Webサイト制作・ブランディング等を手がける合同会社 浅見制作所が、新規事業として旅館業に参入し、空き家をリノベーションしたサウナ付一棟貸ワーケーション宿 「DANDAN(ダンダン)」 を、2025年6月1日(日)に開業することを発表した。
築29年の空き家をフルリノベーションしており、LDKの居住スペースに加え、本格フィンランド式サウナと水深1mの水風呂を完備。施設内の“超借景窓”からは、武甲山と寺坂棚田を“額縁なし”で切り取る圧巻の眺めが広がる。
本記事では、DANDANの開業の経緯やその魅力などについて、合同会社 浅見制作所に取材を行った。
▷ Webサイト:https://dndn.space/
――― もともとWeb制作会社として地域に関わってきた御社が、宿泊施設運営に挑戦された背景には、どんな課題意識や狙いがあったのでしょうか?

大きく2つの理由があります。
まず1つ目は、私自身のクリエイティブを多角化したいという想いです。これまでホームページ・動画・パンフレットなどのクライアントワークを手がけ、一定の評価をいただきつつ、満足度の高いアウトプットを積み上げてきたと考えています。
一方、それらは販促物や広告といった接触面が限定的なもので、宿泊・食事・アクティビティといった“体験”ほど深い感動を与えられていないと感じていました。
そこで、より深い感動を届けられるクリエイティブに挑戦したいと考え、今回の宿泊事業へ参入しました。いわば、2Dから3Dへと広げ、五感すべてを刺激する領域に挑戦するイメージです。


そして2つ目は、地域でリアルな「金・人・モノ・コト」の循環を生み出したいという思いです。これまでもネットや紙媒体を通じて、ある程度は行動を促せていましたが、さらに一歩進め、「実際に足を運ぶ場をつくり遊びに来てもらう」「地域の人を雇用する」といった、手触り感のある地域循環ビジネスを築きたいと考えていました。
これもネット中心の2Dビジネスからリアルな3Dビジネスへ転換し、関係者を増やし実際の行動を促すことで、影響範囲を広げる狙いがありました。
―――“超借景窓”など景観と一体化したデザインが印象的ですが、空間設計のうえで最も「記憶に残る体験」を意識されたのはどのような点ですか?

秩父のシンボルである「武甲山」、そして横瀬の名所「寺坂棚田」。この2つを正面から一度に望める場所は、横瀬町内でもDANDAN周辺だけです。
特に武甲山は石灰石の採掘が続き、自然と人工が融合した他にない良い意味での“違和感”を宿す山です。この貴重な景色を「リビングの超借景窓から眺める」「サウナ後に椅子に腰掛けて眺める」「仕事の合間にふと目を向ける」──どの行動でも視界に入るよう設計しました。
DANDANでの体験はすべてこの景色と結びつくため、それが“記憶に残る体験”につながると考えています。

――― サウナについては機器や設計にも強いこだわりを感じました。特に“ととのいやすさ”を意識されたとのことですが、その体験設計の背景や狙いについて詳しくお聞かせください。

私自身、2019年にサウナにハマって以来、多様なサウナ体験やサウナづくり・ビジネスに携わってきました。コロナ直前には本場フィンランドへ視察に行き、横瀬の河原でテントサウナイベントを主催、さらに浅草のサウナ施設(サウナランド浅草/幻冬舎・箕輪厚介氏と共同)をプロデュース・運営するなど、体験から作り手まで幅広く経験を重ねてきました。
その過程で、サウナが持つ潜在的な価値の高さを実感し、DANDANでもその価値を最大化できるサウナをつくりました。

現場と体験から得た知見を基に、既製品ではなく完全オリジナルのサウナを設計し、他施設とは一線を画すクオリティに仕上げているので、“サウナ好き”の方にこそ、その違いを体感していただきたいです。

――― 設計からデザイン、アートまで、地域クリエイターと密に連携されていますが、協業体制の中で特に意識されたのはどんな点ですか?

各クリエイターが『チャレンジしてみたい』『もっと良いものにしたい』と内発的動機が湧くようなディレクションを心がけました。
オーナーとして細かい指示は出さず、目指すゴールと世界観のみを共有し、その上で各クリエイターのアイデアと技術を信頼してモノづくりできたと感じています。
私自身、普段の仕事で〈クライアントの求めるもの〉と〈自分たちがやりたいこと〉を融合させたときこそ最大の力を発揮できると実感しており、その経験が大きかったと思います。

―――「DANDAN」を皮切りに、今後も宿泊業や空き家活用事業を広げていく構想があれば教えてください。

はい、あります。ただし、範囲は広げても横瀬町を含む秩父地域内に限定される予定です。
もともとの制作事業も地域密着型であり、地域循環ビジネスをつくりたいという思いが強いため、他地域に広げても実現は難しいと考えています。あくまで活動地域内で循環ビジネスの裾野を広げていきたいと考えています。
アセットはこれからも「空き家」が中心になると思いますが、活用方法は宿にとどまらず、レストランやサテライトオフィス、コミュニティスペースなど、その時々のニーズに合わせてDANDANと相乗効果を生むコンテンツを検討したいと考えています。
■施設概要
施設名:サウナ付一棟貸ワーケーション宿 DANDAN
所在地:〒368-0072 埼玉県秩父郡横瀬町横瀬6622-6
Webサイト:https://dndn.space/
Instagram:https://www.instagram.com/dandan_yokoze/
物件概要:2階建て木造リノベーション宿(3LDK + 土間テラス + サウナ)、建物面積 83.08平米、敷地面積 579.00平米