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TradFitが実現する宿泊施設に寄り添ったAIスピーカーアプリケーションとチャットシステムの将来

投稿日 : 2019.03.28

指定なし

インバウンド

AIやIoT機器の導入・普及により変貌を遂げる宿泊業界の2019年。多言語対応のAIスピーカー向けアプリケーション開発とチャットシステム開発で宿泊施設の人手不足、多言語対応などのインバウンド対策に取り組むTradFit株式会社の代表取締役社長 戸田 良樹氏にサービスと今後の展開について聞いた。

宿泊施設の業務負担削減、宿泊者の旅行体験の向上、言語問題解消、データ分析によるさらなる業務、サービス、マーケティング改善

TradFitは「人、地域、文化、世界を繋ぎ、日本を観光立国へ」をテーマに、国内各地域の地域活性化を目指す観光・旅行・宿泊に特化したサービス開発を行うIT企業だ。

具体的にはAIスピーカー向けアプリケーション開発、独自開発のチャットボット、それらに紐づいた独自開発の管理画面を活用した宿泊施設向けに特化したさらなる業務・サービス改善、売上増加・顧客満足度向上のためのソフトウェア開発を行っている。

多言語での問い合わせの削減では、FAQやオーダー機能、清掃機能、チェックイン、アウト時などの混雑時における業務の効率化貢献に力を入れている。宿泊施設周辺のレストランや観光スポット、アクティビティなどのローカル情報を提供し、旅行体験・満足度の向上。さらには、蓄積されたデータ分析による、さらなる業務、サービス、マーケティング改善への活用も可能なサービスだ。

戸田氏は同社のサービスについて以下のように語る。

「野村證券出身ですが入社当初より前、正確には高校生くらいから起業を考えていました。弊社を設立したのは2017年8月です。AIスピーカーが日本に参入したのが2017年末頃になります。

現在、宿泊施設に特化したサービスにおいて国内外の特許申請を適宜追加で行い、参入障壁を築いています。既に先行優位性は築けたと考えています。比較的新しいテクノロジー領域でのノウハウも溜まっています。

AIスピーカーとしては、英語、日本語、イタリア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語の6言語に対応しており、チャットシステムには最大で、17ヶ国語(英語・日本語・中国語(簡体字)・中国語(繁体字)・韓国語・タイ語・フランス語・インドネシア語・ベトナム語・スペイン語・イタリア語・マレー語・ミャンマー語・ドイツ語・ロシア語・メキシコ・ポルトガル語(ブラジル))にAI及び観光領域、多言語コールセンター、インバウンド向け人材派遣などを行うBPOサービスに強い東証1部上場企業様と業務提携が完了し、有人によるきめ細やかなコンシェルジュにも17言語での多言語対応に対応しています。

前職時代のIPO支援業務を経て、数え切れないほどのスタートアップを見て来た中で、現在の国内外を含むAIには相当事業領域や使用シーンを絞り込まないと限界があると感じていました。人でしか出来ない付加価値の高い業務は人が行うべきで、マニュアル化できるものはAIで代替し、働く人のワークライフバランスや生産性の向上にフォーカスを当てて開発を進めています。

世の中ではAIが何でも出来てしまうような風潮がありますが、現時点においては、そんな事はないと考えています。どんなに優れた世界のPaaS(Platform as a Service)のテクノロジーを活用したとしても、特定領域に相当程度特化しないと、何にでも答えられるような精度の高いAI開発は難しいと考えております。現時点の第三次AIと呼ばれるクラウドAIはあくまでも人でしか出来ない仕事をサポートするツールに過ぎないと考えています。

ですから、弊社はAIはお客様と共に一緒に育てていく事を非常に重視しています。繰り返しになりますが、AIが何でも出来るということは将来は分かりませんが、現時点では幻想に過ぎないと考えているためです。宿泊施設様へのよくある共通した問い合わせに対してAIで精度高く回答するのは容易でありますが、その宿泊施設様や地域によって独特、複雑な問い合わせが存在しますので、そこは宿泊施設様や地域の方々としっかりと対話を重ね、AIを共に時間をかけて育てていく必要があります。

企業のCMや誇大広告に踊らされてはならないと考えております。地道な努力が必要です。

弊社サービスはAIスピーカーを利用した通話機能も有しており、施設内の電話のランニングコストの削減や、客室内の家電のIoT化を進めることで、IoT機器として客室管理を行うことも可能です。音楽、天気、レストラン、観光スポット、施設内情報、アクセス、近隣施設の紹介など、宿泊施設や宿泊者との対話を重視し、さらにAIを進化させる中で、宿泊施設の人手不足や多言語対応問題解消、地域活性化支援の仕組みづくりを進めています。

今後、需給が逼迫する中でスタッフ様や清掃スタッフ様の宿泊施設同士の取り合いが始まり、人件費の高騰が想定されます。熟練の匠である清掃スタッフ様も高齢化が進んでいる現実があります。

さらに、サービス業界の中でも入社率と離職率が他のサービス業界と比較すると非常に高い業界が宿泊と飲食業界なのです。賃金、労働時間の長さや不定期なワークライフバランスに起因すると考えています。

宿泊業界はホスピタリティーが重視され、柔軟な対応や気遣いが求められて、人間的にとても素晴らしい方が多く魅力的な業界だと感じています。弊社はこれまで以上に魅力的な業界にしていくために少しでも上述の問題解決に寄与する事を通じて業界のお役に立ちたいと考えています。」

2019年、AIスピーカーの爆発的普及を予測

AIスピーカーの普及の可能性について戸田氏は以下のように語る。

「AIスピーカーの市場は、市場環境の変化率が高く、急激に拡大すると想定しています。米国では既に成人の4-5人に1人の割合でAIスピーカーを利用し、スマートフォンの使用時間が減少しています。また、宿泊施設においても世界最大級のマリオットグループがAIスピーカーをグループホテルに導入を進めている状況です。つまり、宿泊産業においては今後必須のサービスになってくると予想しています。

中国ではAlibaba、Baidu、Tencentなどの巨大プレーヤーが個人宅向けや宿泊施設向けにAIスピーカーを導入したり、実証実験を進めています。中国を除くグローバル市場シェアとしては米アマゾンが圧倒的なシェアを有しており約7割、米グーグルが後を追う形で15%で追いかけている状況です。欧州や中国での普及も急速に普及が進んでいますが、日本においては世帯普及率1割に達するタイミングが非線形的に普及が拡大していく転換点だと考えています。

理由としましては、日本ではスマートフォンの際も類似の現象が起きましたがスマートフォンは初期はそれほど普及していませんでした。皆がガラケーで十分だと考えていたためです。それが世帯普及率1割に達したところから爆発的普及が起きた歴史があります。国内では、電通報の調査によると2018年11月現在で約8%の人がAIスピーカーを既に利用しており、野村総合研究所の予測によりますと、今年中に1割を大幅に超えていく試算が出ております。

スマートフォンと比較しますとAIスピーカーに限らず音声アシスタント端末のほうが話しかけるだけで利用でき、高齢者もお子様も声という自然なUXで簡単に使用できるためより便利であり次世代のNext Hardwareになると想定しています。今年、2019年は大きな転換の年になると考えています。」

属性把握で予測マーケティング、海外展開も視野

戸田氏に今後のサービス展開の課題と展望を聞いた。

「弊社独自開発のチャットシステムを活用することで、自国にいる際の旅前、ホテル内、旅中、旅後のあらゆる問い合わせや宿泊予約以外の予約において、宿泊施設の業務負荷を軽減する絶大な効果があると考えております。また、宿泊施設の自社Webサイトからの直接予約へシフトさせることが可能です。

なお、宿泊客の属性などを把握していくことで、例えば米国の20代女性がどのような好みを持っているのか、などの情報を取得していくことにより、予測マーケティングやビックデータ化した際には各国の属性や年齢、性別などから特徴点を抽出して、AIの技術を活用しディープラーニングさせる事で、マスのマーケティングではなく、よりパーソナライズされたマーケティング、業務、サービス改善が可能だと考えております。

さらに、感覚的に直感的に使えるユーザエクスペリエンスを改善していきたいと考え、直近、今後はこの部分に弊社のリソースの大部分を割いて行きます。訪日客の中には、AIスピーカーに慣れている国から来ている人と、AIスピーカーに慣れていない国から来ている人がいるでしょう。国や業界、世代によってITに不慣れな人でも誰にでも使いやすいサービスにしていきたいです。

宿泊施設と宿泊客に向けたB2B2Cをモデルとしたビジネスであることから、施設とエンドユーザの双方の課題を吸い上げ、共通している課題について優先順位をつけながら、それぞれの課題をしっかりと潰しながら、より良いサービス開発や機能実装を進めていきます。

現在は、国内外のシティホテル、リゾートホテル、ビジネスホテル、旅館、そして民泊まで幅広い問い合わせをいただいています。直近は海外メディアに大々的に取り上げて頂きましたおかげさまで、海外からの問い合わせも徐々に増えて来ました。宿泊施設の人手不足や多言語に対応するソリューションを提供することで、業界や地方が抱えている大きな課題を解決しながら、日本が掲げている観光立国への寄与や地域活性化、地方創生に貢献したいと考えています。近い将来には海外展開も視野に事業を展開していきたいと考えています。」

2019年がAIスピーカーの爆発的普及の年となるのか。タイミングはともあれ、AIやIoT機器の開発と普及は今後も止まることなく進んでいくことになるだろう。その際に、鍵となるのは顧客理解であり、属性データなどの活用によりさらなる改善が図られれば、AIスピーカーが宿泊施設にとっても不可欠な設備へと進化・定着していく日は近いと言えるだろう。

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