顧客は、得をするつもりでホテルのオンライン予約比較サイト(OTA)を使うことにより、結果的に高くついてしまっている。インターコンチネンタルホテルグループ(IHG)がOTAの役割を批判する内容のイギリスでの調査レポートを公表した。
OTAは高くつき、直接予約で節約できる
IHGによる、イギリス人の旅行予約にまつわる実態調査「Pressure to bag a hotel bargain is costing time poor Brits millions」が公表された。IHGのロイヤルティプログラム、IHG® Rewards Clubがイギリス国内の2千人を対象に実施した調査で、72%の人がOTAが最適価格を提示していると信じているものの、実際にはヨーロッパの消費者たちはホテルに直接予約をすると年間2,400万ポンド(約35億4,400万円)以上を節約できるという。
ホテル予約は男性は衝動的で、女性は慎重で倹約的
今年5月に実施された同調査によれば、イギリス人が1年間でホテルに費やす平均額は715ポンド(約10万6,000円)で、地域別では首都のロンドンが最も高く917ポンド(約13万5,000円)、最も低いのは中東部のイースト・ミッドランズの566ポンド(約8万円)だった。
平均出費額は男女間でも差があり、男性は767ポンド(約11万3,000円)、女性は670ポンド(約9万9,000円)、さらに、男性は衝動的にホテル予約をする傾向がある反面、60%の女性は予約する前に数週間をかけてリサーチするという結果も出ている。
利用者の約3割がOTAで混乱して誤った予約を経験
旅行直前でも予約を入れられるOTAサイトはイギリス人もよく利用しているが、調査対象者の27%は滞在先を確保するための価格比較しながらの「ラッシュ」にプレッシャーを感じ、混乱して誤った日程や違うホテルを予約してしまった経験があり、20%の人が意図しないホテルに実際に宿泊を経験した。
また、96%の人が最適価格でホテル予約することが重要であると考え、48%の人はホテルへの直接予約のほうが確実だと感じているにも関わらず、現実に直接予約を入れているのはわずか15%だったという。
OTAの消費者法違反の可能性を指摘
また、旅行専門家のSimon Calder氏のコメントとして、「旅行とインターネットとは過去20年間、すばらしく相性が良いものだったが、そこにも落とし穴はあった。比較サイトがプレッシャー販売や嘘のディスカウントをしたり、諸税を価格から除外したりすることなどで、消費者法に違反しているのではないかと、公正取引委員会が調査をしている。」
さらに「経験上、直接予約が高くつくことはない。それに、ロイヤルティプログラムに入れば、フリードリンクの提供や部屋のアップグレードなどさまざまなサービスを受けられる。比較サイトはいろいろなホテルを比較できるのは良いが、これらのサイトは予約時に発生する手数料などをホテルと顧客の間で搾取していることを忘れてはいけない。」と辛辣な指摘を伝えている。
IHGはOTA手数料の削減を発表したばかり。直接サイトへ誘導する上で、OTA比較サイトの問題点を指摘する思惑が同調査レポートには垣間見れる。
調査の対象であるイギリスにはIHG本社が置かれている。
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