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【2026年1月最新】都市構造の変化と連動:大阪市の新規開業施設

投稿日 : 2026.01.14

大阪府

新規ホテル情報

大阪市の新規開業施設の分布

メトロエンジンリサーチによると、大阪市における新規宿泊施設の開業は、「梅田・新大阪エリア」「本町〜心斎橋・難波エリア」「天王寺・阿倍野エリア」を軸に分布している。

まず、梅田・新大阪エリアでは、JR大阪駅・新大阪駅を中心とした広域交通ネットワークを背景に、新規開業が集中的に見られる。このエリアは、新幹線・在来線・地下鉄が交差する関西最大級のビジネス・交通拠点であり、ビジネス需要とインバウンド需要の双方を取り込む立地特性となっている。近年は、外資系ホテルや中〜上位グレードの都市型ホテルの進出が進み、万博開催や国際イベントを見据えた受け皿機能の強化が進行しているようだ。

次に、本町〜心斎橋・難波エリアでは、御堂筋沿線を中心に新規開業施設が連続的に分布している点が特徴だ。商業・観光・ビジネス機能が高度に集積するエリアであり、既存オフィスビルや商業ビルのコンバージョンを活用したホテル開発も多数みられる。比較的コンパクトな客室構成の施設が多く、都市滞在型・短期滞在ニーズへの対応を意識した開業が目立っている。

さらに、天王寺・阿倍野エリアでは、近年の再開発による都市機能の高度化を背景に、新規宿泊施設の立地が広がりつつある。JR・私鉄・地下鉄が集積する南大阪の交通結節点であり、関西空港へのアクセス性も評価され、梅田・難波と比べると開業件数は限定的だが、周辺観光地との回遊性を意識した宿泊拠点としての役割が強まりつつある。

このように大阪市では、主要ターミナルと御堂筋沿線を中心に、新規宿泊施設の開業が明確に集約されている。交通利便性と都市機能の集積度を重視した立地選定が進む一方で、エリアごとに想定する宿泊需要や施設タイプには違いが見られるようだ。

本記事ではこうした分布特性を踏まえながら、大阪市の新規開業施設が示す宿泊市場の動向と今後の方向性を詳しく解説していく。

出典:メトロエンジンリサーチ

出典:メトロエンジンリサーチ

大阪市の新規開業施設がもたらす「主要エリアへの集中と宿泊機能の多様化」

大阪市における新規開業施設の動向は、宿泊供給量の増加という側面にとどまらず、主要エリアへの集中と、それに伴う宿泊機能の多様化が同時に進んでいる点に特徴がある。

ここでいう「主要エリアへの集中」とは、新規開業施設が梅田・新大阪、本町〜心斎橋・難波、天王寺・阿倍野といった大阪市内の主要結節点および都市機能が集積するエリアに集中的に立地している状況を指している。一方の「宿泊機能の多様化」については、各エリアにおいて、施設規模や想定ターゲット、滞在スタイルの異なる宿泊施設が併存し始めている状態を意味する。

梅田・新大阪エリアでは、新幹線・JR・地下鉄が集積する関西最大級の交通拠点としての特性を背景に、200室超の中〜大規模な都市型ホテルの開業計画が複数進行。これらの施設は、ビジネス需要とインバウンド需要の双方を想定した構成となっており、大阪市全体の宿泊供給を量的に支える役割を担っている。

本町〜心斎橋・難波エリアでは、御堂筋沿線を中心に、新規開業施設が連続的に分布している点が特徴だ。このエリアでは、同じ中規模帯のホテルであっても、ブランド志向型ホテル、都市滞在型ホテル、アパートメントホテルなど、宿泊機能の違いが明確になりつつある。商業・観光・ビジネス機能が高度に集積する立地特性を反映し、短期滞在から中期滞在まで幅広い需要への対応が進んでいる。

さらに、天王寺・阿倍野エリアでは、再開発の進展と交通利便性の向上を背景に、比較的規模を抑えた宿泊施設の立地が広がりつつある。市内中心部と周辺観光地を結ぶ拠点としての役割が期待されており、今後の宿泊機能の広がりを示すエリアといえるだろう。

このように大阪市では、新規開業施設が主要エリアに集中する一方で、各エリアにおいて担う宿泊機能は同じではないようだ。都市型・ブランド型・アパートメント型といった多様な宿泊機能が併存する構造が形成されつつあり、価格競争に依存しない宿泊市場の基盤が整いつつある点が、大阪市の新規開業動向を読み解く上での重要なポイントとなるのだろう。

施設名 部屋数(推定) 竣工
開業予定日

(仮称) 心斎橋プロジェクト

223 室 2026/06/15

アンカード・バイ・リーガ 大阪なんば
(ANCHORED by RIHGA OSAKA NAMBA)

200 2026/04/03

(仮称) 浪速区難波中ホテル新築工事

27 室 2026/07/31

THE GATE HOTEL 大阪 by HULIC

223 室 2026/06/15

(仮称)大阪なんばアパートメントホテルⅢプロジェクト

70 室 2026/08/31

(仮称)大阪心斎橋アパートメントホテルⅣプロジェクト

70 室 2026/07/31

(仮称) ソラリア西鉄ホテル大阪本町

209 室 2026年度冬

(仮称)大阪北区堂島浜2丁目計画

220 室 2027年5月末

大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画案

2500 室 2029年頃

(仮称) 大阪マルビル建て替え計画

280 室 2030年

ハイアット セントリック なんば 大阪

267 室 2031年

出典:メトロエンジンリサーチ

大阪市の新規開業施設の紹介

大阪市では、主要エリアへの集中と宿泊機能の多様化を背景に、大規模な都市型ホテルから、機能特化型・ブランド志向型施設まで、幅広い新規開業計画が進んでいる。ここでは、その中でも市場構造を象徴する3施設を紹介する。


THE GATE HOTEL 大阪 by HULIC

2026年6月15日開業予定の「THE GATE HOTEL 大阪 by HULIC」は、223室規模の都市型ホテルとして、本町〜難波エリアに位置付けられる計画となっている。

立地利便性とデザイン性を両立した施設構成により、観光・ビジネス双方の需要を取り込む宿泊拠点として機能することが想定され、御堂筋沿線に近接する立地を活かし、都市滞在型ホテルとして同エリアにおける宿泊供給の厚みを支える存在といえる。

 

アンカード・バイ・リーガ 大阪なんば (ANCHORED by RIHGA OSAKA NAMBA)

2026年4月3日開業予定の「アンカード・バイ・リーガ 大阪なんば」は、200室規模のホテルとして難波エリアに開業予定の施設。リーガロイヤルホテルグループによる新ブランドとして、利便性とブランド力を活かした都市滞在ニーズへの対応が期待されている。

観光客が集まる難波において、ブランド志向型ホテルとしての役割を担い、大阪市における宿泊機能の多様化を象徴する存在といえる。

 

(仮称)心斎橋プロジェクト

2026年6月15日開業予定の「(仮称)心斎橋プロジェクト」は、223室規模の中〜大型ホテルとして心斎橋エリアに計画されている。商業・観光機能が高度に集積する立地特性を踏まえ、短期滞在や周遊型観光の拠点としての利用が想定されている。

御堂筋沿線の立地優位性を活かし、心斎橋・難波エリアにおける都市型宿泊機能を補完する役割を担う計画といえる。

このように大阪市では、新規開業施設が主要エリアに集中しつつも、施設ごとに担う宿泊機能は明確に異なっている。主要エリアへの集中と宿泊機能の多様化が同時に進む構造は、大阪市の宿泊市場が量と質の両面で成熟段階へ移行しつつあることを示しているのではないだろうか。

主要エリアへの集中と宿泊機能の多様化が描く、大阪宿泊市場の未来像

大阪市では、新規開業施設の動向を通じて、宿泊市場が量的拡大の局面を超え、都市構造と連動した成熟段階へと移行しつつある姿が浮かび上がっている。梅田・新大阪、本町〜心斎橋・難波、天王寺・阿倍野といった主要エリアへの集中が進む一方で、各エリアが担う宿泊機能は一様ではなく、役割分担を伴う形で多様化が進行しているようだ。

こうした構造は、インバウンド需要の回復や万博開催を見据えた短期的な需要対応にとどまらず、大阪という都市が持つ交通・商業・観光の総合力を前提とし、宿泊市場を再編している点が特徴といえる。

都市構造と連動する大阪滞在の再構築

梅田・新大阪エリアでは、新幹線・JR・地下鉄が交差する関西最大級の広域交通拠点としての機能を背景に、中〜大規模な都市型ホテルが宿泊供給の中核を担ってきている。ビジネス需要と観光需要を同時に取り込む拠点としての役割が明確化され、大阪滞在の玄関口としての位置付けが一層強まっているようだ。

一方、本町〜心斎橋・難波エリアでは、御堂筋沿線を軸に、都市型ホテル、ブランド志向型ホテル、アパートメントホテルといった多様な宿泊施設が共存する構造が形成されている。商業・観光・ビジネス機能が集中するエリア特性を反映し、短期滞在から中期滞在まで、目的に応じた滞在スタイルに対応する柔軟性が高まってきている。

さらに、天王寺・阿倍野エリアでは、再開発による都市機能の高度化と交通利便性の向上を背景に、規模を抑えつつも立地価値を活かした宿泊施設の開業が進みつつある。市内中心部と周辺観光地を結ぶ拠点として、今後の宿泊機能の広がりを示すエリアの一つといえるだろう。

大規模供給計画が示す中長期的な未来像

大阪市の宿泊市場を予測する上で注目すべき点は、2027年以降を見据え大規模供給計画が複数控えている点ではないだろうか。夢洲エリアを中心とした大規模観光拠点整備や、都心部における再開発計画は、宿泊市場に対して段階的かつ中長期的な影響を与えることが想定される。

これらの計画は、短期的な需要変動に対応するものではなく、都市全体の拡張と連動した宿泊供給の再設計と位置付けることができるのではないだろうか。主要エリアへの集中という基本構造を維持しながら、都市の成長フェーズに応じて宿泊機能が拡張・更新されていく流れが形成されつつあるようだ。

今後の展望

今後の大阪市宿泊市場は、「主要エリアへの集中」と「宿泊機能の多様化」を基盤に、安定的かつ持続的な成長を遂げていくと見込まれる。都市型ホテルが量的な受け皿を担う一方で、ブランド志向型や滞在特化型施設が質的な選択肢を広げ、多様化するユーザーニーズの変化に柔軟に対応できる市場が形成されつつあるようだ。

こうした変化は、大阪市を従来の「通過型・消費型の都市」から、目的や滞在スタイルに応じて選ばれる滞在都市へと進化していく可能性を秘めている。新規開業施設の動向は、その変化の過程を示す重要な指標であり、今後も大阪宿泊市場の成熟と高度化を読み解く上で欠かせない視点となるだろう。

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