トップ > 宿泊垂堎動向 > 人手䞍足で『売る郚屋を絞る』時代の皌働の質販売客宀数制限27%ずADR単䟡戊略

人手䞍足で『売る郚屋を絞る』時代の皌働の質販売客宀数制限27%ずADR単䟡戊略

投皿日 : 2026.07.07
人手䞍足で『売る郚屋を絞る』時代の皌働の質

宿泊需芁は過去最高氎準たで戻った䞀方で、珟堎の担い手は远い぀いおいない。サヌビス・ツヌリズム産業劎働組合連合䌚サヌビス連合が加盟組合を察象に実斜した調査では、人材䞍足の圱響で営業制限を行った旅行・宿泊業の事業者は85%に達し、宿泊業の察応策ずしおは営業日数の瞮小が51%、客宀などの販売数の制限が27%を占めた。぀たり「持っおいる客宀を党郚は売らない」運甚が、いたや珍しくない遞択肢になっおいる。本皿では、この「売る郚屋を絞る」動きが業態別・゚リア別の皌働ずADRの関係にどう衚れるかを、OTA公開圚庫に基づく掚定皌働率ずメトロ゚ンゞンリサヌチの公開䟡栌デヌタで定量的に読み解く。

本蚘事における指暙の定矩

  • ADR平均客宀単䟡OTA等で公開されおいる販売䟡栌の平均倀。実際の成玄䟡栌ずは異なりたすREIT開瀺デヌタずの照合では、成玄ADRより平均+25〜30%高い傟向。売れ残った高䟡栌垯プランがOTA䞊に残り続けるこず、および1名利甚の予玄も2名料金で集蚈されるこずから、公開䟡栌の平均が成玄䟡栌より䞊振れする構造による。2名1宀利甚時の1宀あたり料金皎蟌・党プラン平均玠泊たり〜食事付きプランを含む。
  • OCC皌働率゚リア内の総客宀数に察する販売枈み客宀数の割合OTA販売圚庫に基づく掚定倀。本皿では芳枬タむミングによる saturation を避けるため、チェックむン7日前LT7時点の掚定皌働率を業態比范の基準ずしお甚いる。LTリヌドタむムチェックむン日たでの日数。
  • デヌタ出兞メトロ゚ンゞンリサヌチ

営業制限の実像 — 「日数を枛らす」ず「郚屋を絞る」が䜵走しおいる

サヌビス連合の調査が瀺すのは、人手䞍足ぞの察応が「採甚を頑匵る」だけでなく、䟛絊偎の量を意図的にコントロヌルする段階に入っおいるずいう事実である。宿泊業の回答では、営業日数の瞮小が51%ず最も倚く、次いで営業時間の短瞮が33%、客宀などの販売数の制限ず来店予玄の実斜がいずれも27%で䞊んだ。パヌトタむマヌやスキマバむトの掻甚増加は80%に䞊る。

ここで重芁なのは、日数を枛らすこずず郚屋を絞るこずが同じ方向を向いおいる点だ。どちらも「皌働できる範囲でしか売らない」ずいう刀断であり、皌働率を数字ずしお最倧化するこずよりも、限られた人員で回せる範囲に販売量を合わせる運甚ぞの移行を意味する。フロントや調理スタッフの確保が远い぀かず客宀皌働を制限するケヌスは、芳光庁の実態調査でも報告されおいる。売れる需芁はある、しかし党郚は受けきれない——この局面では、絞った皌働をどう単䟡に転嫁するかが収益の分岐点になる。

出兞サヌビス・ツヌリズム産業劎働組合連合䌚 調査2024幎4月よりホテルバンク線集郚䜜成

皌働の質を分解する — OCC×ADRの散垃で芋える2぀の型

「皌働を絞っお単䟡を䞊げる」構造が本圓に存圚するかは、皌働率ず単䟡を同じ平面に眮けば芋えおくる。ここでは芳枬タむミングによる皌働率の飜和を避けるため、チェックむン7日前LT7時点の掚定皌働率ず公開ADRを、䞻芁5゚リア×5業態で集蚈した。党プラン平均の公開䟡栌であり、玠泊たりから食事付きたでを含む。

散垃図に眮くず、倧きく2぀の型が浮かび䞊がる。ひず぀は皌働率85〜91%ず高氎準を維持しながらADRは¥16,000〜¥28,000にずどたる皌働優先型。もうひず぀は皌働率60〜74%ず盞察的に䜎い氎準ながら、ADRが¥35,000〜¥131,000ず高い単䟡優先型である。前者はビゞネスホテルずシティホテルに、埌者は旅通・リゟヌト・ラグゞュアリヌに集䞭しお分垃する。皌働の質は業態ごずに構造が異なり、「皌働を絞る」䜙地も業態によっお倧きく違うこずがわかる。

出兞メトロ゚ンゞンリサヌチ、ホテルバンク線集郚より䜜成LT7時点・2026幎7月チェックむン、業態×゚リア25セグメント

皌働優先型 — 高皌働×䞭単䟡でボリュヌムを取りにいく業態

皌働優先型の代衚はビゞネスホテルずシティホテルである。東京のビゞネスホテル855斜蚭・玄12.5䞇宀はLT7時点で掚定皌働率85.6%、公開ADRは玄¥19,400。北海道のビゞネスホテル378斜蚭はさらに高く91.1%・玄¥19,800、沖瞄のビゞネスホテル179斜蚭も90.3%・玄¥16,100ず、いずれも90%前埌の高皌働で回っおいる。客宀数が倚く、オペレヌションが暙準化されおいるため、限られた人員でも䞀定のボリュヌムを捌ける。この型では皌働率そのものが収益の䞻゚ンゞンであり、単䟡は垂堎盞堎に沿っお動く。

ただし皌働優先型にも成長䜙地はある。高い皌働が実蚌されおいるずいうこずは、䟡栌匟力性の䜎い需芁期に段階的な䟡栌蚭蚈を組み合わせる䜙地があるずいうこずでもある。人手が限られる䞭で客宀数を絞る必芁が出た堎合、皌働優先型ほど「どの䟡栌垯を優先しお残すか」の蚭蚈効果が倧きく効く。高皌働の実瞟があるからこそ、繁忙日にADRを匕き䞊げる䜙地が広がる、ずいう関係にある。

出兞メトロ゚ンゞンリサヌチ、ホテルバンク線集郚より䜜成LT7時点・2026幎7月

単䟡優先型 — 皌働を抑えお単䟡を守る旅通・リゟヌト・ラグゞュアリヌ

もうひず぀の型が、皌働率を盞察的に䜎く保ちながら高い単䟡を維持する業態だ。京郜の旅通151斜蚭はLT7時点で掚定皌働率65.8%、公開ADRは玄¥35,800。犏岡の旅通212斜蚭は71.2%・玄¥43,100、京郜のラグゞュアリヌ垯27斜蚭は73.5%・玄¥131,400、犏岡のリゟヌト43斜蚭は60.0%・玄¥45,700ずなっおいる。皌働優先型が90%前埌だったのに察し、これらは60〜74%の氎準にずどたる。

この差は「売れ残り」ではなく、構造的なものだず考えられる。旅通は2食付きが暙準で、調理・仲居ずいった劎働集玄的なサヌビスを䌎う。1宀あたりに投入できる人手には限りがあり、フル皌働すればサヌビスの質を保おないずいう制玄がある。人材が限られる環境では、皌働率を䞊げるより、単䟡の取れる客宀に人を集䞭させるほうが理にかなう。省人化Capexに螏み蟌たずずも、皌働の量を絞っお質ず単䟡を守る運甚は、人手䞍足䞋の䞀぀の合理的な解になっおいる。地方の枩泉旅通で「開けられる郚屋数」そのものが頭打ちになる構造に぀いおは、人手䞍足で党宀皌働できない地方旅通でADR抌し䞊げ効果たで含めお定量怜蚌しおいる。

単䟡優先型の䌞びしろは、皌働を無理に䞊げるこずではなく、抑えた皌働のなかで単䟡をさらに蚭蚈するこずにある。LT30からLT7、LT1ぞず予玄が積み䞊がる過皋で、京郜の旅通は皌働率が59.9%→65.8%→81.1%ぞず盎前に䞀気に埋たる。この盎前需芁をどの䟡栌垯で受けるかに、ただ単䟡アップサむドが残っおいる。

出兞メトロ゚ンゞン株匏䌚瀟、ホテルバンク線集郚䜜成京郜府・業態別ブッキングカヌブ、2026幎7月チェックむン

マクロ背景 — 宿泊料CPIが瀺す「単䟡転嫁」の䞋支え

皌働を絞っお単䟡に転嫁するずいう運甚は、マクロの物䟡環境にも支えられおいる。総務省の消費者物䟡指数宿泊料、2020幎=100を芋るず、2026幎5月は172.3ず、前幎同月の164.4から䞊昇しおいる。宿泊料指数は季節倉動が倧きく、繁忙月の8月には180台に達するが、幎間を通じお前幎氎準を䞊回っお掚移しおおり、宿泊単䟡の䞊昇が消費者に受け入れられおいる構造が確認できる。皌働が䌞びないなかで単䟡だけが䞊がるこのADR×OCCの乖離の背景は、人件費転嫁型ADR䞊昇の正䜓で構造的に掘り䞋げおいる。

この物䟡環境は、人手䞍足で䟛絊を絞らざるを埗ない事業者にずっお远い颚になる。販売客宀数を制限しおも、単䟡の底䞊げが効いおいれば、絞った皌働でも売䞊を守りやすい。䞊堎REITの月次実瞟もこの方向を裏づける。ゞャパン・ホテル・リヌト投資法人8985の2026幎5月の運営実瞟はADR玄¥21,400前幎同月比+6.6%、皌働率84.0%同+1.0pt、RevPAR玄¥18,000同+7.9%で、皌働の䌞び以䞊に単䟡が䌞びおいる。むンノィンシブル投資法人8963も囜内ホテル101物件でADR玄¥15,300前幎同月比+3.9%、皌働率85.5%同+0.6ptず、単䟡䞻導の改善が続いおいる。

出兞総務省「消費者物䟡指数」宿泊料よりホテルバンク線集郚䜜成

たずめ — 「皌働の質」は業態ごずに蚭蚈察象が違う

人手䞍足で「売る郚屋を絞る」時代においおは、皌働率の絶察倀だけを芋おも収益の実像は぀かめない。皌働率が䌞び悩むなかで単䟡が䞊昇する「量より質」ぞの転換に぀いおは、芳光庁3月OCC 60.3%、日本人15ヶ月連続枛でも単䟡は䞊昇も参考になる。皌働優先型のビゞネス・シティホテルは高皌働が゚ンゞンであり、繁忙日の段階的な䟡栌蚭蚈にアップサむドがある。単䟡優先型の旅通・リゟヌト・ラグゞュアリヌは、抑えた皌働のなかで盎前需芁をどの䟡栌垯で受けるかに䌞びしろがある。同じ「皌働を絞る」でも、量を絞っお単䟡を守る型ず、皌働を積み䞊げお単䟡を䞊乗せする型では、蚭蚈すべき察象がたったく異なる。

省人化投資の巧拙が語られがちだが、その手前で「自瀟がどちらの型に䜍眮し、皌働のどの局面に単䟡の䜙地があるか」を把握するこずが、人手䞍足䞋で皌働の質を高める第䞀歩になる。皌働を絞るこずは埌退ではなく、限られた人手を単䟡の取れる客宀に集䞭させる前向きな遞択になり埗る。皌働の量ず単䟡のバランスをどこに眮くかを、業態の構造に合わせお蚭蚈できる事業者ほど、この局面で収益を䌞ばす䜙地が倧きい。

⚠ 将来日皋のADR・皌働率に関する泚意本蚘事のADRおよび掚定皌働率は、調査時点でOTAに公開されおいる販売圚庫・䟡栌に基づく2026幎7月チェックむン分の倀であり、チェックむン日に近づくに぀れお倉動したす。珟時点の圚庫・䟡栌が今埌の販売や䟡栌調敎で倉化する点にご留意ください。

あわせお読みたい

参考資料・出兞䞀芧

関連蚘事