「総額10億円をかけて7基新設する人工造雪機」既存の1基と合わせて「全8基」で「1日525トン」の造雪を行う。(出典:奥伊吹観光株式会社)
滋賀県米原市のグランスノー奥伊吹は2024-25シーズンに向けて、昨シーズン日本初導入したイタリア「テクノアルピン社製」の人工造雪機1基の試験導入を経て、今シーズンは新たに7基の人工造雪機を新設する予定である。これにより、全8基の造雪機が10月初旬から稼働し、1日525トンの雪造りを行う計画で、過去最速となる11月中のスキー場オープンを目指している。また、シーズン終盤まで雪造りを行うことでクローズ日も10日程度延長して営業日数150日も目指している。
人工造雪機は、初級者〜上級者まで誰もが利用する「ファミリーゲレンデ」と、日本最速の高速リフトが架かるグランスノー奥伊吹のメインコース「バラエティーゲレンデ」の2コースに設置される。これらのコースは人工造雪機の雪のみで合計「1300mの滑走」が可能となる。この取り組みは、近年の「地球温暖化」や「気候変動」にも負けず、気温の高さにかかわらず「24時間継続して雪が造れる」最新のスノーマシンの導入で、「スキー・スノーボードの未来」を目指す大きな一歩となる。
2基新設して「全37基」まで増設する「人工降雪機」(アメリカ SMI社製)(出典:奥伊吹観光株式会社)
また、世界的なスノーメーカー「SMI社製」の最新モデルの人工降雪機も2基新設し、全37基体制で雪造りを行う。人工降雪機とは、低温の大気中に水を噴霧することで人工的に雪を作り、積雪を生じさせるための装置のことである。最新モデルの人工降雪機2基は、中・上級者向けコースの「天狗岩コースの中間〜上部」と「日本最大級キッズパーク」に1基ずつ設置される。これにより、ゲレンデ全体の約8割が人工雪でカバーされ、ゲレンデ最上部まで雪が不足することなく滑ることが可能となり、多彩なコースバリエーションを体感できるようになる。また、日本最大級のキッズパークも、積雪量が安定しシーズン序盤から春休みが終わる4月上旬頃まで雪遊びができるようになる。同社は、これらの人工降雪機と人工造雪機による雪造りで安定したゲレンデコンディションをキープして、シーズン営業の長期化を図り「5ヵ月のロングシーズン」を目指す。
ベルトコンベア式動く歩道(アルカンデ)を「最新のエスカレーター上り3本、下り3本の合計6本」へと全面リニューアル(出典:奥伊吹観光株式会社)
さらに、駐車場からゲレンデまでの移動負担を軽減するために、既存のベルトコンベア式動く歩道(アルカンデ)の全面リニューアルを行い、上りと下りの書く3本の新設に3億円を投じる。また環境負荷を低減するために、最新の浄化槽設備の新設にも3億円を投じる。これらの取り組みを通じて人と環境の負荷を軽減し、スキー場全体の魅力を一層高める狙いである。
加えて、6月10日には観光庁より「国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業」として、支援地域の一つに「グランスノー奥伊吹」の活用を事業に含めた「びわこ」が選定された。同社では本件での補助を受けて、2024-25シーズンに向けた人工造雪機の導入、2次交通の確保、グローバルOTAとの連携によるプロモーション強化などを円滑に進めていく予定である。なお、本事業はスキー・スノーボードを楽しむ訪日外国人旅行者が増加する中、スノーリゾートへのインバウンド需要を取り込むため、インバウンド需要を取り込む意欲・ポテンシャルが高く、訪日外国人旅行者の誘客に地域一丸となって取り組む地域における国際競争力の高いスノーリゾート形成のための取組が支援されるものである。
グランスノー奥伊吹は、関西最大級の規模と積雪量を誇るスキー場であり、京阪神・中京圏からのアクセスの良さと高品質の雪で知られている。全14コースでシーズン25万人以上の来場者を集める人気のスキー場であり、自社経営の強みを活かし、索道施設やレストラン、レンタル、スクールなどスキー場にかかわる全ての施設を自社で運営している。グランスノー奥伊吹では最新技術を積極的に導入し、スキー場産業の現状を打開し、更なる発展を目指していく。