熱海市の新規開業施設の分布
メトロエンジンリサーチによると、熱海市における新規ホテル開業は、「熱海駅周辺」「来宮駅周辺」「東海岸町〜銀座町エリア」に集中している。
まず、熱海駅周辺では、東京や名古屋からの新幹線・在来線アクセスの利便性を背景に、観光やビジネス双方に対応できる宿泊施設の開業が進む。駅から徒歩圏内で温泉街や海岸にアクセスできる立地特性から、短期滞在から連泊まで幅広い層をターゲットにしている点が特徴だ。
一方、来宮駅周辺では、熱海梅園や來宮神社といった観光資源を背景に、落ち着いた環境で滞在できる中規模〜高級旅館タイプの新規開業が目立つ。市街地の喧騒から一歩離れつつもアクセスの良さを保ち、滞在体験の質を重視した施設が増えている。
さらに、東海岸町から銀座町にかけてのエリアでは、海岸沿いの景観を活かしたリゾート型ホテルやブティックホテルの開業が進行。海水浴やマリンアクティビティの拠点としての利用に加え、食事や温泉といった地域資源を組み合わせた高付加価値滞在が提案されている。
本記事では、これらの立地特性と開業動向をもとに、熱海市の宿泊市場の新たな潮流を探っていく。
出典:メトロエンジンリサーチ
出典:メトロエンジンリサーチ
熱海市の新規開業施設がもたらす「滞在価値の多様化」
近年の熱海市では、温泉リゾートとしての歴史的魅力に加え、観光スタイルや宿泊ニーズの多様化に対応する新規ホテル開業が進んでいる。特に注目されるのは、300室を超える大型ホテルから、地域の観光資源と結びついた中規模旅館タイプまで、規模やコンセプトの異なる施設が同時期に計画されている点だ。
例えば、2026年開業予定の「ラビスタ熱海テラス(308室)」は、広域からの集客を見込む大型リゾート型施設として、温泉や海景を活かした滞在体験を提供する見込みだ。一方で、来宮駅周辺や熱海梅園近くでは、落ち着いた環境を重視した58室規模の「(仮称)熱海梅園ホテル」や、2026年6月完成予定の82室規模ホテルなど、より静的で個別性の高い滞在が可能な施設も計画されている。
さらに、2029年には142室規模の「(仮称)熱海市東海岸町ホテル計画」が竣工予定で、海沿いの景観を活かした中核的リゾート拠点としての機能が期待される。これらの開業は、熱海市の宿泊市場において、従来の温泉旅館型だけではない、多様な価格帯・コンセプトの選択肢を生み出し、国内外の幅広い旅行者層を取り込む原動力となるだろう。
施設名 | 部屋数(推定) | 竣工 開業予定日 |
ラビスタ熱海テラス |
308 室 | 2026年 |
未定 |
82 室 | 2026年6月30日完成予定 |
(仮称) 熱海梅園ホテル |
58 室 | 2027年秋 |
(仮称) 熱海市東海岸町ホテル計画 |
142 室 | 2029年12月末日竣工予定 |
出典:メトロエンジンリサーチ
熱海市の新規開業施設の紹介
熱海市では、歴史ある温泉リゾートの魅力を継承しながらも、規模・コンセプトの異なる多彩な宿泊施設が計画されており、それぞれが異なるターゲット層に向けた新たな滞在価値を提供しようとしている。ここでは、その中でも特に注目度の高い3施設を紹介する。
ラビスタ熱海テラス
2026年に開業予定の「ラビスタ熱海テラス」は、308室を備える大型リゾート型ホテルとして、熱海市内でも屈指の規模を誇る施設だ。
全室から相模湾の絶景や市街地の夜景を望む設計が想定されており、館内には温泉大浴場、レストラン、スパなど多彩な付帯施設を整備予定。首都圏や東海エリアからのアクセス性を活かし、国内外の幅広い観光客を取り込む中核的な存在になると見込まれる。
(仮称)熱海梅園ホテル
2027年秋に開業を予定する「(仮称)熱海梅園ホテル」は、全58室の落ち着いた規模感で、自然豊かな熱海梅園や來宮神社への近接性を最大の魅力としている。
四季折々の景観を活かした設計や、静かでプライベート感の高い滞在空間を提供することにより、ゆったりとした時間を求める旅行者や長期滞在客に支持されるだろう。
(仮称)熱海市東海岸町ホテル計画
2029年12月末竣工予定の「(仮称)熱海市東海岸町ホテル計画」は、142室規模の中核リゾートホテルとして計画が進められている。
海岸沿いの立地を活かし、マリンアクティビティや海水浴といったアクティブな滞在から、オーシャンビューの客室で過ごすリラックス滞在まで、多様な利用シーンに対応できることが期待される。開業時には熱海市の観光インフラの充実に大きく寄与する存在となるだろう。
以上のように、熱海市では大型リゾートから静謐な旅館タイプまで、多様な立地・規模・コンセプトの施設が同時期に開業を控えており、温泉リゾート都市としての魅力が一層広がりつつある。
温泉リゾート都市としての新たなステージへ
熱海市の新規開業施設は、熱海駅周辺の大型リゾートから、自然豊かな来宮エリアの中規模ホテル、そして東海岸沿いの海景を活かしたリゾート型施設まで、エリアごとの特性を活かした多様な開発が進んでいる。これらの動きは、伝統的な温泉街の魅力を守りつつ、現代の旅行者が求める多様な滞在スタイルに応えることで、都市全体の宿泊機能を進化させている。
アクセスと地域資源を掛け合わせた戦略的展開
東京・名古屋から新幹線でアクセス可能な熱海駅周辺では、観光・ビジネスの双方に対応できる施設が整備され、短期滞在から連泊まで幅広い客層を取り込んでいる。一方で、來宮神社や熱海梅園といった自然・文化資源に近いエリアでは、落ち着いた滞在を求める旅行者に向けた静かな宿泊空間が誕生。さらに、海沿いでは景観とアクティビティを融合させた施設が計画されており、地域の特色を活かした多様な選択肢が広がっている。
観光と日常が交わる“滞在体験”の深化
市街地の飲食店や商店街、海岸線の散策路など、観光と日常生活が交差する熱海の街並みは、宿泊体験そのものを豊かにする要素となっている。近年は、ラグジュアリー志向のホテルやブティックタイプの宿泊施設も増え、温泉入浴や食事といった定番の楽しみに加え、街全体を舞台にした新たな過ごし方が浸透しつつある。
今後の展望
今後、熱海市の宿泊市場は、国内観光の需要回復やインバウンド拡大を背景に、さらに成長していくことが期待される。鉄道アクセスの利便性と温泉・海景という地域資源を掛け合わせ、多様な滞在ニーズに応えることで、熱海市は“伝統と革新が共存する温泉リゾート都市”としての存在感を一層高めていくだろう。
これまでの熱海は、首都圏から訪れて温泉や海を楽しむ定番観光地としての側面が強かったが、今後は宿泊体験そのものが目的となる“滞在型リゾート”としての魅力が育っていくのではないだろうか。温泉街の情緒と現代的な快適性を兼ね備えた熱海滞在の価値に、引き続き注目していきたい。
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