ホテルの掲載価格を大量に並べると、値付けには明確な「癖」が現れる。¥9,800、¥14,800、¥19,800——きりの良い数字の一歩手前に価格が置かれる現象は、小売の世界では端数価格(charm pricing)としてよく知られている。では宿泊業ではどうか。メトロエンジンリサーチが把握する掲載価格を用い、2026年5月14日〜8月11日にチェックインする90日分・9商圏・1,472施設・2,924万5,493件の掲載価格レコードを対象に、下3桁の分布と「大台」前後の価格密度を集計した。
本記事における指標の定義
- 掲載価格:宿泊施設がOTA等の予約サイト上で公開している販売価格。2名1室利用時の1室あたり料金(税込)。素泊まりから食事付きまで全プランを含む。実際の成約価格ではありません。
- ADR(平均客室単価):各施設が公開する最安プラン水準に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合で誤差中央値は7.5%(ビジネス/シティ業態では6.0%。照合対象は184物件月・2026年4〜5月分。「物件月」は施設数ではなく、施設×開示月の延べ数です)。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。エリア単位のADRは対象施設の中央値。
- 大台通過指数:ある価格ライン(例 ¥20,000)について、直上バンド(¥20,001〜20,499)の件数を直下バンド(¥19,500〜19,999)の件数で割った比を、前後の千円区切りライン6本(¥17,000〜19,000/¥21,000〜23,000)で同様に計算した比の中央値で正規化した値。1.00なら「ふつうの千円区切りと同じ通りやすさ」、1.00未満なら「その手前に価格が滞留している」ことを示します。
- データ出典:メトロエンジンリサーチ
- — 掲載価格の43.96%が百円単位ちょうど。税抜換算で百円単位になる分を重複を除いて合算すると49.15%に達する(N=29,245,493レコード/1,472施設)。
- — 大台通過指数は全国計で¥10,000が0.96、¥15,000が1.07、¥20,000が0.96、¥30,000が1.01。大台は「壁」として機能していない。
- — より一貫した癖は千円帯の内側にある。価格の53.34%が¥X,000〜X,499の下半分に集まり、上半分は46.66%にとどまる。
- — 商圏別では¥10,000が那覇市を除く6商圏、¥20,000が5商圏で指数1.00割れ。この差が「あと一段」の余地として残っている。
- — 掲載価格に対する推定成約ADRの比率は0.39〜0.56(2026年5〜7月平均・9都道府県)。掲載を¥1,000上げても実勢に残るのは¥390〜¥560。
掲載価格の44%は「百円単位ぴったり」で置かれている
まず下3桁の分布から見る。2,924万5,493件のうち、下2桁が「00」——つまり百円単位ちょうどの価格は1,285万5,810件、全体の43.96%を占めた。さらに下3桁が「000」、すなわち千円単位ちょうどの価格は316万5,721件で10.82%。価格が0円〜199,999円のあいだに一様に散らばっているなら千円ちょうどの出現率は0.1%程度になるはずで、実際の値はその100倍前後に達する。値付けが強くきりの良い数字に引き寄せられていることがわかる。
下3桁を100円刻みの10バケットに束ねると、この引力はさらに見やすくなる。¥X,000〜X,099のバケットが16.36%と突出し、以下¥X,600台(10.81%)、¥X,800台(10.65%)、¥X,400台(10.62%)、¥X,200台(10.51%)と偶数の百円台が続く。奇数の百円台(¥X,100/X,300/X,700/X,900)はいずれも7.8〜8.1%にとどまった。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(N=29,245,493レコード/1,472施設)
もっとも、この端数分布をすべて宿側の意図と読むのは早い。掲載は税込表示であり、税抜の設定価格に消費税を乗せる過程で端数が生じる。実際、掲載価格そのものが百円単位である43.96%のほかに、税抜換算すると百円単位ちょうどになるレコードが11.51%あり、両者の重複を除いて合算すると49.15%——ほぼ半数の掲載価格が「税込か税抜のどちらかで百円単位に揃えられている」計算になる。「¥21,560」のような一見中途半端な価格の多くは、1名あたり税抜¥9,800を2名分に換算して税を乗せた結果である。予約サイト側の表示ルールや丸め処理の影響も受けるため、端数の見た目だけで値付けの巧拙を判断することはできない。
価格は「千円台の下半分」に寄る — 53.3%という偏り
次に、価格が千円区切りのどちら側に着地しているかを見る。下3桁が000〜499の「下半分」に入るレコードは1,560万990件で53.34%、500〜999の「上半分」は1,364万4,503件で46.66%だった。差は6.7ポイント。宿泊価格の分布は¥15,000近辺を境に高価格側ほど件数が減っていくため、本来なら各千円帯の中でも下半分がやや多くなる。だがその自然な傾斜を差し引いても、¥X,000〜X,499への集中は明確である。
この偏りは、¥500刻みの境界ごとに「直上/直下」の件数比をとると波形として現れる。下のグラフは¥5,000から¥40,000まで71本の境界について比を計算したもので、千円ちょうどの境界(¥14,000〜¥18,000)では比が0.89〜1.00と高く、五百円の境界(¥14,500〜¥18,500)では0.79〜0.82に落ち込む、規則正しいジグザグを描く。つまり価格は「千円の壁の手前で止まる」のではなく、千円の線を越えたすぐ上(¥X,000〜X,499)に着地する傾向が強い。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(赤点=¥10,000/15,000/20,000/30,000の4本の大台)
全境界の比の中央値は0.866。高価格側ほど母数が減る自然減を含んだ水準であり、この0.866が「ふつうの価格境界の通りやすさ」を表す基準になる。以降は、この基準に対して大台がどれだけ通りやすいか/通りにくいかを指数化して比較していく。
大台は「壁」ではない — ただし1万円と2万円だけは別
4本の大台について、直上(¥X,001〜X,499)と直下(¥X-500〜X,999)の件数比を、前後の千円区切り6本の比の中央値で割った「大台通過指数」を算出した。全国計では¥10,000が0.96、¥15,000が1.07、¥20,000が0.96、¥30,000が1.01。いずれも1.00から±7%の範囲に収まっており、大台が特別な壁として機能している証拠は薄い。宿泊の掲載価格は、小売の¥980/¥1,980ほど強い「大台割れ」の作法を持っていない。
それでも、商圏別に分解すると差は出る。¥10,000の指数は那覇市(1.17)を除く6商圏すべてで1.00を下回り、札幌市0.89、東京都心0.91、大阪市0.93と続く。¥20,000も大阪市0.88、札幌市0.91、名古屋市0.93、東京都心・福岡市(ともに0.96)の5商圏が1.00を割った。逆に¥15,000は7商圏すべてで1.01〜1.18と1.00を超え、¥30,000も0.96〜1.08とほぼ横並びだった。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
| 商圏 | 施設数 | レコード数 | 掲載価格 中央値 | 末尾00 比率 | 末尾000 比率 | 千円帯 下半分比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 東京都心(半径5km) | 374 | 7,228,467 | ¥27,000 | 39.5% | 8.9% | 52.3% |
| 大阪市(半径5km) | 238 | 5,307,157 | ¥17,400 | 43.6% | 10.9% | 53.3% |
| 京都市(半径5km) | 203 | 3,653,786 | ¥24,600 | 42.5% | 10.6% | 53.8% |
| 札幌市(半径4.5km) | 111 | 3,562,524 | ¥28,000 | 51.3% | 14.2% | 54.8% |
| 福岡市(半径4.5km) | 145 | 3,104,879 | ¥24,800 | 46.4% | 11.8% | 53.6% |
| 名古屋市(半径4.5km) | 116 | 2,294,982 | ¥19,400 | 47.1% | 11.0% | 53.2% |
| 那覇市(半径5km) | 87 | 2,282,761 | ¥18,500 | 39.0% | 7.9% | 52.0% |
| 箱根(半径9km) | 125 | 1,358,931 | ¥66,900 | 45.1% | 11.4% | 53.9% |
| 草津温泉(半径5km) | 73 | 452,006 | ¥50,600 | 62.4% | 21.4% | 60.2% |
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2026年5月14日〜8月11日チェックイン分)
表で目を引くのは草津温泉である。末尾00比率62.4%、末尾000比率21.4%はいずれも9商圏で最も高く、千円帯の下半分比率も60.2%と突出する。掲載価格中央値が¥50,600と高いにもかかわらず、価格の刻みは¥1,000単位に強く揃えられている。旅館の2食付きプランは「¥50,000」「¥55,000」のように大きな単位で設計されることが多く、それが数字に表れた形だ。逆に東京都心(39.5%)と那覇市(39.0%)は末尾00比率が最も低く、日次で細かく価格を動かす運用が浸透していることを示唆する。
なお箱根・草津温泉は掲載価格の中心帯が高いため、¥10,000・¥15,000の直下/直上バンドに入るレコードが極端に少ない(箱根の¥10,000近傍はN=38件、草津温泉の¥15,000近傍はN=1,323件)。母数が薄いエリアの指数は大きく振れるため、両エリアの¥10,000・¥15,000は指数を算出せず、比較対象から除外した。箱根の¥20,000は1.05、¥30,000は1.12(N=9,911)、草津温泉の¥20,000は1.38(N=3,949)と、リゾート・温泉地では都市部より大台をすんなり越えている。一方で草津温泉の¥30,000は0.69(N=5,116)と低く、この商圏では¥30,000が実質的な区切りとして働いている可能性がある。両エリアの価格水準がそもそもどう推移してきたかは、秋の温泉地・旅館価格2026 — 箱根・草津・由布院を前年比で読む紅葉シーズンの実勢で前年比ベースの整理を行っている。
業態別 — ビジネスホテルの¥15,000超えは平均以上にスムーズ
同じ指数を業態別に集計すると、ビジネスホテル(1,004施設・1,949万4,316件)は¥10,000で0.96、¥15,000で1.07、¥20,000で0.97、¥30,000で1.04。¥15,000と¥30,000では基準を上回っており、ビジネス業態は上位の価格帯へ抵抗なく価格を伸ばしている。シティホテル(171施設)は¥20,000で0.90、¥30,000で0.91と、4業態のなかでは大台直前に価格が留まりやすい。都市別のビジネス業態がどの単価水準まで積み上げてきたかは、出張都市の宿泊単価2026が25ヶ月の推移で追っている。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
旅館(275施設)とリゾート(22施設)は¥10,000・¥15,000で指数が1.14〜2.00と高く出ているが、これは対象レコードが旅館で3,325件(¥10,000近傍)・5,603件(¥15,000近傍)、リゾートで5,049件・9,013件と薄いためで、順位づけには使えない。2食付きが標準の旅館では素泊まりに近い低価格帯そのものが少なく、¥10,000前後は分布の裾に当たる。参考値として扱うのが妥当だろう。
施設ケース:90日のうち何日、¥20,000を越えたか
集計を施設単位に落とすと、大台の越え方には運用スタイルの違いが出る。掲載価格の中央値が¥17,000〜23,500に入る施設のうち、日次の平均掲載価格(その日に掲載されていた全プランの単純平均)を90日分たどれる3施設を匿名で示す。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(3施設・各90日)
| 施設(匿名) | 客室数 | ¥20,000超の日数 /90日 | ¥18,500〜19,999 に収まった日数 | 日次平均のレンジ |
|---|---|---|---|---|
| 施設A:京都市南区・シティホテル | 320室 | 79日 | 11日 | ¥18,800〜¥40,600 |
| 施設B:大阪市西区・ビジネスホテル | 81室 | 56日 | 32日 | ¥18,200〜¥33,200 |
| 施設C:大阪市中央区・ビジネスホテル | 210室 | 25日 | 20日 | ¥15,700〜¥41,800 |
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2026年5月14日〜8月11日チェックイン分)
施設Aは90日のうち79日で日次平均が¥20,000を上回り、最高¥40,600まで伸ばしている。大台という区切りをほとんど意識しない値付けだ。対して施設Cは¥20,000超が25日にとどまり、別に20日が¥18,500〜19,999のバンドに収まった。ただし同施設は最高¥41,800まで到達した日もあり、上げられないのではなく、上げるタイミングを絞っているとみるべきだろう。ここには、需要が強い日の一歩先へ価格を伸ばす余地——大台を越える余地が残っている。
施設Bのように、90日中32日が¥18,500〜19,999に収まるパターンは、都市部のビジネス業態で広く観察される。この帯にいる日を数日でも¥20,000台に載せられれば、稼働を保ったまま単価が積み上がる。逆に言えば、指数が1.00を割っている商圏・業態ほど、この「あと一段」の余地が数字として残っているということでもある。日ごとに価格をどこまで振れるかという運用幅そのものについては、秋は「日によって」いくら違うのか — 9〜10月の日別価格レンジが最も広いエリア・業態ランキング2026でエリア・業態別に比較している。
掲載価格の大台は、実勢ではどのあたりに着地するか
ここまではすべて掲載価格の話である。掲載価格は成約価格ではない。売れ残った高価格帯プランが掲載され続けること、2名1室・全プラン平均という定義であることから、掲載価格の平均は実際の成約単価より上振れする。推定成約ADRと突き合わせると、その距離が見える。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(2026年5〜7月平均、推定成約ADRの対象施設数は都道府県ごとに440〜1,139施設)
2026年5〜7月の平均で、掲載価格(全プラン平均・税込)に対する推定成約ADR(税抜相当)の比率は、大阪府0.558、東京都0.559が高く、群馬県0.395、神奈川県0.406、北海道0.415が低い。全体では0.39〜0.56のレンジに収まる。つまり掲載価格で¥20,000という大台は、実勢の成約単価に直せばおおむね¥8,000〜¥11,000の水準に対応する。掲載の¥20,000と、REIT開示実績と照合した推定成約ADRの¥20,000はまったく別の高さであり、両者を並べて論じることはできない。
裏を返せば、掲載価格の大台を1段越えたところで、実勢に残るのはその4〜5割程度ということでもある。だからこそ、大台の直前に価格が滞留している商圏では、上振れの余地が実質的にどれだけ残るかを推定成約ADRの側から確認しておく意味がある。掲載を¥19,800から¥20,800へ動かした場合、実勢に反映されるのは¥390〜¥560程度——1室1泊あたりでは小さく見えるが、100室×稼働80%で90日なら¥281万〜¥403万に相当する。
感応度 — 「あと一段」が実勢にいくら残るか
掲載価格の引き上げ幅と、掲載価格に対する推定成約ADRの比率(実勢反映率)の2軸で、100室・稼働80%・90日あたりの増収額を試算すると次のようになる。実勢反映率は本稿で用いた9都道府県の値をそのまま3水準に割り当てた(保守0.39=群馬県水準、中位0.44=9都道府県の中央値0.437、上振れ0.56=大阪府水準)。
| 掲載価格の引き上げ幅 | 保守 反映率0.39 | 中位 反映率0.44 | 上振れ 反映率0.56 |
|---|---|---|---|
| +¥500 | ¥140万 | ¥157万 | ¥202万 |
| +¥1,000(¥19,800→¥20,800) | ¥281万 | ¥315万 | ¥403万 |
| +¥2,000 | ¥562万 | ¥629万 | ¥806万 |
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(実勢反映率は2026年5〜7月平均、対象施設数は都道府県ごとに440〜1,139施設)
引き上げ幅が同じでも、実勢に残る額は市場によって最大1.4倍の開きが出る。指数が1.00を割っている商圏ほど「あと一段」の余地は大きいが、その一段がいくらの増収になるかは、その市場の実勢反映率しだいということでもある。掲載価格を動かす前に、自館の商圏がこの3水準のどこにいるかを確認しておきたい。
まとめ — 「大台の壁」より「千円帯の下半分」に癖がある
2,924万5,493件の掲載価格から読み取れたのは、次の3点である。第一に、値付けはきりの良い数字に強く引き寄せられている。掲載価格の43.96%が百円単位ちょうど、10.82%が千円単位ちょうどであり、税抜換算まで含めれば49.15%が百円単位に揃う。第二に、大台そのものは壁として機能していない。¥10,000・¥15,000・¥20,000・¥30,000の大台通過指数は全国計で0.96〜1.07に収まり、ふつうの千円区切りとほとんど変わらない通りやすさだった。第三に、より一貫した癖は千円帯の内部にある。価格の53.34%が¥X,000〜X,499の下半分に集まり、¥X,500〜X,999の上半分は46.66%にとどまる。
商圏別に見れば、¥10,000は那覇市を除く6商圏で、¥20,000は大阪市・札幌市・名古屋市・東京都心・福岡市で指数が1.00を割った。ここには価格を一段上へ伸ばす余地が残っている。一方で¥15,000は全商圏で1.00超、リゾート・温泉地の¥20,000も1.05〜1.38と、すでに大台をまたいで値付けしている市場も少なくない。「越えられていない」のではなく、「越えている市場としていない市場が、はっきり分かれている」というのが実態に近い。
実務に落とすなら、まず自館の掲載価格の下3桁を90日分並べてみることだ。¥X,000〜X,499に何割が集まっているか、¥19,800や¥14,800といった特定の価格に何日張り付いているか。その分布は、日々の意思決定の積み重ねが残した記録であり、次の一段を設計するための出発点になる。
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参考資料・出典一覧
■ データソース
メトロエンジンリサーチが収集する掲載価格(2026年5月14日〜8月11日にチェックインする90日分、9商圏・1,472施設、N=29,245,493レコード)。2名1室・税込・全プランを対象とし、価格が¥0超かつ¥200,000未満のレコードに限定した。推定成約ADRは同社の都道府県別集計(2026年5〜7月、対象施設数は都道府県ごとに440〜1,139施設)。
■ 試算前提
大台通過指数は、直上バンド(¥X,001〜X,499)の件数を直下バンド(¥X-500〜X,999)の件数で割った比を、前後の千円区切り6本で同様に計算した比の中央値で正規化して算出した。増収額の試算は、掲載価格に対する推定成約ADRの比率(実勢反映率)を保守0.39・中位0.44・上振れ0.56の3水準に置き、客室数100室・稼働80%・90日を代表条件として掛け合わせたもの。特定施設の収支見通しではない。
■ 限界・留意点
本稿の分析はすべて掲載価格に基づくもので、成約価格ではない。掲載は税込表示のため、税抜の設定価格に消費税を乗せる過程で端数が生じるほか、予約サイト側の表示ルールや丸め処理の影響も受ける。端数の見た目だけで値付けの巧拙は判断できない。母数の薄いバンド(箱根の¥10,000近傍はN=38件など)は指数が大きく振れるため比較対象から除外した。推定成約ADRは上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合で誤差中央値7.5%、ビジネス/シティ業態では6.0%(照合対象は184物件月・2026年4〜5月分。「物件月」は施設×開示月の延べ数であり、施設数ではない)。
■ 市場データ
- メトロエンジンリサーチ — 掲載価格データ(2026年5月14日〜8月11日チェックイン分、9商圏1,472施設、N=29,245,493レコード)、推定成約ADR(2026年5〜7月)
■ 公的統計・外部参照
