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国民スポーツ大会2026、青森の宿泊は平日も27施設が45日前に残室0 — 八戸の逼迫と戻る在庫

投稿日 : 2026.10.04

青森県

季節・イベント

国民スポーツ大会2026、青森の宿泊は平日も27施設が45日前に残室0 — 八戸の逼迫と戻る在庫

2026年10月10日に本会期が始まる「青の煌めきあおもり国スポ」(第80回国民スポーツ大会)。青森県内の宿泊在庫を施設単位で追うと、会期中の平日である10月13日(火)でも、宿泊日の45日前の時点で残室0の施設が64施設中27施設あった。同じ施設群で大会外の10月27日(火)を見ると残室0は10施設にとどまる。本稿では、当社が観測できるOTA等の掲載在庫の範囲で、大会日と大会外の日を同じ施設で並べ、差分を大会の寄与として読み解く。あわせて、配宿の返室によって直前に在庫が戻る動きと、2027年以降に国スポを迎える県の宿泊施設が確認しておきたい3つの手順を整理する。

本記事における指標の定義

  • LT(リードタイム):チェックイン日までの日数。LT0=当日。本稿は宿泊日の45日前(LT45)以降の観測のみを使う。
  • 残室数:各観測日にOTA等で販売されていた客室数(室ベース)。「残室0」はOTA等の上で販売在庫が観測されない状態で、施設全体の満室を意味するとは限らない。
  • OCC(稼働率):エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、施設全体の実稼働率とは異なります。都道府県・市単位でのみ使用し、個別施設では算出しない。
  • 掲載価格:2名1室利用時の1室あたり料金(税込)。本稿では在庫の残っているプランの掲載価格であり、成約価格ではない。
  • データ出典:メトロエンジンリサーチ(観測は2026年9月28日まで)
Key Takeaways
  • — 27施設 対 10施設:同じ64施設で、宿泊日の45日前に残室0だったのは会期中の平日10月13日が27施設、大会外の10月27日が10施設(2026年9月28日までの観測)。
  • — 稼働率(推定)91.6%:県全体104施設のLT45時点で、10月13日は対照日10月27日の77.2%を14.4ポイント上回った。
  • — 近隣4県は逆向き:岩手・秋田・宮城・山形では10月13日のLT45時点の稼働率(推定)が10月27日を3.6〜8.3ポイント下回り、上回ったのは青森だけだった。
  • — 八戸市で+36.4ポイント:平日の上乗せは3競技が同時に進む八戸市で最大。青森市は対照日を5.3ポイント下回った。
  • — 閉じた在庫は戻る:10月13日分は県全体でLT25〜LT16に170室が再び販売に出た。無料取消期限(宿泊日の9日前)と競技の敗退が直前在庫の節目になる。

大会日程と観測した4日間

青の煌めきあおもり国スポの本会期は10月10日(土)から20日(火)まで。開会式・閉会式は青森市のマエダアリーナで行われる。本会期の前には会期前Ⅰ(9月3日〜13日)と会期前Ⅱ(10月2日〜9日)があり、閉会後の10月23日(金)〜26日(月)には全国障害者スポーツ大会が続く。競技会場は青森市・弘前市・八戸市をはじめ県内各地に分かれている。

本稿で比べるのは次の4日である。10月10日と17日は土曜で、10日は三連休の初日でもあるため、行楽需要が重なる。そこで大会の寄与を読む主軸は、同じ火曜日どうしの10月13日(大会中)と10月27日(両大会の会期外)の比較に置く。ただし27日は障スポ閉会の翌日にあたり、弘前では秋の行楽需要も続く時期である点は差し引いて読む必要がある。

表1 観測した4日間と大会日程
宿泊日曜日大会との関係本稿での位置づけ
10月10日土本会期初日・総合開会式(三連休初日)大会日(週末)
10月13日火本会期中(八戸市でサッカー・レスリング・ボウリング、青森市でテニス・卓球など)大会日(平日・主軸)
10月17日土本会期中(後半の団体競技が集中)大会日(週末)
10月27日火国スポ・障スポとも会期外対照日(平日)

出典:青の煌めきあおもり国スポ・障スポ実行委員会「競技会会期」、八戸市・青森市実行委員会公表資料よりホテルバンク編集部作成

県全体では平日の10月13日でも45日前に稼働率91.6%

まず県全体のブッキングカーブを見る(2026年9月28日までの観測)。対象は青森県内でOTA等の掲載在庫を継続観測できた104施設/客室7,451室(主要予約サイト掲載ベース、10月27日は104施設/7,490室)である。宿泊日の45日前(LT45)時点の稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定)は、10月10日が99.7%で、県全体の残室は19室しかなかった。10月17日も98.6%(残106室)と、会期中の土曜は45日前の段階でほぼ埋まっている。週末を中心とした会期全体の日別の残室は、国スポ青森2026の宿、10/10は残18室・平日は1,500室で詳しく追っている。

平日の10月13日は91.6%(残625室)で、対照日の10月27日の77.2%(残1,708室)を14.4ポイント上回った。LT30でも91.7%対82.8%で、差は8.9ポイントある。注目したいのは曲線の形である。10月27日はLT45からLT30にかけて5.6ポイント積み上がる、平日らしい右肩上がりの曲線を描く。これに対して10月13日の曲線は45日前からほぼ横ばいで、LT45とLT30の差は0.1ポイントしかない。在庫の多くがLT45より前にすでに押さえられ、その後の動きが小さいという形である。大型イベントの日程で45日前までに需給がほぼ固まる動きは、青森ねぶた祭2026の予約カーブでも観測されている。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(青森県・対象104施設/客室7,451室、主要予約サイト掲載ベース。LT45以降、2026年9月28日までの観測)

表2 青森県全体のブッキングカーブ(主要時点)
宿泊日LT45 稼働率(推定)LT45 残室LT30 稼働率(推定)LT30 残在庫の掲載価格(平均)
10月10日(土)99.7%19室99.5%¥69,141
10月13日(火)91.6%625室91.7%¥35,754
10月17日(土)98.6%106室98.9%¥53,308
10月27日(火・対照)77.2%1,708室82.8%¥23,094
参考:10月6日(火・会期前Ⅱ)74.4%1,906室80.3%¥22,169
参考:10月20日(火・閉会式)79.0%1,568室82.0%¥24,771

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(青森県・対象104施設/客室7,451室、主要予約サイト掲載ベース。掲載価格は2名1室・税込、観測時点で在庫の残っているプランの平均)

残っている在庫の掲載価格も、大会日は高い水準にある。LT30時点の平均で比べると、10月13日は約¥35,800と、10月27日の約¥23,100の1.5倍だった。10月10日は約¥69,100だが、県全体の残室が40室ほどしかない中での平均であり、少数の高単価プランが平均を押し上げている点に注意したい。

近隣4県と比べる — 10月13日が対照日を上回ったのは青森だけ

大会の寄与を読むうえで差し引いておきたいのは、10月13日がスポーツの日(10月12日)を含む三連休明けの火曜日だという点である。連休明けの平日はもともと需要が弱い可能性があり、10月27日との差がすべて大会によるものとは限らない。そこで、同じ宿泊日・同じリードタイムで、東北の近隣4県(岩手・秋田・宮城・山形)の県全体の稼働率(推定)を並べた。

表3 近隣4県との比較 — 10月13日と10月27日の稼働率(推定)
県対象(10/13)10/13 LT4510/27 LT45差10/13 LT3010/27 LT30差
青森県104施設/7,451室91.6%77.2%+14.4pt91.7%82.8%+8.9pt
岩手県184施設/10,222室58.0%63.6%-5.6pt66.8%67.8%-1.0pt
秋田県113施設/4,854室57.5%64.7%-7.2pt60.7%67.9%-7.2pt
宮城県210施設/14,363室49.5%57.8%-8.3pt56.9%62.8%-5.9pt
山形県188施設/6,469室53.7%57.3%-3.6pt63.9%63.3%+0.6pt

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(各県の県全体、主要予約サイト掲載ベース。稼働率はOTA掲載在庫ベースの推定。対象は10月13日宿泊分の施設数・客室数で、10月27日もほぼ同数。2026年9月28日までの観測)

近隣4県では、10月13日のLT45時点の稼働率(推定)が10月27日を3.6〜8.3ポイント下回っており、三連休明けの火曜日はむしろ埋まりにくい日だったことがわかる。LT30でも岩手・秋田・宮城は10月27日を下回り、山形は+0.6ポイントでほぼ同水準である。これに対して青森はLT45で+14.4ポイント、LT30で+8.9ポイントと、差の向きが逆になっている。近隣4県の差を曜日と連休明けの影響の目安として差し引くと、青森の10月13日の上乗せはLT45時点で18〜23ポイント、LT30時点で8〜16ポイント程度と読める。県ごとに施設構成や10月下旬の行楽需要は異なるため、この差し引きは幅を持った目安である。

同じ施設で比べる — 45日前に残室0は大会日27施設、対照日10施設

県全体の数字は、日によって在庫を出している施設の顔ぶれが入れ替わる影響を受ける。そこで、4日間のいずれかでOTA等の公開枠が総客室の30%以上あった施設のうち、4日すべてでLT45とLT30の観測がそろう64施設(客室4,560室)を固定し、同じ施設群で「LT45時点で残室0だった施設数」を数えた。対象は県内で観測している800施設のうち、宿泊日ごとに在庫データのある166〜168施設から、OTA等の公開枠の条件で絞り込んだ施設である(10月13日は35施設、10月27日は61施設が条件を満たす)。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(青森県・固定パネル64施設/客室4,560室。OTA等の公開枠が総客室の30%以上の日がある施設)

結果は10月10日が64施設中58施設、10月17日が51施設、10月13日が27施設、10月27日が10施設だった。10月13日に残室0だった27施設のうち24施設(客室1,205室)は、10月27日の同じ時点では在庫を販売しており、ふだんから在庫を出していない施設ではない。同じ条件で数えると、10月10日は49施設(3,589室)、10月17日は42施設(2,903室)が「大会日だけ45日前に残室0」に当たる。

こうした早い段階での残室0は、一般の個人客の予約行動だけでは説明しにくい。青森県の合同配宿実施方針によると、県と会場地市町村の実行委員会は合同配宿本部を設け、宿泊施設を一元管理して一括で配宿する。委託業務には2024年度から客室確保の調整が、2025年度には施設別の宿泊料金の決定と宿泊施設との協定締結が並ぶ。選手・監督の宿泊料金の適用期間は原則として「参加する競技の開始日の4日前の15時から、競技終了翌日の10時まで」とされている(配宿の料金上限と市場価格の関係は高校野球・国スポの宿舎はどう決まるを参照)。大会参加者向けの客室を施設が早くから確保し、その分をOTA等の販売枠から外した可能性が考えられる。ただし、OTA等の在庫からは確保の相手先までは判別できない。自社の予約経路や旅行会社向けの枠に回した結果である可能性もあり、ここでは「OTA等の掲載在庫の上では、45日以上前から販売在庫が観測されない」ことを事実として示すにとどめる。

平日の逼迫は県都より八戸 — 会場の分散がそのまま在庫に出る

市単位で見ると、大会の需要は均一ではない。週末の10月10日・17日は青森市・弘前市・八戸市・黒石市のいずれもLT30時点で97.9%以上と、ほぼ埋まっていた。差が出るのは平日の10月13日である。八戸市はLT30で96.8%と、10月27日の60.4%を36.4ポイント上回った。黒石市も93.7%対71.8%で21.9ポイント高い。一方で青森市は85.9%と、対照日の91.2%をむしろ下回り、弘前市は93.9%対92.0%でほぼ同水準だった。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(LT30時点。青森市24施設/2,677室、弘前市16施設/1,324室、八戸市16施設/1,643室〈10月27日は17施設/1,697室〉、黒石市10施設/142室。主要予約サイト掲載ベース)

表4 市別 LT30時点の稼働率(推定)
市対象10/10(土)10/13(火)10/17(土)10/27(火・対照)10/13と10/27の差
青森市24施設/2,677室98.8%85.9%99.6%91.2%-5.3pt
弘前市16施設/1,324室100.0%93.9%99.8%92.0%+1.9pt
八戸市16施設/1,643室99.9%96.8%97.9%60.4%+36.4pt
黒石市10施設/142室99.3%93.7%97.9%71.8%+21.9pt

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(稼働率はOTA掲載在庫ベースの推定、LT30時点)

この差は、10月13日にどこで何の競技が行われているかと符合する。八戸市では10月10日〜14日にサッカー、12日〜15日にレスリング、12日〜16日にボウリングが重なり、13日は3競技が同時に進む日にあたる。青森市でも10月11日からテニスや卓球などが始まっているが、県都は平日のビジネス需要がもともと厚く、対照日の10月27日でもLT30で91.2%に達している。大会の上乗せが見えやすいのは、平日の基礎需要が相対的に薄く、そこへ複数競技の選手団が一度に入る都市だといえる。

会場地の周辺にも波及が見られる。10月13日にLT45時点で残室0となり、10月27日には在庫があった24施設は、八戸市5施設、弘前市4施設、十和田市3施設、黒石市3施設、青森市2施設、三沢市2施設、東北町2施設、深浦町・風間浦村・五戸町が各1施設に分かれる。合同配宿の方針にも、会場地で収容が難しい場合は近隣市町村の施設を使う「広域配宿」が明記されている。完売が県都だけでなく、会場地の外側の町村にも同時に立つのはこの仕組みと整合的である。十和田市は市全体の曲線を描くには観測施設数が少ないため、ここでは施設単位の件数のみを示した。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(固定パネル64施設。円の大きさ=客室数。濃青=10/13はLT45で残室0・10/27は在庫あり、灰=両日とも残室0、淡青=10/13も在庫あり)

次の表は、10月13日にLT45時点で残室0となり、10月27日の同時点では在庫を販売していた施設の抜粋である。いずれも大会の宿泊需要を早い段階で取り込んだ施設で、郊外の旅館から都市部のシティホテルまで顔ぶれは幅広い。

表5 10月13日だけ45日前に残室0となった施設(抜粋)
施設名所在地総客室10/13 LT45 残室10/13 最終観測 残室10/27 LT45 残室
酸ケ湯温泉旅館青森市134室0室0室(LT17)15室
スマイルホテル十和田十和田市126室0室3室(LT15)12室
八戸グランドホテル八戸市88室0室1室(LT15)69室
グランドサンピア八戸八戸市84室0室0室(LT16)26室
弘前東栄ホテル弘前市75室0室0室(LT16)25室
ホテルハイパーヒルズ弘前弘前市70室0室0室(LT16)11室
十和田シティホテル十和田市70室0室0室(LT17)17室
ホテルイルヴィアーレ八戸アネックス八戸市64室0室0室(LT17)9室
三沢プリンセスホテル三沢市55室0室0室(LT16)23室
アオーネ白神十二湖深浦町27室0室0室(LT16)11室
飯塚旅舘黒石市15室0室0室(LT17)6室
こみせの宿ホテル逢春黒石市15室0室0室(LT17)7室

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(固定パネル64施設のうち、10/13にLT45で残室0かつ10/27のLT45で在庫ありの24施設・客室1,205室から抜粋。最終観測は2026年9月26〜28日。残室0はOTA等の上で販売在庫が観測されない状態を指す)

閉じた在庫は戻ってくる — 返室と在庫放出のタイミング

大会日の在庫は、一度埋まったまま動かないわけではない。県全体の10月13日の残室は、LT25の453室からLT16の623室へ170室増えた。弘前市でもLT25の43室からLT16の140室へ戻っている。青森市ではLT45の245室がLT33に384室まで増え、その後LT19の196室まで消化されたのち、LT16には268室に戻った。在庫が「減る一方」ではなく、途中で積み増される動きが繰り返し観測されている。

施設単位で見ると、戻り方には型がある。本稿では、戻った在庫が5室以上で3日以上続いた場合を「施設側の在庫放出」、1〜2室の単発の戻りを「キャンセルによる戻り」と区別して扱う。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(10月13日宿泊分の残室数推移、LT45〜LT15。2026年9月28日までの観測)

  • スーパーホテル 青森(89室):LT45〜LT37は残室9室前後で推移していたが、LT36に47室、LT33に94室へ在庫が積み増された。その後は消化が進み、9月28日の観測時点(LT15)で残室44室。最安の掲載価格は¥46,900から¥38,900へと段階的に下がっている(10月27日のLT30時点は¥16,700)。
  • ダイワロイネットホテル八戸(227室):LT39〜LT25は残室5〜10室で推移し、LT23〜LT20に17〜48室が再び販売に出た。これらは数日で消化され、LT15には残室2室となった。
  • アネックス プリンセスホテル(三沢市・38室):LT45からLT17までOTA等の上で販売在庫が観測されなかったが、LT16に24室、LT15に22室が販売に出た。戻りの観測はまだ2日分で、今後の推移を見る必要がある。掲載価格は¥15,600で、10月27日の同時点の水準(約¥8,300)を上回る。

なぜ在庫が戻るのか。宿泊要項は、宿舎決定後の宿泊取消を原則として認めないとする一方、大会参加の取消しや競技敗退などやむを得ない場合の取消料の上限を定めている。宿泊予定日の9日前までは取消料が不要で、8日前から4日前は宿泊料金(税抜)の20%、3日前から前日は50%、当日は100%である。合同配宿業務の委託概要には「負け帰り対策」の項目もあり、トーナメント競技で敗退したチームの帰郷に伴う客室の変動が、あらかじめ想定されていることがわかる。

表6 宿泊要項の取消料上限と10月13日宿泊分の日付
取消の申出取消料の上限10月13日宿泊分に当てはめた日付
宿泊予定日の9日前まで不要10月4日まで
8日前から4日前まで宿泊料金(税抜)の20%10月5日〜9日
3日前から前日まで同50%10月10日〜12日
当日同100%10月13日

出典:青の煌めきあおもり国スポ・障スポ実行委員会「青の煌めきあおもり国スポ 宿泊要項」(2024年12月12日決定)よりホテルバンク編集部作成

観測された在庫の戻りが、配宿本部からの返室なのか、人数確定に伴う施設側の配分見直しなのかは、OTA等の在庫だけからは判別できない。それでも、無料で取り消せる期限(宿泊日の9日前)と、競技の進行に伴う敗退が、直前の在庫を生む2つの節目になりうることは制度から読み取れる。宿泊施設にとっては、いったん閉じた日程を「完売済み」として手放さず、戻ってきた客室を個人客やほかの大会関係者に届ける機会として捉えられる。

2027年以降の開催県で、宿泊施設が確認しておきたい3ステップ

国スポは毎年開催県が替わる。2027年の第81回は宮崎県(本大会は9月26日〜10月6日の予定)に決定し、2029年の第83回は群馬県に内定している。青森の在庫の動きから、これから開催を迎える県の宿泊施設が自館で確認しておきたい手順を3つに整理した。

表7 開催県の宿泊施設が確認しておきたい3ステップ
ステップ確認すること青森の観測からの示唆
1. 配宿本部への登録と提供室数宿泊施設実態調査への回答内容、協定書の提供室数・対象日程・適用料金を、自館の販売計画と突き合わせる大会日は45日以上前からOTA等の在庫が閉じる施設が多い。提供しない客室と日程は早めに一般販売へ回すことで、残りの需要を取り込みやすくなる
2. ブロックの返室期日配宿本部との間で、未使用客室が戻る期日と連絡経路を確認し、無料取消期限(青森では宿泊日の9日前)と競技日程を自館のカレンダーに落とす県全体では会期中の平日にLT25〜LT16で170室の在庫が戻った。戻る日を前もって見込んでおけば、販売の再開を遅らせずに済む
3. 返室後の再販価格戻った客室をどの価格で、どの経路に出すかを事前に決めておく。周辺の残室と価格を日次で確認する会期中の平日でも、残る在庫の掲載価格は対照日の約1.5倍だった。周辺が閉じている日は、戻った在庫が少数でも需要を集めやすい

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(制度面は青森県の合同配宿実施方針・宿泊要項を参照)

1つ目の登録と提供室数は、大会の2年前には調査が始まる。青森の合同配宿業務の委託概要では、2024年度に宿泊施設実態調査と客室確保の調整、2025年度に施設別の宿泊料金の決定と協定締結が組まれていた。開催の前年までに、どの日程に何室を出すかがほぼ固まる流れである。2つ目の返室期日は、制度上の無料取消期限と、トーナメント競技の敗退による変動の両方を見込む。3つ目の再販価格は、周辺施設の在庫が閉じている状況を踏まえて設定したい。3つの手順はいずれも、大会の宿泊需要を確実に受け止めつつ、戻ってきた客室を一般の需要にもつなげるための準備である。

まとめ

当社が観測できるOTA等の掲載在庫の範囲では、青の煌めきあおもり国スポの宿泊需要は、45日以上前から在庫を閉じる形で表れている。県全体(104施設/客室7,451室)のLT45時点の稼働率(推定)は、会期中の平日10月13日が91.6%で、対照日10月27日の77.2%を14.4ポイント上回った。同じ64施設で比べると、45日前に残室0だった施設は10月13日が27施設、10月27日が10施設である。

平日の上乗せは八戸市で最も大きく、LT30で対照日を36.4ポイント上回った。3競技が同時に進む日にあたり、完売は県都だけでなく、十和田市・三沢市・黒石市など会場地の周辺にも広がっている。一方で在庫は途中で戻っており、10月13日分は県全体でLT25からLT16の間に170室が積み増された。無料取消期限や競技の敗退が直前在庫の節目になりうる以上、会期中の日程でも「戻ってくる客室」を取りにいく余地は大きい。

⚠ 将来日程のデータに関する注意:本記事の10月の宿泊日に関する残室数・稼働率(推定)・掲載価格は、2026年9月28日までにOTA等に掲載されていた販売在庫と販売価格に基づく途中経過であり、チェックイン日に近づくにつれて変動します。残室0はOTA等の上で販売在庫が観測されない状態で、施設全体の満室や休館を意味するものではなく、施設側の判断でいつでも販売が再開されえます。本稿はリードタイム45日以内の観測のみを用いています。

よくある質問

Q. あおもり国スポの宿泊は、会期中の平日も埋まっていますか?

A. 当社が観測するOTA等の掲載在庫では、会期中の平日10月13日でも、同じ64施設のうち27施設が宿泊日の45日前に残室0でした。大会外の10月27日は10施設です。県全体104施設の稼働率(推定)はLT45時点で91.6%と77.2%でした(2026年9月28日までの観測)。

Q. 三連休明けの火曜日なので、埋まっているのは大会と関係ないのではありませんか?

A. 近隣の岩手・秋田・宮城・山形では、同じ10月13日のLT45時点の稼働率(推定)が10月27日を3.6〜8.3ポイント下回っていました。対照日を上回ったのは青森だけで、連休明けの影響だけでは説明しにくい差です。

Q. どの市で平日の逼迫が大きいですか?

A. 八戸市です。LT30時点の稼働率(推定)は10月13日が96.8%、10月27日が60.4%で、差は36.4ポイントでした。サッカー・レスリング・ボウリングの3競技が同時に進む日にあたります。青森市は平日のビジネス需要がもともと厚く、対照日を5.3ポイント下回りました。

Q. 一度埋まった大会日の在庫が戻ることはありますか?

A. あります。10月13日宿泊分は県全体でLT25の453室からLT16の623室へ、170室が再び販売に出ました。宿泊要項では宿泊予定日の9日前まで取消料が不要で、競技で敗退したチームの帰郷に伴う「負け帰り対策」も配宿業務に組み込まれています。

Q. これから国スポを迎える県の宿泊施設は、何を準備すればよいですか?

A. 本稿では、配宿本部への提供室数と日程の確認、ブロックの返室期日と無料取消期限の把握、返室後の再販価格と販売経路の事前決定、の3ステップを挙げています。2027年は宮崎県(本大会は9月26日〜10月6日の予定)で開催され、2029年は群馬県に内定しています。

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参考資料・出典一覧

■ データソース

メトロエンジンリサーチが日次で観測するOTA等の掲載在庫・掲載価格(青森県104施設/客室7,451室、固定パネル64施設/客室4,560室、比較用に岩手・秋田・宮城・山形の県全体。いずれも2026年9月28日までの観測)。大会日程・配宿制度は青森県および会場地市の実行委員会の公表資料による。

■ 試算前提

稼働率(推定)は、総客室数に対する販売済み客室の割合をOTA掲載在庫から推定した値で、リードタイム45日以内の観測のみを使う。大会の寄与は、同じ火曜日の10月13日(大会中)と10月27日(会期外)の差として読み、近隣4県の同じ差を曜日・連休明けの影響の目安として差し引いた。施設単位の比較は、4日すべてでLT45とLT30の観測がそろう固定パネル64施設に限った。在庫の戻りは5室以上が3日以上続く場合を施設側の在庫放出、1〜2室の単発をキャンセルによる戻りとして区別した。

■ 限界・留意点

10月の宿泊日は途中経過で、チェックイン日までに変動する。残室0はOTA等の上で販売在庫が観測されない状態であり、満室や配宿による確保を直接示すものではない。確保の相手先(配宿本部・旅行会社・自社経路)はOTA等の在庫からは判別できない。近隣4県との差し引きは施設構成や行楽需要の違いを含む目安である。十和田市は観測施設数が少ないため市単位の曲線を示していない。

■ 参考資料

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