寛文年間創業の有名旅館「萬国屋」を運営していた株式会社ミリオン(資本金4560万円、鶴岡市湯温海丁1、代表清算人加々美博久氏)は、4月8日に山形地裁鶴岡支部より特別清算開始命令を受けた。
「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」では毎年入賞
同社は、江戸時代前期の寛文年間に創業、1981年(昭和56年)1月に法人改組。開湯1000年以上の長い歴史を持つ鶴岡市のあつみ温泉を代表する温泉旅館で、「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で毎年上位にランクインする「萬国屋」(山形県鶴岡市湯温海丁1、客室総数127室)は全国的にも高い知名度を誇っていた。
個人旅行客のほか、旅行会社が企画した全国からのツアー団体客を主な得意先とし、宿泊や宴会のほか忘新年会、各種団体・会社の催事や集会などに会場を提供。繁忙期の客室稼働率は90%近くに達し、近年のピークとなる97年(平成9年)12月期には約32億4700万円の年収入高を計上していた。
しかし、繁忙期以外は稼働率が20%に満たない時期もあり、閑散期の集客が課題となっていたうえ、あつみ温泉の観光客減少の影響で団体客の集客率が低下したことや、景気低迷による宴会需要の減少などから業績は低迷。
2013年12月期の年収入高は約11億5200万円に減少し、当期純損失約9600万円を計上していた。また、かねてより年商を大きく上回る借入金を抱え債務超過に陥っており、経営再建を図るべく、2009年4月から主力行より役員を受け入れていたほか、同年5月に有名ホテルの経営経験者を、2014年9月には国内のホテル・旅館再建の実績を持つ人物をコンサルタントとして招聘。
経営指導を仰ぎ、ローコストオペレーションによる収益体質の改善に取り組んでいた。その成果が表れ、2015年12月期の年収入高は約14億6400万円、当期純利益も約3300万円を計上するなど回復したものの、2018年12月期に入ると、再び業績は悪化。
事業再建を模索するなか、2018年11月に事業を譲渡するための新会社、株式会社萬国屋を設立。その後、今年2月1日付けで会社分割により同社に事業を譲渡し、同時に株式会社ミリオンに商号変更するとともに、株主総会の決議により解散していた。
負債は約31億6800万円。
新会社の株式会社萬国屋(代表佐藤太一氏、鶴岡市湯温海丁1)は、かみのやま温泉の株式会社旅館古窯(代表佐藤美惠氏、上山市葉山5-20)の傘下企業となり、「萬国屋」の営業を承継している。
帝国データバンク、東京商工リサーチが本日4月18日、一斉に報じた。
山形県鶴岡市ホテル展開状況
メトロエンジンリサーチによると、鶴岡市には宿泊施設が129、部屋数にして2,942室が提供されている。
客室数トップ10は以下の通り。
出典:メトロエンジンリサーチ
同市内では民宿など6施設が営業停止をしている。
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