ホテルロイヤルクラシック大阪は2019年12月1日に新歌舞伎座跡地に開業。隈研吾氏が設計した建築に、100点を超すアート作品を組み合わせる「ミュージアムホテル」として、なんば駅直結(2020年1月から)となる好立地に150室で誕生する。同ホテル周辺のホテル展開状況の分析とともにお送りする。
隈研吾氏が設計した建築に、100点を超すアート作品
同ホテルは、アートプロデュサーとして監修した東京藝術大学・特任教授の伊東順二氏、美術画廊「ホワイトストーンギャラリー」の協力により、フロントやエレベーターホール、ホワイエ、廊下などのパブリックスペースや客室に100点を超す現代美術作品を展示。
また、村野藤吾氏による新歌舞伎座の唐破風(からはふ)の華麗な佇まいと、隈研吾氏によるアルミフィンを複数枚重ねた繊細でダイナミックなデザインのロゴマークを採用した。
「新歌舞伎座の意匠を継承し、これまでにはない新しい価値を提供できるホテルをつくりたい。」そんな思いから、同ホテルは「時を、つなぐ。」をコンセプトとして、なんばで多くの人の心に深く刻まれる思い出をつくってきた新歌舞伎座の当時の面影を残しながら開業する。
大阪・なんばの文化と伝統を継ぐランドマークとして、近隣の商店街や観光施設などと連携し、この地に新しい文化を創造し、国内外に発信する拠点の役割を担い、知的好奇心や感性をさらに刺激するまちへと貢献したい考え。
(スタンダードルーム)
作品を展示する代表的なアーティストは以下の通り。
草間 彌生、デイル・チフーリ、アレナ・マチェイカ、靉嘔(Ay-O あいおう)、上前 智祐、嶋本 昭三、ニコライ・バーグマン、中西 夏之、藤掛 幸智、ジャン=ミシェル・オトニエル、元永 定正、小松 美羽 ほか
各階、フロアに特徴的な美術品が並ぶ同ホテルはさながら「美術館」である。
©Work of Jean Michel Othoniel, copyright belongs to Perrotin
【ホテルロイヤルクラシック大阪 概要】
所在地:大阪市中央区難波4-3-3
アクセス:大阪メトロ御堂筋線なんば駅12番 出口直結(3月より)
開業日:2019年12月1日(日)
階数:地下1階、地上19階、塔屋1階
駐車台数:86台(平面2台、機械式84台)
敷地面積 : 2,242.12㎡ 延床面積 : 26,492.17㎡
部屋数/一室料金:
・スイート9室(約78㎡)120,000円~
・ツイン111室(約31㎡)
プレミアムツイン30室 44,000円~ スタンダードツイン81室 37,000円~
・ダブル30室(25~31㎡)
プレミアムダブル6室 41,000円~ スタンダードダブル24室 31,000円~
客室には室内の証明・空調などをコントロールする便利なタブレットが置かれ、テレビではYoutubeなどの動画やウェブサイトのネットサーフィンも楽しむことができる。また、宴会場前にはデジタルサイネージが置かれるなど最新の設備も取り揃える。
さらに、プレミアムルーム以上の客室ではビール、缶ジュースが冷蔵庫内に数量限定で無料で提供されており、心遣い嬉しいサービスだ。
多様な宴会場、レストランで婚礼会場としての利用にも期待
主要な5つの宴会場(麗〜URUWASHI〜 ・壽~KOTOHOGI~、日和〜HIYORI〜、木漏日〜KOMOREBI〜、花笑〜HANAEMI〜、息吹〜IBUKI〜)は、それぞれ独自のデザインが採用され、3・5・7〜9階の各フロアにそれぞれ1室というプライベートを重視した独立型のスタイル。立食で最大400名まで収容可能。
さらに、7・8・9階の各会場には専用のパーティテラスを併設。大阪の街を見渡せる素晴らしい眺望を楽しみながら、優雅なひとときを過ごすことができる。
また、最大60名収容のスカイバンケット(瑠璃〜RURI〜)、最小10名から利用できる5室の小宴会場(縁、紡、絆、絢、結)まで、様々なシーンに対応する機能的な宴会場を設ける。
(8F宴会場「花笑~HANAEMI~」)
同ホテルは、株式会社ロイヤルクラシックが手掛ける初のブランド。親会社は冠婚葬祭のサービスを提供する株式会社ベルコ。同ホテルはチャペルを2箇所揃え、婚礼会場としての利用も大いに期待される。
2階のレストラン ユラユラは明るく広々とした106席(個室3室)からなる。店内では、ランチ・ディナーと、ブッフェスタイルの食事が楽しめる。全国各地と地元大阪の厳選した旬の食材を使用し、幅広い世代に喜ばれる和洋折衷の料理を提供する。
同フロアにカフェラウンジ コアガリを備え、賑わう御堂筋一望のカフェスポットを提供する。
11階のレストラン ハフでは旅先での一日の始まりとなる朝食を提供。素材、美味しさと健康に気遣った朝食メニューを用意。大阪の魅力を最大限に詰め込んだこだわりの一品も盛り込みながら、心に残る味を届けるという。席数は92席、個室3室。
インバウンドも視野に入れ、ムスリムフレンドリーのメニューも一部提供。また、環境に配慮しプラスティックストローの提供をせず、希望する顧客にはトウモロコシを原料とした生分解性のバイオマスのストローを提供する。
20階のバーラウンジ 雲雲 〜KUMOKUMO〜はホテル最上階に設けられたバーラウンジ。地上100mの高さから望む 大阪中心部の夜景は圧巻の美しさ。酒類豊富なウィスキー、ワイン、カクテルに加え日本酒も用意。絶景の夜景とともにオシャレな雰囲気のなかで酒類を楽しめる。席数は36席。
総支配人にはホテル業界を熟知した宇佐美勝也氏が着任。同氏は開業にあたり以下のように述べた。
「当ホテルは「時を、つなぐ。」をコンセプトとして、新歌舞伎座のレガシーとして、その伝統を受け継ぎながら未来を創っていきたい所存です。
ミュージアムホテルとして100点を超えるアート作品を展示しており、間近でアートを楽しむことができる点が他のホテルにはない最大の魅力と言えるでしょう。舞台技術、近代技術、ガラスの作品など「今までにないもの」をお見せします。
また、客室はシンプルなデザインとしており、和をテイストに日本人が落ち着けるような作りとしました。日本人が自宅にいる感覚に近いくつろぎを提供します。
平均客室単価としては(スタンダードルームで)2.5-3万円の価格帯を想定しています。
増加する訪日外国人客を含めて 賑やかな人の多いなんばの街の中で、ほっと一息ついていただける場所になりたいと思っています。」
大阪市中央区・周辺ホテル展開状況
メトロエンジンリサーチによると大阪市中央区には宿泊施設が396、部屋数にして36,838室が提供されている。
新規開業予定は23施設、部屋数にして4,565室が新たに供給される見込み。
新規開業予定マップは以下の通り。
出典:メトロエンジンリサーチ
また、同区内のシティホテルの平均客室単価は18,745円(2019年11月現在)。
同ホテル周辺半径1キロ圏内のホテル展開状況は以下の通り。(大小の青緑のサークルは既存の施設で、大小は客室規模を示す。紫色ハウスマークは新設ホテル。)
出典:メトロエンジンリサーチ
中央区と浪速区にまたがる同圏内では宿泊施設が219、部屋数にして20,459室が提供されている。同圏内の新規開業予定は19施設、3,031室に及んでいる。
ホテル開業の大激戦地でオープンする同ホテルが、多数のアート作品を特徴とした「ミュージアムホテル」を掲げ、いかに競合との差別化に挑んでいくのか今後も注目していきたい。
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