sankara hotel & spa 屋久島は、2010年の開業と同時に「サンカラ基金」を設立し、屋久島の自然環境保全や地域づくりに取り組んできた。宿泊客から寄せられる協力金などを原資とし、基金累計額は2026年3月時点で約3716万円。ウミガメの産卵地保全や登山道整備、環境教育など、地域の課題に応じた支援を続けている。
設立から16年を迎えた今、基金をどのように運営し、地域との関係を築いてきたのか。また、今後どのような形で持続可能な活動につなげていくのか。sankara hotel & spa 屋久島 広報PRマネージャーの八巻昌宏氏に話を聞いた。

――2010年のホテル開業と同時に「サンカラ基金」を設立されています。屋久島で宿泊施設を運営するうえで、自然や地域への貢献を基金という仕組みで事業に組み込もうと考えた背景を教えてください。
sankara hotel & spa 屋久島は、世界自然遺産・屋久島の豊かな自然環境の中で事業を営んでいます。そのため、自然や地域社会に対して何を還元できるのかを、開業当初から考えてきました。
サンカラ基金は、ご宿泊いただくお客様にも屋久島の未来づくりに参加していただける仕組みとして、2010年の開業と同時に設立しました。
私たちは、屋久島の自然は地域だけの財産ではなく、次世代へ受け継いでいくべき世界共通の財産だと考えています。その自然を守る活動や地域への貢献を継続的に支えていく仕組みとして、基金を位置付けてきました。
――基金の設立当初は、資金の活用方法や地域との連携を模索した時期もあったそうですね。16年間活動を続けるなかで、基金の運営や地域との関わり方をどのように築いてきたのでしょうか。
設立当初は、「屋久島のために集めた基金を、どのような形で活用することが本当に地域のためになるのか」を模索する時期がありました。
転機となったのは、ウミガメ保護や近自然工法による登山道整備など、現場で実際に活動している方々との出会いです。
地域には、強い思いや高い専門性を持ちながらも、資金や人材の面で課題を抱えている取り組みが数多くあります。そうした方々の声に耳を傾けるなかで、私たちも単に「基金が支援する側」になるのではなく、「地域のさまざまな活動をつなぐ役割」を担うことが大切だと考えるようになりました。それが、現在のサンカラ基金の取り組みにつながっています。
16年間を振り返ると、地域との信頼関係を少しずつ積み重ねながら、島が抱える課題や時代の変化に合わせて、基金のあり方も進化してきたと感じています。
――ウミガメ保護などでは、基金があったことで必要な初期支援につながった事例も紹介されています。地域の課題に対して、ホテルがこうした基金を持つことには、どのような役割や意義があると感じていますか。
地域の課題には、その重要性が認識されていても、行政の予算や助成制度だけではすぐに対応できないケースがあります。そうしたときに、基金が初期支援の役割を果たせることには、大きな意義があると考えています。
例えばウミガメ保護の活動では、調査や研究、環境整備などを進めるために、まず一定の支援が必要でした。基金がその「最初の一歩」を支えることで、活動の土台づくりに貢献することができました。

また、ホテルは国内外から多くのお客様をお迎えする場所です。だからこそ、地域が抱えている課題をより多くの方に知っていただく役割もあると思っています。
単に寄付を集めるだけではなく、お客様の思いと地域の取り組みをつなぎ、自然保全や地域づくりへの共感の輪を広げていくことも、私たちの重要な役割だと考えています。
――今後は、基金による支援を続けるだけでなく、環境保全活動そのものが自走していく仕組みも目指しているとのことです。登山道整備と宿泊・学習を組み合わせる取り組みなども含め、活動を持続可能なものにしていくうえで、どのような仕組みが必要だと考えていますか。
私たちが目指しているのは、最終的には基金による支援がなくても、活動そのものが継続していける状態です。
そのためには、資金を提供するだけではなく、人が実際に参加し、学び、その活動の価値を実感できる仕組みをつくることが重要だと考えています。
例えば、近自然工法による登山道整備は、自然を守る保全活動であると同時に、屋久島の自然や環境保全について学ぶ機会にもなります。昨年、近自然工法のワークショップが行われた際には、当ホテルにご宿泊いただきながらプログラムに参加していただけるプランも造成しました。

地域の団体、行政、教育機関、観光事業者などが、それぞれの役割を担いながら連携すること。そして、環境保全そのものが地域の価値となり、人や資金、学びが循環していく仕組みをつくることが、持続可能な活動につながると考えています。

――開業から16年にわたり、サンカラ基金を通じて屋久島の自然や地域と関わってこられました。これからも屋久島でホテルを運営していくなかで、サンカラ基金をどのように育て、地域や自然とどのような関係を築いていきたいと考えていますか。
サンカラ基金は、開業以来積み重ねてきた活動の延長線上にあり、これから先も屋久島の未来に向けて継続していく取り組みです。
今後は、単に支援の規模を大きくすることを目的とするのではなく、本当に地域や自然のためになる活動を見極めながら、透明性と継続性を大切に運営していきたいと考えています。
また、お客様や地域の皆さま、関係団体の皆さまとともに、屋久島の自然を守る仲間の輪をさらに広げていきたいと思っています。
私たちは、ホテル事業を通じて屋久島の魅力を国内外へ発信する一方で、その魅力の源である自然や地域社会を次世代へつないでいく責任があります。
サンカラ基金もまた、人と地域、そして屋久島の未来をつなぐ大切な架け橋として、これからも育てていきたいと考えています。

■サンカラ基金 概要
設立:2010年(sankara hotel & spa 屋久島 開業時)
理念:世界自然遺産・屋久島の自然と地域社会を守り、その価値を未来へつなぐ
基本方針:①自然環境の保全活動/②環境教育・普及啓発活動/③持続可能な地域づくり活動/④その他本基金の目的に合致する活動
ご協力金:1滞在につき1口500円(任意)、または本基金賛同者からの寄付(2026年度現在)
基金累計総額:37,164,021円(2026年3月時点)
活動実績総額:26,462,782円(2026年3月時点)
運営体制:sankara hotel & spa 屋久島 サンカラ基金事務局にて管理・運営
支援先選定:関係団体や外部有識者の見識をもとに、サンカラ基金事務局にて協議・決定
活動報告:公式サイト・公式SNS上にて適宜公開
■sankara hotel & spa 屋久島 概要
所在地:〒891-4402 鹿児島県熊毛郡屋久島町麦生字萩野上553
電話番号:0800-800-6007
公式HP:https://www.sankarahotel-spa.com/
客室数:29室
施設:レストラン/スパルーム/サウナ/プール/ライブラリーラウンジ/フィットネスルーム/会議室
