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プロ野球の遠征ホテル2026 — CS・日本シリーズ10月の価格はまだ平常、12球場圏内の客室を数える

投稿日 : 2026.08.21 更新日 : 2026.09.02

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季節・イベント

プロ野球の遠征ホテル2026 — CS・日本シリーズ10月の価格はまだ平常、12球場圏内の客室を数える

日本野球機構(NPB)の公式日程によれば、2026年のクライマックスシリーズ(CS)はセ・パ両リーグともファーストステージが10月10日(土)から12日(月)、ファイナルステージが10月14日(水)から19日(月)に組まれている。日本シリーズは10月24日(土)に開幕する。日程は確定しているが、どの都市で試合が行われるかは、レギュラーシーズンの順位とCSの勝敗が決まるまで確定しない。宿泊需要としては珍しい「条件付きの興行需要」である。

本稿では、12球団の本拠地球場それぞれについて圏内の客室供給を同心円で数え、10月の日別掲載価格と予約進度が現時点でどう動いているかを検証する。結論を先に書けば、80日前時点で価格・在庫の双方に表れているのは確定済みのカレンダー要因(3連休・大型公演・国際大会・ハロウィン)だけであり、ポストシーズン由来と読める動きは、どの市場でもまだ観測されていない。

本記事における指標の定義

  • 掲載価格:各施設がOTA等で公開している販売価格の平均(2名1室利用時・1室あたり料金・税込、素泊まりから食事付きまでの全プラン平均)。エリア単位の数値は対象施設の日次平均価格の中央値で、そのエリアの標準的な施設の価格水準を表します。実際の成約価格とは異なります。
  • 稼働率(OTA掲載在庫ベース・推定):エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。計算式は(総客室数−残室数)÷総客室数。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、施設全体の実稼働率とは異なります。本記事では都道府県単位でのみ用い、個別施設の稼働率は算出していません。
  • LT(リードタイム):チェックイン日までの日数。LT0が当日。「LT80断面」とはチェックイン日の80日前時点の観測値を指します。
  • データ出典:メトロエンジンリサーチ(客室供給・掲載価格・予約進度)、日本野球機構「2026年度セ・パ公式戦 試合日程」(日程)
Key Takeaways
  • — 日程は確定、開催地は未確定。CSは10月10日〜19日、日本シリーズは10月24日開幕。開催都市はレギュラーシーズンとCSの結果が出るまで決まらない「条件付き需要」である。
  • — 80日前断面で動いているのは確定済みの予定だけ。CSファイナル(10/14-19)は算出できた11商圏のうち8商圏で同曜日平常日比±5%以内にとどまった。
  • — 受け皿は球場で二極化。横浜スタジアムは2km圏19,058室、一方でエスコンフィールドHOKKAIDOとベルーナドームは2km圏に該当客室が0室。需要は必ず隣接商圏へ流れる。
  • — 予約進度も同じ結論。LT80断面の推定稼働率で平常日を明確に上回ったのは広島県(+7.8pt)のみ。その日は市内で大型公演が確定済みで、ポストシーズン由来とは断定できない。
  • — 確定から初戦まで3〜10日、残る在庫は1〜2割。土曜LT10の残室率は東京9.8%・宮城10.2%、平日は大阪24.1%・広島25.3%(2026年6月〜7月の実績日ベース)。

日程は確定、開催地は未確定 — 10月に3つの需要ウィンドウが並ぶ

NPBが公表している2026年度のクライマックスシリーズ日程は、セ・リーグ(2026 JERA クライマックスシリーズ セ)とパ・リーグ(2026 パーソル クライマックスシリーズ パ)で完全に同一の日割りである。ファーストステージは10月10日から12日の3日間(予備日10月13日)、ファイナルステージは10月14日から19日の6日間(予備日10月20日・21日)。日本シリーズは10月24日に開幕し、NPBの10月試合日程では10月24日・25日がセ・リーグ本拠地球場、10月27日から29日がパ・リーグ本拠地球場、10月31日が再びセ・リーグ本拠地球場と記載されている。

ここで重要なのは、いずれのステージも開催球場が「順位」で決まる点である。CSファーストステージはリーグ2位球団の本拠地、ファイナルステージはリーグ1位球団の本拠地で行われる。日本シリーズはリーグ優勝チームとCS勝者の組み合わせが確定して初めて会場が定まる。つまり10月の宿泊需要は、日程だけが先に確定し、需要が発生する都市が後から決まるという構造を持つ。開催地が早くから決まっている単日興行の場合に周辺市場がどう動くかは、プロ野球オールスター2026・富山アルペンスタジアム30年ぶり開催で検証しており、本稿の「条件付き需要」との対比として読める。

表1:2026年 クライマックスシリーズ・日本シリーズ 日程と開催球場の決まり方
ステージ日程予備日開催球場
CS ファーストステージ(セ・パ)10月10日(土)〜12日(月)10月13日(火)各リーグ2位球団の本拠地
CS ファイナルステージ(セ・パ)10月14日(水)〜19日(月)10月20日(火)・21日(水)各リーグ1位球団の本拠地
日本シリーズ 第1戦・第2戦10月24日(土)・25日(日)—セ・リーグ本拠地球場
日本シリーズ 第3戦〜第5戦10月27日(火)〜29日(木)—パ・リーグ本拠地球場
日本シリーズ 第6戦10月31日(土)—セ・リーグ本拠地球場

出典:日本野球機構「2026年度 セントラル/パシフィック・リーグ クライマックスシリーズ日程」「2026年度 セ・パ公式戦 10月試合日程」よりホテルバンク編集部作成

なお10月10日から12日は「スポーツの日」(10月12日)を含む3連休にあたり、CSファーストステージと完全に重なる。この3連休については訪日需要の観点からも需給が動く時期であり、台湾の双十節(10月10日)との重なりを扱った双十節×スポーツの日、重なる10/9〜10/12で別途検証している。本稿は国内スポーツ興行に伴う遠征需要を扱うため、同じ日付でも観点が異なる。

12球場の受け皿を同心円で数える — 2km圏に客室がない球場が2つ

遠征需要がどこに落ちるかは、球場の周囲にどれだけ客室があるかで決まる。メトロエンジンリサーチが追跡する施設のうち客室数が登録されている施設を対象に、12球場それぞれの半径1km・2km・3km・5km・10km圏の客室数を集計した。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

半径2km圏で最も客室が厚いのは横浜スタジアムの19,058室で、うち13,513室は1km圏内にある。関内・桜木町の宿泊集積がそのまま球場の徒歩圏になっている構図だ。続いて明治神宮野球場14,787室、東京ドーム14,360室、MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島13,954室と続く。

一方、エスコンフィールドHOKKAIDOとベルーナドームは半径2km圏の該当客室が0室である。3km圏でもそれぞれ297室・70室にとどまり、5km圏でようやく561室・700室に届く。阪神甲子園球場も2km圏623室、バンテリンドーム ナゴヤは2km圏393室と薄い。これらの球場では、需要は圏内で吸収されず、必ず隣接商圏へ流れることになる。

表2:12球団本拠地球場 半径別の圏内客室数(1km〜10km・単位=室)
球場所在1km圏2km圏3km圏5km圏10km圏
横浜スタジアム神奈川県横浜市13,51319,05821,11424,55531,338
明治神宮野球場東京都新宿区99014,78752,661105,193228,283
東京ドーム東京都文京区6,21614,36036,873150,597226,380
マツダ広島広島県広島市4,03813,95420,39222,47923,540
京セラD大阪大阪府大阪市1,0719,53555,115118,812146,539
楽天モバイルP宮城宮城県仙台市2685,72114,75017,63419,664
ZOZOマリン千葉県千葉市1,2054,3554,8585,42919,145
みずほPayPayD福岡県福岡市1,6342,2494,24831,18150,277
阪神甲子園兵庫県西宮市5496237222,1129,933
バンテリンD愛知県名古屋市233931,73319,80745,500
エスコンF北海道北海道北広島市002975611,561
ベルーナドーム埼玉県所沢市00707002,847

単位=客室数。メトロエンジンリサーチが追跡する施設のうち客室数が登録されている施設を集計。東京ドームと明治神宮野球場、京セラドーム大阪と阪神甲子園球場は圏が一部重複する。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

圏内在庫が薄い球場ほど、同心円を広げたときの伸び方が急になる。バンテリンドーム ナゴヤは2km圏393室から5km圏19,807室へ約50倍に膨らむ。名古屋駅・栄の宿泊集積が受け皿として機能する構図である。みずほPayPayドーム福岡も2km圏2,249室に対し5km圏31,181室で、博多・天神が受け皿になる。対してエスコンフィールドHOKKAIDOは10km圏でも1,561室にとどまり、札幌都心まで距離を取らないと在庫が積み上がらない。球場近接という立地価値の一般的な評価軸については会場近接という立地価値も参照されたい。

円の大きさは半径2km圏の客室数。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

10月の掲載価格に動いているのは「確定した予定」だけ

次に、各球場の商圏内に立地する施設の日別掲載価格中央値を10月について集計した。商圏の定義は、2km圏の客室数が2,000室以上の球場は2km圏、それ以外は5km圏とし、集計対象は該当日に価格が観測できた施設に限っている。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

グラフに現れる山はほぼすべて曜日と祝日で説明がつく。土曜がすべての市場で高く、10月10日(土)と11日(日)は3連休の中日として突出する。CSファイナルステージの10月14日から19日、日本シリーズの10月24日以降には、曜日パターンを超える山が立っていない。

同じ曜日の平常日(10月から11月の非イベント日)の中央値を基準に、各ウィンドウの乖離を取ると構図はより明確になる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

表3:球場商圏別 掲載価格中央値の同曜日平常日比(ウィンドウ別中央値・%)
球場商圏10/11(日)単日CS-FS
10/10-12
CS-ファイナル
10/14-19
日本シリーズ
10/24-31
エスコンF北海道+3.3%+3.3%+0.1%+4.2%
楽天モバイルP宮城+72.1%+16.7%-8.3%-5.8%
東京ドーム+24.7%-2.7%-0.5%+2.2%
明治神宮野球場+20.2%+3.0%+0.2%+2.0%
ZOZOマリン+44.6%-2.7%-3.3%-14.2%
ベルーナドーム—+24.8%——
横浜スタジアム+85.2%+12.1%-5.5%-1.0%
バンテリンD+6.2%+1.4%+2.4%-23.2%
阪神甲子園+47.7%+7.7%+5.3%+1.2%
京セラD大阪+23.5%-0.6%-0.5%+0.1%
マツダ広島+73.4%+9.3%+2.2%-0.9%
みずほPayPayD+47.6%-4.5%-4.8%-1.1%

同曜日の平常日中央値に対する掲載価格中央値の乖離(各ウィンドウは日別乖離の中央値)。ベルーナドーム商圏は価格が観測できた施設が5施設と少なく、CS-FSウィンドウ以外は算出していない。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

10月11日(日)単日では、横浜スタジアム商圏が同曜日平常日比+85.2%、MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島商圏が+73.4%、楽天モバイルパーク宮城商圏が+72.1%と、価格を算出できた11商圏のうち9商圏で二桁の上振れが出ている。翌日が祝日となる日曜という、全国共通のカレンダー要因である。

これに対しCSファイナルステージのウィンドウ(10月14日〜19日)は、算出できた11商圏のうち8商圏で乖離が±5%以内に収まった。阪神甲子園球場商圏の+5.3%が最大で、複数の商圏では平常日をわずかに下回っている。日本シリーズのウィンドウも同様で、東京ドーム商圏+2.2%、明治神宮野球場商圏+2.0%、京セラドーム大阪商圏+0.1%と、ほぼ平常水準にとどまる。

予約進度も同じ結論 — LT80断面の推定稼働率

価格が動いていないとしても、在庫は先に動いているかもしれない。そこで12球場が所在する11都道府県について、チェックイン日の80日前時点(LT80断面)の推定稼働率を比較した。

断面をLT80に置いた理由:本稿の執筆時点(2026年8月14日)から見て、対象となる10月10日は57日先、10月31日は78日先にあたる。全対象日について共通して観測できる最も深いリードタイム断面がLT80であるため、これを比較軸とした。より直前のLT45やLT30の断面は、10月の日程についてはまだ観測が存在しない。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

表4:都道府県別 LT80断面の推定稼働率と平常日との差(pt)
都道府県該当球場平常日の
推定OCC
CS-FS
差(pt)
CS-ファイナル
差(pt)
日本シリーズ
差(pt)
LT80断面の
観測施設数
北海道エスコンF北海道70.1%+1.5-0.9-1.4766〜1,322
宮城県楽天モバイルP宮城71.7%+0.3-7.5-4.8188〜331
東京都東京ドーム/明治神宮67.5%+2.4+1.9+3.7867〜1,324
千葉県ZOZOマリン65.5%+3.1+1.9+0.9326〜677
埼玉県ベルーナドーム67.1%+4.3+0.1+1.6125〜221
神奈川県横浜スタジアム64.0%+4.0-1.0+0.2391〜664
愛知県バンテリンD77.9%-6.6-0.5-10.4375〜529
兵庫県阪神甲子園70.7%-0.6-0.4+0.9454〜797
大阪府京セラD大阪64.0%+2.0+2.2+3.0413〜707
広島県マツダ広島65.8%+6.2+7.8+3.3221〜392
福岡県みずほPayPayD70.1%+0.5-0.4+0.6358〜606

推定稼働率は都道府県単位のOTA掲載在庫ベース。観測施設数は日付により変動するため各都道府県のレンジを開示している。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

11都道府県のうち、CSファイナルステージのウィンドウで平常日を明確に上回ったのは広島県(+7.8pt)のみである。東京都は+1.9pt、大阪府は+2.2pt、千葉県は+1.9ptで、残りは±1pt前後か平常日を下回っている。日本シリーズのウィンドウでも、東京都+3.7pt、広島県+3.3pt、大阪府+3.0ptが上位で、全体としては平常日の水準にとどまる。

上振れしている日には、すでに確定した別の予定が入っている

唯一目立つ広島県の動きを日別に分解すると、10月17日(土)のLT80断面推定OCCが83.4%(2026年8月14日時点の観測)と、同曜日平常日(65.8%前後)を17.6pt上回っていた。掲載価格中央値も同日は約¥40,500で、同じ商圏ベースの平常の土曜(10月3日・約¥34,400)を上回る。ただしこの日は広島市内の大型アリーナで全国ツアー公演が10月17日・18日の2日間組まれており、同時に別会場でもホール公演が予定されている。CSファイナルステージ第4戦・第5戦と日付が重なるものの、上振れをポストシーズン由来と断定することはできない。アリーナ公演が周辺の宿泊単価に与える影響についてはアリーナ・ホール公演はホテル単価を動かすかで検証している。

愛知県はさらに明確だ。10月1日から4日のLT80断面推定OCCは78.7〜87.2%と高く、10月5日以降は66%台へ落ちる。その後10月16日から24日にかけて再び76.9〜79.7%へ上がり、10月25日以降は64%台へ戻る。この2つの山は、第20回アジア競技大会(2026年9月19日〜10月4日、愛知・名古屋)と第5回アジアパラ競技大会(2026年10月18日〜24日、愛知・名古屋)の会期にきれいに重なる。アジアパラ競技大会の会期が愛知の平日需要をどこまで押し上げているかは、アジアパラ競技大会が動かす愛知の10月で日別に分解している。

ここは実務上、見落とせない論点になる。アジアパラ競技大会の会期10月18日〜24日は、CSファイナルステージ第5戦(10月18日)・第6戦(10月19日)、そして日本シリーズ第1戦(10月24日)と完全に重なる。バンテリンドーム ナゴヤが本拠地となるケースでは、名古屋市内の宿泊需要は国際大会とポストシーズンが同じ日に積み上がることになる。名古屋圏の需要波及については2026年アジア競技大会・愛知の宿泊需給で詳しく扱っている。

大阪府では10月31日(土)のLT80断面推定OCCが83.9%(2026年8月14日時点の観測)と、同曜日平常日(65.6%前後)を18.3pt上回った。翌11月1日(日)も76.4%と高い。10月31日は日本シリーズ第6戦の設定日でもあるが、同時にハロウィン当日が土曜と重なる年でもあり、大阪市中心部の需要要因としては後者の寄与が大きいと見るのが自然である。

共通するのは、80日前の段階で価格と在庫に表れているのが「開催が確定している予定」だけだという点である。ポストシーズンは日程が確定していても開催地が確定していないため、市場はまだ織り込みようがない。

確定から開催までは3〜10日 — その時点で残る在庫は市場の1〜2割

では、開催地が確定してからの窓はどれくらいあるのか。NPBの2026年10月試合日程では、レギュラーシーズンの最終日程は10月4日(日)に置かれている。順位が確定するのはここが最速で、CSファーストステージ初戦(10月10日)まで6日、ファイナルステージ初戦(10月14日)まで10日となる。日本シリーズはCSファイナルステージの決着(10月19日、もつれれば予備日の10月21日)を待つため、第1戦(10月24日)まで3〜5日、パ・リーグ本拠地での第3戦(10月27日)まで6〜8日しかない。

この「3〜10日」という窓に、市場にはどれだけ在庫が残っているのか。2026年6月から7月の実績日を用いて、リードタイム別の推定稼働率プロファイルを取った。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

表5:都道府県別 リードタイム別の残室率(土曜・水曜/2026年6月〜7月の実績日中央値)
都道府県土曜 LT10の
残室率
土曜 LT7の
残室率
水曜 LT10の
残室率
水曜 LT7の
残室率
東京都9.8%8.7%14.3%11.7%
大阪府17.5%16.0%24.1%21.7%
広島県17.2%16.2%25.3%21.7%
福岡県11.1%9.8%18.2%15.0%
愛知県14.2%13.4%22.8%19.5%
宮城県10.2%9.2%21.2%18.8%

2026年6月13日・20日・7月11日・18日(土曜)および6月17日・7月15日(水曜)のチェックイン実績を用いた中央値。残室率=100%−推定稼働率。出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

土曜のプロファイルでは、東京都はLT10時点ですでに推定稼働率90.2%(2026年6月〜7月の土曜実績中央値)に達しており、残室率は9.8%にとどまる。宮城県10.2%、福岡県11.1%も同様に薄い。相対的に余裕があるのは大阪府17.5%、広島県17.2%、愛知県14.2%である。水曜になると残室率は上がり、大阪府24.1%、広島県25.3%、愛知県22.8%と2割台になる。

つまり、開催地が確定した時点で市場に残っている掲載在庫は、平日でおよそ2割、週末では1割前後という水準である。ポストシーズンの遠征需要は、この限られた残余在庫をめぐって短期間に集中することになる。リードタイム別の在庫消化を都市単位で読む手法は東京都9月前半の予約進捗をT-45/T-30/T-14で逆算するでも扱っている。

確定前に何を決めておくか — データが示す選択肢

以上を踏まえると、本拠地球場を商圏に持つ施設にとっての論点は「値上げするかどうか」ではなく、「確定前の在庫をどう持ち、確定後に何日で反応できる体制を作るか」に集約される。データから読み取れる選択肢を整理する。

選択肢1:確定前は平常運転で埋め、確定後は残余在庫で勝負する。週末の残室率が1割前後という数字は、確定前に在庫を埋めても、確定後に動かせる枠が一定量は残ることを示している。東京都のように平常日でもLT80時点で推定稼働率67.5%(2026年8月14日時点の観測)まで進む市場では、需要の厚みそのものがベースにあるため、条件付き需要を待って在庫を空けておくコストが相対的に高い。確定前の販売を優先し、確定後は残った1割で対応するという設計が成り立つ。

選択肢2:確定日を挟む数日だけ、部分的に在庫を留保する。大阪府・広島県・愛知県のように平日残室率が2割台ある市場では、留保の余地が構造的に大きい。CSファイナルステージなら10月4日、日本シリーズなら10月19日から21日という確定日が事前に分かっているため、その直後に販売できる枠をあらかじめ設計しておくことは可能である。ただし留保した枠が空振りになるリスクは、条件付き需要である以上避けられない。

選択肢3:確定済みイベントと重なる日を先に押さえる。本稿の分析で最も再現性が高いのは、確定済みの予定はすでに価格と在庫に表れているという事実だった。名古屋のアジアパラ競技大会(10月18日〜24日)、広島の大型公演(10月17日・18日)、大阪のハロウィン週末(10月31日)はいずれもポストシーズンと日付が重なる。ポストシーズンが上乗せされるかどうかに関わらず、これらの日は需要が確定している。条件付き需要を待つより、確定需要を取り切る設計を先に固める方が、リスクとリターンの見合いは読みやすい。

選択肢4:受け皿商圏で構える。エスコンフィールドHOKKAIDO、ベルーナドーム、阪神甲子園球場、バンテリンドーム ナゴヤのように圏内在庫が薄い球場では、需要は必ず隣接商圏へ流れる。札幌都心、池袋・所沢方面、大阪市内・三宮、名古屋駅・栄がその受け皿にあたる。これらの商圏の施設にとっては、球場から離れていることが不利ではなく、確定後に需要が到達する順序が読めるという意味で有利に働く可能性がある。

いずれも断定的な推奨ではなく、データが示す選択肢である。どれを取るかは各施設の在庫構成、直販比率、キャンセルポリシーによって変わる。

まとめ

2026年のポストシーズンは、日程がNPB公式で確定している一方、開催都市はレギュラーシーズンとCSの結果を待たなければ決まらない。80日前時点の観測では、12球場の商圏いずれにおいても、掲載価格・予約進度の両面でポストシーズン由来と読める動きは現れていない。市場が織り込んでいるのは3連休・大型公演・国際大会・ハロウィンといった確定済みの予定だけである。

供給側から見ると、横浜スタジアムの2km圏19,058室のように圏内で完結する球場と、エスコンフィールドHOKKAIDOやベルーナドームのように2km圏に該当客室がなく広域の受け皿に依存する球場とで、需要の落ち方はまったく異なる。開催地確定から初戦までの窓は3〜10日、その時点で市場に残る掲載在庫は週末で1割前後・平日で2割前後。この短い窓の中で何を売るかを、確定を待たずに設計しておけるかどうかが、10月の成果を分ける変数になる。

⚠ 将来日程のデータに関する注意:本記事で扱う10月の掲載価格・推定稼働率は、いずれも調査時点(2026年8月14日)でOTAに公開されている在庫と販売価格に基づく推定であり、チェックイン日に近づくにつれて変動します。特に本記事の対象日は執筆時点で30日以上先にあたるため、個別施設の在庫状況から「完売」「早期完売」といった断定的な判断は行っていません。OTAへ在庫を絞って掲載している施設では、残室が少ないことが需給の逼迫を意味しないためです。

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参考資料・出典一覧

■ 日程(一次情報)

■ 同時期の確定イベント

■ 市場データ

  • メトロエンジンリサーチ — 球場圏内の客室供給(半径1〜10km、12球場)、10月の日別掲載価格中央値(対象施設1,807施設)、都道府県別のリードタイム別推定稼働率

■ データソース

メトロエンジンリサーチの掲載価格・OTA掲載在庫ベースの推定稼働率・施設マスター(客室数)を使用。球場圏内の客室数は客室数が登録されている施設のみを対象に、12球場それぞれの半径1km〜10km圏で集計した。10月の日別掲載価格中央値の対象は1,807施設、推定稼働率は都道府県単位。日程は日本野球機構の公式ページ(2026年8月14日確認)。

■ 試算前提

商圏の定義は、半径2km圏の客室数が2,000室以上の球場は2km圏、それ以外は5km圏。掲載価格は2名1室・税込・全プラン平均の施設日次平均をエリア中央値化した値。比較基準の「平常日」は10月〜11月の非イベント日を同一曜日で揃えた中央値。予約進度の比較軸はLT80断面(チェックイン日の80日前)に統一し、残室率=100%−推定稼働率とした。リードタイム別プロファイルは2026年6月13日・20日・7月11日・18日(土曜)および6月17日・7月15日(水曜)のチェックイン実績の中央値。

■ 限界・留意点

掲載価格は成約価格ではなく、推定稼働率もOTA掲載在庫ベースの推定値で施設全体の実稼働率とは異なる。対象日は執筆時点で30日以上先にあたるため、以後の在庫調整で数値は変動する。開催球場が未確定である以上、本稿の乖離分析はポストシーズン需要の有無を証明するものではなく、80日前時点で市場が織り込んでいないことを示すにとどまる。東京ドームと明治神宮野球場、京セラドーム大阪と阪神甲子園球場は商圏が一部重複する。観測施設数が少ない商圏(ベルーナドーム商圏は5施設)はCS-FSウィンドウ以外の集計を行っていない。

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