藤田観光(本社:東京都文京区)は12月4日、早期退職の募集や不採算事業の撤退を発表した。新型コロナウイルスの影響で運営するホテルの利用者が減り、業績が悪化したことが理由。
藤田観光によると、早期退職者の募集の対象は40歳以上の社員か契約社員。勤続年数は社員が10年以上、契約社員は5年以上とする。募集期間は2021年2月5~15日で退職日は同3月31日の予定。優遇措置として、転職援助金を上乗せし、希望者には再就職も支援する。
退職希望者の募集と同時に、社員の社外への出向や雇用契約の見直しも行い、2022年の人件費を19年比で3割減らすとしている。一連の雇用調整で固定人員が700人減る見込みだ。年功制の人事制度の廃止についても労働組合と協議している。
藤田観光では2020年7~12月期に90億円以上のコスト削減を目標としているが、そのうち人件費において15億円以上の削減を目指している。4月から実施している伊勢宜弘社長ら18人の役員報酬の減額幅をさらに広げると発表。代表取締役は8月まで月額報酬の30%を減額してきたが、9月から当面の間、50%減らす。今冬以降、当面は全従業員にも賞与を支給せず、諸手当なども減額している。
また、不採算事業の撤退などの構造改革も明らかになった。運営するホテルフジタ奈良(奈良市)の営業を12月10日で終了する。21年以降に開業を予定していた10ホテルのうち、訪日客をターゲットとするブランド「タビノス」など7ホテルの出店を中止。開発に着手したホテルは費用を圧縮し開業する。
藤田観光が10日発表した2020年1~9月期の連結決算は、最終損益が171億円の赤字(前年同期は4億2100万円の赤字)だった。新型コロナウイルスの影響を受け、運営する「ワシントンホテル」などの宿泊需要が落ち込んだことが原因で、同期間として最大の赤字額となった。新型コロナの影響を見通しにくいとの理由から、同社は20年12月期の業績見通しを公表していない。