特定非営利活動法人STEM Leadersと下関市スマートシティ推進協議会は、2025年1月11日に梅光学院大学で「DEGICON SHIIMONOSEKI 〜Wakamono Innovation Network 2024〜」の最終審査会を共催する。本コンテストでは約3か月間にわたり、大学生が下関市の課題解決に挑み、その成果を発表する。参加者は現地調査とプログラミングやデータサイエンスといったデジタル技術を駆使し、下関市の課題解決に取り組んだ。
デジコンしものせきは2020年より実施され、地域課題に焦点を当てた「イノベーション創出型コンテスト」として定着している。2024年度のテーマは下関市の観光振興であり、大学生5チームが観光事業者へのヒアリングやアンケート調査を基に現状分析を行い、課題を把握した上で独自のソリューション案を考案してきた。最終審査会では、プロトタイプを披露し、実現可能性や期待される効果を踏まえた提案を行う。
同コンテストの魅力は「デジタルを活用した課題解決」の実践にあり、多くの参加者が初めてIT技術を学ぶ機会を得た。STEM Leadersの学生メンターが各チームを支援し、課題解決の方法や生成AIの活用方法、チーム会議の進め方を指導した。また、下関市内のIT事業者が技術メンターとしてAPIの活用や画面遷移の設計などについてのアドバイスを提供し、参加者は「デジタルを使ったモノづくり」のプロセスを学んだ。
STEM Leadersでは、課題解決思考法やデータサイエンスなどの大学生向け勉強会を実施するとともに、自治体や企業と協働した社会課題解決プロジェクトを実践している。これまでに培ったスキルやノウハウは下関の大学生にも共有されており、オンライン会議を通じて東京在住の大学生メンターが参加者をサポートした。
一方で、総合コンサルティング企業アクセンチュア株式会社は、コーポレート・シチズンシップ活動の一環としてSTEM Leadersを支援している。今回のデジコンしものせきにおいては、アクセンチュアのデータサイエンティストが各チームに対し、課題解決の手法や妥当性、データの適切な活用についてアドバイスを提供した。これらの支援は、実際の業務で培われたスキルを基に行われ、参加者が実践的な経験を得る大きな助けとなった。
下関市スマートシティ推進協議会の松井惇氏は、コンテストが地域課題への関心を育て、将来のイノベーションを生む人材のきっかけになることを期待していると述べた。また、STEM Leadersの横山孝汰氏は、過去の参加経験を通じて得た達成感や成長が貴重なものであるとし、学生メンターとして他の参加者の成長を見守ってきたことに触れた。さらに、STEM Leadersの理事長村重慎一郎氏は、若者主導の課題解決がスマートシティの推進力になることを強調し、このモデルを他都市にも広げたいと語った。
下関市では2021年にスマートシティ推進協議会を設立し、新技術を活用したサービスの実装を進めている。学生は観光事業者へのヒアリングや視察を通じて地域課題を理解し、技術メンターやアクセンチュア社員の助言を取り入れながら、スマートシティ実現に向けたソリューションを提案した。この取り組みは、自治体・大学・企業が連携し、若者が地域発展に継続して取り組むモデルとして注目されている。
同コンテストを共催するSTEM Leadersは2016年設立の学生団体であり、科学やテクノロジーといったSTEMを活用した課題解決ができるリーダーの育成を目指し活動している。現在は約70名の様々なバックグラウンドをもった大学生が所属しており、データ分析に基づく行政への提言や市民サービス向上のためのアプリ開発など、自治体や大学と連携した社会課題解決プロジェクトを自主的に推進している。また、総合コンサルティング企業であるアクセンチュア株式会社が、社会貢献活動の一環として、同団体を設立時から支援している。