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車中泊1泊は中央値3,300円 — RVパーク595カ所の全国分布と宿の取り込み余地

投稿日 : 2026.09.19

指定なし

客層・セグメント分析

車中泊1泊は中央値3,300円 — RVパーク595カ所の全国分布と宿の取り込み余地

キャンピングカーと車中泊は、宿泊施設にとって長く「客室需要の外側」に置かれてきた。だが認定駐車場の全国分布を客室供給と重ねると、車中泊が伸びている地域は、客室の絶対量が薄い地域とかなりの部分で一致する。奪い合いではなく、駐車場・入浴・食事という部分利用で取り込める余地がどこにどれだけあるのか——一次情報と当社データで整理する。

本記事における指標の定義

  • ADR(平均客室単価)=各施設が主要予約サイト上で公開する最安プラン水準(2名1室利用時・1室あたり料金・税込)に業態別の補正係数を適用して算出した推定成約単価(税抜相当)。上場ホテルREITが開示する物件別実績との照合(91施設・直近3ヶ月間)で誤差中央値は約7%。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なります。エリア単位のADRは対象施設の中央値(エリアの標準的な施設の水準)。
  • OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(主要予約サイトの販売在庫に基づく推定値)。本記事では都道府県単位のみで用いています。
  • 客室数・施設数=メトロエンジンリサーチが追跡する国内約168,000施設のうち、主要予約サイト上で稼働が確認できる施設の掲載ベース集計。予約サイト未掲載の旅館・民宿・簡易宿所は含まれません。
  • 朝食プレミアム=同一ホテルが素泊まりプランと朝食付きプランの両方を販売している場合の価格差(ペアード比較)。異なるホテル間の比較ではありません。
  • データ出典=メトロエンジンリサーチ/一般社団法人日本RV協会「RVパーク」公式検索システム/国土交通省「道の駅」一覧
Key Takeaways
  • — 日本RV協会の認定駐車場は公式検索システム上で595カ所(2026年9月11日照会)、国土交通省の道の駅は1,234駅(令和8年9月4日現在)。いずれも所管団体・官庁の台帳から数えた値。
  • — 客室1万室あたりの密度は山梨26.9・茨城25.5・滋賀24.9カ所に対し、東京0.1・大阪1.0カ所。車中泊の拠点は客室供給が薄い県ほど厚い。
  • — 1台1泊の料金は中央値3,300円(N=580件)。推定成約ADRの47都道府県中央値9,139円(2025年10月)の約36%だが、清掃・寝具・リネンの原価をほとんど伴わない。
  • — 拠点の95.0%が敷地内または近隣に入浴施設を備える。大浴場・電源・トイレという宿の既存設備が、車中泊の必須要件とほぼ重なる。
  • — 区画料金に朝食の上乗せ幅(+1,014〜+2,647円)を重ねると、客室単価の約4〜7割を部分商材で組み立てられる。陸前高田・箱根の事例はいずれも受け入れを1〜3台に絞っている。

一次情報で確定させる:認定駐車場595カ所、道の駅1,234駅

まず数の出どころを固定する。車中泊の受け入れ拠点としてよく並列に語られる二つの制度は、所管も台帳も別物である。

一般社団法人日本RV協会が認定する「RVパーク」は、同協会の公式検索システム上で595カ所が公開されていた(2026年9月11日に47都道府県を個別に照会し、都道府県別の件数を合算。フィルタなしの総件数595件と一致)。なお同協会は2026年8月末日時点の認定数を686件と公表しており、公式検索システムに掲載されている595カ所はそのうち予約・詳細情報が公開されている施設群にあたる。本記事で都道府県別の分布と料金を論じる母集団は、この595カ所である。

一方、国土交通省の「道の駅」は令和8年9月4日現在で1,234駅(第65回登録時点)。同省が公開する駅名・登録回・所在地の一覧(XLS形式)を都道府県別に集計すると、47都道府県すべてに登録があり、合計は1,234駅に一致した。道の駅は宿泊を前提とした施設ではなく「休憩施設」であるため、車中泊の受け入れ可否は駅ごとに異なる。数を並べる際にはこの性格の違いを踏まえる必要がある。

二次的なまとめサイトの数値は使っていない。いずれも所管団体・官庁が自ら公開している台帳から数えた値である。

客室密度と重なる県、ずれる県

認定駐車場の箇所数を都道府県別に並べると、上位は北海道42カ所、静岡県41カ所、千葉県37カ所、兵庫県31カ所、長野県27カ所と続く。だが箇所数そのものは県の面積と観光規模に引きずられる。宿泊事業者にとって意味があるのは客室1万室あたりの箇所数——つまり既存の客室供給に対してどれだけ車中泊の受け皿が厚いかという密度である。

出典:一般社団法人日本RV協会「RVパーク」公式検索システム/メトロエンジンリサーチより作成(客室数は主要予約サイト掲載ベース)

密度で見ると順位は大きく入れ替わる。山梨県は客室1万室あたり26.9カ所で最も高く、茨城県25.5カ所、滋賀県24.9カ所が続く。いずれも客室の絶対量は5,000〜9,000室台で、大都市圏に比べれば薄い。逆に密度が低いのは沖縄県0.0カ所(認定駐車場ゼロ)、東京都0.1カ所、大阪府1.0カ所、神奈川県2.2カ所、愛知県2.4カ所である。客室が集中している都市部では、車中泊の受け皿はほとんど形成されていない。

この構図は「車中泊が客室需要を食っている」という理解とは整合しない。むしろ客室供給が薄く、公共交通で回りにくい地域ほど車中泊の拠点が立っている。移動手段が自家用車である旅程では、宿を取らない選択が現実的な代替になりやすい、という順序である。鉄道結節の強弱で宿の駐車場がどう評価されるかは、ホテル駐車場が評価される街、されない街で詳しく分析している。

表1|認定駐車場の箇所数上位20都道府県 — 道の駅数・宿泊施設数・客室数・客室1万室あたり密度・推定成約ADR
都道府県認定駐車場道の駅宿泊施設数客室数1万室あたり推定成約ADR
北海道4212867152,8168.0¥9,708
静岡県412771129,45113.9¥12,627
千葉県372930523,12416.0¥9,461
兵庫県313739618,76616.5¥13,326
長野県275455719,50813.8¥11,708
山梨県24222588,91126.9¥11,072
茨城県23161649,01925.5¥6,825
三重県231824213,64916.9¥10,405
福島県223722411,53919.1¥7,413
京都府181857531,4895.7¥19,243
栃木県162532913,52011.8¥11,350
和歌山県15361807,68419.5¥8,866
群馬県143330613,22310.6¥11,709
滋賀県14201015,61424.9¥9,014
福岡県141738128,5504.9¥11,229
岐阜県135525010,82412.0¥12,327
埼玉県12211007,27916.5¥7,973
宮城県111916713,0078.5¥9,132
新潟県104224011,9478.4¥9,007
岡山県10171347,79712.8¥8,246

認定駐車場の箇所数上位20都道府県。宿泊施設数・客室数は2026年8月時点の主要予約サイト掲載ベース、推定成約ADRは2025年10月(確定月)の当社推定値。出典:一般社団法人日本RV協会/国土交通省「道の駅」一覧/メトロエンジンリサーチより作成

推定成約ADRを並べると、密度上位の県はおおむね1万円前後から1万3,000円台に収まる。茨城県6,800円のように7,000円を下回る県もあり、客室単価の水準そのものが車中泊との価格差を縮めている地域がある点も見落とせない。

595カ所はどこにあるか

認定駐車場の位置を地図に落とすと、太平洋側の国道・高速沿いと、中部高地から東北南部にかけての内陸ルートに帯状に分布していることが分かる。青い点は敷地内に入浴施設を持つ拠点、灰色の点は入浴施設を敷地内に持たない拠点である。

全595カ所。出典:一般社団法人日本RV協会「RVパーク」公式検索システムよりメトロエンジンリサーチ作成

沖縄県に認定駐車場が1カ所もないのは、車中泊が島内の旅行形態として成立していないというよりも、レンタカー中心の移動で宿が先に確保される市場構造の反映と読むのが自然である。東京都は1カ所にとどまる。

車中泊の1泊は中央値3,300円 — 客室単価の3分の1という位置

公開されている1泊料金(1台あたり)は中央値3,300円(N=580件、料金非公開の15カ所を除く)。四分位範囲は2,500円〜4,000円で、料金帯としてはかなり狭い範囲に集まっている。

出典:一般社団法人日本RV協会「RVパーク」公式検索システムよりメトロエンジンリサーチ作成(N=580件、料金非公開の15カ所を除く)

3,000円台が230カ所(39.7%)、2,000円台が176カ所(30.3%)で、両者で全体の7割を占める。5,000円以上は76カ所(13.1%)にとどまる。

これを客室単価と並べる。47都道府県の推定成約ADRの中央値は2025年10月時点で9,100円。1台1泊3,300円は、その約36%の水準にあたる。客室1室を売る代わりに駐車区画を売っているのだから単価が低いのは当然だが、重要なのはこの3,300円が客室原価をほとんど伴わないという点である。清掃も寝具もリネン交換も発生せず、稼働するのは駐車場と共用部だけである。

表2|車中泊と宿の部分商材の価格帯 — RVパーク1泊料金・日帰り入浴・朝食プレミアム・推定成約ADR
商材価格帯備考
RVパーク1泊料金(全国中央値)¥3,300 / 1台日本RV協会認定施設の公開料金・N=580件
日帰り入浴(事例施設の通常料金)¥600〜¥1,400 / 1名後述2施設の公開料金
朝食プレミアム(同一ホテル内ペア比較・全国の例)+¥1,014〜¥2,647 / 1室2026年9月・素泊まりとの差額
推定成約ADR(47都道府県の中央値・2025年10月)¥9,139 / 1室当社推定・税抜相当

出典:一般社団法人日本RV協会「RVパーク」公式検索システム/各施設公開情報/メトロエンジンリサーチより作成

部分利用の中身 — 入浴が95%、電源が97%

595カ所が実際に何を提供しているかを設備表示から集計すると、宿泊施設が持っている資産と驚くほど重なる。

出典:一般社団法人日本RV協会「RVパーク」公式検索システムよりメトロエンジンリサーチ作成(N=595カ所)

24時間トイレと電源がそれぞれ576カ所(96.8%)、ごみ処理可能が548カ所(92.1%)、水道が508カ所(85.4%)。そして入浴施設は敷地内317カ所(53.3%)・近隣433カ所(72.8%)で、いずれかを備える拠点は565カ所(95.0%)に達する。車中泊の旅程において入浴は事実上の必須要件であり、拠点側もそこを外していない。

ここが宿泊施設の強みになる。大浴場・共用トイレ・洗濯機・電源・ラウンジは、宿がすでに持っている設備である。追加投資なしに提供できる商材が、車中泊需要の必須要件とほぼ一致している。

さらに食事を重ねられる。同一ホテル内で素泊まりプランと朝食付きプランの両方を販売している施設をペアで比較すると、朝食の上乗せ幅は2026年9月時点で山梨県+2,600円(+9.9%、N=63施設)、千葉県+2,400円(+10.3%、N=122施設)、北海道+2,300円(+9.2%、N=351施設)といった水準にある。駐車区画3,300円に朝食2,000円台を足せば、客室単価の6割前後までは部分商材の積み上げで届く計算になる。業態別・全国の上乗せ幅の分布は、朝食プレミアム全国47都道府県で整理している。

表3|認定駐車場の多い県の朝食プレミアム — 2026年9月・2名1室・同一ホテル内ペア比較
都道府県認定駐車場朝食プレミアム上乗せ率ペア施設数
山梨県24+¥2,647+9.9%63
千葉県37+¥2,441+10.3%122
北海道42+¥2,296+9.2%351
兵庫県31+¥2,213+9.5%130
長野県27+¥1,588+5.6%170
神奈川県7+¥1,583+6.2%165
三重県23+¥1,553+8.3%95
岩手県7+¥1,508+9.3%64
静岡県41+¥1,184+5.3%216
茨城県23+¥1,014+6.2%103

2026年9月・2名1室・全業態。同一ホテル内で素泊まりと朝食付きの双方を販売する施設のみを対象としたペアード比較。出典:メトロエンジンリサーチより作成

2026年9月・2名1室・全業態の朝食プレミアム(同一ホテル内ペア比較、県別ペア施設N=63〜351)。破線は車中泊1泊の中央値3,300円。出典:メトロエンジンリサーチより作成

区画料金×朝食の積み上げ試算 — 客室単価の27〜73%

ここまでの2つの数字を組み合わせると、部分商材だけで客室単価のどこまで届くかを試算できる。区画料金は公開料金の四分位(下位25%点2,500円・中央値3,300円・上位25%点4,000円)、朝食の上乗せ幅は上表10県の最小(茨城県+1,014円)と最大(山梨県+2,647円)を置いた。新たな前提値は加えていない。

表4|区画料金×朝食プレミアムの積み上げ(1台1泊・円)— 括弧内は推定成約ADRの47都道府県中央値9,139円(2025年10月)に対する比率
区画料金区画のみ+朝食(最小 +¥1,014)+朝食(最大 +¥2,647)
区画料金 下位25%点 ¥2,500¥2,500(27.4%)¥3,514(38.5%)¥5,147(56.3%)
区画料金 中央値 ¥3,300¥3,300(36.1%)¥4,314(47.2%)¥5,947(65.1%)
区画料金 上位25%点 ¥4,000¥4,000(43.8%)¥5,014(54.9%)¥6,647(72.7%)

区画料金はRVパーク公開料金の四分位(N=580件)、朝食プレミアムは表3の最小・最大値。出典:一般社団法人日本RV協会「RVパーク」公式検索システム/メトロエンジンリサーチより作成

中央値の区画に最大の朝食を重ねた5,947円は客室単価の65.1%で、前段の「6割前後」はこのセルにあたる。下位25%点の区画で朝食を付けなければ27.4%にとどまり、料金設定と付帯の組み方しだいで1台あたりの売上は2.7倍近く開く。なお朝食プレミアムは2名1室の1室あたり差額を1台(2名乗車)にそのまま当てはめた単純合算で、入浴料・電源・洗濯などのオプションは含まない。事例2施設のように入浴を区画料金に内包する設計では、入浴を別売りした場合の上乗せは立たない。

実際にやっている宿:陸前高田と箱根の2件

構想ではなく、いま公開されている条件で確認できる事例を2件挙げる。

キャピタルホテル1000(岩手県陸前高田市・40室)

太平洋を望む高台のリゾートホテル。駐車場内に3区画を設け、1泊4,000円〜/1台で受け入れている。区画料金には通常600円の大浴場入浴料が含まれ、入浴回数に制限はない。ウェルカムドリンク(飲み放題)利用券も付く。ホテル内トイレは24時間利用可、フロント経由で夕食・朝食・昼食も提供する。外部電源500円(税抜)、洗濯機レンタル1時間500円(税抜)、電動アシスト自転車1時間500円などオプションが細かく用意されており、部分商材を積み上げる設計になっている。チェックインは13時、チェックアウトは翌11時まで。

2026年9月11日時点の公開条件。平日4,000円、日曜4,950円、9月19〜22日の連休帯は6,600円と日付で料金が変動する。出典:日本RV協会「RVパーク」公式検索システム 施設詳細施設公式サイト

仙石原品の木一の湯(神奈川県箱根町)

株式会社一の湯は2026年6月4日の発表で、同社施設の駐車場を使う車中泊プランを2026年6月10日〜9月30日(予定)の期間、1日1台限定で受け入れると公表した。料金は1台あたり平日5,500円・繁忙期6,600円・休前日7,700円(いずれも税込)。通常1,400円の大浴場が何度でも利用可能で、24時間トイレ・電子レンジ利用・チェックイン時のタオル配布が含まれる。ポータブル電源レンタル1,100円、ロビーのフリードリンク1名1,100円、空室があれば客室宿泊やサウナへのアップセルも用意されている。同社はこの取り組みを「道の湯」と表現している。

期間限定の取り組みであり、2026年9月11日時点で同社公式サイトの通常プラン一覧には掲載されていない。出典:株式会社一の湯 プレスリリース(2026年6月4日)施設公式サイト

両者の共通点は明快である。入浴を無料または料金内に組み込み、そこに有料オプションを重ねている。入浴単体を日帰り料金で売るより、駐車区画とセットにしたほうが客単価が上がる。陸前高田の例では通常600円の入浴が4,000円の区画料金に内包され、箱根の例では1,400円の入浴が5,500円に内包されている。入浴料に対して区画料金は4〜7倍である。

受け入れ台数はいずれも1〜3台で、客室販売を圧迫しない規模に絞られている点も特徴的だ。40室規模のホテルが3区画を出すという設計は、客室在庫を犠牲にせず駐車場の遊休を収益化する、という位置づけがはっきりしている。

秋のドライブ需要期 — 2025年11月の客室単価は前年比+22%

季節性も押さえておきたい。ドライブ需要が集中する山梨県の月次推定成約ADRを年別に重ねると、11月の立ち上がりが年を追って強くなっている。

出典:メトロエンジンリサーチより作成(2026年9月以降は確定月のデータがないため未表示)

山梨県の2025年11月の推定成約ADRは12,900円で、前年同月比+22.1%(N=285施設)。長野県は12,400円で前年同月比+16.1%(N=773施設)、静岡県は14,400円で+13.7%(N=805施設)だった。紅葉期のドライブ需要が客室単価を押し上げる構図は、当社推定でも明確に確認できる。紅葉の見頃と宿の価格ピークの時期のずれについては、紅葉の見頃2026、宿の価格ピークは14日早いが主要10地点で検証している。

つまり秋は、客室が高く売れる時期である。だからこそこの時期の車中泊受け入れは客室と競合させず、客室が満室に近づいた先の追加収益として設計するのが筋が通る。2026年8月時点の主要予約サイト掲載在庫ベースの推定稼働率は山梨県86.7%(対象258施設・8,911室)、長野県92.5%(対象557施設・19,508室)で、ピーク帯では客室在庫がすでに薄い。駐車区画はその上に乗る商材である。

自治体にとっての論点:道の駅と宿の役割分担

道の駅1,234駅と認定駐車場595カ所を都道府県別に比べると、両者の密度は必ずしも連動しない。客室1万室あたりの道の駅数は秋田県77.6駅、島根県54.4駅、高知県52.4駅と高く、これらの県の認定駐車場密度は6.8〜13.1カ所である。休憩施設は整っているが、車中泊を受け入れる「泊まれる拠点」としての整備は進んでいない、という読み方ができる。

道の駅は休憩施設であり、長時間の駐車や仮泊を前提に設計されていない駅も多い。この差分を埋める役割を地域の宿泊施設が担えば、①道の駅の駐車マナー問題を分散でき、②宿は入浴・食事・電源で収益を得られ、③来訪者は安全に泊まれる、という三方の整理になる。観光担当部門が宿泊事業者と組んで受け入れ拠点を面で設計する余地は、密度データの上では地方部に広く残っている。

まとめ

認定駐車場595カ所の分布は、客室が薄い地域に厚い。密度上位の山梨県26.9カ所・茨城県25.5カ所・滋賀県24.9カ所(いずれも客室1万室あたり)に対し、東京都0.1カ所・大阪府1.0カ所。車中泊が客室を置き換えているのではなく、客室では取り切れていない移動需要が別の形で受け止められている。

1台1泊の中央値は3,300円。客室単価の中央値9,100円の約36%だが、清掃・寝具・リネンの原価を伴わない。95%の拠点が入浴を備えている事実は、大浴場を持つ宿が持っている優位をそのまま示している。ここに朝食(上乗せ幅は都道府県により+1,000円〜+2,600円台)、電源、洗濯機、自転車といったオプションを重ねれば、客室単価の6割前後を部分商材で組み立てられる。

陸前高田と箱根の2件が示すのは、受け入れ台数を1〜3台に絞れば客室販売と衝突しないという実装の形である。客室が高く売れる紅葉期であっても、駐車区画は客室在庫の上に乗る追加の収益機会として成立する。秋のドライブ需要期は、その設計を試す時期として合理的である。

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参考資料・出典一覧

■ データソース

認定駐車場は一般社団法人日本RV協会「RVパーク」公式検索システムを2026年9月11日に47都道府県で個別照会した595カ所(料金・設備・位置)、道の駅は国土交通省の一覧(令和8年9月4日現在1,234駅)を都道府県別に集計した。宿泊施設数・客室数は2026年8月時点の主要予約サイト掲載ベース、推定成約ADRは2024年1月〜2026年8月の確定月、朝食プレミアムは2026年9月の同一ホテル内ペア比較(いずれもメトロエンジンリサーチ)。

■ 試算前提

密度は認定駐車場の箇所数を客室数1万室あたりに換算した値。1泊料金の中央値・四分位は料金を公開している580件(1台あたり)で算出した。積み上げ試算(表4)は区画料金の四分位に表3の朝食プレミアム最小・最大値を単純に足したもので、2名1室の1室あたり差額を1台(2名乗車)に当てはめている。事例2施設の料金・条件は2026年9月11日時点の公開情報。

■ 限界・留意点

公式検索システムの掲載は同協会公表の認定数(2026年8月末686件)の一部で、予約・詳細情報が公開されている施設に限られる。道の駅は休憩施設で、車中泊の可否は駅ごとに異なる。客室数は予約サイト未掲載の旅館・民宿・簡易宿所を含まない。推定成約ADRは公開プラン水準からの推定値で、実際の成約価格・会計数値とは異なる。積み上げ試算は売上の目安であり、区画の稼働日数や運営コストは含まない。

■ 一次情報(所管団体・官庁)

■ 事例施設の公開情報

■ 市場データ

  • メトロエンジンリサーチ — 都道府県別の宿泊施設数・客室数(2026年8月時点・主要予約サイト掲載ベース)、推定成約ADR(2024年1月〜2026年8月の確定月)、推定稼働率、朝食プレミアム(2026年9月・同一ホテル内ペア比較)

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