柳川藩主立花邸 御花は、九州旅客鉄道株式会社が主催する「九州観光まちづくりAWARD 2025」において、宿(おもてなし)部門の金賞を受賞した。「九州観光まちづくりAWARD」は、地域の伝統や伝承を守りながら新しい価値を生み出す人物や団体を表彰するものであり、その土地ならではの魅力を発信することを目的としている。本年度も九州各地から多様な事例が選ばれ、その中で御花は唯一泊まることができる国指定名勝としての特性や、文化財を活かした取り組みが高い評価を受けた。
(出典:株式会社御花)
御花は400年の歴史を受け継ぎ、料亭旅館として創業してから75周年を迎える節目の年に40年ぶりの全面改修を行った。半年間の休館を経て実施されたリニューアルにより、柳川の風土に根差した文化財空間を「100年先も変わらない上質で普遍的な温かみのある空間」として現代に継承した。受賞理由は、立花家や御花の歴史に精通したスタッフによる文化財ガイド、宿泊者限定の特別な体験プラン、柳川の食文化との連携などにより、文化財の新たな魅力を創出し地域観光を推進した点である。
(出典:株式会社御花)
代表取締役社長の立花千月香氏は、今回の受賞について「この度はこのような素晴らしい賞をいただき、大変光栄に存じます」と述べた。リニューアルにあたってはUDS株式会社と協議を重ね、「扉を開けた瞬間に御花らしい景色が広がる部屋」や「文化財を愛でるにふさわしい部屋」といった要望を形にした。工事期間中には社内でプロジェクトチームを立ち上げ、制服やアメニティ、器や家具に至るまで一つひとつ議論を重ねて選定し、すべてに物語を持たせたことで自信を持って提供できるものとなった。
(出典:株式会社御花)
リニューアル後には宿泊者限定の文化財ツアーを開始し、歴史を熟知したスタッフが毎日案内を行っている。これにより宿泊客は御花を深く理解することができ、滞在がより豊かなものとなると同時に、スタッフ自身も文化財の魅力を再認識し、宿泊客との交流が自然に生まれている。立花氏は「私たちは『御花を100年後に残すこと』を使命としています。お客様と共に学び、御花を育てていく。その歩みの成果が今回の受賞につながったと感じております。この賞は私たちの誇りです。これからも御花を大切に守り育て、未来へとつないでまいります」とコメントした。
御花は現在、屋敷全敷地7,000坪が国指定文化財であり、日本で唯一泊まることができる国指定名勝である。文化財の新たな魅力を生み出すために既存の枠にとらわれない企画を行っており、2025年に料亭旅館の創業75周年を迎える節目の年を迎えている。