沖縄県北中城村の「EMウェルネス 暮らしの発酵ライフスタイルリゾート」に、自然素材を取り入れた新たなウェルネス客室「ミ森 -MIMORI-」が誕生した。
EM珪藻土や天然木、沖縄県うるま市照間産のビーグを用い、客室そのものを“森”に見立てた空間が特徴だ。テレビを常設せず、静かに過ごすための余白を設けるなど、設備を増やすだけにとどまらない客室づくりにも踏み込んでいる。
休むことや何もしない時間にも価値を見いだす今回の試みは、同ホテルが掲げるウェルネスをどのように形にしたものなのか。「ミ森」誕生の背景や素材へのこだわり、これから目指す滞在のあり方について、前川幸輝副総支配人に聞いた。
特設ページ:https://kurashinohakko.jp/program/mimori/

――これまでも食やスパ、客室などを通じてウェルネスな滞在を提案されていますが、今回、新たに「ミ森 -MIMORI-」をつくることになった背景を教えてください。これまでの運営を通じて、宿泊者の過ごし方やニーズにどのような変化を感じていたのでしょうか。
当ホテルではこれまで、発酵を取り入れた食事やスパ、ケミカルフリーを意識した清掃・クリーニングなどを通して、心と体を整えるウェルネスな滞在を提案してきました。
その中で改めて着目したのが、お客様が滞在時間の多くを過ごす「客室」そのものです。
旅先では観光や食事など、普段以上に予定を詰め込んでしまうことも少なくありません。一方で、日々多くの情報に囲まれて過ごす現代だからこそ、旅先では「何かをする」ことだけではなく、「何もしない時間」や「ゆっくり休むこと」そのものを求める方も増えていると感じています。
そこで、設備や機能を増やすのではなく、むしろ余計なものを減らし、自然素材に包まれながら、深呼吸をしたり、眠ったり、家族と話したり、本を読んだりする時間を大切にできる客室をつくりたいと考えました。それが「ミ森」の出発点です。
コンセプトは「森で、憩う。」。ホテルにいながら、まるで森の中で休んでいるような心地よさを感じ、自分自身のリズムを取り戻せる場所を目指しました。
――既存の客室にも「EM珪藻土ハイフロア『いこい』」などがあります。その中で、「ミ森」にはどのような役割や位置づけを持たせているのでしょうか。既存客室との違いも含めてお聞かせください。
「EM珪藻土ハイフロア『いこい』」をはじめ、当ホテルでは以前からEM珪藻土などの自然素材を客室づくりに取り入れてきました。
その中で「ミ森」は、単に自然素材を取り入れるだけでなく、客室に一歩入った瞬間から、まるで森の中にいるような心地よさを感じられる空間を目指しています。
壁や天井にはEM珪藻土、床には天然木の無垢フローリング、畳には沖縄県うるま市照間産のビーグを使用しています。素材そのものの質感や香り、素足で触れたときの感覚まで含めて、五感で自然を感じていただけるように設計しました。



また、床に近い場所でくつろげる畳のスペースを設け、テレビをあえて置かないなど、空間だけでなく「その部屋でどう過ごしていただくか」という点まで考えています。
既存の「いこい」が、EM珪藻土などの自然素材によって客室環境の心地よさを高めた客室だとすれば、「ミ森」はその考え方をさらに一歩進めた客室です。自然素材に包まれた“森のような空間”の中で、休む、眠る、何もしないといった時間そのものを体験していただきたいと考えています。
設備や機能を足していくのではなく、あえて余白をつくることで、自分自身のリズムに戻っていく。
「ミ森」は、当ホテルがこれから提案していきたいウェルネスな客室づくりを、空間と過ごし方の両面から表現した、新しいコンセプトルームと位置づけています。
――「ミ森」では、EM珪藻土、照間ビーグ、天然木といった自然素材を取り入れています。素材を選ぶ際に重視したことや、沖縄県うるま市照間産のビーグを取り入れた理由について教えてください。
素材選びで大切にしたのは、単に「自然素材であること」だけではありません。触れたとき、裸足で歩いたとき、横になったときなど、五感を通して心地よさを感じられること。そして、その素材が生まれた土地や、つくり手の想いまで感じられることを重視しました。
壁と天井にはEM珪藻土、床には天然木の無垢フローリングを採用し、畳スペースには沖縄県うるま市照間産のビーグを取り入れています。
照間産のビーグを採用する大きなきっかけとなったのが、うるま市い草生産組合の皆さまや畳屋さんとの出会いです。
沖縄では古くから、ビーグ(い草)が畳表などに使われ、暮らしの中に根付いてきました。しかし現在、沖縄県内での生産量が減少する中で、「沖縄で育まれてきたビーグを途絶えさせず、次の世代へ残していきたい」という生産者の皆さまの想いを伺いました。

また、照間のビーグは農薬を使わず、大切に育てられています。そうした栽培へのこだわりも、自然素材を大切にする「ミ森」の考え方と重なりました。
私たちもその想いに共感し、ホテルで使わせていただくことが、沖縄の素材や文化を未来へつないでいく一つのきっかけになればと考え、今回の客室に採用しました。
「沖縄らしさ」を装飾やデザインだけで表現するのではなく、実際に沖縄の土地で育った素材に触れ、その香りや肌触りを感じ、さらにその背景にある人や文化を知っていただく。
「ミ森」での滞在を通して、自然の心地よさだけでなく、沖縄の土地や暮らし、そしてそれを守り続けている方々の想いにも触れていただければと思っています。
――「ミ森」ではテレビを設置しない一方、希望者にはスマートプロジェクターを貸し出しています。情報から離れる時間を提案しながら、宿泊者自身が過ごし方を選べるようにするうえで、どのような考えを大切にされたのでしょうか。
「ミ森」では、静けさや、ゆっくりと深呼吸する時間を大切にしていただきたいという考えから、あえてテレビを設置していません。
ただ、私たちが目指しているのは、「デジタルから離れることを強制する客室」ではありません。
旅先で映画を観たい方もいれば、好きな音楽を聴きたい方、家族で映像を楽しみたい方もいらっしゃいます。大切なのは、ホテル側が過ごし方を決めるのではなく、お客様自身が「今日はどう過ごしたいか」を選べることだと考えています。
そのため、テレビを常設する代わりに、ご希望に応じてスマートプロジェクターをご利用いただけるようにしました。

何もつけずに静かに過ごす。本を読む。家族と話す。早く眠る。あるいは、好きな映画や音楽を楽しむ。
情報を完全に遮断するのではなく、日常では無意識のうちに入ってくる情報から少し距離を置き、自分で選んだ時間を過ごす。その「選択できる余白」も、「ミ森」で大切にしている考え方の一つです。
――「ミ森」を新たに設けたことを契機に、今後、客室づくりや宿泊プランを含め、ウェルネスな滞在の提案をどのように発展させていきたいと考えていますか。
私たちは、ウェルネスを「ホテルの中で特別な体験をすること」だけだとは考えていません。
当ホテルが掲げている「癒しの旅は、日々までつづく」という考え方のように、旅先で心や体が整い、そこで得た気づきや心地よさを、家に帰ってからの暮らしにも少し持ち帰っていただくことを目指しています。
「ミ森」は、その考え方を客室という空間から表現した一つの取り組みです。
今後も、自然素材、発酵、食、睡眠、休息、スパなど、ホテルがこれまで培ってきたさまざまな要素を個別に提供するのではなく、一つの滞在体験としてつなげていきたいと考えています。
また、新しい設備やサービスを増やすことだけではなく、「何を置かないか」「何をしなくてもよいか」といった視点も大切にしながら、お客様一人ひとりが、自分に合った心地よい過ごし方を選べるホテルを目指していきます。
旅の数日間だけ健康になるのではなく、滞在をきっかけに、眠ること、食べること、休むことなど、日々の暮らしを少し見つめ直す。
そんな「暮らしにつながるウェルネス」を、これからも客室や宿泊プラン、ホテルでのさまざまな体験を通して提案していきたいと考えています。

■客室概要
客室名:自然素材のウェルネス客室「ミ森 -MIMORI-」
施設:EMウェルネス 暮らしの発酵ライフスタイルリゾート
主な特徴:
EM珪藻土/天然木フローリング/沖縄県うるま市照間産ビーグ/ムアツマットレス/テレビなし/Google TV搭載スマートプロジェクター無料貸し出し/バルコニー/無料Wi-Fi
定員:1~4名(3~4名利用時は布団を追加)
特設ページ:https://kurashinohakko.jp/program/mimori/
■施設概要
EMウェルネス 暮らしの発酵ライフスタイルリゾート
所在地:沖縄県中頭郡北中城村喜舎場1478
公式サイト:https://kurashinohakko.jp/
