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【2025年6月最新】広島市のビジネスホテルを徹底分析!再開発と観光回復が支える堅調な宿泊需要

投稿日 : 2025.06.27

広島県

ホテル統計データ

広島市のビジネスホテル、分布状況

メトロエンジンリサーチによると、広島市のビジネスホテルの分布状況は以下の通り。

出典:メトロエンジンリサーチ

出典:メトロエンジンリサーチ

出典:メトロエンジンリサーチ

メトロエンジンリサーチによると、広島市のビジネスホテルは、広島駅周辺を中心に高密度で分布しており、とりわけ南口エリアから猿猴橋町・的場町周辺にかけて、集中度の高いエリアを形成している。

地図からも確認できるように、新幹線の停車駅である広島駅を起点に、南北へと連なる形で多数のビジネスホテルが立地しており、県内外の出張者にとっての主要な宿泊拠点となっている。また、紙屋町・八丁堀方面の中心業務エリアにも一定数のビジネスホテルが集積しており、広島市内におけるビジネス需要の二極構造がうかがえる。

さらに、平和記念公園や原爆ドームといった世界的観光資源に近接するエリアにもビジネスホテルが点在しており、観光とビジネスの双方を目的とした宿泊ニーズに対応する形で供給が進んでいる。

一方で、安佐南区・佐伯区などの郊外エリアにはホテルの分布は少なく、中心部に供給が大きく偏る構造が見て取れる。これにより、交通利便性の高い広島駅周辺や繁華街エリアに宿泊ニーズが集中しやすい傾向があると言えるだろう。

このように、広島市におけるビジネスホテルの配置は、広島駅を中心とした都市構造と強く連動しており、出張・観光・周遊といった多様な目的に応じた立地選択がなされている点が特徴となっている。

広島市のビジネスホテル、施設数の推移

堅調な増加を経て、持続的な供給拡大へ|市中心部を軸に多様なニーズに対応

広島市におけるビジネスホテル・施設数の推移には以下の傾向が見られた。

出典:メトロエンジンリサーチ

広島市におけるビジネスホテルの施設数は、2019年以降、一貫して増加傾向を示している。

2019年初頭には90軒未満だった施設数は、コロナ禍を挟みながらも中長期的に拡大を続け、2025年6月時点では約113軒と、6年間で約25軒増加している。特に2020年から2021年にかけては急速な増加が見られ、新規開業の集中と既存施設の見直しなどが影響していると考えられる。

その後、施設数は小幅な上下を経ながらも、概ね右肩上がりのトレンドを維持しており、中長期的に需要に支えられた持続的な成長が読み取れる。これは、出張需要の回復だけでなく、観光都市としてのプレゼンス向上や、都市再開発の進展による市街地への投資とも関係している可能性がある。

考察

広島市のビジネスホテル市場は、堅調な需要と都市構造の再編成を背景に、安定した成長基調を維持している。観光とビジネスの両需要を取り込むハイブリッドな宿泊需要が、市中心部を軸に発生しており、それに応じた施設供給が進んでいると考えられる。

特に、広島駅周辺や紙屋町・八丁堀エリアでは、再開発プロジェクトと連動する形でホテル開業が進み、ビジネスホテルもその流れの中で存在感を強めている。

今後は、施設数の拡大だけでなく、顧客ターゲットの明確化や差別化戦略、サービス品質の向上が鍵となり、広島市ならではの地域特性を活かした宿泊体験の価値創出が求められるフェーズに入ると見られる。

広島市のビジネスホテル、部屋数の推移

施設増加と並行して部屋数も拡大|中規模〜大規模施設の供給が成長を牽引

広島市におけるビジネスホテル・部屋数の推移には以下の傾向が見られた。

出典:メトロエンジンリサーチ

広島市におけるビジネスホテルの部屋数は、2019年以降、右肩上がりの成長トレンドを維持している。2019年時点では9,000室台だった供給数は、2021年には早くも1万2,000室を突破し、2025年6月時点では約13,500室に達している。

2020年から2021年にかけての急増は、施設数の増加と歩調を合わせており、新規開業が部屋数の拡大に大きく寄与したと考えられる。中でも、100室以上の中規模〜大規模ホテルの開業が相次いだことで、市内全体の供給力が押し上げられた。

一方、2022年以降はやや横ばい〜微増傾向で推移しているものの、長期的には安定した拡大が続いており、広島市における宿泊需要の底堅さと開発余地の大きさを裏付ける動きと見て取れる。

考察

広島市のビジネスホテル市場では、施設数とともに部屋数も着実に増加しており、これは単なる新規開業の積み重ねにとどまらず、1施設あたりの平均規模の大型化が進んでいることを意味している。

特に、再開発エリアや駅周辺では、観光・ビジネス双方の需要を取り込む高機能型ホテルの進出が目立ち、一定のスケールを持つ施設が主流となりつつある。

今後は、訪日客の本格回復や国内観光の多様化に伴い、単なる宿泊供給から、多様な滞在スタイルに対応する柔軟な空間設計やサービスの展開がカギとなるだろう。客室数の拡大だけでなく、その質的変化が問われるフェーズに入っていると言える。

広島市のビジネスホテル、稼働率の推移

需要回復と都市観光の再評価を背景に安定推移|観光・出張の複合需要が稼働を下支え

広島市のビジネスホテルの稼働率の推移を全国平均と比較して分析すると、以下のような傾向が見られた。

出典:メトロエンジンリサーチ

広島市のビジネスホテル稼働率は、2020年以降のコロナ禍により一時的に大きく落ち込んだものの、その後は段階的に回復基調を見せており、2023年以降は全国平均とほぼ同水準で推移している。

特に2022年から2023年にかけては、出張需要の回復と国内観光の盛り上がりが追い風となり、稼働率が急上昇。2024年以降も大きな変動は見られず、安定したレンジでの推移が続いている点が特徴だ。

また、月ごとのばらつきはあるものの、長期トレンドとしては右肩上がりの傾向にあり、これは都市機能の再活性化や、平和記念公園や原爆ドームといった観光コンテンツへの再評価も関係していると見られる。

考察

広島市のビジネスホテル市場は、全国的な需要回復の流れと歩調を合わせながらも、地域特性に根ざした安定した稼働を維持している。特に、広島駅周辺や紙屋町・八丁堀エリアを中心とした交通利便性の高い立地にある施設は、ビジネス・観光の両面で高い稼働率を記録している傾向がある。

今後は、回復期を経て「選ばれるホテル」になるための差別化が鍵となり、サービスの質向上やローカル体験の提供、持続可能性への対応などが競争力を左右する要素となるだろう。

広島市のビジネスホテル市場の今後の展望

中四国の中核都市として進化を続ける広島市|都市再編と観光回復が後押しする成長ステージへ

今後も広島市のビジネスホテル市場は、中四国エリアの経済・観光の中核拠点としての地位を背景に、堅調な成長が見込まれるだろう。

広島駅周辺の再開発や紙屋町・八丁堀エリアを中心とした市街地の活性化により、出張・観光の双方を取り込む都市機能が高まりつつあり、新幹線アクセスや路面電車網などの交通利便性の高さも、持続的な宿泊需要を支える重要な要素となっている。

また、平和記念公園や原爆ドームなどの世界的な観光資源の再評価や、教育旅行・修学旅行需要の復調などにより、国内外からの訪問が再び増加傾向にある点も注目に値する。

一方で、施設数・部屋数ともに増加が続いている広島市では、今後の競争軸は「量」から「質」への移行が進むことが予想される。特に、訪日外国人旅行者(インバウンド)の本格回復や、MICE(国際会議・展示会)誘致の強化を見据えたサービス・ハード両面の差別化が求められる局面に入ってきているのではないだろうか。

既に広島市のビジネスホテル群は、広域交通網・都市中心性・観光吸引力という三要素を兼ね備えており、これらの強みを活かしながら、市場環境の変化に柔軟に対応することで、さらなる成長と市場拡大が期待されている。

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