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【2026年2月最新】宿泊市場の重心は駅前へ:広島市の新規開業施設

投稿日 : 2026.02.17

広島県

新規ホテル情報

広島市の新規開業施設の分布

メトロエンジンリサーチによると、広島市における新規宿泊施設の開業は、「広島駅周辺エリア」「紙屋町・八丁堀エリア」「平和公園・中区中心部」を中心に分布している。

まず、広島駅周辺エリアでは、JR広島駅を中心とした交通結節点機能を背景に、新規開業が集中的に見られている。山陽新幹線をはじめとする広域交通ネットワークに加え、駅ビル再開発や南口広場の整備が進行しており、都市の玄関口としての機能強化が進んでいるエリアだ。ビジネス利用と観光利用の双方を取り込む立地であり、中価格帯からフルサービス型まで、幅広いグレードの施設が立地している点が特徴的である。

次に、紙屋町・八丁堀エリアでは、市内最大の商業・業務集積地という立地特性を背景に、新規開業が点在している。路面電車網が交差し、バスセンターを有する交通利便性の高さに加え、オフィス・百貨店・飲食店が密集するエリアであることから、出張需要や短期滞在需要を意識した都市型ホテルの開業が目立つ。既存建物のリニューアルや用途転換を伴う開業も見られ、中心市街地の機能更新と連動した動きといえるだろう。

さらに、平和公園周辺および中区中心部では、観光資源への近接性を重視した立地が確認できる。世界遺産・原爆ドームを含む平和記念公園エリアは、国内外からの来訪者が集中する広島市を代表する観光拠点であり、インバウンド需要を視野に入れた施設の立地が見られる。比較的小規模な施設や、デザイン性を打ち出した宿泊施設も含まれ、滞在体験の差別化を意識した開業動向がうかがえる。

このように広島市では、広島駅を起点とした東西軸と、紙屋町・八丁堀を中心とする都心軸に沿って、新規宿泊施設の立地が集約している。交通利便性と観光動線の双方を意識した立地選定が進む一方で、エリアごとに想定される主要需要や施設規模には一定の違いが見られる。

本記事では、こうした分布特性を踏まえながら、広島市の新規開業施設が示す宿泊市場の動向と今後の方向性について整理していく。

出典:メトロエンジンリサーチ

出典:メトロエンジンリサーチ

広島市の新規開業施設がもたらす、
「駅前再開発が牽引する宿泊供給の拡大」

広島市における新規開業計画を整理すると、その供給の重心は明確に広島駅前エリアへと集約していることがわかる。

背景には、広島駅周辺の再整備・再開発があり、駅ビル、南口広場の再編、交通結節機能の高度化など、都市の玄関口としての機能強化が進み、宿泊施設の立地もそれに連動する形で拡大しているようだ。

実際、2027年以降の計画を見ると、300室超の案件が駅周辺に集中している。
・アパホテル〈広島駅前通〉(316室)
・ voco広島(301室)
・(仮称)アパホテル&リゾート〈広島駅前タワー〉(600室)

広島市内でもアパホテルの600室規模の計画は、最大級の供給インパクトとなる見込みとなっており、同時に駅前エリアが宿泊市場の中核として再定義されつつあることを示しているといえるだろう。

一方で、紙屋町・八丁堀エリアや中区中心部では、100〜200室規模の都市型ホテルの供給が続いているようだ。東急ステイ メルキュール 広島(182室)、コートヤード・バイ・マリオット広島(183室)など、ブランド性を持つ中規模帯の施設が立地している。

このように広島市では、駅前再開発を起点とした大規模供給の拡大と、都心部における中規模帯施設の供給拡大が同時進行している。

しかし、供給の質的・量的インパクトという観点で見れば、その牽引役は明らかに駅前エリアだ。再開発によって都市の動線が再構築される中、宿泊供給もまた、その動線に沿って再編されつつある。

広島市の宿泊市場は、従来の分散型構造から、駅前を中核とする構造へとシフトし始めている。この構造変化こそが、今回の新規開業動向を読み解く上での重要なポイントといえるだろう。

施設名 部屋数(推定) 竣工
開業予定日

せとうちサイクルステイズ広島宇品

123 室 2026年4月

東急ステイ メルキュール 広島

182 2026/05/18

(仮称) PIECE 広島新築計画

46 室 2027年2月

アンダーズ広島

235 室 2027年

コートヤード・バイ・マリオット広島

183 室 2026年12月下旬

アパホテル〈広島駅前通〉

316 室 2027年11月

voco広島

301 室 2027年下半期

(仮称)アパホテル&リゾート
〈広島駅前タワー〉

600 室 2028年3月

(仮称)広島市中区東平塚町ホテル計画

168 室 2028年7月

出典:メトロエンジンリサーチ

広島市の新規開業施設の紹介

広島市では、駅前再開発が牽引する宿泊供給の拡大を背景に、300室超の大規模案件から、国際ブランドを冠した中規模ホテルまで、多様な新規開業計画が進んでいる。ここでは、その中でも市場構造の変化を象徴する3施設を紹介する。


アパホテル〈広島駅前通〉

2027年11月開業予定、316室。

広島駅前エリアに立地する300室超の都市型ホテルとして、駅前再開発と連動した供給拡大を象徴する案件の一つ。ビジネス需要と観光需要の双方を想定した標準化された客室構成により、安定的な稼働を志向するモデルといえる。駅前への供給集中が進む中で、量的側面から市場を支える存在となることが想定される。

 

voco広島

2027年下半期開業予定、301室。

IHG系ブランド「voco」による300室規模のホテル計画。国際ブランドの導入は、広島市の宿泊市場におけるブランド多層化の進展を示す動きといえる。駅周辺に立地することで、国内外の幅広い需要を取り込む拠点として機能することが期待される。従来のローカル主体の市場構造から、グローバルブランド参入による競争環境の変化が進みつつある点は注目される。

 

アンダーズ広島

2027年開業予定、235室。

ハイアット系上位ブランドの進出は、広島市の宿泊市場における質的転換を象徴する計画といえる。235室規模と中規模帯に位置付けられるが、価格帯・ターゲット層の面では従来市場よりも上位レンジを志向する構成が想定される。
駅前大規模供給とは異なるアプローチで、市場の単価レンジを押し上げる可能性を持つ施設と整理できるだろう。

このように広島市では、以下が同時進行しているようだ。
・駅前における300室超の大規模供給
・国際ブランドの参入による競争環境の高度化
・上位ブランド進出による価格帯の上方拡張

駅前再開発が牽引する宿泊供給の拡大は、単なる客室数の増加にとどまらず、市場構造そのものを再編する動きへと発展しつつある点が、今回の新規開業動向の最大の特徴といえるだろう。

 

駅前再開発が描く、広島宿泊市場の未来像

広島市では、新規開業施設の動向を通じて、宿泊市場の重心が明確に再編されつつある姿が浮かび上がっている。とりわけ広島駅前エリアへの供給集中は、単なる客室数の増加ではなく、都市構造と連動した宿泊市場の再設計を示す動きといえる。

これまで広島市の宿泊市場は、広島駅周辺と紙屋町・八丁堀エリアを中心とする分散型の構造を形成してきた。しかし、駅ビル更新や南口広場整備などの再開発が進む中で、広島駅は交通拠点にとどまらず、滞在の起点としての機能を強めている。宿泊供給もその動線に沿う形で集約が進み、市場構造そのものが変化し始めているようだ。

駅前を中核とした滞在動線の再構築

300室超の都市型ホテルや600室規模の大型計画が駅前に集積することで、広島市の宿泊市場は量的な受け皿を一段と拡張していくことが見込まれる。ビジネス需要、インバウンド需要、イベント・団体需要といった多様な利用目的を一体的に取り込む拠点として、駅前エリアの存在感は今後さらに高まるだろう。

一方で、紙屋町・八丁堀エリアや中区中心部では、中規模帯のブランドホテルが都市機能を支える役割を担っている。商業・業務機能と近接した立地特性を活かし、滞在スタイルに応じた選択肢を提供することで、市場全体の柔軟性を高めている。

このように広島市では、駅前が量的拡張を担い、都心部が機能的多様性を支えるという、役割分担型の構造が形成されつつある。

中長期視点で見る供給拡大の意味

2027年以降も複数の大規模計画が控えており、広島市の宿泊供給は段階的に拡張していく見込みだ。これらは短期的な需要変動への対応というよりも、都市の再開発と歩調を合わせた中長期的な供給再編と捉えるべきだろう。

再開発によって交通動線や都市機能が再構築され、その中核に宿泊機能が組み込まれていく。このプロセスは、広島市が「通過型の地方中核都市」から、「滞在を前提とした都市」へと進化していく過程とも整理できる。

今後の展望

今後の広島宿泊市場は、駅前再開発が牽引する供給拡大を基盤に、安定的な成長局面へと移行していく可能性が高い。大規模ホテルが量的な受け皿を担い、ブランドホテルや中規模施設が質的な選択肢を広げることで、多様化する滞在ニーズへの対応力は一層高まるだろう。

新規開業施設の動向は、広島市の都市戦略そのものを映し出す鏡といえる。駅前再開発を起点とした宿泊市場の再編は、広島が滞在都市としての存在感を強めていくための重要な転換点となるのではないだろうか。

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