一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)は、訪日外国人観光客に向けたおもてなし文化を広めることを目的に、2024年10月15日に鎌倉市で「I’m Omotenable! プロジェクト」を実施した。本プロジェクトは、英語に自信はないが積極的におもてなしに携わりたい市民が「オモテナブルマーク」を身に着け、外国人観光客と英語で交流を図る実証実験である。
鎌倉市は多くの観光客で賑わい、観光エリアの混雑や道案内において課題がある地域である。鎌倉市観光協会では多言語ガイドを導入するなどの対策を進めているが、IIBCは観光客と地域住民が互いに支え合う地域づくりを目指し、本プロジェクトを実施する運びとなった。参加したボランティアは、英語初級・中級者向けのTOEIC Bridge® Listening & Reading Testを事前に受験し、自身の英語力を把握した上でプロジェクトに参加した。
実証実験当日は、鎌倉駅や小町通り周辺で「オモテナブルマーク」を着用したボランティアが、道案内や観光案内を提供した。「May I help you?」と書かれたマークが外国人観光客に安心感を与え、自然に声をかけるきっかけとなった。鎌倉駅西口では、大仏などの人気観光地へ向かうために道に迷っている観光客を案内し、文化交流にもつながる会話が生まれた。また、鎌倉の飲食店や人力車案内業者も協力し、マーク着用によって、より円滑な接客が行われた。
ボランティアからは「オモテナブルマーク」によって観光客と接する際の自信が増し、案内や会話がよりスムーズになったとの声が寄せられた。参加者は「英語が得意でなくとも、道案内や異文化交流ができる実感を得られた」と述べ、将来的には地域の観光資源を活かして、訪日観光客との架け橋となりたい意欲も示した。
IIBCはこの実証実験を通じ、「オモテナブルマーク」が日本人と外国人観光客をつなぐ架け橋として大きな役割を果たす可能性を確認したとしている。また、英語の流暢さに関わらず、おもてなしの心を持って観光客に接することで、地域社会が活性化し、持続可能な観光地域づくりに貢献できると評価している。今後もIIBCは英語を通じたおもてなし活動を推進し、訪日観光客と日本人が交流できる場を増やしていく方針である。