2023年9月時点の大阪府の既存ビジネスホテルの施設数・部屋数・稼働率の推移をお伝えする。
大阪府の既存ビジネスホテルの分布
メトロエンジンリサーチによると、大阪府の既存ビジネスホテルの分布は大阪市に集中している。
出典:メトロエンジンリサーチ
大阪市内では、北区・中央区に集中している。
出典:メトロエンジンリサーチ
大阪府の既存ビジネスホテル施設数の推移
大阪府の既存ビジネスホテル施設数の推移は76施設の微増
大阪府の既存ビジネスホテル施設数の推移は、ほぼ横ばい傾向。2019年1月時点の488施設から直近の2023年9月時点の564施設と、4年7ヶ月で76施設の微増となっている。
出典:メトロエンジンリサーチ
施設数の推移にコロナ禍の影響はあったのか
コロナ禍の影響化にあった期間を、2020年1月〜2022年5月(ほぼ沈静化していた時期)とした上で、期間を分けて影響を考察してみたい。下の表からは、明らかな影響が読み取れる。コロナ禍以前の2019年1月〜2020年1月は66施設の増加。コロナ禍の影響下にあったとされる2020年1月〜2022年5月は4施設の減少。コロナ禍が沈静化した2022年5月〜2023年の期間では14施設の増加となった。コロナ禍以前は、緩やかではあるが右肩上がりの推移を見せていた施設数が、コロナ禍の影響で停滞からマイナスに転じ、直近になり徐々に回復傾向にあるのが数字に表れている。
集計日 |
施設数 |
増減 |
2019年1月 |
488 施設 | |
2020年1月(コロナ禍) |
554 施設 | + 66 施設 |
2022年5月(沈静化) |
550 施設 |
– 4 施設 |
2023年9月 |
564 施設 | + 14 施設 |
大阪府の既存ビジネスホテル部屋数の推移
大阪府の既存ビジネスホテル部屋数の推移は20,679 室の増加
大阪府の既存ビジネスホテル部屋数の推移は20,679室の増加。施設数推移のグラフとほぼ同じ形状で推移しているが、部屋数の推移は若干右肩上がりの傾向がある。単純に部屋数を施設数で割ることによって求めた平均部屋数では、2019年1月時点が112室に対し、2023年9月時点では134室となっている。
出典:メトロエンジンリサーチ
部屋数の推移にコロナ禍の影響はあったのか
施設数の時と同様にコロナ禍の影響化にあった期間を、2020年1月〜2022年5月(ほぼ沈静化していた時期)とした上で、期間を分けて影響を考察してみたい。ここでは、施設数の時とは違う結果が表れている。コロナ禍以前の2019年1月〜2020年1月は11,960室の増加。コロナ禍の影響下にあったとされる2020年1月〜2022年5月は4,605室の増加。コロナ禍が沈静化した2022年5月〜2023年の期間では4,114室の増加となった。コロナ禍の影響は確かにあったことが読み取れるが、施設数が減少しても部屋数は増加していたことから、施設数の減少は4施設より大きかったが、大型施設の開業があったことが推察される。
集計日 |
施設数 |
増減 |
2019年1月 |
54,852 室 | |
2020年1月(コロナ禍) |
66,812 室 | + 11,960 室 |
2022年5月(沈静化) |
71,417 室 |
+ 4,605 室 |
2023年9月 |
75,531 室 | + 4,114 室 |
大阪府の既存ビジネスホテル稼働率の推移
出典:メトロエンジンリサーチ
大阪府の既存ビジネスホテルの稼働率は、全国の稼働率と同様の推移を見せている。グラフからも、コロナ禍(2020年1月〜2022年5月)の影響は顕著に読み取れ、2022年の5月以降から緩やかに回復基調となっている。
一点注視したいのは、コロナ禍以前は全国の稼働率を上回っていた大阪府だが、コロナ禍以降は回復基調とはいえ、まだ全国の稼働率に届いていないのが現状だ。
理由としては、インバウンドに人気の都市である大阪府では、訪日外国人の受け入れが全面的にストップしたコロナ禍での影響は非常に大きく、現在も中国マーケットを含め完全復活には至っていないことが推察される。
しかしながら、一方ではまだまだ十分な伸び代があるとも言える。
2025年4月13日〜10月13日の半年間開催される「大阪・関西万博」に向け国際水準のラグジュアリーホテルの開業が急ピッチで進められてることを考えると、近未来には全国水準を超える稼働率に戻ってくることが期待されている。
大阪府で直近開業したビジネスホテルを一部紹介
東横INN大阪なんば
「東横INN大阪なんば」は、2023年7月3日に開業した地上14階・延べ床面積1.3万㎡・客室数497室の大型ビジネスホテル。客室タイプは、シングル(12㎡)・ダブル(16㎡)・ツイン(16㎡)の3タイプ。大阪メトロ御堂筋線「なんば駅」、近鉄・阪神「大阪難波駅」から徒歩1分の好立地となっており、ホテルの目の前には「なんばウォーク(地下街)」の入口もあり、地下街経由でJR難波駅にも数分でアクセスできる。
voco大阪セントラル
「voco大阪セントラル」は、西区京町堀に2023年5月30日に開業した日本初のvocoブランド。京町堀の過去と現在をつなぐアートとして、実際に家屋で使われていた古材を活用した内装や螺旋階段など温かみのあるデザインが特徴となっている。畳スペースのある11室、テラス付きの1室、アクセシブルルーム2室を含む191の客室、フィットネスルーム、ミーティングルームも備え、オープンキッチンのウェスタン・グリル・レストラン では、地元で採れた旬の食材が提供される。
Lub d Osaka Honmachi
「Lub d Osaka Honmachi」は、2023年9月1日に開業したばかりのLub dブランドのビジネスホテル。ソーシャル・ライフスタイルと快適な居住空間のユニークな融合で知られ、タイ、カンボジア、フィリピンの5つのホテルで成功を収めている。客室は165室。若く旅や移動を好む層や、現在注目を集めているデジタルノマドをターゲットに、忘れられないユニークな体験を提供する。
まとめ
大阪府のビジネスホテルの現状は、コロナ禍の影響を受けながらも緩やかな回復貴重を保っている。2021年5月以降は、施設数・部屋数ともに増加傾向を取り戻し、稼働率も同様に右肩上がりのトレンドを維持している。一方でインバウンドから人気の高い都市であったことからも、コロナ禍の影響も大きかったと言えるのではないだろうか。
しかしながら、2025年4月13日〜10月13日の半年間開催される「大阪・関西万博」も控えており、現在の稼働率推移がさらに右肩上がりの回復をみせ、全国水準を超える稼働率に戻ってくることが期待されている。
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