札幌市の新規開業施設の分布
メトロエンジンリサーチによると、札幌市における新規ホテル開業は、「札幌駅周辺」「大通・すすきのエリア」「豊水すすきの~菊水エリア」を中心に分布している。
まず、札幌駅周辺では、JRや地下鉄(南北線・東豊線)が交わる交通の要衝としての利便性を背景に、ビジネス・観光の双方をターゲットとしたホテル開発が集中的に進んでおり、北海道大学や再開発が進む北8西1地区などと連動し、国内外の旅行者に対応した中規模〜大型ホテルの開業が目立つ。
一方、大通・すすきのエリアでは、商業施設や飲食店が集積する札幌の中心街として、観光・レジャー需要を見込んだライフスタイル型ホテルが増加。近年では「都市滞在型リゾート」を志向したデザイン性の高い施設も登場し、ナイトライフを含めた滞在価値を高めている。
さらに、豊水すすきの~菊水エリアにかけては、地下鉄東西線・東豊線沿線を中心に新しい動きが見られ、札幌ドームや新千歳空港方面へのアクセスの良さを活かしつつ、観光とビジネスを両立できる利便性重視型ホテルが開業しており、札幌中心部の滞在エリアが東側へと広がりを見せている。
今後も、札幌駅周辺の再開発やインバウンド回復を背景に、多様な宿泊ニーズに応える新施設の展開が続く見込みだ。
本記事では、これらの分布傾向と新規開業動向をもとに、札幌市における宿泊市場の最新トレンドを詳しく解説していく。

出典:メトロエンジンリサーチ

出典:メトロエンジンリサーチ
札幌市の新規開業施設がもたらす「都心再編とブランド多様化」
札幌市では、札幌駅周辺を中心に再開発が加速しており、これに呼応する形で新規ホテル開業が相次いでいる。特徴的なのは、札幌駅前の大規模複合開発をはじめ、すすきの・中島公園エリアなど、エリアごとに異なるコンセプトやブランドが展開されており、再開発による都市機能の再編と、観光・ビジネス双方に対応するホテルブランドの多様化が進んでいる。
注目されるのは、「アパホテル&リゾート〈札幌駅前〉(500室)」や「アパホテル〈札幌駅前西〉(168室)」など、札幌駅周辺で進む大規模開発群だ。駅直結・至近の立地を生かし、インバウンド需要やビジネス利用を取り込む旗艦型施設として整備が進んでいる。さらに、「(仮称)札幌駅南口北4西3地区第一種市街地再開発事業」などの複合再開発も予定されており、都心機能の再編と宿泊需要の拡大が同時に進む構図となっている。
一方、すすきの・中島公園エリアでは、「TRUNK HOTEL SAPPORO(100〜110室)」「Rakuten STAY 札幌中島公園(100室)」といったデザイン性・ライフスタイル性を重視したホテルも登場し、ナイトライフやカルチャー体験を重視する新世代旅行者をターゲットにした開発が目立ち、観光滞在型エリアとしての価値を一段と高めている。
さらに、「ハイアット セントリック 札幌(216室)」や「パーク ハイアット 札幌(157室)」など、外資系ブランドホテルの進出も札幌市場の特徴。国際水準のブランド進出は、北海道観光の玄関口としての存在感を一層高め、国内外の富裕層需要にも応える体制が徐々に整いつつある。
今後も、札幌駅周辺の再開発と国際的ブランドの拡充により、宿泊市場は「都心再編」と「ブランド多様化」をキーワードに進化していく見込身となっており、都市型・観光型・ライフスタイル型が共存する札幌のホテル市場は、全国的にも注目される動きを見せていくだろう。
| 施設名 | 部屋数(推定) | 竣工 開業予定日 |
|
コンフォートホテルERA札幌北口 |
122 室 | 2025-12-18 |
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ザ・ゲートホテル札幌 by HULIC |
172 室 | 2025-12-20 |
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Rakuten STAY 札幌中島公園 |
100 室 | 2026-03-31 |
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ランドーホテル札幌ヘリテージ |
125 室 | 2026年7月 |
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(仮称)TATホテル札幌 |
40 室 | 2026年11月 |
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ハイアットセントリック札幌 |
216 室 | 2026年 |
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(仮称)中央区南6西4プロジェクト |
154 室 | 2027年2月 |
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(仮称)南3西5ホテルPJ 新築工事 |
200 室 | 2027-03-31 |
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TRUNK HOTEL SAPPORO |
100~110 室 | 2027年春 |
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アパホテル&リゾート〈札幌駅前〉 |
500 室 | 2027年春頃 |
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アパホテル〈札幌駅前西〉 |
168 室 | 2027年春頃 |
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(仮称) 札幌駅南口北4西3地区第一種市街地再開発事業 |
– 室 | 2028-07-31 |
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(仮称)北5西1・西2地区市街地再開発事業 |
200 室 | 2028年度 |
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パーク ハイアット 札幌 |
157 室 | 2029年 |
出典:メトロエンジンリサーチ
札幌市の新規開業施設の紹介
札幌市では、再開発の進展と観光需要の回復を背景に、国内外のホテルブランドによる多様な開業計画が進んでいる。特に札幌駅周辺からすすきの、中島公園エリアにかけては、立地やコンセプトの異なる新施設が次々と登場し、都市の魅力を多面的に高めている。ここでは、その中でも注目度の高い3施設を紹介する。
ハイアット セントリック 札幌
2026年開業予定の「ハイアット セントリック 札幌」は、札幌駅・大通エリアの中間に位置し、観光・ビジネスの双方にアクセスしやすい立地が特徴だ。ハイアットグループのライフスタイルブランドとして、洗練されたデザインと地域文化の融合をテーマに掲げる。客室は216室を予定しており、ラウンジやレストランなども含めた都市型ホテルとして、札幌都心再開発の象徴的存在になることが期待されている。
TRUNK HOTEL SAPPORO
2027年春開業予定の「TRUNK HOTEL SAPPORO」は、渋谷で話題を集めたTRUNKブランドの道内初進出となる。100〜110室規模の中型ホテルながら、ライフスタイル提案型ホテルとしての世界観を前面に押し出す。すすきの〜中島公園エリアのカルチャー性と親和性が高く、ローカルアーティストやクリエイターとの共創も想定されている。観光とナイトライフ、そして文化体験を融合させた新しい“札幌らしさ”を体現する拠点となるだろう。
パーク ハイアット 札幌
2029年開業予定の「パーク ハイアット 札幌」は、外資系最高級ブランドの進出として注目されている。国内外の富裕層をターゲットに、157室の客室とハイエンドなダイニング・スパ施設を備える計画だ。北海道の自然素材やアートを取り入れた空間設計が想定され、札幌の国際都市としての存在感をさらに押し上げる。これにより、札幌は東京・京都・大阪に次ぐ“ハイエンド・デスティネーション”としての地位を確立する可能性が高い。
このように、札幌市では都心再編を背景に、外資系ブランドからカルチャー型ホテルまで多様な新規開業が進行している。再開発とブランド多様化が同時に進むことで、ビジネス・観光・文化が交わる新たな都市滞在の形が生まれつつある。今後、札幌は北海道観光の中心地としてだけでなく、国内外の旅行者にとっての“滞在そのものが目的となる都市”へと進化していくことが期待される。
都心再編とブランド多様化が描く、札幌宿泊市場の未来像
札幌市では、札幌駅周辺を中心とした大規模再開発が進行し、それに呼応するかたちで新規ホテルの開業計画が相次いでいる。駅前から大通・すすきの、中島公園エリアにかけては、外資系高級ブランドからライフスタイル型ホテルまで多様なタイプの開発が同時に進み、都市機能の再編と宿泊市場の質的転換が並行して進む構図が見られる。
こうした動きは、観光・ビジネス双方の需要を取り込みながら、札幌が“北の拠点都市”として次のステージへ進化していることを示している。
都心再開発が進む札幌滞在の再定義
札幌駅周辺では、「アパホテル&リゾート〈札幌駅前〉」や「(仮称)札幌駅南口北4西3地区第一種市街地再開発事業」など、宿泊・商業・業務機能を一体化した大規模プロジェクトが進行中だ。再開発によって歩行者ネットワークや都市インフラが再整備され、回遊性の高い新しい都心が形成されつつある。
これらのエリアでは、ビジネス需要を支える高機能ホテルに加え、観光・インバウンド客を想定した大型施設も計画されており、札幌の宿泊拠点としての競争力が一段と高まっている。
一方、豊水すすきの~中島公園エリアでは、「TRUNK HOTEL SAPPORO」や「Rakuten STAY 札幌中島公園」など、ライフスタイル型・デザイン型ホテルの進出が目立つ。カルチャーやナイトライフとの親和性を生かし、宿泊を単なる滞在ではなく「体験」として再構築する流れが強まっている。これにより、札幌の都市滞在は、従来の観光・出張型から“過ごすための都市”へと変化しつつある。
国際ブランドの進出が示す市場の成熟
札幌市では、ハイアットやヒューリックなど外資・国内大手によるブランドホテルが相次いで進出している。「ハイアット セントリック 札幌」や「パーク ハイアット 札幌」はその象徴であり、国際的なブランドが都心に集積することで、宿泊市場のグレードが大きく底上げされている。
これらのホテルは、単に高価格帯を狙うだけでなく、地域文化や自然を取り入れた空間設計やダイニング体験を通じて、“札幌らしい上質な時間”を提供する方向に進化している。こうした外資系ブランドの増加は、インバウンド回復期における札幌の国際競争力強化にも直結する。
今後の展望
今後の札幌宿泊市場は、「都心再編」と「ブランド多様化」という二つの軸のもとで成長を続ける見通しだ。再開発によって交通・商業・宿泊が有機的に結びつくことで、都市全体の回遊性と滞在価値が高まり、ビジネス・観光の双方で長期的な需要の拡大が見込まれる。
また、ライフスタイル型・高級ブランド型の両極が併存する市場構造が形成されることで、価格帯・目的・体験の多様性が一層広がることが予想され、札幌はこれまでの“観光都市”から、“滞在そのものが目的となる都市”へと進化しつつあると言えるだろう。
今後も、都心再開発とホテルブランドの多層化を背景に、札幌は北海道を代表する宿泊都市として、その魅力と存在感をさらに高めていくことが期待されている。
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