2025年大阪・関西万博を控え、大阪市内では外資系高級ホテルの新規開業が相次いでいる。これに対抗し、老舗ホテルが大規模改装に取り組んでいる。新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行後、インバウンド(訪日外国人客)が大幅に増えることが見込まれ、施設を磨き上げて競争力を高める狙いがある。(出典:ウェスティンホテル大阪)
ウェスティンホテル大阪(大阪市北区)は、開業30周年を迎える6月を機に約7年ぶりの大規模改装に着手。約15億円を投じて来年にかけて段階的に全300室の客室をリニューアルする。第1期では21階の「ラグジュアリールーム」を「水の都・大阪」をイメージした内装に一新し、夕日や夜景を楽しめるソファーなどが設置される。今後はレストランの改装も予定されている。
市内では、JR大阪駅北側の再開発地域「うめきた2期」(グラングリーン大阪)でホテルの開業ラッシュが再燃。米ヒルトンの最上級ホテルなど2軒や、堂島でカナダの高級ホテル「フォーシーズンズホテル」が計画されている。ウェスティンホテル大阪の担当者は、高級施設が集中する大阪キタは「避けては通れない激戦区になる」と危機感を示す。
リーガロイヤルホテル(北区)も、今年3月31日付で米国の投資ファンドに売却され、135億円を投じて大阪・関西万博前の令和7年3月までに大規模改装を行う。客室や一部レストランの変更を通じて客単価を向上させる狙いで、英ホテル大手インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ(IHG)と提携し、改装後はIHG加盟施設として海外富裕層の販路拡大を図る。
ハイアットリージェンシー大阪(住之江区)は開業30周年を迎える来年を前に、西武・プリンスホテルズワールドワイドが運営する「グランドプリンスホテル大阪ベイ」として7月に再開業を予定している。建物を所有する星野リゾート・リート投資法人は順次改装も行う方針である。西武・プリンスが大阪市にフルサービス型施設を出店するのは初めてで、各種レストランや大宴会場も備える。
ホテルが位置する咲洲(さきしま)には展示場「インテックス大阪」があり、万博会場となる夢洲(ゆめしま)が隣接している。客室の改装に加えて、国際会議などの大規模集客イベント「MICE(マイス)」で活用が見込まれる宴会場も改装される予定で、事業強化が目指されている。
2025年の大阪・関西万博を控え、インバウンド(訪日外国人客)の増加が見込まれる中、施設を磨き上げて競争力を高めることが求められている。これらのホテルが改装を進めることで、大阪市内のホテル業界がさらに活性化し、観光産業の発展に寄与することが期待される。