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【取材】滋賀・比良山麓の宿『オーベルジュメソン』、読書テーマの新客室で“何もしない贅沢”を

投稿日 : 2025.06.02

滋賀県

ホテル関連ニュース

琵琶湖の西岸、比良山のふもとに静かに佇む宿『オーベルジュメソン』が、2025年5月19日、スーペリアルームを「読書へ誘う」空間としてリニューアルオープンした。

壁一面に本が並ぶ新たな客室では、森に囲まれた穏やかな環境の中、“何もしない贅沢”を味わいながら、本の世界に身を委ねる特別なひとときを過ごせる。

本記事では、今回のリニューアルの経緯やこだわりなどについて、オーベルジュメソンに取材を行った。

▷ 公式サイト:https://www.meson-box.com/

――― まず『オーベルジュメソン』の「何もしない贅沢を味わう宿」というコンセプトには、どのような想いや背景が込められているのでしょうか?

創業当初、当館の位置する滋賀県の湖西エリアは、周辺に観光地が何もありませんでした。そこで、「籠れる宿」として、当館で過ごすことが旅の目的になれば、お客様にお越しいただけるのではないか、と先代オーナーが考えたのが出発点です。

そのため、お部屋はゆったりとしたつくりで、全てのお部屋にソファを含むリビングスペースを設置。コーヒーサーバーやCDプレイヤーを用意することで、ライブラリーの本を読みながら過ごす「何もしない」という贅沢を味わってもらえる仕組みづくりを行いました。

▲ライブラリー

森の静けさの中では、時間がゆったりと流れていきます。私たちはこれを「森の時間」と呼んでいます。働いているのは、みなこの環境が気に入って、周辺エリアに住んでいる人たちです。私たちが日々感じている「森の時間」をより多くの方にも堪能していただきたい、というのが、私たちの思いです。

――― 今回のスーペリアルームのリニューアルで、「読書へ誘う」というテーマを設定された背景を教えてください。

▲リニューアルしたスーペリアルーム

「何もしない」時間を過ごしていただく中で、「本」は重要な存在だと感じています。テレビやスマホなど、普段は当たり前に使用しているデジタル機器から距離を置く、きっかけにもなると思います。

そのため、ライブラリーの充実には日々力を注ぎ、2023年には、より人が集まる環境を目指して、リニューアル工事を行いました。

今回は、そのライブラリーの分室を客室として作ってみてはどうか、ということからリニューアルの話を進めました。客室に本棚があることで、普段読書をしない方にも、より身近に本を感じていただき、ふと手に取って開く機会にしていただければ嬉しいと思います。

――― 本棚の設置にあたり、選書を「半月舎」さんに依頼されたとのことですが、その意図や選書テーマの工夫について詳しく教えてください。

当館は、一日5組のみの小さなお宿で、「顔が見える」接客を大切にしています。そのため、事前情報や、会話の内容などをスタッフ間で細かく共有し、均一な冷たい対応でなく、一人一人のお客様に合わせた温かなおもてなしを目指しています。

そんな宿のお部屋に置く本を選ぶにあたって、ちゃんと一冊一冊に意味を持って選んでいただける方にお願いしたいと考えました。その頃、個人書店を経営されている方のお話しを聞く機会があり、滋賀に個人書店があればと探したところ、ほとんど県内唯一の個人書店の半月舎さんにたどり着きました。

▲新たに設置された壁一面の本棚

琵琶湖の向こう側にあるお店に直接依頼に伺い、「おもしろそう」とご快諾頂いたのち、実際に当館のあるエリアや、現在のライブラリーの選書などもご覧いただきました。その際に、お客様がよく手に取られるジャンル(暮らしや旅、滋賀にまつわるもの)やお客様の年齢層、旅の目的などをお話しさせていただきました。

その後、一冊ごとに選書理由が記載された非常に質の高いリストをお送りいただき、そこにさらに私の意見も加えていただいた結果が最終的な選書になっています。

――― 壁一面の本棚や森を望む浴室など、空間デザインの面で特にこだわられた点があれば教えてください。

▲浴室

客室の空間を考えるとき、常に「森」をどう切り取るか、が課題になります。「森の時間」を過ごしていただくために、自然と視界の中に緑を存在させたいと考えているからです。

そこで今回は、森に向いている浴室の壁を全面窓にすることにしました。自然の中の露天風呂のような空間に仕上げることができ、明るく開放的なバスタイムを過ごしていただけるのではないかと思います。

――― 今後「何もしない贅沢」や「読書旅」というテーマをさらに広げていくうえで、挑戦したいことや構想している企画があれば教えてください。

私たちは「何もしない贅沢」を味わうことで、お客様の間に少し特別な会話が生まれてくることを期待しています。

それは、穏やかな時間の流れと、非日常な空間の中で、日ごろ心にとどまったままの思いを

素直に形に出来る場となるのではないかと考えているからです。

その、コミュニケーションを生み出す仕組みとして、「共にキッチンに立つ」ことをテーマとした新しいお部屋作りを進めています。

「一緒に何かを作る」には、思っている以上に相互のコミュニケーションが必要です。そこでもいつもとは少し違う会話を楽しむために、何が出来るかを模索しているところです。

■ スーペリアルーム概要

・定員:1〜4名
・広さ:約45m2
・宿泊料金:1名様あたり24,750円(税込)〜(2名利用時)
・設備:壁面本棚、比良山系を望む浴室、冷蔵庫、Wi-Fi、コーヒーサーバー、CDプレイヤー、ポット
・全2室(ライブラリーに最も近い客室)
・中学生未満のお子様・ペット不可
・客室URL:https://www3.yadosys.com/reserve/ja/room/detail/147/epheglengnedeldieeegghdn/all/00003

■ 宿情報・アクセス

名称:オーベルジュメソン
所在地:滋賀県大津市北比良1039-45
アクセス:京都東ICより車で約30分/JR湖西線「近江舞子駅」より送迎あり(要予約)
URL:https://www.meson-box.com/
Instagram:https://www.instagram.com/mesonbox/

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