奈良市中心部、近鉄奈良駅から徒歩約7分の立地に位置する「Hotel Base Nara」は、2024年から2025年にかけて館内の一部改装を実施した。
共用スペースには「和」の要素を取り入れ、最大4名まで宿泊可能な客室を再設計することで、観光客やグループ旅行者、長期滞在者といった多様なニーズに対応する施設として機能強化を図っている。
本記事では、今回のリニューアルについて、Hotel Base Naraの運営を担う株式会社コンフィーステイに取材を行った。
▷ 公式サイト：https://comfystay.jp/lodging/hotel-base-nara/
――― 改装にあたり、「奈良らしさ」と「快適性」の両立をどのように設計・演出されたのでしょうか？その中で特に意識したポイントを教えてください。
今回の改装では、「奈良らしさ」を感じられる空間でありながら、旅の疲れを癒せる快適さもしっかりと備えた施設づくりを意識しました。特に共用スペースの刷新は大きなポイントでした。
改装前の共用部は、カラフルなソファやビビッドな配色のカーペットなど、ポップで明るいデザインが印象的でしたが、一方で「落ち着いて過ごしたい」「奈良らしい雰囲気を感じたい」という声も寄せられていました。
その声を受け、改装後は畳敷きの床や木目を生かした家具、和紙調の照明などを採用し、全体としてやさしく穏やかな色合いを基調とした和テイストの空間に一新しました。また、東大寺の古瓦を展示することで、奈良の歴史や文化に自然と触れられる演出も加えています。
単なる「宿泊場所」ではなく、「奈良で過ごす時間そのものが旅の記憶となるように」──そんな思いを込めて空間を構成しました。
――― 東大寺の古瓦を展示されているとのことですが、この展示の意図や設置に至った経緯についてお聞かせください。
奈良に滞在される多くの方が訪れるであろう東大寺。その歴史の一端に実際に触れていただけるよう、共用スペースに東大寺の古瓦を展示しています。実際に使用されていた本物の瓦であり、目にした瞬間に「奈良にいる」という実感を深めていただけるような存在として設置しました。
観光地を巡るだけでなく、宿に戻ってからも奈良の歴史や文化を感じていただけるように -そんな思いから生まれた展示です。観光の余韻が続く場所として、宿泊空間そのものにも地域性を感じられる仕掛けを取り入れることが、より豊かな滞在体験につながると考えています。
――― 最大4名まで利用可能なツインダブルルームへの改装は、どのような宿泊ニーズの変化を踏まえた対応だったのでしょうか？
以前はロフトベッド付きのツインルームを提供していましたが、「落ち着いた空間で過ごしたい」「ファミリーや友人同士で1室に泊まりたい」といったニーズの高まりを受け、ロフトを撤去し、ダブルベッド2台を設置したツインダブルルームへと改装しました。
基本料金は2名利用を前提としつつ、最大4名まで宿泊可能とすることで、カップル、ご夫婦、ファミリー、グループ旅行など、より幅広い客層に対応できるようになりました。
この改装を経て、対象客室の稼働率は従来の約40％から約80％前後にまで上昇しており、ニーズに合った客室設計が稼働向上に直結することを実感しました。快適性と柔軟性を兼ね備えた客室づくりが、今後の施設運営においても鍵になると捉えています。
――― 長期滞在やワーケーションを意識した設備・空間づくりで、特に工夫された点があれば教えてください。
長期滞在やワーケーションにも対応できるよう、共用部の設備を中心に機能性と快適性を高めました。簡易キッチンや漫画コーナーを備えた共用スペースは、旅の合間にほっと一息つける場所として好評です。また、洗濯機・乾燥機を備えたコインランドリーも設置しており、連泊や中長期滞在のお客様にも安心してご利用いただけます。
さらに、全館で安定した高速Wi-Fiを完備しているため、通信環境を重視される方にも安心してご利用いただけます。オンライン会議やリモート作業が必要なビジネス利用の方にもご満足いただいており、日常に近い感覚で滞在を楽しんでいただけるような環境づくりを心がけています。
――― 最後に、今回の改装を通じて得た学びや気づきがあれば、今後の施設づくりにどのように活かしていきたいとお考えですか？
今回の改装を通じて、「宿泊は単なる滞在ではなく、その土地で過ごすこと自体が旅の価値になる」という意識がより一層強まりました。奈良には世界遺産や歴史的な建造物が多くありますが、それだけではなく、日々の喧騒を離れて静かに過ごせる“奈良ならではの豊かさ”を求めて来られる方が増えていると実感しています。
実際に滞在されたゲストからは、「奈良がこんなに良い場所だとは思わなかった」「ただ観光するだけでなく、滞在そのものがとても有意義だった」といったお声をいただいており、宿の果たす役割が単なる機能提供にとどまらないことを改めて感じました。
全国的にインバウンド需要が加速する中で、奈良にはまだ大きな可能性があります。他都市に比べて訪問経験が少ない分、初めての訪問が“期待以上”になることも多く、私たちはその「最初の体験」を預かる立場として、地域の魅力を自然に感じていただけるような空間づくりに努めていきたいと考えています。今後も、奈良での滞在が旅のハイライトとなるような施設運営を目指してまいります。
■施設概要
名称：Hotel Base Nara
所在地：〒630-8247 奈良県奈良市油阪町438-1
アクセス：近鉄奈良駅より徒歩約7分
客室構成：ドミトリー、ファミリールーム、ツインダブル（改装対象）
運営会社：株式会社コンフィーステイ
公式サイト：https://comfystay.jp/lodging/hotel-base-nara/