AIやIoT機器の導入・普及により変貌を遂げるホテル業界の2019年。ホテル向けスマートフォンレンタルサービス「handy」を展開、OTA(オンライン トラベル エージェント)事業への参入を予定するhi Japan株式会社の代表取締役社長ピーター・リー氏に同社サービスと今後の展開について話を聞いた。
2月に社名の変更を実施、新社長として就任
2月1日付けでhandy Japanからhi Japanへの社名の変更とともに、同社の代表取締役社長に就任したピーター・リー氏は、世界最大のOTA「エクスペディア」において日本法人を立ち上げ、日本国内へ普及・浸透させた実績を持つ。
また、2015年より動画サービス「DAZN」のマーケティング&パートナーシップ本部長、その後レゴランドの親会社である「マーリン・エンターテイメンツ・ジャパン」の代表取締役を歴任した。カナダ・バンクーバー生まれで1995年から日本に滞在する。
同氏は、今回の社名の変更や社長就任について以下のように語る。
「社名の変更には、弊社がhandyというホテル向けのスマートフォンデバイスを提供する会社から、OTAを含めた旅の統合プラットフォームを目指していくという意思を表しています。
エクスペディアでの日本法人立ち上げの実績と弊社のOTA事業の開始など設立段階から関与することができることに魅力を感じ、今回の就任に至りました。」
ホテル向けスマートフォン「handy」
現在同社が提供するホテル向けスマートフォンレンタルサービス「handy」は東京や大阪などの訪日客が多く訪れる大都市を中心に1,700ホテル、240,000台が提供されている。都内ホテルでの普及率は6割に達するという。
また、新たに販売を開始予定の、handyの充電器として使用する「handy スマートドック」はスマートスピーカーやWi-Fiのアクセスポイントとしての利用も可能だ。
handyは特に外国人比率が高いホテルで多く使用されており、日本におけるインバウンド需要の高まりにつれて、その数を激増させている。
また、YouTubeなどの動画閲覧が増える中で、データ通信量支払いの負担が気になる日本人の若者などにも重宝されているという。
同氏はhandyの用途について以下のように語る。
「ホテルにはWi-Fiももちろんありますが、施設によっては有料であったりネット環境が悪かったりする場合があります。handyは4Gネットワークを持ちネット環境が良好です。また、ホテルのWi-Fi頼みでは外に持ち出すことができませんが、handyは持ち出しが可能です。持ち出し可能な点については、他のタブレットタイプの客室IoT機器とも異なる特徴となります。
テザリングの利用も可能なので個人のスマートフォンのルーターとして使用することもできます。
さらに、キャッシュレス決済やホテルのルームキー、口コミなどのレピュテーション管理機能、旅行者の趣向データの収集など数多くのメリットある機能を今後拡充予定です。」
OTA事業の展開から、旅の総合プラットフォームへ
同氏に同社の今後の展望について話を聞いた。
「弊社にはhandyというハードデバイスを通じて、ビックデータとして旅行者の趣向データや旅行の周遊データを取得することができるという強みがあります。
これを通じて旅行をより快適にする、既存のOTAを変革するような、多言語の「旅マエ・旅ナカ・旅アト」に至る「旅の総合プラットフォーム」の展開を目指します。
具体的には、2019年第2四半期(4月−6月)にOTAのサービスをスタートします。既存のOTAよりも安価な手数料を設定予定です。handyとドッキングすることで、統合したサービスが可能になります。」
社名の変更と新社長就任からわずか2ヶ月足らずだが、同社のOTAサービスの開始は目前に迫っている。handyというハードデバイスとビックデータ、OTAの連結により、旅の総合プラットフォームを標榜する同社がどのような統合サービスの提供を今後行なっていくのか、ホテルに限らず旅行業界全体から注目が高まっている。
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