（出典：リゾートトラスト株式会社）
株式会社村田製作所とリゾートトラスト株式会社は、スマートリングを使用して宿泊客の健康状態を分析し、個別に最適化されたパーソナルサービスを提供する実証実験を2024年9月より開始する。本実証実験では、村田製作所が独自に開発したアルゴリズムとスマートリングに搭載された光学センサを用いて、宿泊客の末梢血行状態を分析し、その結果に基づいたアクティビティを提案するものである。これにより、宿泊者がリゾート滞在中に健康寿命を延ばすための新たな価値提供を目指す。
この実証実験の舞台は、リゾートホテルにおいて「ホテル×ウェルネス」というテーマに基づき実施される。宿泊者は、スマートリングを装着することで血行状態が推定され、その結果に応じた活動内容が提案される。具体的には、SPAやエステ、ジムでの運動など、宿泊者の状態に合わせたアクティビティが提案され、健康寿命を延ばすためのサポートが行われる。
高齢化が進む現代社会において、人生100年時代を健康に過ごすためには健康寿命の延伸が重要な課題となっている。糖尿病、脂質異常症、高血圧症などの生活習慣病は、生活習慣の乱れによって引き起こされるとされ、血行や血管の状態と密接に関係している。この問題に対応するため、村田製作所はスマートリングに搭載された光学センサを通じて複数の波長の光電脈波（PPG）を取得し、独自のアルゴリズムで末梢血行状態を分析する技術を開発した。この技術により、血行状態の把握が可能となり、宿泊者に最適な健康活動を提案することができる。
（出典：リゾートトラスト株式会社）
村田製作所は、この技術を通じて、健康で豊かな生活を送ることができる社会の実現のため、スマートリングに搭載された光学センサと独自のアルゴリズムにより、さまざまな健康リスクの分析や予防、改善に寄与するサービスの提供を目指している。また、リゾートトラストグループは、メディカル事業において「人生100年時代の健康長寿 パーソナル・ウェルビーングへの貢献」というビジョンを掲げており、今回の実証試験を経て、運営する会員制リゾートにスマートリングを導入し、顧客に対して新たな価値提供を目指す。
この実証実験は2024年9月末より約1か月間、芦屋ベイコート倶楽部にて行われる。村田製作所はリングデバイス、分析アルゴリズム、モバイルアプリケーションを提供し、リゾートトラストは宿泊施設の運営およびアクティビティの管理を担当する。この実験を通じて、リゾート施設内でのパーソナライズサービスの提供が進み、宿泊者が健康寿命を延ばすためのサポートが行われることが期待されている。
今回の取り組みは、ホテルとウェルネスを掛け合わせた新たな宿泊体験の提供にとどまらず、生活習慣病の予防や健康寿命の延伸といった社会的な課題にも寄与する可能性を秘めている。村田製作所とリゾートトラストによるこの実証実験が、今後のリゾートビジネスと健康産業に与える影響に注目が集まる。