横浜F・マリノスが7月以降に開催されるホームゲームの一部エリアで、価格変動制「ダイナミックプライシング」によるチケット販売開始を発表。また、三井不動産とヤフーが6月4日にダイナミックプライシング事業の合弁会社を設立するなど、スポーツ界を皮切りにダイナミックプライシングが多業種で導入の動きを見せている。
マリノスがダイナミックプライシングを導入
ダイナミックプライシングの導入をサッカーJリーグ横浜F・マリノスが5月31日に発表した。
「ダイナミックプライシング」とは、需要、市況、天候、個人の嗜好などに関するビッグデータをクラウド上のプラットフォームで迅速に分析し、需要の予測を基に価格の上げ下げを自動的に行なうこと。
飛行機チケットなどの旅客業や宿泊業において発達したレベニューマネジメント(顧客の購入意欲に応じて商品・サービスの価格と割当量を変えることで収益の最大化を図る)の考え方をスポーツ界に応用した値付け手法の取り組みである。
横浜F・マリノスでは、7月開催されるホームゲームの一部について、6月18日から販売を開始する。
対象となるエリアは以下の通りスタンド内の1Fメインスタンドとバックスタンドの一部となる。
出典:横浜F・マリノス
購入のタイミングにより、販売期間内に価格が変動することで、顧客のニーズに即応し、併せて収益向上に役立てることができるようにすることに導入のねらいがある。
三井物産とヤフーがダイナミックプライシング事業の合弁会社を設立
また、6月4日三井物産とヤフーは、需要と供給に応じて価格を変動させるダイナミックプライシング事業を行うダイナミックプラス株式会社を設立した。さらに、同社には、国内最大手のチケットエージェントである、ぴあ株式会社も出資参画し、業務提携契約を締結した。
三井物産は、昨年、チケット分野でヤフーとは福岡ソフトバンクホークスと、ぴあとは東京ヤクルトスワローズと連携し、需要状況に即した観戦チケットの価格変動の実証実験を実施、事業化に向けた準備を進めてきた。
スポーツやコンサート、催物などのエンターテインメント分野でのダイナミックプライシング事業を共同運営することを皮切りに、今後は複数のサービス型ビジネスを提供する業界に向けて事業展開していく方針を示した。
これらの球団に加えて、ダイナミックプライシングの導入は他の複数球団も関心を示しており、今後導入が加速しそうだ。
メトロエンジン社の提供する人工知能(AI)・機械学習処理を活用した、ホテル旅館の客室単価設定ツール「メトロエンジン」をはじめ、IoT、ビックデータの集積により、機械学習などのAI技術を使うことで、リアルタイムに価格を変動させるダイナミックプライシングがスポーツ・コンサート、駐車場、物流など様々な業界で導入されはじめており、その応用用途の広がりが同業界に飛躍のチャンスを示している。