%−5.0%−5.9%

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(推定成約ADR、2025年9月〜2026年8月の確定月平均)

曜日別の稼働率(推定) — 火〜木が91.7%、週の山は木曜

単価の次は、需要がどの曜日に厚いかである。中心部のビジネスホテル(対象20〜21施設/客室2,517〜2,589室、主要予約サイト掲載ベース)について、2026年7〜9月の92泊を曜日別に平均すると、木曜が93.0%で最も高く、水曜91.8%、火曜90.4%と続いた。火〜木の平均は91.7%で、土曜の90.0%をわずかに上回る。日曜は75.7%、月曜は83.3%で、週の谷は日曜にある。なお、2026年9月単月の稼働率(推定)は90.5%(対象21施設/客室2,589室)で、静岡県全体のビジネスホテルの85.5%(対象117施設/客室12,460室)より5.0pt高い。

出典:メトロエンジン株式会社、ホテルバンク編集部作成(浜松市中心部ビジネスホテル、対象20〜21施設/客室2,517〜2,589室、主要予約サイト掲載ベース、2026年7〜9月)

平日と土曜で稼働の水準が近くても、埋まり方は大きく違う。2026年9月の水曜4日と土曜4日について、宿泊日45日前から前日までの予約進捗を平均したのが次の図である(対象20〜22施設/客室2,517〜2,873室)。土曜は45日前の時点ですでに60.4%が埋まっているのに対し、水曜は50.1%にとどまる。ところが水曜は直前2週間で70.3%から94.3%へ24.0pt積み上がり、前日時点では土曜の92.0%を逆転している。業務出張に特有の、リードタイムの短い需要が週の中盤を押し上げていると読める。

出典:メトロエンジン株式会社、ホテルバンク編集部作成(浜松市中心部ビジネスホテル、対象20〜22施設/客室2,517〜2,873室、主要予約サイト掲載ベース、2026年9月の水曜4日・土曜4日の平均、LT45→1)

背景にあるのは駅周辺の就業集積だろう。総務省・経済産業省の経済センサスによれば、浜松駅から半径1km圏には3,646事業所・従業者44,030人が集まり、うちオフィス系の従業者は19.8%を占める。同じ圏内の居住人口は21,961人(2020年)で、働く人が住む人の約2倍いる計算になる。火〜木に稼働が9割を超える市場に198室が加わるとき、平日の吸収余地は主に直前2週間の業務需要から生まれ、開業後に伸ばしやすいのは日曜・月曜の稼働だといえる。

198室が入る価格帯 — 2018年以降開業の4施設は8,100〜8,700円

ここからは1km圏の施設を1軒ずつ単価で並べ、198室の居場所を探す。推定成約ADRが算出できる27施設・3,785室を12か月平均の単価で5つの帯に分けると、6,500〜7,500円に9施設・1,014室、7,500〜8,500円に7施設・1,023室が集まり、この2つの帯で客室の54%を占める。8,500〜10,000円は4施設・706室、10,000円以上は2施設・533室と、上に行くほど客室は薄くなる。

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング(浜松駅1km圏、推定成約ADRが算出できるN=27施設・3,785室、2025年9月〜2026年8月平均。2026年4月開業の1施設は開業後5か月の平均)

注目したいのは新しい建物の位置だ。2018年以降に開業し単価が算出できる4施設(計800室)の推定成約ADRは8,100〜8,700円に収まっており、2017年以前から営業するビジネスホテル21施設(2,471室)の中央値6,800円(6,771円)を19〜29%上回る。築年の新しさがそのまま単価の階段になっており、2027年開業の198室が最初に比較されるのもこの8,000円台の帯になる可能性が高い。

大浴場についてはどうか。ホテルバンク編集部が集計した直近24か月の宿泊者口コミで、大浴場への言及が全体の2割を超える施設は1km圏のビジネスホテルに4軒あり(口コミ計2,749件)、その推定成約ADRの中央値は7,400円(7,449円)だった。その他20施設の中央値6,900円(6,927円)との差は+7.5%である。N=4と少なく、新しさの効果と重なっているため幅を持って見る必要があるものの、サウナ付き大浴場を標準装備する新築という仕様は、既存ストックの中で単価の高い側に並ぶ条件をそろえている(大浴場の単価差を全国規模で逆算した結果はビジネスホテルの大浴場、単価差と増設Capex上限 — 4,925施設で逆算を参照)。

最後に、単価と早期完売の関係を確かめておく。下の散布図は、1km圏のビジネスホテル22施設について、横軸に推定成約ADR、縦軸に「2026年9月1〜28日の28泊のうち、宿泊日の3日以上前に残室0室に達した日数」を取ったものである(OTA公開枠が総客室の30%以上の施設のみ集計)。7,000円未満の11施設は平均9.1日、8,000円以上の7施設は平均6.1日で、相関係数は−0.14と弱い。低い単価帯ほど早く枠が埋まり、8,000円台の施設は直前まで在庫を持って売り切る傾向がうかがえる。

出典:メトロエンジン株式会社、ホテルバンク編集部作成(浜松駅1km圏ビジネスホテルN=22施設。在庫は浜松市中心部の対象101施設のうち観測データのある38施設からOTA公開枠30%未満を除いた28施設より抽出、宿泊日2026年9月1〜28日)

※残室数はOTAに公開された枠の中での残数であり、施設全体の満室を意味しない。OTA公開枠が小さい施設には、直販や法人契約を中心としたチャネル運用、宿泊日が近づくにつれて在庫を追加する運用、OTAへの割当を契約上小さくしている、といった複数の可能性が考えられる。

立地評価 — 砂山町は商業地域・容積率500〜600%、地価公示は2026年に+4%台

立地の条件を公的データで押さえておく。国土交通省 不動産情報ライブラリによると、浜松駅南口の砂山町一帯は商業地域(建蔽率80%)で、町内の地価公示地点の指定容積率は500〜600%である。前段で見た延床面積と敷地面積の比(約494%)は、この指定容積に近い。

地価公示地点(砂山町)2022年2023年2024年2025年2026年2026年前年比
浜松中央5-13(容積率500%)242,000242,000246,000251,000261,000+4.0%
浜松中央5-18(容積率600%)421,000424,000432,000441,000460,000+4.3%

出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ(地価公示、円/㎡)よりメトロエンジンリサーチ&コンサルティング作成

2地点の公示価格は2023年まで横ばいだったが、2024年から上昇に転じ、2026年は+4.0%・+4.3%と伸びが加速した。4年間の上昇率は7.9%と9.3%である。駅の利用も戻っている。JR浜松駅の1日あたり乗降客数(東海道新幹線を含む)は2019年度の74,051人から2020年度に44,992人まで減った後、2023年度は67,370人と2019年度の91%まで回復した。

災害リスクも確認しておきたい。砂山町の参照地点(駅南口付近)は、想定最大規模の洪水浸水想定区域で天竜川が0.5m以上3m未満、馬込川が0.5m未満の区分にかかり、地形分類は扇状地で「やや液状化しやすい」とされる。駅周辺の既存ホテルも同じ条件のもとで営業しており、この立地に固有の事情ではないが、機械室や電気設備の配置階、浸水時の営業継続計画は、建物を持つ側が設計段階で織り込んでおきたい項目である。個別地点の想定は自治体のハザードマップで確認する必要がある。

居住人口の分布は次の地図のとおりである。半径1km圏の居住人口は2020年の21,961人から2040年に19,377人(−11.8%)へ減る推計で、65歳以上の比率は2025年時点で27.6%となっている。駅前ホテルの需要は居住者よりも来訪者と就業者に支えられるため、人口推計はむしろ朝食会場や大浴場の人手確保という運営面の前提として読んでおきたい。

出典: 国土交通省 国土数値情報(250mメッシュ別将来推計人口・R6国政局推計)(居住人口であり、滞在人口・通過人口ではない)

同規模の建物を統計単価で置いた参考試算 — 客室売上4.1億〜5.5億円

ここまでの数字を使って、198室という規模が生む売上の大きさを概算してみる。本計画の事業費・賃料・収支は公表されていないため、以下は同じ規模の建物を一般的な統計値で置いた場合の参考値であり、本計画の実額を示すものではない。

想定ADR\通年の想定稼働率75%80%85%
7,500円4.07億円4.34億円4.61億円
8,300円(2018年以降開業4施設の中心)4.50億円4.80億円5.10億円
9,000円4.88億円5.20億円5.53億円

出典:メトロエンジンリサーチ&コンサルティング試算(198室×365日×想定ADR×想定稼働率。年間客室売上、税抜相当)

中心ケースは、1km圏の新しい4施設と同じ8,300円、通年の稼働率を80%と置いた年4.8億円である。稼働率の前提は、2026年7〜9月の稼働率(推定)87.2%から、冬場の谷と開業初年度の立ち上がりを見込んで引き下げた。ADRが10%下がると4.3億円、稼働率が5pt下がると4.5億円になり、両方が重なる場合でも4.0億円が目安になる。

建物の投資規模は2段階で見ておく。延床5,280㎡は約1,597坪にあたり、国土交通省 建築着工統計に基づく2025年の鉄骨造ホテルの全国平均(坪240.5万円)を当てはめると約38.4億円、1室あたり約1,940万円になる。さらに、着工から竣工までの工期の中間点(2027年初め)まで年5%の建設費上昇を織り込むと約41.3億円、1室あたり約2,090万円に上がる。運営利益の水準は、インヴィンシブル投資法人が開示する国内ホテル91物件のGOP率(売上高に対する営業総利益の割合)38.9%(2024年12月期)を参考にすると、客室売上4.8億円に対して約1.9億円で、建物投資額に対する比率は4.5〜4.9%となる。新築の初年度は立ち上がりの費用がかかるため、この比率は安定稼働後の目安として読みたい。開業後のADRが周辺水準に追いつくまでの期間については、新規開業ホテルのADR回復は中央値2ヶ月|182軒実測と事業計画への織り込み方が182軒の実測から示している。

※簡易試算であり、実際の投資判断には詳細なフィージビリティ・スタディが必要です。土地は事業主が保有する前提で用地費を含めていない。統計単価は全国平均であり、地域・仕様・発注時期によって上下する。建設費の上昇は新規供給を抑える方向にも働くため、既存施設と先行して着工した計画にとっては競争環境を安定させる要因にもなる。

土地を持つ事業会社・近隣の宿への示唆 — 平日は直前2週間、週末は45日前が勝負どころ

ここまでを整理すると、浜松駅前は「火〜木に9割を超えて埋まり、単価は7,000円前後、新しい建物は8,000円台」という市場である。この前提から、立場ごとに3つの示唆を引き出したい。

第一に、土地を持つ事業会社や地主にとっては、建てて貸す(あるいは運営を任せる)形の事業性を測る物差しがそろったといえる。指定容積率500%の敷地約1,070㎡で198室、中心ケースの客室売上が年4.8億円という規模感は、同じような駅前の低利用地を持つ企業が検討を始める際の基準点として使える。運営者を選ぶ段階では、想定ADRを8,000円台に置けるだけの仕様(新築・大浴場・ファミリー対応)がそろうかを確認しておきたい。

第二に、融資を検討する地域金融機関にとっては、平日の稼働が業務需要で支えられている点が評価の軸になる。水曜の予約は直前2週間で24.0pt積み上がるため、月次の予約残だけを見ると実力より弱く映りやすい。モニタリングでは45日前・14日前・前日の3時点で進捗を見る方法が有効といえる。

第三に、近隣の宿の運営者にとっては、198室の開業は価格帯を見直す機会になる。新築が8,000円台に入ることで、6,500〜7,500円の帯にいる施設は「早く埋まる価格」という現在の強みを保ちつつ、木曜や連休のように稼働が9割台後半に達する日の上限価格を引き上げる余地がある。日曜・月曜は稼働率(推定)が70〜80%台で、連泊や長期滞在のプランで底上げを狙いたい曜日である。

まとめ — +5.0%の供給を、平日9割の業務需要が受け止める

レフ浜松 by ベッセルホテルズは、地元のアサヒコーポレーションが建て、ベッセルホテル開発が運営する198室で、2027年12月の開業を予定している。駅1km圏の3,945室に対する上乗せは+5.0%、2026年4月に開業した284室と合わせても+13.2%で、火〜木の稼働率(推定)が91.7%に達する中心部の業務需要を考えれば、吸収余地は十分にあるといえる。単価の面では、2018年以降に開業した4施設が8,100〜8,700円に並んでおり、新築・サウナ付き大浴場という仕様はこの帯に入る条件を備えている。284室の開業後も2026年9月の推定成約ADRが前年同月比+11.4%だったことは、この市場が供給を受け止めながら単価を保てることを示す材料になるだろう。開業までの1年余り、平日直前の予約進捗と8,000円台の帯の厚みがどう動くかが、次の計画を考える人にとっての観測点になる。

よくある質問

Q. レフ浜松 by ベッセルホテルズはいつ、どこに開業しますか。
A. JR浜松駅南口から徒歩4分の浜松市中央区砂山町に、2027年12月の開業が予定されています。鉄骨造10階建て・全198室で、竣工は2027年9月下旬の予定です。

Q. 建物を建てるのは誰ですか。
A. 事業主は浜松市に本社を置く株式会社アサヒコーポレーションで、竣工後の運営を株式会社ベッセルホテル開発が担います。契約形態や賃料は公表されていません。

Q. 浜松駅周辺のホテル単価はどのくらいですか。
A. 浜松市中心部の推定成約ADRは、2025年9月〜2026年8月の12か月平均で全業態7,230円(N=33〜35施設)、ビジネスホテル6,995円(N=28〜29施設)です。推定値であり、各施設の実際の成約価格とは異なります。

⚠ 将来日程のADRに関する注意:本記事で比較に用いた推定成約ADRは2026年9月までの確定月である。2026年10月以降の月は調査時点の掲載水準に基づく推定にとどまり、チェックイン日に近づくにつれて変動するため、確定月と同列には比較していない。開業予定時期・客室数は公表時点の計画であり、変更される場合がある。

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参考資料・出典一覧

■ データソース

推定成約ADR・稼働率(推定)・ブッキングカーブ・駅1km圏の客室ストックは、メトロエンジンリサーチ&コンサルティングがOTA掲載情報をもとに集計した値(2026年10月5日時点)。計画の概要はベッセルホテル開発の公表資料(2026年5月14日)、地価公示・用途地域・洪水浸水想定区域・駅別乗降客数は国土交通省 不動産情報ライブラリ、将来推計人口は国土数値情報、事業所数・従業者数は経済センサス‐活動調査(2021年)、建設単価は建築着工統計調査に基づく。

■ 試算前提

年間客室売上=198室×365日×想定ADR×想定稼働率(税抜相当)。中心ケースは想定ADR8,300円(2018年以降開業の4施設の水準)・通年の想定稼働率80%とし、想定ADR7,500〜9,000円と想定稼働率75〜85%の組み合わせ9通りを示した。建物の投資規模は延床5,280㎡(約1,597坪)に2025年の鉄骨造ホテルの全国平均単価(坪240.5万円)を当てはめ、年5%の建設費上昇を加えた場合と合わせて2段階で示した。運営利益の水準にはGOP率38.9%を参考値として用い、用地費は含めていない。

■ 限界・留意点

本計画の事業費・契約形態・賃料・収支は公表されておらず、試算は同じ規模の建物を統計値で置いた参考値であって、本計画の実額を示すものではない。推定成約ADRと稼働率(推定)はOTA掲載情報に基づく推定値であり、各施設の実績・会計数値とは異なる。客室ストックは把握できた範囲の集計で、全数調査ではない。大浴場の単価差はN=4施設と少なく、築年の新しさの効果と重なる。開業時期・客室数は公表時点の計画であり、変更される場合がある。

■ 市場データ

メトロエンジンリサーチ&コンサルティング — 推定成約ADR(浜松市中心部N=33〜35施設、静岡市葵区N=36〜38施設)、稼働率(推定)、ブッキングカーブ、駅1km圏の客室ストック(N=29施設・3,945室)
ホテルバンク編集部調べ — 宿泊者口コミの集計(直近24か月、大浴場への言及が多い4施設・計2,749件)

■ 政府統計・公的データ

国土交通省 不動産情報ライブラリ — 地価公示・用途地域・洪水浸水想定区域・駅別乗降客数
国土交通省 国土数値情報(250mメッシュ別将来推計人口)
総務省・経済産業省 経済センサス‐活動調査(2021年)
国土交通省 建築着工統計調査

■ REIT・業界レポート

インヴィンシブル投資法人(8963)ホテル運営実績(GOP率の参考値)

■ ニュース・プレスリリース

ベッセルホテル開発「レフ浜松 by ベッセルホテルズ」出店に関するお知らせ(2026年5月14日)
東横イン「東横INN浜松駅南口」開業に関するプレスリリース(2026年4月25日開業・284室)
トラベル Watch「東横INN浜松駅南口」開業記事
「ANAクラウンプラザホテル浜松」2026年7月1日開業(リブランド)に関するプレスリリース

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