アパグループの元谷外志雄代表が「藤誠志」のペンネームで連載している月刊誌「Apple Town」は本年10月号で「日本への原爆投下は人種差別的判断だ」と題する伊藤隆氏と同氏の対談を掲載。同誌は英訳付きでアパホテルの客室に設置されている。
「自虐史観」日本近現代史を問う
アパホテル客室に設置されている月刊誌「Apple Town」は本年10月号の巻頭で、「日本への原爆投下は人種差別的判断だ」と題するアパグループ代表の元谷外志雄氏と東京大学名誉教授、政策研究大学院大学名誉教授の伊藤隆氏の対談を掲載している。
伊藤隆氏は日本近現代史、昭和政治史の研究者であり、「日本近現代史を左翼から開放すること」を目指す保守の論客とされる。
著書には『昭和期政治史研究』(東京大学出版会、1969年)、『昭和期の政治』(山川出版社、1983年)、『歴史と私――史料と歩んだ歴史家の回想』(中公新書2317、中央公論新社、2015年)など多数。今年より同グループの近現代史研究支援を行う公益財団法人アパ日本最高財団の主催する「真の近現代史観」懸賞論文の審査委員に就任している。
「日本への原爆投下は人種差別的判断」
同対談のなかで、両氏は「アメリカが日本に自虐史観を植え付けた」とした上で、次のように議論を行なった(以下公式サイトより引用)。
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元谷 広島にはウラン型、長崎にはプルトニウム型と異なるタイプの原爆が八月六日、九日に続けて投下されたのですが、これにも理由があります。アメリカはこの両タイプの原爆がどれだけの被害を与えるのか、それがタイプでどう異なるのかのデータが欲しかった。しかし二発、時間を空けて投下するのでは、最初の投下直後にそのあまりの殺戮力に国際世論の非難が沸き起り、結局二発目を投下できなくなると判断、二タイプの完成を待ってほぼ同時に投下したのです。そして目論見通り、戦後被害の状況を調査してデータを集めることに成功しました。
伊藤 それこそ正に戦争犯罪ではないでしょうか。
元谷 その通りです。その犯罪を覆い隠すためには、日本は悪い国だったから、それを正すために原爆を投下したというストーリーを作る必要がありました。だから先の大戦は日本の侵略戦争だったとか、南京で三十万人を虐殺したとか、虚構の歴史を学校やメディアが流すように仕向けたのです。またドイツに原爆を投下しなかったのは、この国からアメリカへ亡命してきた科学者への配慮があったにせよ、明らかに人種差別的判断です。
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以上のように、アメリカの原爆投下について調査目的の戦争犯罪であったことを批判し、原爆投下の背景には人種差別的判断があったことを指摘している。
アパホテルは元谷外志雄代表が「藤誠志」のペンネームの連載などをまとめた『本当の日本の歴史 理論近現代史』等について、南京大虐殺を否定するものだとして中国などから批判を受けているが、アメリカと原爆投下に関する歴史観に関して物議を醸しそうな内容だ。
公式サイトやフロントで書籍販売
同誌の内容は公式HPにて日本語と英語で内容が公開されているほか、同ホテルの客室には同誌が英訳付きで無料で読めるように設置されており、訪日旅行客を含め国内外に発信する意思が読み解ける。
一般的なホテルの客室やフロントに設置されているようなホテルのサービスや周辺地域の観光に関する情報ではなく、宿泊客に日本の近現代史史観の修正を求める内容は同ホテルに独創的なものであると言えるだろう。
同誌は定期購読の申し込みが可能で、『本当の日本の歴史 理論近現代史』についても同社公式サイトで書籍が販売され、また同ホテルのフロントでも購入が可能となっており、積極的に歴史観を発信することで、同グループとして「自虐史観」の修正を目指している。
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