新型コロナウイルスの世界的パンデミックにより宿泊産業が大打撃を受ける中、フランスのホテル企業「アコー(Accor)」が英国の「インターコンチネンタルホテルズ(InterContinental Hotels)」の買収を検討していることをフランスの日刊紙「Le Figaro」が報じた。
現在の世界最大のホテルチェーンは客室数130万室のマリオットだが、アコーとインターコンチネンタルは合計で160万室を抱えている。もし両社の合併が実現すれば、マリオットの規模を上回り、世界最大のホテルグループが誕生することになる。
アコーが運営するホテルは欧州に偏っているが、インターコンチネンタルは米国での事業規模が大きく、さらに中国でも存在感をアピールしている。そのため、両者の合併で市場での競争力をより強固にすることが期待されている。さらに、本社経費や予約システム、ロイヤルティプログラムなどの大幅なコスト削減も可能になることで、双方にとってメリットがあるという。
現在、アコーは約5000のホテルを運営し、傘下のブランドにはラッフルズやバンヤンツリー、イビスなどがある。インターコンチネンタルは約6000のホテルを運営し、ホリデーインやクラウンプラザなどのブランドを持つ。両社の合併によって生まれる新会社の時価総額は、約170億ドル(約1.8兆円)に達する見通しだ。
アコーの会長兼CEOのSebastien Bazinは今年6月に社内でタスクフォースを立ち上げ、買収に向けた調査を開始したと伝えられている。同社の経営陣は買収に前向きであるとしているが、現時点で、両社とも正式な立場で見解を表明していない。
新型コロナウイルスのパンデミック以降、2社の株価は大打撃を受けた。アコーの株価は今年に入り40%以上下落し、インターコンチネンタルの株価も23%以上下落。さらに、アコーは今週初めにS&Pグローバルからジャンク・ステータスに格下げされ、高額な金利支払いが生じるなど深刻な事態に直面していた。しかしこのニュースを受けて株価は反発、アコーは3%以上、インターコンチネンタルは2%近く上昇した。
- アコーホテルズグループ:https://all.accor.com/japan/index.ja.shtml
- インターコンチネンタルホテルズ:https://www.anaihghotels.co.jp