新型コロナウイルスの感染拡大によりインバウンドの激減、国内でのイベント中止に伴い、多方面において倒産が相次いでいる。10−12月期の経済状況もGDP年率換算7.1%減少が発表。感染が拡大した1-3月期はさらなる落ち込みが確実で極めて深刻な経済不況に陥る事態となった。
内閣府は2019年10−12月期の実質国内総生産(GDP)改定値に関して、本日3月9日、前期比年率7.1%減と、速報値の6.3%減から下方修正した。
10−12月期においては台風の被害や記録的な暖冬、消費税増税などの影響によりすでに景気は大幅に落ち込んでいた。台風によるイベントの中止や箱根などの観光地の被害に加えて、雪不足によるスキー場の倒産はすでに多数発生していた。
・ホテル
愛知県蒲郡市所在の(株)冨士見荘は本年2月21日までに事業を停止し、名古屋地裁豊橋支部への破産申請をした。新型コロナウイルスの影響で中国からの団体ツアーのキャンセルが相次ぎ、先行きの見通しが立たなくなり、事業継続を断念した。
・クルーズ船
ルミナスクルーズ(株)(資本金1000万円、兵庫県神戸市中央区波止場町5-6、従業員13名)は、3月2日に神戸地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全・監督命令を受けた。西日本初の「新型コロナウイルス」関連の倒産となった。
・小売店
生活雑貨店「aideco」を経営していた(株)愛織(大阪市中央区本町1-6-16、資本金1500万円)は、3月3日、事業を停止し、破産手続きを開始した。暖冬と新型コロナウイルスが経営を直撃、来店客が減少していた。
・塾
富山県内の地場大手学習塾の一つ(株)志学アカデミー(資本金1000万円、富山市一番町3-20、従業員25名)は、2月29日に事業を停止し、自己破産申請の準備に入った。
・着物レンタル
着物販売やレンタルを京都で展開していた京洛和蒼株式会社(資本金1000万円、京都市下京区中堂寺庄ノ内町40-3)が新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外国人観光客の急減に関連して、事業を停止した。
・バス
観光バスやスクールバス、ハイヤーを運行する(有)味十商事(北海道浦河郡浦河町堺町東4-6-18)が業務休止。新型コロナウイルスの感染拡大で訪日客を中心とした観光バスやハイヤー利用者が激減、スクールバスの運行再開が見通せなくなった。約10名の従業員が解雇された。
・MICEイベント
北海道三富屋(株)(資本金1600万円、夕張郡栗山町杵臼274-3)は札幌地裁岩見沢支部より破産手続き開始決定を受けた。札幌市内開催イベントへの「くりやまコロッケ」の出店を行ったが、新型コロナウイルスの影響から来場者が伸び悩み集客に苦慮、先行きの見通しが立たず自己破産した。
また、横浜港でのクルーズ船の検疫により、隣接する横浜中華街は影響が直撃、街は閑散とした。政府の多数の人が集まる全国的イベントの今後2週間の中止、延期又は規模縮小等の対応要請を受けて、休業するレストランも相次いでいる。
各地の観光地では客足はまばらで影響が長期化すれば、倒産事業者はさらに拡大する恐れがある。
また、ヨーロッパでの感染拡大により、日本から海外への旅行客も激減する見込みで、旅行会社や航空会社などはさらに厳しい状況に直面する模様。
東京五輪開催への影響を懸念する声も日に日に高まっている。
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