岸田総理大臣は、2024年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」によって被災した石川県を含む北陸4県（石川県、富山県、福井県、新潟県）への支援策として、「北陸応援割」の実施を発表した。この新たな旅行支援策は、観光産業への深刻な影響に対応し、地域経済の回復を目指すものである。観光庁による1月26日の発表では、2023年12月末まで一部の県で延長されていた「全国旅行支援」の枠組みを活用しつつ、利用者と事業者双方にとって複雑さを減らした割引のみのシンプルな制度が導入される予定であることが明らかにされた。
本支援策の予算は、旅行費用の割引原資や事務局経費を含めて約94億4000万円に上る。事務局の設置や具体的な実施体制は、新型コロナ対策として各県で実施された「全国旅行支援」の枠組みを踏襲する形で、各県の判断に委ねられる。
「北陸応援割」は、被災地域における一泊以上の旅行や宿泊商品が対象となり、旅行・宿泊料金の最大50％（被災が甚大な能登地域では最大70％を検討）が補助される。補助の限度額は、宿泊単体商品や交通付宿泊旅行商品が1泊につき2万円、2泊以上で3万円、周遊型旅行商品が3万5000円とされている。
対象期間は2024年3月からゴールデンウィーク前の4月下旬までを予定しており、観光庁が北陸4県に補助金を交付。これにより、各県は旅行業者やオンライン旅行代理店（OTA）、宿泊事業者に対して割引価格の差額を支援することになる。
加えて、風評被害対策としてのプロモーションも実施される予定であり、日本政府観光局（JNTO）が訪日プロモーションを集中的に行い、北陸新幹線金沢/敦賀間の開業を機に、被災地域の観光魅力や正確な情報の発信に力を入れる計画である。
この「北陸応援割」は、被災地の早期復興はもちろん、国内外からの訪問者を通じて北陸地方全体の観光業を活性化させることを目的としている。対象者は国内在住者及び訪日旅行客であり、日帰り旅行を除く宿泊が伴う旅行商品がこの支援策の適用を受けることができる。