富山第一ホテル(富山市)を運営する富山アメニティシステム(同)を傘下に持つGRN(富山県高岡市)は、同ホテルの営業を来年3月31日で終了すると発表した。
同ホテルは1982年(昭和57年)に開業。阪急阪神第一ホテルグループに加盟し、地上13階建てで客室数は110、宴会場やレストランも備える。ピーク時の91年には約30億円の売り上げがあったが、富山市内でホテル建設が相次いだことで競争が激化、昨年は約14億円にまで落ち込んだ。
今年に入り、新型コロナウイルス拡大に伴い1カ月間の休館を余儀なくされた。再開後も主力の宴会需要が低迷。10月の稼働率は前年同月比65%まで回復したものの、10月時点で売り上げは4億円にとどまり、赤字見通しとなっている。
施設の老朽化による設備投資の負担もかかることから、営業終了を決定した。工場内の食堂などを手がけるフードサービス部門は継続する。社員74人の雇用は富山アメニティシステムの親会社「GRN」、北陸コカ・コーラボトリング(富山県高岡市)でつくる「双爽(そうそう)グループ」で維持する方針だが、他のホテルを希望する社員には再就職を支援する。
GRN担当者は「地元資本シティホテルとしての使命が終わった」「アフターコロナを見据え、グループ全体で事業改革が必要と判断した」とコメント。ホテルの土地と建物はGRNが所有し、来年春以降は地権者として同市桜木町地区の再開発計画に参画する意向を示している。