沖縄県那覇市の新規開業施設の分布
メトロエンジンリサーチによると、那覇市における新規ホテル開業は、「那覇空港周辺」「国際通り〜おもろまちエリア」「泊港〜美栄橋周辺」に集中している。
まず那覇空港周辺では、国内外からの空路アクセスを活かした利便性の高さを背景に、短期滞在者やトランジット客をターゲットとしたホテル開業が目立つ。とくに空港からモノレールでアクセス可能な赤嶺駅・小禄駅周辺では、宿泊と交通のシームレスな連携が図られている点が特徴だ。
一方、国際通りからおもろまちにかけての市街地エリアでは、観光とショッピングを主目的とする旅行者の滞在ニーズに応える形で、新たな中規模〜高級ホテルの進出が進行している。国際通り沿いの商業施設や飲食店街との親和性が高く、観光拠点としての魅力を高めている。
さらに、泊港や美栄橋駅周辺では、離島へのアクセス拠点としての機能が評価され、フェリー利用者やクルーズ客などを意識した宿泊施設の開業が相次ぐ。とくにクルーズ船の本格運航再開を背景に、短期滞在需要への対応と、街なかでの滞在価値向上の両面から注目が集まっている。
本記事では、こうした立地特性に着目しながら、那覇市における宿泊施設の開発動向を読み解き、今後の宿泊市場における新たなトレンドを探っていく。
出典:メトロエンジンリサーチ
出典:メトロエンジンリサーチ
沖縄県那覇市の新規開業施設がもたらす「都市滞在型リゾートの進化」
近年の那覇市では、インバウンドの回復とともに、都市機能とリゾート機能の両立を意識した新規ホテル開業が加速している。注目すべきは、これまでビジネスホテルが中心だった那覇市内において、延床面積・客室数ともにスケールの大きい高規格ホテルが次々と計画されている点だ。
中でも、2026年に開業予定の「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 那覇(257室)」や「サウスゲートホテル沖縄(216室)」は、那覇の中心市街地における都市観光とビジネス需要の双方に対応しうる中核施設となることが期待される。
さらに、観光動線上に位置する「KOKO HOTEL 沖縄前島(仮称)」や、那覇空港至近に計画中の「ファーストキャビン那覇空港(仮)」といった個性的な中小規模施設も控えており、多様な宿泊ニーズに応える布陣が整いつつある。
こうした動きは、国内の都市型ホテルに見られる再開発志向やブランド多様化と呼応しながらも、那覇特有の「観光と生活の混在」という都市構造を活かした独自の展開を見せている。都市に滞在しながら沖縄らしい体験を求める旅行者にとって、今後の那覇市はより洗練された“都市滞在型リゾート”としての価値を高めていくことになるだろう。
施設名 | 部屋数(推定) | 竣工 開業予定日 |
琉球温泉瀬長島ホテル ANNEX棟 |
72 室 | 2025年8月 |
ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 那覇 |
257 室 | 2026年1月 |
サウスゲートホテル沖縄 |
216 室 | 2026年5月 |
KOKO HOTEL 沖縄前島(仮称) |
132 室 | 2027年3月 |
ファーストキャビン那覇空港(仮) |
19 室 | 2027年春 |
(仮称) 那覇市東町スモールラグジュアリーホテル |
約117 室 | 2028年1月 |
出典:メトロエンジンリサーチ
沖縄県那覇市の新規開業施設の紹介
那覇市では、国際的ブランドから地域密着型のラグジュアリーホテルまで、多様なホテル開発が進行しており、それぞれが観光・ビジネスの両面で新たな滞在価値を提供している。ここでは、その中でも特に注目度の高い3施設を紹介する。
ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 那覇
沖縄県内では初進出となる「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 那覇」は、那覇市の中心エリアに誕生する地上14階建て・257室のフルサービス型ホテルで、2026年1月の開業を予定している。
「アイコニック」ブランドが掲げる“都市を象徴する存在”というコンセプトのもと、客室からは那覇市街や海を望む眺望が期待される。館内には、レストランやフィットネスなどの付帯施設も整備される計画で、観光・ビジネスいずれの目的にも対応する那覇市の新たなランドマークとなるだろう。
サウスゲートホテル沖縄
那覇港や泊ふ頭に近接する交通結節点に位置し、2026年5月に開業予定の「サウスゲートホテル沖縄」は、216室規模のアッパーミドルクラスホテルとして注目を集めている。
同施設は、那覇市と離島エリアをつなぐゲートウェイとしての立地特性を活かし、クルーズ船利用客や島間移動のトランジット需要への対応を想定した設計となっている。機能性と快適性を両立した客室構成はもちろん、都市とリゾートの境界を越えるような体験価値の提供が期待されている。
琉球温泉瀬長島ホテル ANNEX棟
2025年8月に開業を予定する「琉球温泉瀬長島ホテル ANNEX棟」は、人気観光スポット・瀬長島に立地するリゾートホテルの増築棟として整備される。客室数は72室を予定。
沖縄の自然や温泉をテーマにした同ホテルは、那覇空港から車でわずか15分というアクセス性の高さと、絶景のロケーションを兼ね備えている点が最大の特徴。ANNEX棟の開業により、瀬長島エリアにおける宿泊収容力の強化と、滞在型観光のさらなる促進が期待される。
以上のように、那覇市ではロケーションやターゲット層の異なる多様なホテルが相次いで計画・開業されており、都市型滞在の可能性が広がりつつある。次章では、これらの動きが那覇市の観光・宿泊市場全体に与える影響を考察していく。
空港と街をつなぐ“都市型リゾート”の拠点化
那覇市の新規開業施設は、都市中心部から離島へのアクセス拠点、さらには那覇空港周辺に至るまで、エリアごとの特性を活かした多様な開発が進行している。こうした動きは、那覇市の都市構造を刷新するとともに、国際的な観光需要に対応する「都市型リゾート」としてのポテンシャルを引き出すものとなっている。
空港と市街地の近接性を活かした戦略的な立地展開
那覇空港から中心市街地までモノレールで20分圏内という地理的利点は、宿泊施設の開発戦略にも色濃く反映されている。空港至近の簡易宿泊施設から、中心部に位置する高規格ホテル、さらには港湾エリアにおけるトランジット需要を捉えた施設群まで、多様な客層に対応した布陣が形成されつつある。
観光と生活が交差する都市での“滞在体験”
また、国際通りやおもろまちといったエリアには、観光・買い物・食文化といった沖縄の魅力が集積しており、宿泊と街の体験がシームレスに結びつく環境が整っている。近年は、ラグジュアリーリゾートと都市の利便性を両立させたホテルも登場し、従来型のリゾート滞在とは異なる、“都市に滞在する沖縄旅”のあり方が少しずつ浸透し始めている。
今後の展望
今後、那覇市における宿泊市場は、インバウンドの本格回復とあわせてさらに拡大していくことが予想される。空港と街を結ぶ拠点都市としての立ち位置を活かし、観光・ビジネスの両面から多様な宿泊ニーズに応えることで、那覇市は「都市型リゾート」の先進地としての存在感を一層高めていくだろう。
これまでの那覇市は、空路で到着し、県内のビーチリゾートや離島へ向かう“通過点”としての側面も強かったが、近年は市街地における宿泊体験の質が向上し、滞在そのものを楽しむ“目的地”としての魅力が着実に育ちつつある。
“通過点”だけではなく“目的地”としての那覇滞在の価値に、今後も注目していきたい。
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