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「大曲の花火」当日の秋田県は45日前で推定OCC97.8% — 上積み余地のない需要日をどう設計するか

投稿日 : 2026.08.16

秋田県

レベニューマネジメント

季節・イベント

「大曲の花火」当日の秋田県は45日前で推定OCC97.8% — 上積み余地のない需要日をどう設計するか

2026年8月29日(土)に開催される第98回全国花火競技大会「大曲の花火」。この日の秋田県全体の推定OCC(OTA掲載在庫ベース)は、宿泊日の45日前の観測時点ですでに97.8%に達していた。直近観測(16日前)でも97.2%で、45日前から直近までの変動は−0.6ptにとどまる。一方、同じ8月の平常土曜である8月22日は45日前74.2%→直近16日前81.2%と+7.0ptを積み上げた。つまり大会日は「45日を切ってから売る」という通常のブッキングカーブが構造的に存在しない日である。本稿では秋田県の宿泊在庫データから、この特異日の断面をカテゴリ別・市別に分解し、上積み余地のない需要日をどう設計するかを検証する。

対象: 秋田県の全宿泊施設 N=205施設(2026年8月29日断面)/N=203施設(8月22日断面)。本記事の稼働率はOTA掲載在庫ベースの推定値(推定OCC)であり、価格指標は扱わない。いずれも定義は記事末尾。データ時点: 2026年8月14日。

Key Takeaways
  • — 大会日8月29日の推定OCCは45日前97.8%→直近16日前97.2%の−0.6pt。平常土曜8月22日が同じ窓で積む+7.0ptにあたる「積み上げ区間」が、この日には存在しない。
  • — 30日前断面の完売施設率は大会日81.0%対平常土曜20.7%で60.3pt差。推定OCCの差20.9ptの約3倍で、稼働量だけを追うと競争環境の変化を取りこぼす。
  • — 業態別の落差はシティホテル+73.3pt・ビジネスホテル+71.1pt・旅館+56.5pt。平常土曜の水準が低い業態ほど、イベント日との断層が深い。
  • — 会場所在の大仙市98.6%より、離れた仙北市99.7%のリフト幅+33.7ptが4市で最大。需要は会場圏に収まらず県内在庫をほぼ一様に吸い上げている。
  • — 45日前97.8%の上積み余地は2.2ptしかなく、市場の平常上積み幅+7.0ptの31%しか算術上吸収できない。境目は45日前93.0%である。

45日前で天井 — 大会日のブッキングカーブは「積み上がらない」

まず開催日の実在を確認しておく。第98回全国花火競技大会「大曲の花火」は2026年8月29日(土)、秋田県大仙市の大曲雄物川河畔(「大曲の花火」公園)で開催され、昼花火17:10〜18:00、夜花火19:00〜21:30、打上数は約1万8000発とされている(出典は記事末尾)。8月最終土曜という位置づけで、直前の平常土曜が8月22日にあたる。この2日を同一の観測窓(宿泊日の45日前〜16日前)で並べたのが下のブッキングカーブである。

形状の違いは一目瞭然だ。8月29日は45日前の時点で97.8%、以降は97.2%〜98.1%の帯を横ばいに推移する。カーブと呼べる傾きがない。対して8月22日は74.2%から緩やかに右肩上がりで81.2%へ到達する。レベニューマネジメントの実務でいう「残り45日での積み上げ」が、大会日には最初から存在しないということである。なお同じ大会日を別の観測断面から扱った分析として、45日前にすでに94.5% — 大曲の花火当日と平常週末、秋田県の在庫消化はどこで差がついたかもあわせて参照されたい。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成/秋田県全業態・観測施設数レンジ 8月29日=74〜204施設、8月22日=172〜202施設(直近観測列を含む)

この「積み上がらなさ」が大会日固有のものかを確かめるため、同じ8月の4つの土曜について、45日前と16日前の推定OCCの差分(上積み幅)を揃えて計算した。8月8日は盆期間の入りにかかるため水準そのものが高く、8月15日は平常土曜と同程度の水準だが、上積み幅はいずれも+7pt台で驚くほど揃っている。秋田県の土曜は、通常であれば残り45日で7pt前後を積む市場だといえる。そのなかで8月29日だけが−0.6ptと孤立している。祭事日が45日前の時点で決着している構図は秋田県に限った話ではなく、山形花笠まつり2026、需要は45日前で決着しているでも曜日を揃えた比較で同じ形状が確認されている。

表1 秋田県・2026年8月の土曜4日の推定OCCと上積み幅(宿泊日の45日前→16日前、N=201〜205施設)
宿泊日(土曜) 45日前の推定OCC 16日前の推定OCC 上積み幅 観測施設数レンジ
8月8日85.8%93.1%+7.3pt38〜167施設
8月15日72.4%79.6%+7.2pt15〜201施設
8月22日(平常土曜)74.2%81.2%+7.0pt172〜202施設
8月29日(大会日)97.8%97.2%−0.6pt74〜204施設

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成/秋田県全業態、いずれも宿泊日の45日前〜16日前の観測に基づく

なお8月29日の観測施設数は45日前付近で74〜96施設と薄く、30日前を境に約200施設へ厚くなっている。観測母集団が2倍以上に入れ替わったにもかかわらず推定OCCが97.8%前後で動いていない点は、この水準が一部施設の偏りによる断面ではないことを示す。以降の比較は、観測施設数が両日とも厚い30日前の断面を主軸に据える。

完売施設率で最大73pt差 — カテゴリ別に見る大会日の断面

推定OCCは在庫量ベースの指標であるため、「何室残っているか」は映すが「何軒が売り切っているか」は映さない。そこで併せて見るのが完売施設率(OTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合・推定)である。30日前の断面を業態別に取ると、大会日と平常土曜の差は推定OCCよりもはるかに大きく開く。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成/秋田県・宿泊日の30日前断面

全業態では8月29日の完売施設率81.0%に対し8月22日は20.7%で、差は60.3pt。業態別ではさらに極端で、ビジネスホテルは82.4%対11.3%(+71.1pt)、シティホテルは80.0%対6.7%(+73.3pt)に達する。平常土曜のビジネス・シティホテルは10軒に1軒しか売り切っていないのに、大会日は10軒中8軒が掲載在庫を確認できない状態にある。旅館は75.0%対18.5%(+56.5pt)で、差は相対的に小さいが水準そのものは高い。

表2 秋田県・業態別の推定OCC/完売施設率(2026年8月29日 vs 8月22日、N=15〜205施設)
業態 8/29 45日前
OCC/完売
8/29 30日前
OCC/完売
8/29 直近16日前
OCC/完売
8/22 30日前
OCC/完売
観測施設数レンジ
8/29 / 8/22
全業態97.8% / 82.4%97.8% / 81.0%97.2% / 75.6%76.9% / 20.7%74〜204 / 172〜202
ビジネスホテル98.8% / 88.2%98.7% / 82.4%97.7% / 72.5%78.3% / 11.3%21〜51 / 50〜52
シティホテル98.6% / 80.0%98.6% / 80.0%99.1% / 80.0%77.5% / 6.7%5〜15 / 14〜15
旅館95.0% / 72.5%95.7% / 75.0%94.8% / 71.2%75.1% / 18.5%35〜79 / 71〜81

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成/完売=OTA等で掲載在庫が確認できない状態(推定)。シティホテルの45日前は観測施設数5施設と薄いため参考値

表で注目したいのは、業態を問わず45日前と30日前でほとんど数字が動いていないことだ。シティホテルに至っては完売施設率が45日前・30日前・直近16日前のすべてで80.0%と横ばいである(ただし45日前の観測施設数は5施設と薄く参考値扱い)。ビジネスホテルは完売施設率が88.2%→82.4%→72.5%と直近にかけて下がっており、これは在庫が戻る動き、すなわち直前のキャンセルや追加放出が観測されていることを意味する。大会日で唯一「動きがある」のはこの直前帯だといえる。

需要リングは会場のある大仙市を大きく越える

県レベルの集計は、市町村単位のイベントによる需要リフトを薄めてしまう性質がある。そこで会場のある大仙市に加え、県庁所在地の秋田市、そして近隣の横手市・仙北市について、同じ30日前断面で推定OCCと完売施設率を取り直した。結果は、県レベルの数字が「薄まっていなかった」ことを示している。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成/宿泊日の30日前断面

表3 秋田県内4市の推定OCCと完売施設率(宿泊日の30日前断面、N=12〜36施設)
市 8/29 推定OCC 8/29 完売施設率 8/22 推定OCC 8/22 完売施設率 観測施設数レンジ
8/29 / 8/22
大仙市(会場所在)98.6%92.3%79.6%7.7%2〜13 / 11〜13
秋田市99.8%96.7%77.6%16.1%5〜30 / 29〜31
横手市100.0%100.0%85.9%33.3%1〜14 / 10〜12
仙北市99.7%94.3%66.0%22.2%7〜35 / 30〜36

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成/観測施設数レンジは宿泊日の45日前〜直近観測を通じた値(直近観測列を含む)

4市すべてが30日前の時点で推定OCC 98.6%以上(2026年7月30日観測・宿泊日の30日前断面)に張り付いている。会場から離れた仙北市は平常土曜が66.0%と県平均を下回る市場であるにもかかわらず、大会日は99.7%まで押し上げられ、リフト幅は+33.7ptと4市で最大となる。つまり需要は会場のある大仙市に収まりきらず、県内の宿泊在庫をほぼ一様に吸い上げている。県レベル集計で97.8%という数字が出ていたのは、集計による平滑化の結果ではなく、県全域が実際に同じ状態にあったからだと読める。イベント需要が会場圏の外側に乗る現象については、鳥取9月5日の需要の山は会場圏になかったが別の事例で掘り下げている。

参考までに、秋田県の2026年7月(経過月実績)の推定OCC月平均は90.4%、うち土曜の平均は94.5%(4日分)だった。大会日の97.8%は、県内で最も需要が厚い曜日の平年的な水準をさらに上回る位置にある。

上積み余地は算術で決まる — 45日前水準×上積み幅の到達水準グリッド

ここまでの断面を、レベニューマネジメントの意思決定に使える形へ整理しておく。推定OCCが100%を超えることはないから、45日前の水準が高いほど、その後に積める幅は算術的に狭まる。上積み余地(=100 − 45日前の推定OCC)という一本の量で、この記事の観測値はすべて説明できる。以下は予測ではなく、本記事で観測された実測値の当てはめである。

まず、本文で観測した3つの45日前水準について、上積み余地と、秋田県の平常土曜が実際に積んだ+7.0pt(8月22日・45日前→16日前)が算術上成立するかを並べる。

表5 45日前水準3ケース別の上積み余地と到達水準(実測レンジの当てはめ・予測ではない)
ケース 45日前の推定OCC 上積み余地
(100−水準)
平常土曜の+7.0ptを
算術上吸収できるか
+7.0pt適用時の
到達水準
同日の直近16日前
実測値
悲観
8月15日・全業態
72.4%27.6pt吸収できる(余地は+7.0ptの3.9倍)79.4%79.6%
中位
8月8日・全業態
85.8%14.2pt吸収できる(余地は+7.0ptの2.0倍)92.8%93.1%
楽観
8月29日・全業態(大会日)
97.8%2.2pt吸収できない(余地は+7.0ptの31%)104.8%
算術上成立せず
97.2%

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成/45日前・16日前とも本文表1の実測値。+7.0ptは8月22日(平常土曜)の実測上積み幅

境目は明快で、平常土曜の+7.0ptが算術上成立する上限は45日前93.0%である。ここを超えた日は、市場が普通に積む幅を全部は受け取れない。大会日の余地2.2ptは+7.0ptの31%にすぎず、実測の上積み幅が−0.6ptだったことは「売れ残りが少なかった」のではなくそもそも入る器がなかったと読むほうが正確だ。悲観ケースの8月15日(余地27.6pt)と比べると、器の大きさは12.5倍違う。

次に、45日前水準と上積み幅を両軸に取り、到達水準(=両者の和)を5×5で並べる。縦軸は本文で観測した5つの45日前水準、横軸は本文で観測した上積み幅の実測レンジ(−0.6pt〜+7.3pt)を等分した5水準で、いずれも本記事の観測範囲の内側にある。網掛けのセルは和が100%を超え、算術上成立しない組み合わせである。

表6 45日前水準×上積み幅の到達水準グリッド(両軸とも本文の実測レンジ内・セルは両者の単純和)
45日前の推定OCC \ 上積み幅−0.6pt+1.4pt+3.4pt+5.3pt+7.3pt
72.4%
8月15日・全業態
71.8%73.8%75.8%77.7%79.7%
74.2%
8月22日・全業態
73.6%75.6%77.6%79.5%81.5%
85.8%
8月8日・全業態
85.2%87.2%89.2%91.1%93.1%
95.0%
8月29日・旅館
94.4%96.4%98.4%100.3%
成立せず
102.3%
成立せず
97.8%
8月29日・全業態
97.2%99.2%101.2%
成立せず
103.1%
成立せず
105.1%
成立せず

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成/縦軸・横軸とも本文で観測した実測値。−0.6ptは8月29日、+7.3ptは8月8日の実測上積み幅

グリッドの読み方は2つある。第一に、25セル中5セルが算術上成立しない——そのすべてが上2行(45日前95.0%以上)に集中している。第二に、対角の2セルが実測値を再現する。97.8%行の−0.6pt列は97.2%で大会日の直近実測と一致し、85.8%行の+7.3pt列は93.1%で8月8日の直近実測と一致する。つまりこのグリッドは仮定の産物ではなく、観測された組み合わせをその位置に含んでいる。

実務上の含意はこうだ。自館の対象日について45日前の進捗が93.0%を超えていたら、その日はもう「これから積む日」ではない。積み上げ計画のかわりに、①45日前より手前の意思決定を前倒しする、②直前帯のキャンセル戻りを取りにいく、の2つに資源を寄せるほうが期待値が高い。前者は翌年以降の設計、後者は今年の残り16日の話である。

秋田県のホテル・旅館を運営するレベニューマネージャーへ — 示唆とアクションプラン

(a) 運営目線のインサイト

1. この日の勝負は45日前より前に終わっている。 秋田県の平常土曜は45日前から16日前までに推定OCCで+7.0pt(8月22日)を積み上げる。同じ窓で大会日は−0.6pt。自館のこの日の予約進捗を「あと45日あるから積める」という前提で眺めていると、市場の実像と噛み合わない。逆にいえば、翌年以降の同種イベント日については、意思決定と在庫設計を45日前より手前に前倒しできているかが分岐点になる。

2. 推定OCCではなく完売施設率で見ると差が3倍に開く。 30日前断面の全業態で、完売施設率の差が60.3ptに開くのに対し、推定OCCの差は20.9ptにとどまる。稼働の残量だけを追っていると、周辺の何軒が既に売り切っているかという競争環境の変化を取りこぼす。自館の進捗レビューでは、在庫量の指標と「周囲が売り切っているか」の指標を分けて持つ余地がある。

3. 業態によって「平常土曜との落差」の大きさが違う。 完売施設率の差はシティホテル+73.3pt、ビジネスホテル+71.1pt、旅館+56.5pt。宿泊主体の業態ほど落差が大きく、平常土曜の水準(ビジネス11.3%、シティ6.7%)が低いぶん、イベント日の設計を平常日の延長線で組むと乖離が大きくなる。旅館は平常土曜18.5%と土台が高く、落差は相対的に小さい。

4. 立地の遠近で需要リングを切らない。 30日前断面で大仙市98.6%、秋田市99.8%、横手市100.0%、仙北市99.7%と、会場から離れた市も含めて水準に差がない。仙北市は平常土曜66.0%からのリフト幅が+33.7ptと最大だった。「会場から遠いから関係ない」という前提は、少なくともこの日の県内在庫については当てはまらない。

5. 直近帯には在庫が戻る動きがある。 ビジネスホテルの完売施設率は45日前88.2%→30日前82.4%→直近16日前72.5%と低下している。キャンセルや追加放出によって直前に枠が生まれる局面が観測されており、この帯は「売り切った後」ではなく「もう一度売る」フェーズとして扱う余地がある。

以上を、実務の時間軸に落とし込むと次のようになる。判断トリガーはすべて本記事で提示した数値に紐づけている。

表4 時間軸別のアクションプランと判断トリガー(本文提示の数値に紐づけ)
時間軸 打ち手 判断トリガー 狙い
今日〜今週 8月29日の自館残枠と、キャンセル戻りの受け皿(販売停止していた在庫の再開放)を点検する 直近16日前断面で市場の完売施設率が全業態75.6%・ビジネスホテル72.5%と、45日前より低下している(在庫が戻っている)局面にあるなら 「売り切った後の再販売」機会を取りこぼさない
今日〜今週 前後日(8月28日金・8月30日日)の残枠状況を大会日とセットで確認する 自館の8月29日が市場水準(2026年8月13日観測・直近16日前断面の推定OCC 97.2%・完売施設率75.6%)に近い一方で前後日が空いているなら 単日で溢れた需要の前後日への振り分け余地を確認する
2週間以内 大会日の実績(最終的な稼働・キャンセル発生本数・予約が入った時期)を記録として残す 今回、市場が45日前(2026年7月15日観測)の時点で既に推定OCC 97.8%だった事実を、自館の予約獲得時期と突き合わせられていないなら 翌年の判断材料を、記憶ではなく記録として確保する
2週間以内 進捗モニタリングの指標に「周辺の完売施設率」を追加し、稼働率と分けて追う 30日前断面で推定OCC差20.9ptに対し完売施設率差60.3ptという乖離が、自館のレビュー資料に映っていないなら 競争環境の変化を稼働率だけで見誤らない
来月に向けて 次年度の同種イベント日について、判断・在庫設計のマイルストーンを45日前より手前に置き直す 平常土曜が45日前以降に+7.0ptを積むのに対し、大会日の同区間が−0.6ptだったという形状差を踏まえるなら 「積み上げ期間がない日」の意思決定を後追いにしない
来月に向けて 自館の需要圏の定義を、会場からの距離基準ではなく実データ基準で見直す 平常土曜66.0%の仙北市が大会日99.7%(+33.7pt)まで動いた事実に対し、自館が「会場圏外」と整理していたなら 遠隔立地でも取りにいける需要日を見落とさない

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

まとめ — 「上積み余地のない日」を測る3つの物差し

大曲の花火当日の秋田県から取り出せる、他の需要日にも転用できる物差しは3つある。

物差し1:上積み幅。 45日前と直近観測の推定OCCの差を取る。秋田県の平常土曜は+7.0〜+7.3ptで揃っており、これがこの市場の「普通の傾き」である。対象日がこれを大きく下回るなら、その日は残り45日で売る日ではなく、それ以前に売り切る日として設計する対象になる。

物差し2:推定OCCと完売施設率の乖離。 30日前断面で推定OCCの差が20.9ptにとどまる一方、完売施設率の差は60.3ptだった。在庫量の指標だけでは競争環境の変化が3分の1しか見えない。2つの指標を必ず対で持つ。

物差し3:リフト幅の地理的な広がり。 会場所在地の大仙市(+19.0pt)よりも、平常土曜の水準が低い仙北市(+33.7pt)のほうがリフト幅は大きかった。イベント需要の恩恵は会場からの距離ではなく、平常時の水準の低さと在庫の絶対量で決まる部分がある。自館が「圏外」かどうかは、距離ではなくデータで判定したい。

データについて

・推定OCCの定義:OTA掲載在庫ベース稼働率 = 100 − 100 × OTA掲載残室数 ÷ 総客室数。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、実客室稼働率とは定義が異なる(高めに出る)。本記事の対象月は2026年8月、観測窓は各宿泊日の45日前から直近までである。

・ブッキングカーブ:宿泊日の45日前から直近までの観測に基づく。

・完売施設率:対象日について、OTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合(推定)。実際の満室状態と完全に一致するとは限らない。

・本記事は稼働に関する指標(推定OCC・完売施設率)のみで構成しており、価格指標(推定成約ADR)は扱っていない。

・対象Nの内訳:秋田県全業態 N=205施設(8月29日断面)/N=203施設(8月22日断面)。業態別(8月29日/8月22日断面の施設数)はビジネスホテル N=51/53、シティホテル N=15/15、旅館 N=80/81。市別(8月29日/8月22日断面)は大仙市 N=13/13、秋田市 N=30/31、横手市 N=14/12、仙北市 N=35/36。各断面の観測施設数レンジは図表に併記した。

・データ時点: 2026年8月14日。販売状況・在庫は日々変動するため、本記事の数値は取得時点のスナップショットである。

参考資料・出典一覧

■ データソース

メトロエンジンリサーチのOTA掲載在庫データ。秋田県 N=205施設(2026年8月29日断面)/N=203施設(8月22日断面)。宿泊日の45日前から直近観測(16日前・2026年8月13日観測)までのブッキングカーブ、業態別(ビジネスホテル・シティホテル・旅館)および県内4市(大仙市・秋田市・横手市・仙北市)の断面を使用。2026年7月の月次推定OCC(月平均90.4%・土曜平均94.5%/4日分)は経過月実績。データ取得時点は2026年8月14日。

■ 試算前提

推定OCC=100 − 100 × OTA掲載残室数 ÷ 総客室数。上積み幅=直近観測(16日前)の推定OCC − 45日前の推定OCC。リフト幅=大会日 − 平常土曜(同一断面の差)。上積み余地=100 − 45日前の推定OCC。表5・表6は本記事で観測された実測値の当てはめであり将来予測ではない。表6の縦軸は本文で観測した45日前水準5種、横軸は本文で観測した上積み幅の実測レンジ(−0.6pt〜+7.3pt)を等分した5水準で、いずれも観測範囲の外側へは外挿していない。セルは両軸の単純和で、100%超は算術上成立しない組み合わせとして網掛けした。

■ 限界・留意点

推定OCCはOTA掲載在庫ベースの推定値であり、実客室稼働率とは定義が異なる(高めに出る)。完売施設率はOTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合(推定)で、実際の満室状態と一致するとは限らない。観測施設数は断面ごとに変動し、8月29日は45日前付近で74〜96施設と薄い。シティホテルの45日前(5施設)、横手市の45日前(1施設)など観測が薄い断面は参考値として扱う。本記事は稼働に関する指標のみで構成し、価格指標(推定成約ADR)は扱っていない。在庫は日々変動するため、数値は取得時点のスナップショットである。

・全国花火競技大会「大曲の花火」公式サイト
・第98回 全国花火競技大会「大曲の花火」(大仙市)の日程・開催情報|花火大会2026 – ウォーカープラス(開催日・会場・打ち上げ時間・打ち上げ数)
・第98回全国花火競技大会|花火伝統文化継承資料館
・【大仙市】「全国花火競技大会(大曲の花火)」が8月29日に開催されます|アキタノ

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