福井県永平寺町に、130年の古民家をリノベーションした一棟貸し宿「囲宿 – KAKOMIYADO -」が、2025年7月18日にグランドオープンした。運営するのは、宿泊業界でDXを推進する株式会社7garden。同社が掲げる「誇れる『トキ』をデザインする」というビジョンのもと、唯一無二の滞在体験を提供する“⼀点モノの宿”として誕生した。
囲宿の魅力は、囲炉裏や焚き火を囲みながら語り合う時間にある。四季折々の風景と静かな自然に包まれた環境のなか、最大12名が宿泊可能な広々とした空間には、和室・洋室・キッチンなどが整い、伝統と快適性が見事に調和している。
本記事では、「囲宿 – KAKOMIYADO -」開業の経緯やその魅力などについて、株式会社7gardenに取材を行った。
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―――「囲宿 – KAKOMIYADO -」の開業にあたり、130年の古民家を選び、永平寺町で開業するに至った経緯や背景をお聞かせください。

創業以来、代表の北野の出身地である福井県に貢献できる宿泊施設の開業機会を探しておりました。
福井県立恐竜博物館は年間来場者数1,264,541 人を誇る、家族旅行先の中でも全国トップクラスの人気を誇る施設です。また、永平寺(参拝者数492,000人)は米紙ワシントン・ポストが選ぶ「2024年に旅すべき場所」世界12カ所の一つ、「最もスピリチュアルな地域」として選ばれるなど、インバウンドの成長性にも期待が高まっています。
2024年3月の新幹線の開業に伴う観光客増からも、永平寺近くの古民家宿はゲストのニーズがあるのではと考えていた中で、知人を通じて本件の建物オーナー様とのご縁をいただき開業を判断しました。
―――囲炉裏や焚き火を活かした滞在体験を設計する際、特にこだわったポイントや工夫を教えてください。

この建物の大きな魅力は大広間と囲炉裏です。元々この建物にはほぼ使われていない昔ながらの囲炉裏がありました。
宿泊ゲストの心に残る体験を提供したいと考え”令和版囲炉裏”の観点から、食事と会話が楽しめるように形状を八角形にしたり、焼き物がしやすい高さや構造に調整したりと現代版囲炉裏を構築しました。当時のままの設備を、宿泊ゲストの皆さまに「趣を感じながら、使いやすくするためには」を考え、囲炉裏を囲うテーブルや椅子を選定しております。テーブルは、サイズ、高さまですべてオーダーで制作をしました。
また、炭の灯り、香り、音、暖かさを感じて頂けるように、照明は照度を落とす、炭の音が聞こえるようにTVは置かないなど、心が休まる空間を作ることに拘りました。

もう一つの特徴としては、水回りです。大人数の滞在に対応できるよう、シャワーユニットとバスタブ付きのユニットをそれぞれ1つずつ、トイレと洗面ボウルも2つずつ設けて、古民家でありながら快適に過ごせる設備を整えました。寝室も和室2部屋、洋室2部屋ご用意し、プライベートな時間もしっかりと確保していただけます。
―――ご家族や友人グループ、企業研修など幅広い用途を想定されているとのことですが、特にどのような利用シーンを念頭に置いて設計されましたか。

大人数が宿泊できる空間の広さと機能性があるので、普通のホテルや民泊とは違う利用シーンが作れればと考えています。
たとえば家族利用では、帰省の際に兄弟や両親、祖父母が集まる場として、宴会を楽しんだ後にそのまま泊まっていただくというスタイルを想定しています。実家での集まりは、準備や片付け、宿泊場所の確保などが課題になりがちですが、当館はそれを解消できる“セカンド実家”のような存在になればと考えました。
また、企業やグループでの利用では、永平寺の自然や禅に触れながらのリトリート研修などをイメージしています。大広間や囲炉裏、リビングで共に過ごす“シェア”の時間と、それぞれが自分に向き合う“個”の時間。その両方を大切にしていただけると嬉しいです。
お子さまが大広間を走り回ったり、畳の部屋で親子が一緒に寝転んだり、みんなで囲炉裏を囲んで食事を楽しんだり。かつて家族が当たり前に過ごしていた、そんな“トキ”を感じられる空間を目指して設計しました。

―――DXを推進する7gardenとして、この施設運営で導入されているシステムや、運営効率化のための取り組みがあれば教えてください。
詳細は、お伝え出来ませんが、予約の段階から、ゲストとのコミュニケーションを細やかに取る為に、AI化を進めております。
―――最後に、囲宿の開業を経て、今後さらに挑戦したい取り組みや、これからの施設づくりで目指している方向性についてお聞かせください。
2015年4月の創業以来、私たちは「一点モノのホテルをつくる」ことにこだわり続けてきました。その原点にあるのが、土地や建物といった“一次情報”を自分たちの目と足で集めるという姿勢です。
創業当初から掲げてきたのは、「日本を代表するホテル屋になる」という想いです。そのために、まずは“運営に特化し、企画・運営棟数で実績をつくること”、そして“商品企画とポジショニングに一貫性をもたせること”に集中してきました。
11期目となる今期からは、「①自社ホテルの開発」「②ホテル規模の拡大」「③大阪進出」の3つを重点テーマに掲げています。私たちは、これからも「誇れるときをデザインする」というビジョンに一切妥協せず、年間4棟以上のホテルを継続的に新規開業していきます。
■施設概要
一棟貸しタイプ(最大12名)
ROOM 1:ダブルベッド × 2(洋室)
ROOM 2:キングベッド × 1(洋室)
ROOM 3:布団 × 3(和室)
ROOM 4:布団 × 3(和室)
施設:トイレ×2、ユニットバス(バスタブあり)、シャワールーム、洗面台×2
所在地:〒910-1225 福井県吉田郡永平寺町京善9-3
アクセス:
・JR福井駅より車で25分
・JR福井駅東口1番乗り場から「永平寺ゆき」バスで19分、「京善」バス停から徒歩5分
・永平寺ICより車で6分