名古屋市の新規開業施設の分布
メトロエンジンリサーチによると、名古屋市における新規ホテル開業は、「名古屋駅周辺」「伏見・栄エリア」「久屋大通公園周辺」に集中している。
まず、名古屋駅周辺では、東海道新幹線や在来線、各私鉄を含む交通結節点としての特性を背景に、大規模なホテルの新規開業が続く。ビジネス・観光双方の需要を取り込みやすい立地に加え、駅周辺で進行する再開発とも連動し、都市型ラグジュアリーホテルから利便性を重視した中価格帯まで、多様な施設が整備されている点が特徴だ。
一方、伏見・栄エリアでは、名古屋の代表的な繁華街・商業エリアを背景に、新しいブランドホテルやライフスタイル型ホテルが開業。観光客に加え、周辺のオフィス需要を見込んだビジネス利用も多く、エンターテインメントやグルメとの親和性を活かした都市滞在の拠点として注目されている。
さらに、久屋大通公園周辺では、再整備により緑地やイベントスペースが充実した環境を活かし、地域と調和するホテルの開業が目立つ。リゾート的要素を取り入れた施設や、国際ブランドによる高級ホテルが展開し、訪日外国人旅行者を含む幅広い層を取り込む動きが進んでいる。
本記事では、これらの立地特性と新規開業動向をもとに、名古屋市の宿泊市場における最新の潮流を解説していく。
出典:メトロエンジンリサーチ
出典:メトロエンジンリサーチ
名古屋市の新規開業施設がもたらす「多様化と国際化」
近年の名古屋市では、再開発の進展とインバウンド需要の回復を背景に、新規ホテル開業が相次いでいる。特徴的なのは、ラグジュアリーホテルからライフスタイル型、さらにカプセルホテルまで、規模やコンセプトの異なる施設が同時期に計画されている点だ。
例えば、2026年夏に開業予定の「コンラッド名古屋(170室)」は、世界的に展開するラグジュアリーブランドとして、市内でも象徴的な存在となる見込みだ。高級レストランやスパを併設し、国内外の富裕層やビジネスエリートをターゲットに据えている。
一方で、2026年春に開業予定の「(仮称)ナインアワーズ名古屋栄店(180室)」は、宿泊機能をシンプルに特化させたカプセルホテル型施設。栄エリアの繁華街に位置し、訪日観光客や短期滞在者を中心に、都市型観光における利便性の高い選択肢を提供する。
さらに、2027年に予定されている「(仮称)名古屋丸の内ホテルプロジェクト(59室)」では、落ち着いたビジネスエリアの特性を活かし、宿泊者が快適に過ごせる中規模ホテルを計画。商用客を中心に、都市滞在の質を重視する利用者層のニーズに応えることが期待される。
これらの開業は、名古屋市の宿泊市場において、従来のビジネスホテル型だけではなく、国際的なブランドや新しいスタイルのホテルが共存することで、国内外の幅広い旅行者層を取り込む原動力となるだろう。
施設名 | 部屋数(推定) | 竣工 開業予定日 |
エスパシオ ナゴヤキャッスル |
100 室 | 2025年10月 |
(仮称) セトレ名古屋 |
24 室 | 2026年春 |
(仮称) ナインアワーズ名古屋栄店 |
180 室 | 2026年春 |
コンラッド名古屋 |
170 室 | 2026年夏 |
(仮称) 名古屋丸の内ホテルプロジェクト |
59 室 | 2027年4月 |
アンダーズ 名古屋 |
150 室 | 2034年度 |
出典:メトロエンジンリサーチ
名古屋市の新規開業施設の紹介
名古屋市では、国際ブランドから新しいスタイルの宿泊施設まで、多様な開業計画が進んでいる。規模や立地ごとに異なる特徴を持ち、それぞれが異なるターゲット層に新たな滞在価値を提案しようとしている。ここでは、その中でも特に注目度の高い3施設を紹介する。
コンラッド名古屋
2026年夏に開業予定の「コンラッド名古屋」は、170室を備えるラグジュアリーホテルで、国際的ブランドの進出として注目を集めている。館内には高級レストラン、スパ、イベントスペースを併設し、観光とビジネス双方において名古屋の新たな象徴的拠点となる見込みだ。
(仮称)ナインアワーズ名古屋栄店
2026年春に開業予定の「(仮称)ナインアワーズ名古屋栄店」は、180室規模のカプセルホテル型施設。繁華街・栄の中心という立地を活かし、訪日観光客や若年層の短期滞在ニーズを取り込むことで、都市型観光における新たな選択肢を提供する。
(仮称)名古屋丸の内ホテルプロジェクト
2027年春に竣工予定の「(仮称)名古屋丸の内ホテルプロジェクト」は、全59室の中規模ホテルとして計画されている。オフィス街に位置し、落ち着いた環境の中で快適に滞在できる点を強みとし、商用客や長期利用者を中心に需要を見込む。
以上のように、名古屋市ではラグジュアリーからシンプルステイまで、多様な立地・規模・コンセプトの施設が開業を控えており、国際都市としての存在感をさらに高めていくことが期待される。
多様化と国際化が進む名古屋市の宿泊市場の新展開
名古屋市の新規開業施設は、国際ブランドによるラグジュアリーホテルから、繁華街に立地するライフスタイル型ホテル、そしてビジネスエリアに計画される中規模ホテルまで、多様なスタイルでの開発が進んでいる。これらの動きは、歴史ある商都としての伝統を踏まえつつ、現代の旅行者が求める利便性と多様性に応えることで、都市全体の宿泊機能を進化させている。
再開発とアクセスが導く名古屋滞在の進化
東海道新幹線を中心に国内外からのアクセスに優れる名古屋駅周辺では、大規模で多機能なホテル開業が続き、短期滞在から長期滞在まで幅広い層を取り込んでいる。一方で、伏見・栄エリアでは繁華街や文化施設との親和性を活かし、都市体験と一体化した宿泊が可能に。さらに、久屋大通公園周辺では再整備によって誕生した緑地やイベントスペースと連動し、地域との共鳴を重視したホテルが計画されている。
多様な滞在価値の創出
商業施設や飲食店が集積する市街地と、再開発により進化する都市空間が交差する名古屋は、宿泊体験を通じて「都市を楽しむ」要素を強めている。ラグジュアリーからカプセル型まで幅広い選択肢が整うことで、ビジネス客はもちろん、観光客やインバウンド需要に応える滞在価値が広がりつつある。
今後の展望
今後、名古屋市の宿泊市場は、国内観光需要の回復と国際的な注目度の高まりを背景に、さらなる拡大が期待される。鉄道・空港を結ぶ高い交通利便性と、商業・文化資源を組み合わせ、多様な滞在ニーズに応えることで、名古屋市は“多様化と国際化が共存する都市型観光都市”としての存在感を一層高めていくだろう。
従来は中部地方のビジネス拠点としての側面が強かった名古屋だが、今後は宿泊そのものが目的となる「滞在型都市」としての魅力が育っていくのではないだろうか。再開発と国際ブランド進出を追い風に、都市体験の深化と拡張に注目していきたい。
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