ホテル特化型メディア

眠っていたデータから新たな付加価値を

トップ > 宿泊市場動向 > 【2026年1月最新】大阪市のビジネスホテルを徹底分析!“安定成長の先にある、都市型宿泊市場の進化”

【2026年1月最新】大阪市のビジネスホテルを徹底分析!“安定成長の先にある、都市型宿泊市場の進化”

投稿日 : 2026.01.29

大阪府

大阪市のビジネスホテル、分布状況

メトロエンジンリサーチによると、大阪市のビジネスホテルの分布状況は以下の通り。

出典:メトロエンジンリサーチ

出典:メトロエンジンリサーチ

メトロエンジンリサーチによると、大阪市のビジネスホテルは市内全域に広く分布しているものの、その立地には明確な偏りが見られる。特に、梅田から難波にかけての都心南北軸を中心に、ビジネスホテルが集中して立地している点が、大きな特徴だ。

地図から確認できる主な集中エリアは、①梅田・新大阪エリア、②本町・淀屋橋・心斎橋エリア、③難波・天王寺エリアの三つに大別でき、いずれも鉄道網が高度に発達し、業務機能や商業機能が集まるエリアであり、ビジネス需要と観光需要の双方を取り込む立地条件を備えている。

梅田・新大阪エリアでは、新幹線や在来線が集中する交通結節点としての機能を背景に、出張利用を主目的としたビジネスホテルが数多く立地。特に新大阪駅周辺は、短期滞在や平日稼働を意識した施設が目立ち、大阪市における「玄関口型」のビジネスホテルエリアを形成している。

本町・淀屋橋から心斎橋にかけてのエリアでは、オフィス街と商業エリアが連続する立地特性を活かし、ビジネスと観光の中間的な需要を取り込むホテルが高密度で集中している。地下鉄御堂筋線沿線を軸に、徒歩圏内で複数のホテルが確認できる点が特徴で、大阪市のビジネスホテル市場における中核エリアといえる。

難波・天王寺エリアでは、関西国際空港へのアクセスや観光拠点としての機能を背景に、訪日外国人旅行者の利用を意識したビジネスホテルが集中して立地。主要駅周辺を中心に連続的な分布が見られ、インバウンド需要の回復とともに存在感を高めているエリアとなっている。

湾岸部や市北部・東部の住宅地エリアにも一定数のビジネスホテルは確認できるものの、都心主要エリアと比べると立地数は限定的である。これらのエリアでは、価格帯や長期滞在対応など、用途を明確にした施設が中心となっているようだ。

このように、大阪市のビジネスホテルは、市内全域に点在しながらも、梅田・新大阪、本町・心斎橋、難波・天王寺といった主要エリアに明確に集中する構造を形成している。

大阪市のビジネスホテル、施設数の推移

増加基調は維持|拡大から成熟へ向かう大阪ビジネスホテル市場

大阪市におけるビジネスホテル・施設数の推移には以下の傾向が見られた。

出典:メトロエンジンリサーチ

大阪市におけるビジネスホテル・施設数の推移には、いくつかの特徴的な傾向が見られた。

大阪市のビジネスホテルの施設数は、2019年時点で約410施設前後で推移していたが、2020年初頭にかけては、それまでの新規開業の流れを背景に増加傾向を示し、470施設規模まで拡大している。その後、2020年後半から2021年にかけては、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、増加基調が一旦落ち着き、施設数は460施設前後で足踏みする傾向が見られた。

2021年後半から2022年にかけては、大きな減少には至らず、緩やかな増減を繰り返しながら横ばいで推移。この時期は、既存施設の休業・閉鎖と、新規開業やブランド転換が同時に進行していた局面と捉えられることができるだろう。

2023年以降は、インバウンド需要の回復や都市部における宿泊需要の持ち直しを背景に、施設数は再び増加基調へと転じ、2024年には490施設台、2025年には500施設前後まで拡大している。直近では増加ペースは緩やかになっているものの、施設数は高水準を維持した状態で推移している。

全体として、大阪市のビジネスホテル施設数は、コロナ禍を挟みながらも大きな減少は限定的であり、長期的には増加トレンドを維持してきたことが読み取れる。

考察

大阪市のビジネスホテル市場は、全国的にも例外的に、コロナ禍においても施設数の急減が見られなかった市場といえる。これは、前章で確認したように、梅田・新大阪、本町・心斎橋、難波・天王寺といった主要エリアにホテル需要が集中しており、一定の稼働を確保しやすい都市構造を持っている点が大きい。

一方で、直近の推移を見ると、施設数の増加幅は縮小しており、無制限な量的拡大が続くフェーズはすでに終わりつつあると考えられる。土地取得コストや建設費の上昇、運営人材の確保といった供給制約が強まるなか、新規開業による純増よりも、既存施設の建て替えやブランド転換、用途調整といった形での市場更新が中心となっていく可能性が高いと推察される。

このように大阪市のビジネスホテル市場は、施設数を積み上げる段階から、立地や機能、価格帯を見直しながら最適化を図る段階へと移行しており、今後は数の増減そのものよりも、中身の変化が市場動向を左右する局面に入っていくと考えられる。

大阪市のビジネスホテル、部屋数の推移

施設数を上回る供給|部屋数増加傾向の大阪ビジネスホテル市場

大阪市におけるビジネスホテル・部屋数の推移には以下の傾向が見られた。

出典:メトロエンジンリサーチ

大阪市におけるビジネスホテル・部屋数の推移には、施設数の動きとはやや異なる傾向が見られた。

大阪市のビジネスホテルの部屋数は、2019年時点で約4万7,000室前後で推移していたが、2020年初頭にかけては新規開業や大型ホテルの供給を背景に増加し、5万8,000室規模まで拡大している。その後、コロナ禍に突入した2020年後半から2021年にかけても、部屋数は大きく減少することなく、6万室前後で推移している。

2021年後半から2022年にかけては、緩やかな増加基調が続き、部屋数は6万2,000〜6万3,000室台で安定して推移。この期間は、施設数が横ばい傾向にあった一方で、既存施設の増築や、比較的規模の大きいホテルの開業が進んだ局面と捉えることができるだろう。

2023年以降は、インバウンド需要の回復や都市部での宿泊需要の持ち直しを背景に、部屋数の増加がより明確となり、2024年には6万8,000室前後、2025年には7万室規模まで拡大している。直近では増加ペースはやや落ち着いているものの、部屋数は引き続き高水準を維持している。

全体を通して見ると、大阪市のビジネスホテル市場では、施設数以上に部屋数の増加が顕著であり、1施設あたりの規模が拡大してきたことが読み取れる。

考察

大阪市のビジネスホテル市場においては、前章で確認した施設数の推移と比較すると、部屋数の増加が一貫して進んでいる点が特徴といえる。これは、小規模な新規参入よりも、中規模から大規模のホテル供給が市場拡大を牽引してきたことを示していると考えられる。

特に、梅田・新大阪、本町・心斎橋、難波・天王寺といった主要エリアでは、限られた立地条件のなかで、より多くの客室を確保する設計が進み、需要の集中に対応するための供給構造が形成されていると推察できる。

部屋数の増加に関しては、今後の稼働率やRevPARに直接影響を与える要素。需要回復が続く局面では収益機会の拡大につながる一方、需要の伸びが鈍化した場合には、価格競争や稼働率調整の圧力が高まる可能性も否定はできない。

大阪市のビジネスホテル市場は、施設数の増加が落ち着くなかでも、部屋数という「供給量」は引き続き拡大しており、今後はこの供給規模を前提とした稼働率・単価のバランスが、市場全体のパフォーマンスを左右する局面に入っていくと考えられる。

大阪市のビジネスホテル、稼働率の推移

全国平均を捉えつつ上回る水準へ|安定推移が際立つ大阪ビジネスホテル市場

大阪市のビジネスホテルの稼働率の推移を全国平均と比較して分析すると、以下のような傾向が見られた。

出典:メトロエンジンリサーチ

大阪市のビジネスホテル稼働率は、全国平均と同様に、2020年初頭のコロナ禍において大きく落ち込み、一時は20%前後まで低下している。この局面では全国平均も急落しており、大阪市の稼働率は全国と概ね同水準、もしくはやや下回る水準で推移していた。

2021年にかけては段階的な回復が見られたものの、大阪市の稼働率は全国平均を明確に上回るには至らず、30〜40%台を中心とした推移が続いている。この時期は、全国平均との差が小さく、回復ペースもおおむね全国と同調した動きとなっていた。

2022年以降は回復基調が明確となり、大阪市の稼働率は全国平均に追いつき、その後は上回る月が増加している。特に2023年から2024年にかけては、60%台後半から70%台で推移する月が多く、全国平均との差が徐々に拡大する傾向が見られる。都市部における宿泊需要の回復に加え、インバウンド需要の再開が稼働率の底上げに寄与したと考えられる。

直近では、大阪市の稼働率は70%台後半から80%前後で推移しており、全国平均が70%前後で推移する中で、相対的に高い水準を維持している。全国平均と比べて、急激な上下動は少なく、安定した水準で推移している点が特徴だ。

全国平均と比較した際の大阪市の特徴は、稼働率が一時的に大きく跳ね上がる局面が少なく、回復後は一定水準を保ちながら推移している点にある。季節要因やイベントによる変動はあるものの、年間を通じた稼働の振れ幅は相対的に小さい構造となっている。

考察

大阪市のビジネスホテル市場は、コロナ禍において全国平均と同様の影響を受けたものの、その後の回復過程では全国水準を捉え、直近ではそれを上回る水準へと移行してきた市場といえる。ただし、その特徴は急激な回復ではなく、段階的に水準を引き上げながら安定化していくプロセスにある。

前章までで確認した通り、大阪市ではビジネスホテルの施設数増加が落ち着く一方で、部屋数の供給は拡大してきた。こうした供給環境のもとでも稼働率が安定して推移している点は、全国的に見ても宿泊需要の厚みがある市場であることを示している。

一方で今後については、稼働率そのものを大きく押し上げる局面から、一定水準の稼働を前提に市場が安定していく段階へと移行していく可能性が高く、需給バランスは稼働率の変動よりも、単価設定や需要の取り込み方によって調整されていく局面に入ると考えられる。

今後は、この安定した稼働水準を前提に、客室単価や商品構成、需要の取り込み方の工夫次第で収益性をさらに高めていく余地が広がっていくと考えられる。

大阪市のビジネスホテル市場の今後の展望

安定成長の先にある「都市型宿泊市場」の進化

足元のデータを見ると、大阪市のビジネスホテル市場は、施設数の増加が緩やかになる一方で、部屋数は着実に拡大し、稼働率は全国平均を捉えつつ上回る水準で安定して推移している。量的な拡大一辺倒のフェーズは過ぎつつあるが、市場全体としての厚みはむしろ高まっているように見える。

分布章で確認した通り、ビジネスホテルは梅田・新大阪、本町・心斎橋、難波・天王寺といった主要エリアに集中して立地しており、交通利便性と都市機能を背景に、安定した宿泊需要を取り込みやすい構造が形成されている。こうした立地特性は、大阪市のビジネスホテル市場が短期的な需要変動に左右されにくい基盤を持っていることを示している。

施設数の推移からは、無制限な新規参入が続く段階から、既存ストックを前提とした市場運営へと移行している様子がうかがえる。一方で、部屋数が増加してきた点は、大阪市の宿泊市場が、より収容力の高いホテル供給へ移行されてきたことを意味しており、都市としての受け入れ体制は着実に強化されているといえるだろう。

稼働率の動きに目を向けると、全国平均と同調しながら回復し、直近ではそれを上回る水準で安定。急激な変化は少なく、年間を通じて一定水準の稼働を確保できていることは、大阪市がビジネス需要と観光需要をバランスよく内包する都市型市場であることを裏付けている。

展望

今後の大阪市のビジネスホテル市場は、稼働率の大幅な上昇を追い求めるフェーズから、安定した稼働を前提に価値を積み上げていくフェーズへと進んでいくと考えられる。施設数や部屋数といった量の指標が一定水準に達した市場では、価格設定や商品構成、ターゲット需要の取り込み方によっての格差が顕著になりやすい。

都市部における宿泊需要の継続、インバウンド回復の定着、イベント・展示会・国際会議開催などは、大阪市のビジネスホテルにとって引き続き追い風となる。こうした需要を的確に捉えながら、立地特性を活かし用途に応じた商品設計が進むことで、市場全体の収益性はさらに高まっていくだろう。

大阪市のビジネスホテル市場は、「急成長する市場」ではなく、「安定しながら進化する市場」へと移行しており、供給規模と需要の厚みを兼ね備えた都市型宿泊市場として、今後も国内外からの多様な宿泊ニーズを受け止め続ける都市として期待されている。

関連記事

関連記事