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シルバーウィーク2026後半2日の予約進度 — 47日前定点、9/23は平常水曜並みに

投稿日 : 2026.08.13

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季節・イベント

シルバーウィーク2026後半2日の予約進度 — 47日前定点、9/23は平常水曜並みに

2026年のシルバーウィークは9月19日(土)から23日(水)までの5連休となる。9月21日(月)の敬老の日と23日(水)の秋分の日に挟まれた22日(火)が「国民の休日」となるためで、この形が成立するのは2015年以来11年ぶりだ。連休が5日に伸びた分、宿泊需要は「前半3日」と「後半2日」で性格が分かれる。本稿では2026年8月上旬(チェックインまで47日前)の定点で、後半2日(9/22・9/23)の予約進捗が前半3日とどう違うのかを、温泉・リゾート5県と都市4都府県、業態別に検証する。

本記事における指標の定義

  • OCC(稼働率):エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、施設全体の実稼働率とは異なります。本記事では「推定稼働率」と表記します。
  • LT(リードタイム):チェックイン日までの日数。LT0=当日。本記事はLT47(47日前)とLT65(65日前)の2つの定点断面を使います。
  • 掲載価格:OTA等で公開されている販売価格の平均(2名1室利用時・1室あたり料金・税込、素泊まり〜食事付きを含む全プラン平均)。実際の成約価格とは異なります。本記事では推定成約ADRは扱いません。
  • 同曜日平常日:同じ月内の祝日を含まない同一曜日2日の平均(土=9/5・9/12、日=9/6・9/13、月=9/7・9/14、火=9/8・9/15、水=9/9・9/16)。祝日効果を曜日効果から分離するための基準です。
  • データ出典:メトロエンジンリサーチ
Key Takeaways
  • — 温泉5県の旅館は前半3日81.0%に対し後半2日62.1%で18.9ptの落差。都市シティホテル(6.4pt)の約3倍の開きがある。
  • — 9月22日(火)は9エリアすべてが同曜日平常日を上回る(+2.3〜+16.4pt)が、9月23日(水)にプラスを保つのは沖縄県(+3.2pt)と愛知県(+11.0pt)だけ。
  • — 値付けは「連休型」ではなく「翌日出勤型」。都市4都府県のビジネスホテルの掲載価格は9/20が平常日曜の2.27倍、9/23は1.03倍にとどまる。
  • — 愛知の高水準は連休効果ではなくアジア競技大会(9/19〜10/4・16日間)。65日前定点では大会期間中ずっと高止まりし、終了後の10月7日に66.2%へ下がる。
  • — 65日前→47日前の18日間で温泉旅館の後半2日は+1.8pt・+1.6ptしか動いておらず、残り47日で最も動かせる余白が残っている日程でもある。

5連休の需要は「日曜が山、最終日が谷」

まず47日前定点での日別推定稼働率を業態別に並べる。温泉・リゾート5県(神奈川・群馬・栃木・静岡・沖縄)の旅館は、9月20日(日)が86.0%で最も高く、そこから9月22日(火)66.7%、9月23日(水)57.5%へと下がっていく。5日間の高低差は28.5ptに達する。一方、同じ5県のリゾートホテルは9月20日84.4%から9月23日68.3%までで、高低差は16.1ptにとどまる。都市4都府県(東京・大阪・愛知・福岡)のシティホテルはさらになだらかで、9月19日86.8%から9月23日76.9%へと9.9ptの範囲に収まる。

つまり同じ5連休でも、曲線の「尖り方」が業態でまったく違う。旅館は連休中央に需要が集中する鋭い山を描き、都市型は台形に近い。この差が後半2日の埋まり方を決めている。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

平常の火曜・水曜と揃えると、9月23日の祝日効果はほぼ消える

日別の絶対値だけを見ると「後半は弱い」と読めてしまうが、そもそも火曜・水曜は平常時でも土日より低い。祝日効果だけを取り出すには、同じ曜日の平常日と揃えて差を取る必要がある。9月の祝日を含まない同一曜日2日の平均を基準にすると、構図はかなり変わる。

9月22日(火)は全業態で平常火曜を上回っており、温泉5県の旅館で+5.0pt、同リゾートホテルで+7.8pt、都市4都府県のビジネスホテルで+8.3ptの上振れが確認できる。ところが9月23日(水)になると、温泉5県の旅館は平常水曜を5.0pt下回る。同じく温泉5県のビジネスホテルは-1.3pt、都市のシティホテルは-0.5ptで、いずれも平常水曜と同水準かわずかに下だ。祝日として休みであることと、その夜に泊まることは別の話であることが数字に出ている。

唯一、明確に後半2日まで祝日効果を保っているのが温泉5県のリゾートホテル(9月23日で+1.9pt)と都市4都府県のビジネスホテル(同+0.9pt)である。前者は沖縄を中心とする滞在型の連泊需要、後者は連休明けの移動を前倒しする出張・イベント需要が支えていると読める。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

前半3日と後半2日の落差は、業態で3倍近い開き

前半3日(9/19〜21)平均と後半2日(9/22〜23)平均の差を業態別に取ると、温泉5県の旅館が81.0%→62.1%で-18.9pt、都市4都府県のシティホテルが85.0%→78.6%で-6.4pt。落差の大きさに約3倍の開きがある。滞在型の商品を持つリゾートホテル(-9.7pt)と都市ビジネスホテル(-7.1pt)は中間に位置する。

表1:シルバーウィーク2026(9/19〜23)の日別推定稼働率と前半3日・後半2日平均(エリア群×業態別、LT47定点)
エリア群・業態 9/19土 9/20日 9/21月 9/22火 9/23水 前半3日 後半2日 後半−前半
温泉5県・旅館74.5%86.0%82.5%66.7%57.5%81.0%62.1%-18.9pt
温泉5県・リゾートホテル77.0%84.4%83.1%75.4%68.3%81.5%71.9%-9.7pt
温泉5県・ビジネスホテル76.1%78.3%75.1%70.8%63.5%76.5%67.2%-9.4pt
都市4都府県・シティホテル86.8%85.7%82.5%80.3%76.9%85.0%78.6%-6.4pt
都市4都府県・ビジネスホテル78.4%78.0%72.8%72.3%66.4%76.4%69.4%-7.1pt

LT47定点(2026年8月3〜7日観測)。観測施設数レンジ:温泉5県 旅館981〜1,080施設・リゾート477〜485施設・ビジネス768〜785施設、都市4都府県 シティ246〜254施設・ビジネス1,842〜1,886施設。同曜日平常日の観測施設数レンジは旅館787〜1,104施設、シティ247〜256施設。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

値付けは「連休型」ではなく「翌日出勤型」で組まれている

次に掲載価格を同曜日平常日と比べる。倍率が1.00なら「平常の同じ曜日と同じ値付け」、1.50なら「5割増し」を意味する。

温泉5県の旅館では9月20日(日)が平常日曜の1.54倍(¥54,700)、9月21日(月)が1.57倍。ところが9月22日(火)は1.45倍、9月23日(水)は1.11倍(¥36,100)まで落ちる。都市4都府県のビジネスホテルはさらに極端で、9月20日2.27倍(¥31,000)に対し9月23日は1.03倍(¥15,700)と、実質的に平常水曜と同じ値付けだ。東京都の全施設ベースでは9月23日の倍率が0.98倍と、平常水曜をわずかに下回る。

要するに、市場全体の値付けは「5日間まるごと連休価格」ではなく、「翌日が休みかどうか」に沿って組まれている。9月22日(火)は翌23日が祝日なので前夜として値が乗り、9月23日(水)は翌24日が平日のため値が乗らない。需要側の推定稼働率の動きと方向は一致しており、価格と需要の読みは大きくは食い違っていない。

ただし業態差はある。温泉5県のリゾートホテルは9月23日の掲載価格倍率が1.20倍で、推定稼働率の対平常差も+1.9ptとプラスを保っている。価格を維持しながら需要も付いてきている形だ。対して同5県の旅館は価格倍率1.11倍に対し推定稼働率は平常水曜を5.0pt下回っており、最終日については価格と需要の見立てにわずかなずれが残っている。ここは商品設計次第で上積みを狙える余地と読める。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

エリア別 — 沖縄と愛知だけが最終日もプラス

9エリアそれぞれで、後半2日の対同曜日平常日差を取ると分岐が明確になる。9月22日(火)は9エリアすべてがプラス(+2.3pt〜+16.4pt)。しかし9月23日(水)にプラスを保つのは沖縄県(+3.2pt)と愛知県(+11.0pt)の2エリアのみで、群馬県-4.1pt、栃木県-4.6pt、神奈川県-3.2ptと、関東近郊の温泉エリアはマイナスに振れる。45日前定点で稼働の高い業態ほど直前の伸びしろが小さいのかという論点は、栃木県の業態別ブッキングカーブ2026年8〜9月で同県を対象に検証している。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

表2:9エリア別の日別推定稼働率と同曜日平常日との差(全施設ベース、LT47定点)
エリア 9/19土 9/20日 9/21月 9/22火 9/23水 9/22対平常火 9/23対平常水 観測施設数
神奈川県74.2%79.1%75.0%70.6%61.0%+4.8pt-3.2pt607〜681
群馬県76.9%84.2%80.0%68.0%57.4%+7.0pt-4.1pt485〜573
栃木県74.3%80.8%77.4%66.6%58.5%+4.4pt-4.6pt579〜595
静岡県74.6%81.0%78.5%69.5%61.9%+5.6pt-2.0pt1,238〜1,259
沖縄県78.0%81.1%80.4%74.8%70.9%+6.6pt+3.2pt1,122〜1,133
東京都79.8%78.4%73.9%73.7%67.8%+6.4pt-1.5pt1,309〜1,342
大阪府77.0%76.9%70.7%69.0%63.8%+5.5pt-0.4pt697〜711
愛知県92.8%95.1%93.7%90.4%87.6%+16.4pt+11.0pt503〜525
福岡県78.3%78.5%74.1%72.1%66.8%+2.3pt-2.0pt603〜616

全施設ベース、LT47定点(2026年8月3〜7日観測)。観測施設数は各エリアの5日間断面のレンジ(最新観測列を含む)。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

愛知の曲線は連休ではなくアジア競技大会で説明できる

愛知県の水準は他エリアと桁が違う。9月19日から23日まで87.6〜95.1%で推移し、9月23日でも平常水曜を11.0pt上回る。掲載価格も9月20日が平常日曜の2.32倍、9月23日でも1.57倍と高い。

これは5連休の効果ではない。第20回アジア競技大会(愛知・名古屋2026)が2026年9月19日から10月4日までの16日間、名古屋市を中心に43競技・55会場で開催されるためだ。日本での開催は1994年の広島大会以来32年ぶりとなる。名古屋圏の宿泊受け皿が大会期間にどこまで確保されているかは、アジア競技大会2026・名古屋圏ホテル予約進度の定量分析で施設数ベースの試算を行っている。

実際、65日前定点で連休明け以降を追うと、愛知県の推定稼働率は9月24日89.6%、9月26日94.2%、9月30日85.0%、10月3日87.2%と大会期間中ずっと高止まりし、大会終了後の10月7日(水)に66.2%まで下がる。同じ期間の東京都は64.8〜72.4%で横ばいのままだ。つまり愛知の在庫消化は「連休の山」ではなく「16日間続く大会の台地」である。名古屋圏の施設にとって、後半2日をどう設計するかという問いは、そもそも連休の枠組みでは立てられない。

LT65定点。観測施設数レンジ:愛知県303〜530施設、東京都868〜1,325施設。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

65日前→47日前の18日間で、後半2日はどれだけ動いたか

定点をもうひとつ手前に置いて、この18日間で在庫がどれだけ消化されたかを見る。温泉5県の旅館は前半3日で+4.1〜+5.7ptの上積みがあったのに対し、後半2日は+1.8pt(9/22)、+1.6pt(9/23)にとどまった。一方、同5県のリゾートホテルは後半2日でも+3.6pt、+3.1ptと前半とほぼ同じペースで積み上がっている。都市4都府県のビジネスホテルも後半2日で+3.4pt、+2.6ptと動きが続いている。

この差は重要だ。旅館の後半2日は「今の水準が低い」だけでなく「直近18日間の積み上がりも薄い」という二重の状態にある。逆に言えば、まだ需要が確定していない領域が大きく残っているということでもある。リゾートホテルと都市ビジネスホテルは、後半2日についても前半と変わらない速度で予約が入り続けている。

LT65→LT47の推定稼働率変化。LT65の観測施設数は温泉5県旅館870〜911施設、都市4都府県ビジネス1,707〜1,772施設。LT47断面(旅館981〜1,080施設等)との間で観測母集団が約2割拡大しているため、上積み幅は保守的な下限値として読む必要がある。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

観測母集団についての注記:ブッキングカーブの観測施設数はLT断面ごとに変動します。本記事では、日別比較はすべて同一LT断面(LT47)で揃えており、この断面の観測施設数は各系列でおおむね±1.5%以内に収まっています。一方、LT65とLT47をまたぐ比較では観測母集団が拡大しているため、上積み幅は下限値として扱っています。各図表には観測施設数レンジ(最新観測列を含む)を明記しています。

OTAに客室の3割以上を出している施設で見ると

エリア集計は総客室数を分母にした推定値のため、OTAへの在庫の出し方が施設ごとに違う点は均されている。そこで補足として、OTAに総客室の30%以上を掲載している施設だけに絞り、施設単位の残室率の厚みを見た。残室率の低い順に並べたときの50番目の施設の値を比べると、9月22日より9月23日のほうが一貫して高い。

表3:OTA公開枠が総客室の30%以上の施設に絞った、9/22・9/23の残室率50番目の値(2026年8月7日観測)
エリア・業態 観測できた施設数 集計対象(9/22) 集計対象(9/23) 50番目の残室率
9/22
50番目の残室率
9/23
静岡県・旅館36123423334.3%36.4%
群馬県・旅館26215415138.5%40.0%
栃木県・旅館19211412145.0%48.4%
神奈川県・旅館24814312836.4%40.0%
沖縄県・リゾートホテル24311812933.3%36.4%
東京都・ビジネスホテル47825629128.1%30.6%
大阪府・ビジネスホテル34918120232.7%35.6%
福岡県・ビジネスホテル31715917338.7%42.3%

OTA公開枠が総客室の30%以上の施設のみを集計対象とした(それ未満は除外)。「50番目の残室率」は残室率の低い順に並べたときの50施設目の値。2026年8月7日時点の観測。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

都市部では、集計対象施設数そのものも9月22日より9月23日のほうが多い(東京256→291施設、大阪181→202施設、福岡159→173施設)。OTA上に3割以上の客室を出したままの施設が最終日には増えている、という形だ。なお、OTA公開枠が3割に満たない施設を除外している点には注意がいる。公開枠が小さい理由は、公式サイト直販やコールセンター・旅行会社中心のチャネル運用、チェックインが近づくにつれて在庫を小出しに追加していく運用、OTAへの割当自体を少なく設定している契約など複数の可能性が考えられ、公開データだけでは判別できない。

後半2日が動いたとき、5連休全体の平均はどこまで動くか

ここまでの数字は、いずれも本記事の指標定義にもとづく観測値である。最後に、その定義から素直に導ける算術だけを使って、後半2日の上積みが5連休全体の平均にどう効くかを整理しておく。5日間の平均は(前半3日平均×3 + 後半2日平均×2)÷ 5という定義そのものなので、後半2日が Δpt 動いたときの5日間平均の変化は必ず Δ×2÷5 = 0.4×Δ になる。以下は予測ではなく、本文に載せた観測値を同じ定義に入れ直した単位換算である。

表4:後半2日の上積みを3水準に置いたときの5日間平均(定義に基づく単位換算・予測ではない)
エリア群・業態現状の5日間平均保守(+1.6pt)中位(+2.6pt)上位(+3.6pt)
温泉5県・旅館73.4%74.1%(+0.7pt)74.5%(+1.1pt)74.9%(+1.5pt)
温泉5県・リゾートホテル77.7%78.3%(+0.6pt)78.7%(+1.0pt)79.1%(+1.4pt)
温泉5県・ビジネスホテル72.8%73.4%(+0.6pt)73.8%(+1.0pt)74.2%(+1.4pt)
都市4都府県・シティホテル82.4%83.1%(+0.7pt)83.5%(+1.1pt)83.9%(+1.5pt)
都市4都府県・ビジネスホテル73.6%74.2%(+0.6pt)74.6%(+1.0pt)75.0%(+1.4pt)

上積み3水準はいずれも本文に実在する観測値。保守=温泉5県の旅館が9月23日に65日前から積み上げた実績値(+1.6pt)、中位=都市4都府県のビジネスホテルが9月23日に積み上げた実績値(+2.6pt)、上位=温泉5県のリゾートホテルが9月22日に積み上げた実績値(+3.6pt)。5日間平均は前半3日・後半2日それぞれの平均を日数で加重したもので、将来の到達水準を予測したものではない。

表5:後半2日の上積み幅(横)×エリア群・業態(縦)でみた5日間平均の2軸グリッド(定義に基づく単位換算・予測ではない)
エリア群・業態
前半3日 / 後半2日
+1.6pt+2.6pt+3.6pt+4.1pt+5.7pt
温泉5県・旅館
81.0% / 62.1%
74.1%74.5%74.9%75.1%75.7%
温泉5県・リゾートホテル
81.5% / 71.9%
78.3%78.7%79.1%79.3%79.9%
温泉5県・ビジネスホテル
76.5% / 67.2%
73.4%73.8%74.2%74.4%75.1%
都市4都府県・シティホテル
85.0% / 78.6%
83.1%83.5%83.9%84.1%84.7%
都市4都府県・ビジネスホテル
76.4% / 69.4%
74.2%74.6%75.0%75.2%75.9%

横軸の5水準はすべて本文に実在する65日前→47日前の上積み実績(後半2日 +1.6〜+3.6pt、前半3日 +4.1〜+5.7pt)で、外挿は行っていない。縦軸は表1の前半3日平均・後半2日平均。網かけは5日間平均の高低。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

ここから2点が読める。第一に、後半2日にどれだけ上積みしても、5日間平均に効くのはその0.4倍だという点だ。温泉5県の旅館が後半2日で前半並みのペース(+5.7pt)を実現したとしても、5日間平均は73.4%から75.7%へ+2.3pt動くにとどまる。連休全体の見え方を変えるのは後半2日ではなく、すでに高い前半3日の水準である。

第二に、旅館の後半2日が前半3日の水準(81.0%)に並ぶには18.9ptが必要で、これは直近18日間の実績上積み(9/22 +1.8pt・9/23 +1.6pt、平均+1.7pt)の約11倍にあたる。残り47日で埋め切る水準ではない。だからこそ後半2日の設計は「前半と同じ埋まり方を目指す」ことではなく、次章の3つの打ち手のように前半の需要を後半に流し込む方向で組むほうが現実的になる。5日間平均で見ても、旅館の73.4%と都市シティホテルの82.4%の差は、後半2日の上積みだけでは縮まらない。

運営者にとっての後半2日 — 3つの設計余地

ここまでの数字を運営側の打ち手に翻訳すると、後半2日には3つの収益機会が見える。いずれも現在の強い前半3日を土台にした上積みの提案である。

第一に、連泊誘導の設計。温泉5県の旅館は前半3日が81.0%まで積み上がっている。この高い集客力が実証されている層に対して、9月21日(月)または22日(火)チェックインの2泊商品を組めば、単泊では動きにくい9月22日・23日の在庫に前半の需要を流し込める。9月20日(日)と9月23日(水)の掲載価格差は約¥18,600(¥54,700→¥36,100)あるため、2泊目を割り引いても1泊平均の単価は前半単泊より高く維持できる余地がある。

第二に、チェックアウト時刻の設計。9月23日(水)は翌24日が平日であることが需要の分岐点になっている。逆に言えば、9月23日のチェックアウトを遅らせる商品——たとえば9月22日イン・23日アウトのレイトチェックアウト付き商品——は、最終日の「帰る日」需要を前日の宿泊単価に転換する手段になる。9月22日は全9エリアで平常火曜を上回っており、上乗せを受け止める土壌がある。

第三に、直前の打ち手の余地。65日前から47日前の18日間で、温泉5県の旅館の後半2日は+1.8pt・+1.6ptしか動いていない。裏返せば、残り47日間で動かせる幅が最も大きい層でもある。都市4都府県のビジネスホテルが同じ18日間に後半2日で+3.4pt・+2.6ptを積んでいることを踏まえると、旅館側にも同じペースを引き出せるだけの需要が残っている可能性が高い。段階的なプライシングと、平日料金帯の連泊プランを早めに市場に置くことが、その引き出し方になる。

沖縄のリゾートホテルと愛知の施設は、これらとは別の局面にある。前者は9月23日でも平常水曜を3.2pt上回り、掲載価格も1.22倍を維持している滞在型市場だ。後者はアジア競技大会という16日間のイベント需要のなかにあり、連休の枠ではなく大会期間全体で在庫と価格を設計する局面にある。沖縄の夏終盤から9月にかけての在庫消化ペースについては、沖縄の夏終盤ブッキングカーブ2026が業態別に追っている。

⚠ 将来日程のデータに関する注意:本記事の推定稼働率・掲載価格は、いずれもチェックイン日の47日前(一部は65日前)時点でOTAに公開されている在庫と販売価格に基づく観測値です。分析対象日は執筆時点で40日以上先にあり、今後の予約進行・在庫追加・価格調整によって数値は変動します。特定施設の完売や早期完売を示すものではなく、あくまで進行中の予約進捗の途中経過としてお読みください。

まとめ

11年ぶりの5連休は、5日間が均質な「大型連休」ではない。47日前定点で見る限り、需要の山は9月20日(日)にあり、9月22日(火)までは全9エリアが平常同曜日を上回るものの、9月23日(水)は温泉エリアの旅館を中心に平常水曜と同水準まで戻る。市場の値付けも同じ論理で動いており、翌日が平日である最終日には価格プレミアムがほとんど乗っていない。

後半2日に需要を保っているのは、滞在型のリゾートホテル(沖縄)、都市のビジネスホテル、そしてイベント需要を抱える愛知である。裏を返せば、それ以外の層——とりわけ関東近郊の温泉旅館——にとって9月22日・23日は、残り47日間で最も動かせる余白が残っている日程だといえる。連泊への誘導、チェックアウト時刻を軸にした商品設計、そして平日料金帯を前提とした早めの市場投入が、その余白を収益に変える具体的な手立てになる。

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参考資料・出典一覧

■ データソース

推定稼働率・掲載価格は、OTAに公開された在庫と販売価格の日次観測にもとづく自社集計。9都府県(神奈川・群馬・栃木・静岡・沖縄・東京・大阪・愛知・福岡)×5業態(旅館/リゾートホテル/ビジネスホテル/シティホテル/全施設)について、チェックイン47日前(LT47、2026年8月3〜7日観測)と65日前(LT65)の2断面を取得した。施設別の残室データは2026年8月7日時点の観測。

■ 試算前提

エリア群の推定稼働率は、構成県の販売済み客室数の合計を総客室数の合計で割った客室数加重値。掲載価格の倍率は、同一エリア群・同一業態の客室数加重平均を、同月の祝日を含まない同一曜日2日(土=9/5・9/12、日=9/6・9/13、月=9/7・9/14、火=9/8・9/15、水=9/9・9/16)の平均で割ったもの。前半3日は9/19〜21の単純平均、後半2日は9/22〜23の単純平均。表4・表5の5日間平均は(前半3日平均×3+後半2日平均×2)÷5という定義に基づく単位換算であり、将来の到達水準の予測ではない。上積み幅の水準は、いずれも本文に実在する65日前→47日前の実績値のみを用い、外挿していない。

■ 限界・留意点

推定稼働率はOTAに公開された在庫の消化状況にもとづく推定値で、直販・旅行会社経由を含む施設全体の実稼働率とは異なる。掲載価格は販売価格の平均であり成約価格ではなく、本記事では推定成約ADRを扱わない。観測施設数はLT断面ごとに変動するため、日別比較はすべて同一LT断面で揃えたうえで各図表に観測施設数レンジを明記し、LT65とLT47をまたぐ上積み幅は観測母集団が約2割拡大していることから下限値として扱っている。施設別の残室率はOTA公開枠が総客室の30%以上の施設に限った集計で、公開枠の小さい施設は除外されている。分析対象日は執筆時点で40日以上先にあり、今後の予約進行・在庫追加・価格調整によって数値は変動する。

■ 市場データ

  • メトロエンジンリサーチ — ブッキングカーブ(推定稼働率・掲載価格、LT47/LT65定点、9都府県×5業態)、施設別残室データ

■ イベント・暦

■ 政府統計

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