仕事とバケーションの融合という新しい働き方として注目されている「ワーケーション」ですが、ワーケーションには補助金制度があることをご存じでしょうか。
今回は、ワーケーションにおける補助金制度についてのさまざまな情報を解説しましょう。ぜひ参考にしてください。
ワーケーション補助金とは?
ワーケーション補助金とは、一体どのような制度なのでしょうか。
補助金と似たような制度である助成金との違い、補助金の対象、補助金が増えている理由など、補助金の詳細について、以下説明します。
補助金と助成金の違い
補助金
ワーケーションにおける補助金は、主に企業が対象となっています。ただし、各地域で自治体が独自に行っているワーケーション支援の場合には、個人が受けることも可能となっています。
しかし、気を付けなければいけないことは、補助金は助成金に比べると種類が豊富で支給額が多い反面、公募期間が短いため申請を逃して受給できないといった失敗も少なくありません。
ワーケーションに実費で出した金額を、経費として自治体に申請するという流れになりますが、支給のタイミングは自治体によって異なるので、すぐに申請した金額が返還されるとは限りません。
また、助成金や補助金は、原則としてもらった金額を返済する必要がないのが特徴です。
助成金
主に個人事業主・フリーランスを支給対象としているのが、助成金です。補助金と違って申請には期限がないため、いつでも申請可能となっています。
自治体に申請して受理された場合、定額からもらった助成金分を引いた差額を支払うのが助成金の流れですが、補助金と比べると種類が少なく、もらえる額も低いのが特徴です。
自治体によっては、補助金・助成金を区別せずに曖昧な扱いになっているところもあるので、連絡をして確認することも必要です。
補助金の対象
ここで、どのようなものが補助金の対象となるのかですが、ワーケーションを始めとした補助金は「企業が成長するための取り組みの支援」が目的です。そのため、どのような業種・業態であってもあらゆる企業が対象となっています。
ただし、国・自治体が用意した補助金の種類は、規模の大小関係なく数えると全国で1万種類以上です。企業のサービスや製品、ビジネスモデルに合わせた補助金が多数用意されているので、どのような補助金が適しているのか、事前に確認しなければいけません。
また、ひとつの補助金制度に多数の企業が申請すると、自治体の予算の都合で審査の通過が難しくなるケースもあります。申請をすれば必ず受給できるとは限らないので、注意が必要です。
補助金が増えている理由
全国の自治体が用意している補助金の種類が増加した原因のひとつは、コロナ禍によるリモートワーク推進です。リモートの実践により、通勤しなくても業務遂行が可能になったことが実証されました。
それにより「通勤時間などの時間短縮、それによる業務効率化」が明確になったため、リモートワークは年々、推進・定着の様子を見せているのです。
それに加えて、観光業会支援も原因のひとつに挙げられるでしょう。ワーケーションにより都心部の人間が地方に分散されることによって、都心の人口一極集中の防止・地方の人口減少抑制、経済の活性化および経済効果の期待が見込めます。
そのようないくつかの要素が重なり、それらの活動を後押しする補助金の必要性は年々高まっているのです。
ワーケーション補助金一覧
ワーケーションの補助金には、どんな種類があるのでしょうか。自治体が用意している補助金をみてみましょう。
宿泊費が多く、移動費などを補助する場合も自治体によってあって様々です。
ワーケーション補助金のある自治体
地方の自治体ごとに出ている補助金を以下の表にまとめました。
自治体 |
補助金の内容 |
北海道 (富良野市、釧路市) |
宿泊費、レンタカー使用料、交通費が対象
|
青森県 (青森市、平内町、今別町、外ヶ浜町、蓬田村) |
宿泊費、移動費が対象 |
福島県 |
補助金上限30万円 |
岩手県 |
宿泊費(県内在住・県外によって金額に変化あり) |
栃木県 |
法人の場合、最大額20万円 |
群馬県(渋川市) |
宿泊費が割引 |
新潟県(新発田市) |
宿泊費無料 |
静岡県(浜松市) |
宿泊費割引 |
石川県(金沢市) |
ワークスペース、宿泊費が割引 |
広島県 |
経費が対象 |
島根県 |
スペース使用料金、通信費用、移動費が対象 |
宮崎県 |
宿泊費、レンタカー代が対象 |
鹿児島県 |
経費が割引 |
補助金の詳細や受給の条件などは、自治体ごとに異なるので、問い合わせて確かめましょう。
各自治体のワーケーション補助金の特徴について
ここで、各自治体のワーケーションの補助金の特徴について解説しておきますので参考にしてください。
青森県(青森市、平内町、今別町、外ヶ浜町、蓬田村)、岩手県奥州市、群馬県みなかみ町の補助金については、個人で申請できます。また、栃木県の補助金は企業だけでなく、フリーランスでも申請可能です。
また、青森県(青森市、平内町、今別町、外ヶ浜町、蓬田村)、群馬県みなかみ町、宮崎県都城市については移住のための視察で補助金が出るようになっています。
青森県三戸市、栃木県、石川県輪島市、広島県庄原市については、ワーケーションのサテライトオフィスの視察の補助金が出ますので、これらを有効活用してみるといいでしょう。
自治体によって何を積極的に推奨しているのかが補助金や助成金の出し方によって異なりますので、各自治体のホームページなどでよく確認して利用してみるのがおすすめです。
ワーケーション助成金一覧も参考に
また、これ以外にも助成金を出している自治体もたくさんありますので参考にしてみるといいでしょう。
北海道富良野市 |
宿泊費、ワークプレイス利用料 |
北九州市 |
宿泊費、移動費、ワークスペース利用料 |
長崎県島原市 |
移動のための往復の航空運賃 |
佐賀県嬉野市 |
引越し業者費用、新居のための礼金の実費、県外事業所に所属してリモートワークをする人へ1人10万円 |
宮崎県都城市 |
宿泊費補助金およびレンタカー借上料補助金 |
ワーケーション補助金をもらうには?
ワーケーション補助金は、ワーケーションを実施するだけで支給されるわけではなく、自治体に申請をしなくてはいけません。では、補助金の申請方法・注意点について、以下より説明します。
ワーケーションに関する補助金の申請方法は、全国均一ではありません。ワーケーション補助金制度を導入している全国の自治体によって、申請方法が異なるのが特徴です。
ワーケーション前と終了後に申請する2種類がある
ワーケーションは、ワーケーション終了後に、それにかかった費用を経費として提出するのが一般的と思われていますが、必ずしもそのケースとは限りません。
申請方法の種類は、ワーケーション開始前に申請書・実績報告書を提出して申請するパターンとワーケーション終了後に身分証の写し、施設の使用申請書・交通費の領収書などを提出して申請するパターンの2種類があります。
また、申請する際にはいくつかの必要書類を提出する必要がありますが、自治体によって提出を求められる書類は異なるので、自治体に確認する必要があります。
補助金は税金から捻出されるものなので、申請すれば必ず支給されるとは限りません。申請後に審査があります。審査内容は公表されていませんが、審査を通過しないと補助金の支給は認められないので注意しましょう。
申請する際の注意点
ワーケーションに関する補助金を申請する際、いくつかの注意点があります。次のような注意点を知った上で、申請するようにしてください。
自治体ごとの補助金支給額や対象を確認する
ワーケーションの補助金支給対象は、宿泊費・交通費・現地で使用したレンタカー代など多岐にわたり、自治体ごとに対象が異なります。また、自治体によっては同じ対象でも無料の場合もあれば一部負担の場合もあり、違いがあるのが特徴です。
また、支給金額の上限も数十万のものもあれば、数千円〜数万と金額は異なり、補助金を受けられる企業も、自治体によってはIT企業など一つの業種に絞ったところもあります。
自治体によって、支給条件や対象などに違いがあるので、補助金はどのような詳細になっているのか、しっかりと確認することが大事です。
補助金の内容の良さだけにとらわれない
支給額の上限が高額など、補助金の内容の良さだけを見て、ワーケーションの現場を選ばないようにしましょう。
いくら補助金の条件が良くても、ワーケーションの環境が自分の仕事に適していない・希望通りの環境でないと、ワーケーションも円滑に行えません。
どの自治体もワーケーションのために居心地の良い環境を用意していますが、人によって合う・合わないがあるので、補助金だけでなくワーケーションの詳細も確認しましょう。
補助金の申請期限を確認する
補助金は、助成金と違って申請期限が短いのが特徴です。申請を受け付けている期間は1ヶ月ほど、公募する時期は4〜5月ごろが多く、この時期・期間を逃してしまうと、補助金は受けられません。
補助金の申請期間はいつなのか、しっかりとチェックすることが大事です。
まとめ
ワーケーションの補助金制度を利用すれば、快適な環境で仕事が進められるうえに経費も削減できて、企業や個人にとってお得です。補助金制度を利用するためには、補助金の種類や申請の際の注意点などを把握しておくことです。
自身に適した補助金制度を見つけて、円滑に補助金制度の申請・利用を達成しましょう。