那覇市のリゾートホテル、分布状況
メトロエンジンリサーチによると、那覇市のリゾートホテルの分布状況は以下の通り。
出典:メトロエンジンリサーチ
出典:メトロエンジンリサーチ
メトロエンジンリサーチによると、那覇市のリゾートホテルは、那覇空港から市中心部にかけて広がる沿岸エリアを中心に集積しており、とりわけ泊港周辺から美栄橋・旭橋エリアにかけて高い集中度を示している。
地図からも確認できるように、空港からのアクセス性と港湾エリアの利便性を兼ね備えた地域にホテルが多く立地しており、離島航路や観光拠点としての機能を背景に宿泊需要が高まっている。特に国際通りに近接する牧志・おもろまちエリアにも一定数のリゾートホテルが集まっており、ショッピングや都市型観光との親和性を活かした滞在が可能だ。
一方で、市の東部や郊外エリアではホテル分布は限定的で、供給が中心部に大きく偏る構造が見られる。このことから、那覇市内における宿泊需要は、交通アクセスと観光・商業機能が集積するエリアに強く集中していることがうかがえる。
このように、那覇市のリゾートホテルの配置は、空港・港湾・繁華街といった主要都市機能と密接に連動しており、観光とビジネス、さらに離島アクセスを目的とする多様な宿泊ニーズに応える形で形成されている点が特徴といえる。
那覇市のリゾートホテル、施設数の推移
施設数は6年間で約2倍に拡大|中規模〜大規模リゾートの進出が市場を牽引
那覇市におけるリゾートホテル・施設数の推移には以下の傾向が見られた。
出典:メトロエンジンリサーチ
那覇市におけるリゾートホテルの供給は、2019年以降、着実な増加トレンドを維持している。2019年時点で約11施設だったリゾートホテルは、2021年にかけて15施設前後まで拡大し、2025年には22施設に達している。
2020年から2021年にかけてはコロナ禍の影響により一時的な停滞が見られたものの、2022年以降は回復基調に転じ、新規開業が相次いだ。特に、100室規模を超える中規模〜大規模のリゾートホテルの進出が、供給力の底上げに大きく寄与したと考えられる。
一方で、増加ペースは段階的で、外部環境の変化や観光需要の回復スピードに左右される局面もあったが、全体としては長期的な拡大基調を維持。これは、那覇市が空港・港湾を有する交通ハブであり、離島観光やインバウンド需要を取り込む中核拠点としての地位を高めていることを示唆している。
考察
那覇市のリゾートホテル市場では、施設数とともに客室供給力も確実に増加しており、単なる新規開業の積み重ねにとどまらず、1施設あたりの大型化が進んでいることが特徴だ。
特に、泊港や美栄橋・旭橋周辺では、観光と都市機能を兼ね備えたハイブリッド型のリゾートホテルが目立ち、一定規模を持つ施設が主流となりつつある。
今後は、訪日外国人観光客の本格回復や国内旅行の多様化を背景に、客室数の拡大に加え、高付加価値型サービスや長期滞在ニーズへの対応が重要となるだろう。供給の量的拡大から、質的変化を問われるフェーズに移行していると言える。
那覇市のリゾートホテル、部屋数の推移
施設増加とともに客室数も拡大|大型リゾートの進出で供給力を強化
那覇市におけるリゾートホテル・部屋数の推移には以下の傾向が見られた。
出典:メトロエンジンリサーチ
那覇市のリゾートホテルにおける客室数は、2019年以降、緩やかながらも右肩上がりで増加を続けている。2019年時点で約2,600室だった供給は、2021年には3,000室台に達し、2025年には3,500室規模に拡大した。
2020年から2021年にかけてはコロナ禍の影響で増加ペースが鈍化したものの、2022年以降は新規開業が再び加速。特に、100室以上を有する中規模〜大規模のリゾートホテルの開業が相次ぎ、市内全体の供給力を押し上げたことが見て取れる。
一方、増加は段階的で、一部の時期には減少局面も確認されるが、長期的には安定した拡大傾向を示しており、那覇市の宿泊市場における成長ポテンシャルの高さを裏付けている。
考察
那覇市では、施設数の増加と並行して客室数の供給拡大が進み、特に1施設あたりの規模拡大が顕著だ。
中心部や港湾エリアを中心に、観光と都市滞在を兼ね備えたハイブリッド型リゾートが増加しており、今後は訪日客の本格回復を背景に、単なる量的な供給だけでなく、高付加価値型サービスや長期滞在への対応が市場の差別化要素になると考えられる。
那覇市のリゾートホテル、稼働率の推移
需要回復とインバウンド再開を追い風に上昇基調|全国平均を上回る安定した稼働率
那覇市のリゾートホテルの稼働率の推移を全国平均と比較して分析すると、以下のような傾向が見られた。
出典:メトロエンジンリサーチ
那覇市の稼働率は、2020年以降のコロナ禍で一時的に大幅な落ち込みを見せたものの、その後は段階的に回復し、2022年以降は全国平均を上回る水準で推移している。特に2023年から2024年にかけては、インバウンド需要の本格的な戻りと国内観光需要の継続的な増加が寄与し、稼働率は60%台まで回復。2025年初頭には70%前後の水準を記録し、堅調な成長を示している。
全国平均と比較した場合、那覇市は回復スピードがやや早く、観光需要の強さと都市型リゾートの立地優位性が影響していると考えられる。また、季節要因による変動はあるものの、長期的には右肩上がりの傾向が明確で、観光地としての競争力の高さを裏付ける結果となった。
考察
那覇市のリゾートホテル市場では、回復基調が続く中で、インバウンド対応や長期滞在型サービス、ラグジュアリー化へのシフトが差別化の鍵となる。今後は、稼働率のさらなる上昇と単価アップを目指すため、OTA戦略やダイナミックプライシングの最適化、体験価値の強化が求められるだろう。
那覇市のリゾートホテル市場の今後の展望
国際都市として進化する那覇市|インバウンド回復と都市型リゾート需要が牽引する次の成長フェーズへ
今後も那覇市のリゾートホテル市場は、沖縄観光の玄関口としての地位を背景に、堅調な成長が見込まれるだろう。
那覇空港の国際線ネットワーク拡充や泊港を中心とした離島航路の利便性強化により、インバウンドと国内観光の双方を取り込むハブ機能が一層高まっている。加えて、国際通りやおもろまちエリアを中心とした市街地再開発や都市機能の高度化は、都市型リゾートの滞在価値を引き上げ、長期滞在やワーケーションなどの新しい需要を創出している。
また、訪日外国人観光客の本格回復や、アジアを中心とした航空路線の増便、さらに国内旅行の多様化によって、那覇市の宿泊需要は引き続き拡大傾向にある。特に、ラグジュアリーホテルやブランドホテルの進出が進むことで、これまで不足していたハイエンド層の取り込みが期待される。
一方で、施設数・部屋数ともに増加している現状では、今後の競争軸は「量」から「質」への転換が求められるだろう。単なる宿泊供給から、地域文化や自然を活かした体験型コンテンツの提供、サステナビリティへの取り組み、デジタルを活用したスマートなサービス展開など、付加価値を生む取り組みが重要なテーマとなる。
既に那覇市は、国際性・観光吸引力・交通利便性という三つの強みを兼ね備えており、これらを活かしながら、進化する旅行者ニーズに柔軟に対応することで、さらなる成長と市場拡大が期待されている。
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