「旅行」のパラダイムシフトが、今、現れている。旅行者たちは従来型の観光から離れ、新たな多様な旅行のテーマに対して強い興味と関心を持つようになっている。特に、その傾向は20~30代の旅行者に明らかである。
一般社団法人メタ観光推進機構が2023年6月に行った「観光の多様化に関する調査」によれば、従来型の観光ではない旅行のテーマに関心を持つ人々は、全体の84%に上る。また、旅行テーマについての問いに対し、「地形(30%)」、「昭和レトロ(29%)」、「廃墟(27%)」など、かつてはニッチと思われていたテーマにも興味があると答える回答者が約30%存在した。(出典:一般社団法人メタ観光推進機構)
新たな観光テーマへの関心は潜在的なニーズとして存在する。そのため、地域の観光振興策においては、多様なテーマから観光資源を発掘し、顕在化させることが、旅行者のニーズを満たし、新たな魅力を創出する手段となるだろう。
また、同機構が推進するオンライン地図「メタ観光マップ」に関する調査結果も示すところによれば、旅行先の多様なテーマが一目で確認できる「旅行先の地図」に興味があると回答した者は約半数(47%)であった。地域の多様な価値を可視化し、その魅力を伝えるツールとしてのオンライン地図の有効性が浮かび上がる。
調査概要は以下の通りであった。
●調査⽅法: インターネット調査
●調査時期: 2023年6⽉
●調査対象︓直近3ヶ⽉以内に国内旅⾏経験(宿泊および⽇帰り。帰省や友⼈の訪問は除く)のある20-69歳
●有効回答数︓1,000名
以上の調査結果からは、旅行のテーマとしての多様化、ニッチなテーマへの興味、そしてそのテーマを可視化するツールの必要性といった新たな観光の潮流が読み取れる。これらの調査結果は、観光業界だけでなく、地方創生に関心を持つすべての人々にとって、大いに参考となるだろう。