佐川急便とJR北海道は、宅配便を旅客列車で運ぶ貨客混載事業に合意。対象範囲として想定されているのは、最北の宗谷線 稚内駅~幌延駅間、過疎地域等において人流・物流サービスの持続可能性を確保することで、観光客の利便性向上にも繋がることが期待されている。
運送業の担い手不足に、列車を有効活用
全国的に自動車運送業の担い手不足と人口減少等に伴う旅客輸送(需要)の減少により、特に、過疎地域等においては、物流および人流サービスの維持が重要な課題となっている。このような状況下、貨物または旅客の運用に特化してきた従来の輸送サービスのあり方を転換し、一定の条件のもと荷物と旅客を運ぶ「かけもち」ができるよう、規制が緩和された。
このような背景から、佐川急便では北海道内の集配効率の向上を図るために列車を使った貨客混載事業を協働で行いたい意向があり、JR北海道に相談。JR北海道としても、列車を有効活用して収入に繋げることができることから、その実現の可能性について両社で検討を進めてきた。
その結果、佐川急便とJR北海道は、同制度を活用し、宗谷線 稚内駅~幌延駅間の旅客列車を利用して宅配便を運ぶ新たな貨客混載事業に取り組むことになった。今回事業展開を想定している範囲は、JR北海道が管轄する宗谷線 稚内駅~幌延駅間で、旅客列車に宅配便と旅客を混載して輸送することを検討している。
天塩郡幌延町で1日に配達する荷物を宗谷線の客車内に積み込んで、稚内駅から幌延駅まで運ぶ。幌延町を担当するドライバーが駅で配達荷物を受け取り、配達を行う。
出典:佐川急便
北海道稚内市ホテル展開状況
メトロエンジンリサーチによると、北海道最北端の稚内市には宿泊施設が46、部屋数にして1,459が提供されている。
貨客混載の推進は、預かった荷物をホテルに届けることで手荷物に対する不安・心配を取り除き、利便性向上を図り、手ぶら観光による消費の拡大にもつながるものであり、規制緩和を受けて運送会社と鉄道会社やバス会社などとの連携が各地で始まっている。
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