株式会社近鉄・都ホテルズおよび近鉄不動産株式会社は、「ウェスティン都ホテル京都」を2020年に創業130年の節目を迎えるにあたって、高級ラグジュアリーホテルへと大規模リニューアルする。レビュー分析や京都市東山区ホテル展開状況を交えながらお送りする。
京都を代表するラグジュアリーホテルへ大規模リニューアル
近鉄グループの発表によると同ホテルのリニューアルにあたり、「積み重ねてきた伝統の価値を将来に受け継ぐために、昭和を代表する建築家である村野藤吾氏のデザインの特徴である優美さや曲線美を承継するとともに、新しい時代にふさわしい設えやサービスを加え、ラグジュアリー層にご満足いただけるホテルとします。」とあり、1890年に創業し京都を代表する高級老舗ホテルとして数多くの来客を迎えてきた伝統と世界的観光都市となり多様性への対応した設備やサービスが融合した高級ラグジュアリーホテルへと生まれ変わる。
2018年6月より一部の客室改修工事を開始し、ホテルの営業を継続しながら、2020年の春に全改修工事を終了しグランドーオープンとなる予定である。
リニューアルのポイントは以下である。
・平均客室面積を約50㎡に拡大し、京都・東山の自然をイメージした内装デザインとして、浴室すべてに独立した洗い場を設ける。
・ホテル敷地内で掘削する温泉を活用した約1,000㎡のスパを新設し、華頂山に続く庭園と一体となった半露天風呂で、日本らしいくつろぎ感を提供する。
・海外からの顧客にも人気の数寄屋風別館「佳水園」は、原設計を承継しつつ客室面積を大幅に拡大し、浴室では温泉を楽しめる。
・本格的なフランス料理を提供するメインダイニングや、ライブキッチンなどを備え京都市街を一望できるビュッフェレストランが誕生する。
出典:近鉄グループ
部屋数を削減、部屋の広さ拡大で満足度アップか
メトロエンジンリサーチのレビュー分析によると同ホテルの部屋の広さに関連するレビュースコアは比較的低い値となっている。外国人が部屋の広さに言及したレビューも多く見受けられるため、その課題に見合ったリニューアル内容といえるのではないだろうか。
しかしながら、客室面積の拡大にあたって、これまでの499室から約270室へと大きく室数が減ってしまうため、1室あたりの利用料金の上昇や稼働率の向上が求められるだろう。
また、京都市観光協会が発表している京都市外国人宿泊状況調査によると、2018年7月の外国人利用割合は52.1%を記録しており、前年同月7.1ポイント増で調査開始以来2番目に高い数値をなっている。もちろん同ホテルも例外ではなく、メトロエンジンリサーチの直近2年間のレビュー投稿者の国籍割合をみると、約半分が外国人からとなっている。日本文化を感じる水路閣をイメージしたスパ施設や既に外国人から高い人気を誇る別館「佳水園」などは更なる外国人宿泊者の集客に好影響を与えると考えられる。
出典:京都市外国人宿泊状況調査
出典:近鉄グループ
京都市東山区のホテル展開状況
メトロエンジンリサーチによると、同ホテルが所在する京都市東山区では449施設、3,955室の宿泊施設が存在しているが、同ホテルは以下の表の通り、区内で1番の499室を供給しており、2位のハイアットリージェンシー京都の187室の2倍を超えている。
現時点でも東山区の供給客室数の12%強のシェアであるが、リニューアル後、270室まで客室が減ったとしても依然高いシェアを維持する見込み。
出典:メトロエンジンリサーチ
東山区には2019年10月までに5施設、約450部屋の新規開業予定のホテルが控えており、同ホテルが開業する2020年春には少なくとも現在よりも10%程客室供給量が増加すると見込まれる。
また、ウェスティン都ホテル京都が目指す高級ラグジュアリーホテルとしては「パークハイアット京都」が一足早く開業を予定しており、競合として集客争いが加熱していきそうだ。
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